2010年5月30日日曜日

経済と政治の中心

東京は経済の中心であると同時に政治の中心でもあります。これとは対照的に、アメリカの多くの州では政治の中心と経済の中心は意図的に分けられています。たとえばカリフォルニア州の政治の中心はサクラメントであり、経済の中心はロスアンゼルスやサンフランシスコです。おとなりネバダ州では政治の中心がカーソンシティ、経済の中心はラスベガスです。オレゴン州の政治の中心はセーラム、経済の中心はポートランドです。政治の中心には州議会があり、州政府の建物が軒を連ねています。サクラメントには、州知事であるシュワルツネッガーが住んでいます。アメリカは国土が広いこともあり、郵便や電話を使って仕事するのが当たり前です。パスポートにしても、最寄の大きな郵便局に行って申請します。本人確認はそこでするので、あとは出来上がったパスポートが郵便で送られてきます。いちいちサクラメントやサンフランシスコに行く必要はありません。ほとんどの公的手続きは電話と郵便、さらにインターネットで可能です。たとえば自動車の毎年の登録料は、クレジットカードを使いインターネットで払えます。ビジネスを遠距離でやる仕組みが発達しているので、政治の中心と経済の中心を分けることができます。その結果人口の集中を防いで住みよい環境を維持することができます。政治の中心が、あえて経済の中心から離れた土地に移る傾向があります。日本は平地が少ないため東京に政治と経済の中心を置いています。そのため東京の住宅環境は悪化する一方です。遠距離でビジネスをする仕組みが整備されていないため、経済活動は東京にいるほうが格段に便利です。遠距離でビジネスをする場合、本人確認が難しくなります。特に印鑑は真似されやすいので、日本での本人確認は一段と難しくなります。政治と経済の中心を分離することが日本で可能かどうかわかりません。でも日本のなかに複数の経済の中心をもつことは必要です。東京だけが栄えて他の都市がすべて衰退するようなことになれば、東京には全人口の約1割しかいませんから、残りの9割はどうなるのでしょう。東京が日本という国の政治の中心であることはいいとしても、唯一の経済の中心であってはいけません。例えば地方分散のために道州制が提案されています。政治と経済が同じ場所にいなくても社会が回る仕組みが日本にも必要です。ネット販売と宅配のおかげで、店舗を持たない事業主でも日本全国を相手に商売ができるようになりました。手軽な本人確認ができれば、大部分の公的手続きはネットで可能です。そこまで行かなくても、電話や郵便でビジネスを回すことができれば交通費と時間の大きな節約になります。ここには日本特有の商習慣が関係してきますので、稿を改めて話題にします。

2010年5月23日日曜日

車の免許

日本では、車の運転免許を取るのに普通は民間の教習所に行きます。そこでお金を払って運転を習い学科試験に受かって仮免許をもらうと、路上での練習を経て公安委員会が運営する試験場で最終試験を受けます。マサが日本にいた20数年前は、免許を取るのに年齢万円ぐらいかかると言われてました。時間がある大学生向けに合宿スタイルの教習所もあって、最短で20日ぐらいで取れるという話でした。アメリカは16歳から一般免許が取れます。大きな市には車にかかわる州政府の事務所があって、DMVと呼ばれています。そこで学科の試験と路上の試験をします。民間の教習所はありますが、車の操作は各自自分の親の車を使って練習してね、という建前なので学科の勉強をする部屋があるだけで、日本のように構内で車を走らせる場所はありません。大きな会社の青空駐車場はいい練習場所なので、マサは息子をそこにつれて行って最初の車の練習をさせました。車はオートマですから、基本的な動かし方は1時間もあれば身につきます。学科の試験に通ればすぐ仮免許がもらえますので、その後の練習はいきなり路上です。最初は家の周りをゆっくり走ります。夏休みには、高校生が運転し隣に顔を引きつらせた父親が乗った車が、よく住宅街を走っています。一時停止、左右確認、後進、Uターンなど実際の路上試験で試されるテクニックを自分の車で練習させます。練習用の車でないので、ブレーキは運転席にしかありません。助手席にいるマサは自分で止まるすべがないのでメチャ怖いです。最初だけお金を払って個人教習を受けさせましたが、さすがにプロの車には助手席にもブレーキがあります。大体10時間ぐらい路上を経験すると試験を受けられます。試験に使う車は自分の親の車です。インターネットで試験の予約を取り、当日DMVに行くと自分の車に試験官が乗り込んで1時間の試験をします。学科の試験と路上の試験に数十ドル、個人教習にやはり数十ドル、合わせても1万円そこそこで免許が取れます。道が広いし車は学校に行くにも必要なので、ほとんどのアメリカ人は高校生のうちに免許を取ります。ただし若者は事故も多いので、最初の1年間は大人が同乗しないかぎり家族以外の人(友人など)を乗せることは法律で禁止されています。また16歳の自動車保険料は大人の倍かかります。それでも高校や友人宅への送り迎えが不要になるので、親としては本人が望む限り免許を取らせる方向です。

2010年5月7日金曜日

セルフガソリン

日本でもセルフのガソリンスタンドが始まりました。最近のニュースによると、まちがえてガソリン車に軽油を入れてしまう人が後を絶たないそうです。軽自動車だから軽油だと思っていた、というのは笑えます。しかし長年セルフのスタンドがあるアメリカではどうでしょう。実は入れ間違いを防ぐために、軽油のノズルはガソリンのものより太くなっていて、ガソリン車の給油口には入らないようになっています。つまりコロンブスの卵のような簡単な仕組みで、軽油をガソリン車に入れてしまうことを防いでいます。トラックなど軽油で走る車の持ち主はプロが多いですから、軽油の車に間違えてガソリンを入れてしまうのは稀なのでしょう。日本でもガソリン車とディーゼル車で給油口の大きさを変えればいいだけの話ですから、業界が消費者の利便のために率先して規格を変えて欲しいですね。アメリカに輸出する日本車はすでにそうなっています。誤りを防ぐ仕組みの事をファイルセーフといいます。人間は間違える動物ですから、こうしたファイルセーフは必要です。とくにガソリンスタンドではガソリンと軽油を並べて売っていますから、セルフに不慣れだと間違えてもおかしくありません。