2012年11月24日土曜日

バラマキ予算と治安

日本は大変治安の良い国です。真夜中に都会で女性が一人で歩いていても問題ありません。これはアメリカと大違いです。なぜこんな違いがあるのでしょうか。アメリカは機会均等の国で、結果として貧乏になる人と金持ちになる人には大きな差があります。世論がそれを認めている国です。このため貧乏になり他に失うものがない人は犯罪者予備軍となります。それを緩和するために、生活保護や宗教団体による慈善活動があります。その反対に、日本では結果としての平等が国民の希望です。個人の努力はあまり評価せず、グループ内での平等を求めます。バラマキ予算はお金のムダという批判がありますね。税金は払う方からすればムダであり、もらう方からすればムダではありません。地方には仕事がないので、たとえムダな道路でも作れば雇用を生み出し、関連経済にお金が回るので一時的にせよ貧乏人を減らします。つまりバラマキ予算は日本の治安に役立っています。震災復興予算も官僚による巧みな流用が目立ちますが、これも間接的には日本の治安に役立つでしょう。それではバラマキにより失うものは何でしょう。それは虎の子の税金です。銀行に預けたお金はもうバラマキ予算で使ってしまったので、金庫を開けると国債の紙しかありません。いまから数年で預金の引き出しは出来なくなり、かわりに国債の紙を返されます。もし自分の貯金を国債の紙に変えたくなかったら、タンス貯金をするか外国に預金するしかありません。

2012年11月17日土曜日

農耕民族の壁

日本人が農耕民族だなと思うのは、危機に際しての対処の仕方を見た時です。自分も含め、まずやることは我慢です。例えば台風が来たら戸締まりをして家にこもります。いずれ台風は去ってしまうので、それまで首をすくめて忍の一字です。天気は農業を左右する要因なので、天気が悪ければ良くなるまで待つのが農耕民族である日本人の発想です。日本が欧米諸国に追いつこうとした昭和の時代、お手本は目の前にありました。日本は良くも悪くも物まね文化の国なので、お手本を分解してその部品をコピーし、生産技術を磨いてコストを下げました。車や家電の成功はこうしたお手本のおかげです。追いついてしまった現在、もう日本にお手本はありません。バブルで失った国富は輸入品の購買を通じて海外に流出しました。国債は日本人の預貯金で支えているので、円高はまだ逆に振れません。人口の高齢化(長寿命化)と少子化(産業のソフト化)はますます進行しています。こうした危機に日本人は我慢することで対処しました。問題先送りとも言います。その結果膨大な国の借金を子孫に押しつけて平然としているのが現代人です。今の60代以上はこの借金を踏み倒すつもりです。失われた20年は何もしない20年でした。ピンチをチャンスに変える発想は、農耕民族的考え方からは生まれません。年金を削って教育に回し、次の世代が負う借金を減らす時期に来ています。また問題を先送りすれば、事態はさらに悪化するだけです。収入の倍もある出費を削らなければ次の世代の日本は借金で潰れます。年金はゼロになり公共サービスはすべて有料になります。こうした問題は我慢するだけでは解決しません。50年後に日本の人口は今の半分になり、そのまた半分は60歳以上となります。これからの日本は、より少ない人数でより多くの外貨を稼がねばなりません。教育を国の最重要課題とし、すべての産業はいくら外貨を稼げるかで評価します。我慢という農耕民族的考え方では日本の問題は解決できません。

2012年11月10日土曜日

アメリカの労務管理

マサのいるシリコン・バレーのIT会社では、最初から休日出勤や残業を前提としたスケジュールを組むマネジャは労務管理ができないダメなマネジャだと判定されます。そうしたマネジャはチームの不満を招き、四半期ごとの勤務評定の時に部下に酷評されます。それが何期も続くとマネジャからヒラに降格です。普通はそうなる前にそうしたマネジャは他の会社に移るでしょう。自分のチームの能力を把握していないマネジャは正しい労務管理ができません。マネジャの大事な仕事のひとつは仕事の配分です。自分の分の仕事が終わればさっさと退社するのがアメリカ流のサラリーマンなので、「手の空いている人に頼む」という事が簡単にはできません。もし8時間でなく6時間でその日の分の仕事が終われば、「手の空いている人」はすぐ帰宅してしまいます。仕事のスケジュールより個人生活を優先するのがアメリカ流です。会社はいつでも自分をクビにできるので、本当に頼りになるのは家族だからです。そのため優秀なマネジャは誰がどの程度忙しいかを常に把握して、配分する仕事の量と質をうまく調整します。

2012年11月3日土曜日

労働組合

シリコン・バレーのIT会社に労働組合はありません。かつてマサが勤めたHPにもありませんでした。ITエンジニアは専門性の高い仕事をするので、自分で自分を守る事ができます。取り替えが効かない人材ですから、組合で守る必要はありません。他に待遇の良い会社があればすぐ移るので、エンジニアを飼い殺しにするような会社もありません。マサがかつて日本で働いていたとき、エンジニアも工員も皆いっしょにひとつの組合に所属していました。それが会社のルールだったからです。組合といっても皆の不満を聞いてガス抜きするのが目的でした。組合があったおかげで何かが良くなったという話は聞きません。それはともかく、日本のIT会社はどうでしょうか。製造業は歴史的に組合の強い業種です。でもソフトを中心とするIT会社に組合はありますか。専門性の高い仕事をする人に組合は必要ですか。日本は簡単に会社を移れないので、必要かもしれませんね。簡単に会社を移れないと新しい会社が育たないので、これは社会的損失です。過労死も防げません。これらは年功序列と終身雇用制度が持つ欠点です。ビジネスが簡単に国境を超える現代において、世界的規模で組織しない限り労働組合はもはや過去の遺物だとマサは思います。