2013年5月21日火曜日

お茶を殺すな

日本茶の劣化が進んでいます。ご存知ですか?「深蒸し茶」はお茶を殺す行為です。日本茶はまず摘み上げた茶葉を浅く蒸して茶葉に含まれる酵素の働きを止めます。ここで酵素の働きを止めないと紅茶になってしまいます。次に茶葉を乾燥させておしまいです。出来上がったお茶は緑色の葉が細長く尖っていて、針のようになります。長さは3cmぐらいで、指に刺さります。こうしたお茶から正しく抽出したお茶は、山吹色で独特の茶葉の香りがあり甘い味がします。ペットボトルで飲むお茶の味です。お茶の良さは色、香り、味で評価します。味には甘み、苦み、旨味があります。お茶には抽出に適した温度のお湯があり、煎茶は80度前後です。これより高い温度のお湯を使うと苦みだけ突出したお茶になり、ちっとも美味しくありません。ですから電気ポットのお湯は温度が高すぎて、そのままでは番茶やほうじ茶にしか使えません。正しくは温度を80度に下げてから3分かけて抽出します。ところがこれを知らない消費者は沸騰したお湯を煎茶に使い、1分程度で急須から湯のみに注いでしまいます。これでは美味しいお茶は飲めません。そこで抽出する時間を短縮するために考え出されたのが、「深蒸し茶」です。蒸す時間を長くすることでお茶の葉がボロボロに崩れるので、お茶というより粉茶に近い形状になり、抽出時間は短かくなります。でも「深蒸し茶」はいわば出来損ないのお茶です。蒸す時間が長過ぎるため、まずお茶の香りが飛んでしまいます。次に甘みと旨味が熱で失われます。旨味はお茶に含まれるアミノ酸が主成分です。最悪なのが、茶葉が崩れているため抽出したお茶がドロッと緑色に濁ることです。緑茶というのは実は黄色のお茶のことを指します。ペットボトルのお茶を見てください。黄色でしょう?「深蒸し茶」は出来損ないのお茶です。わざわざ不味いお茶を作っています。そのままでは煎茶に適さない厚くて固い茶葉を利用しようとして考え出されたのが「深蒸し茶」です。ところが「深蒸し茶」が特別な製法であるかのように宣伝されたため、今では「深蒸し茶」でない本来のお茶を探すのがとても難しくなりました。「深蒸し茶」は日本茶の自殺行為です。わざわざ不味いお茶を作っています。それは消費者が美味しいお茶の淹れ方を知らないからです。紅茶ソムリエならぬ日本茶ソムリエを養成するべきです。お茶は海外に輸出できる数少ない農産物です。でも「深蒸し茶」では緑色のヘドロのような、香りと味のない不味いお茶しか飲めません。日本茶業界は正しいお茶のいれ方から教育する為に、日本茶ソムリエ制度を作って消費者を啓蒙するべきです。マサは「深蒸し茶」を避ける為に、袋入りのお茶を外から指で押してみます。もし砂袋を押すような感覚があれば、それは「深蒸し茶」です。浅蒸し茶は押した時に茶葉が折れるポキポキ感があります。本当は中の茶葉を見て買えば消費者にとって一番です。でもスーパーでは不透明な袋入りのお茶しか買えませんので、外から押すと感覚でわかります。ただし固い真空パックだと分かりません。「深蒸し茶」と書いてなくても、今や市販の9割のお茶は「深蒸し茶」です。消費者と日本茶業界がそろって日本茶を殺しています。こうした愚かな行為がもう何十年も日本で続いています。せっかくの日本茶を深蒸しで殺すのは止めませんか。

2013年5月17日金曜日

家計収入分布図

昔NHKの人形劇で「ひょっこりひょうたん島」という名作がありました。ある年代以上の方なら覚えておいででしょう。先日アメリカの家計収入分布図を見ていて、この「ひょうたん島」を思い出しました。ひょうたん島は、その名の通りヒョウタンを縦に真ん中で切って、半分を横にして海に浮かべたような形をしています。瀬戸内海に実在する「瓢箪島」も、テレビでは人形劇にならって左側に大きい山、右側に小さい山が来る構図で紹介されています。この図がまさにアメリカの家計分布と同じ形をしています。左側の山のピークは年収で200万円弱であり、それから右に年収が上がるにつれてグラフは下がって行きます。でも2000万円をこえると次の山になります。つまり山はふたつあり、そのピークは200万円と2000万円以上のところにあります。200万円のピークは国民の家計の6%を占め、2000万円以上のピークは2%を占めています。また家計の中間値はリーマンショック後毎年下がっており、今は約500万円となっています。日本は中間値が438万円とアメリカに近く、下のピークはなだらかながら200万円前後で7%ぐらい、上のピークはやはり1000万円以上で12%あります。日本もアメリカも家計収入の分布は割と似ていると言えます。ただし日本には小さいながらも中間層がまだ存在し、そのピークは600万円あたりに9%あります。アメリカでは2011年に家計収入トップ1%の人たちが全米資産の半分、収入の4分の1を持っているというので、富の偏在がひどいと99%運動が起きました。日本はまだそこまで行っていませんが、方向としてはアメリカのようになると見て間違いないでしょう。グローバル経済では他の国でできる仕事はすぐに他の国に移るので、経済的な勝者と敗者がはっきりと分かれてしまいます。単価の高い労働者を増やす以外に日本の敗者を減らす方法はありません。そのためには、世界的に需要があって専門性の高い仕事ができる人間を増やすのが一番の手です。日本の将来は教育にかかっています。

2013年5月11日土曜日

儒教の誤解

日本にある道徳は儒教が元になっていて「仁、義、礼、知、信」の五つの徳性を重んじています。これ自身はアメリカを始め世界のどこでも大切とされる要素に他なりません。ところがこれから派生したものとして「父子、君臣、夫婦、長幼、朋友」という関係を大事にしなさい、と言ったあたりから誤解が生じてしまいました。現代の日本では「敬老、男尊女卑、年功序列」が常識となっています。今でも日本社会と韓国社会だけが儒教の強い支配下にあり、本家の中国では儒教は下火です。でもその韓国は経済力を付けるため、日本に先んじて会社内での「敬老、男尊女卑、年功序列」を捨てました。年長者に盲目的に従うのではなく、女性も戦力として扱い、年齢に関わらずその仕事に最も適した人間を当てるという、世界的に見ればごく当たり前の事をしたのです。経験を重視しすぎると新しい事ができなくなります。大切なのは年齢ではなく「仁、義、礼、知、信」です。日本が「敬老、男尊女卑、年功序列」をやめて「仁、義、礼、知、信」で人を評価する社会になれば、グローバル経済でも世界を相手に負ける事はありません。

2013年5月3日金曜日

共意する

英語のcommunicationを日本語にするのに苦労してます。どうやら日本語にはぴったりの訳語が無いので、新しい訳語を作る事に決めました。「共意」です。もともとcommuneには「共有する」という意味があります。Communismと言えば共産主義を意味します。意思の疎通がcommunicationの意味だとすれば、そうした意思を共有するという意味で「共意する」という訳語はどうでしょうか。人が人と話して意思を伝えたり気持ちを理解してもらうのがcommunicationです。それに対応するぴったりの日本語がないというのは、恐らく「以心伝心」を旨としてきた日本人の残念な点です。「話さなくても分かる」が日本のこれまでの常識ならば、「話せば分かる」がこれからの常識になります。話題の「コミュ力」は「共意力」となります。「きょうい」には同音異義語が少ないので、既存の言葉と間違える危険が少ないのも良い点です。「コミュ力」のようにカタカナと漢字を混ぜる無理も必要ありません。「こみゅか」と呼んでクビをひねる人もいなくなります。どうでしょう、これからは「共意」という訳語を「コミュニケーション」の代わりに使いませんか。