2010年11月9日火曜日

報道の役割

アメリカや日本のような資本主義社会には、独占禁止法という法律があります。ひとつの会社が強くなりすぎて公平な競争が行われないようになると、消費者が被害を受けるということから設けられた法律です。実際これによりアメリカのAT&Tという電話会社は分割されましたし、IBMも分割されそうになりました。資本主義がもつ欠陥を法律で防止しているのです。同じように民主主義にも情報の独占禁止法が必要です。これは政府が持つ情報を積極的に公開させるものです。民主主義がうまく働くためには、国民に大切な情報が公開されていなければ判断できません。政治家は国民の代表として国会で判断を下しますが、すべてを任せているわけではありません。今回の尖閣諸島のビデオは、最初に国民に公開されるべきものでした。日本と中国がどのような関係にあるのか、海の上の国境ではなにが起きているのか国民には知る権利があります。こうした大事な情報を政府が国民の目から隠してしまうことは背任に相当します。人間は神様ではないので、権力というものはそのままでは腐敗するものです。民主主義においてその腐敗を防ぐものは情報の公開であり、それを国民に伝える報道の役割とは、時の政府を国民に代わって監視するというものです。民主主義はタダでは維持できません。自由な報道は民主主義に必要なコストです。このため利用者から購読料をもらって、広告主から独立した立場で報道できる新聞社やNHKのような放送局が必要なのです。国民の知る権利は政府といえども簡単に制限することはできません。政府が自分に不利な情報をあえて公開するには、法律による強制力が必要となります。国家公務員といえどもまず国民であり、国民の知る権利を政府が封殺する事は国家による情報統制とおなじで、これはまさに中国政府がやっていることです。日本が自由な民主国家というなら、こうした政府による情報統制はやめるべきでしょう。

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