2017年12月17日日曜日

国会と喫煙

日本の国会は喫煙自由だそうで、どうりで日本で公共の場での禁煙が進まないワケだと納得しました。国会議員自身がタバコ好きである以上、禁煙の議論が進まないのも分かります。まず国会を禁煙にする所から始めないとダメです。タバコが煙害を他人に及ぼす公害である以上、法律で規制すべきですし日本はその点でアメリカに遅れています。州によって多少違うものの、公共の場での禁煙はアメリカだと普通になりつつあります。それは喫煙者が少数派になったからで、タバコの税金を思い切って上げた結果です。タバコは健康を害し火事の元にもなり、税収以上の損失を日本に与えています。タバコが原因で病気になり健康保険が圧迫されるなら、高い税金でタバコの消費を減らし健康保険の赤字を防げば一石二鳥でしょう。タバコ農家には転作奨励金を3年出して、人の健康に役立つ作物に切り替えてもらえば良いかと思います。

2017年12月1日金曜日

少子高齢化は不可避

「少子高齢化を克服する」ためには何々が必要という意見をよく聞きます。でも少子高齢化は止まりません。高齢化は人が長生きする事と同じですから、時間が経てば経つほど高齢者の数が増えます。また子供を産む女性の数が減っているうえ、ひとりの女性が生む子供の数が平均1・2人ですから、時間と共に子供の数も減ります。このさき人口の半分が高齢者となる日本で、一体誰が働いて税金を納めてくれるのか、年金を稼いでくれるのかという問題です。「少子高齢化を克服する」という命題は立派です。でも現実には「少子高齢化」は克服できません。あたかも「少子高齢化」を防げるような議論は時間の無駄です。

2017年11月18日土曜日

日本がなくなる

林修先生おすすめの「未来の年表」という本を読んだ事がありますか。副題にあるように「人口減少日本でこれから起きること」が年表の形で書いてあります。人口の推移は移民に門戸を開かない限りほぼ予測できるので、この本にある事はまず間違いなく起きるでしょう。筆者にとって衝撃的だったのは、日本の人口減少はもはや阻止できないという事実です。これは子供を産む女性の減少が原因です。ひとりの女性が生む子供の数が平均で1・2人と少ない上、女性の数そのものが減っています。この結果指数関数的に日本の人口が減っていくのです。東京でオリンピックが行われる2020年ですでに女性の過半数が50歳以上になります。2025年には東京都の人口も減り始めます。いずれ日本人がみな死に絶えて日本人がゼロになるまでの時間すら分かっています。もちろんその前に日本は外国に乗っ取られるでしょうけど、今の若者はこうした現状をどれだけ分かっているでしょうか。人口の減少は労働者と消費者の減少につながり、国力を減らします。いくら自衛隊があっても、入隊する若者がいなければ日本は守れません。残り少ない老人ではなく、未来がある若者が考えなければいけない問題です。

2017年11月10日金曜日

博物館にもっと英語を

日本滞在中に上野の科学博物館に行ってきました。特別展のアンデス文明展は及第点、常設展は落第でした。いえ展示内容ではなく説明に英語があるかどうかという話です。上野の博物館なら外国人が来るのが当たり前、それなのに展示の説明が日本語のみで、あれでは外国人はがっかりです。今の科学博物館は旧館で日本の地質や動物を、新館でそれ以外の展示をしています。日本の地質や動物について知りたい外国人が旧館に来ても、説明が日本語だけだと何の助けにもなりません。展示の説明を英語でも表示すると海外からのお客が増えるだけでなく、日本人にとって英語の勉強にもなります。上野の博物館は日本を代表する知識の館です。ぜひ英語の説明を完備して下さい。

2017年11月6日月曜日

9月の実質賃金0.1%減

日経によると日本の実質賃金は4カ月連続でマイナス[^1]だそうです。巷では景気が良いような話も聞く一方で、労働者の実質賃金は下がる傾向があります。これには非正規労働者の増加という面と格差の拡大という面があります。非正規労働者の増加が源で、格差の拡大がその結果です。日銀が大量にお札を刷って国債を買ったため、政府の思惑通り円安になりました。円安は輸出額の増加と輸入物価の上昇をもたらし、一時的に「景気が良い」ような錯覚を日本国民に与える事に成功しています。しかし実質賃金が上がらなければ労働者の生活は楽になりません。日本で株高の恩恵を受けているのは一部の投資家のみで、大部分の国民には大量の国債がツケとして残されています。日本のような急激に人口が減少する国では「いかに上手に縮む」かが問われるのに、既存の経済学にはその答えがありません。それは「人口が時間と共に増える」というのが経済学の前提になっているからです。もし日本人が経済学でノーベル賞を取りたければ、世にも稀な人口減少下の経済をきっちり研究すると良いでしょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23178360X01C17A1EAF000/

2017年10月21日土曜日

日食と天気

皆既日食の時には気温が摂氏で10度ぐらい下がります。1時間ぐらいかけて太陽が月に隠れていくと、肉眼では分からないものの肌に受ける太陽のエネルギーは着実に減っていきます。つまり太陽の光を浴びても暖かく感じなくなっていくのです。これは他にはない体験です。夏の日差しが冬の日差しになるような、明るいのに暖かくない光に変わる現象です。半袖では寒くて仕方ないので、長袖の上着を着ました。それとともに風が吹きます。気温が下がるという事は気圧が下がるという事ですから、周りの暖かい場所から空気が入ってきます。皆既日食ではもちろんそこが一時的に夜になり、真っ黒な太陽が見えるという事は知っていました。でもこれほど気温が下がって太陽の有り難みを感じるとは思いませんでした。何も知らない昔の人はさぞかし日食が怖かったろうと思います。

2017年10月14日土曜日

2大政党制?

アメリカには共和党と民主党という2大政党があり、一般には2大政党制の国となっています。なぜふたつの大政党があるかと言えば、そこには国を2分する課題があるからです。共和党は「小さな政府」と「自助努力」を目標とし、その反対に民主党は「大きな政府」と「社会福祉」を目標としています。「小さな政府」とは税金が少ないし社会福祉も少ない、いわば「究極の資本主義」を表しています。一方「大きな政府」では税金が多いけど社会福祉も多いという「社会主義的資本主義」を狙っています。アメリカはこの「小さな政府」と「大きな政府」の間を常に揺れ動いています。ひるがえって日本の現状はどうでしょう。日本には国を2分する課題があるでしょうか。国民全員が「少ない税金」と「手厚い福祉」を求めていませんか。サウジアラビアのようなオイル・マネーのある国ならいざしらず、日本には無理な相談です。その結果日本の選挙では憲法改正とか原発問題が取り上げられています。でもそれは国を2分するような課題ではありません。憲法改正しなくたって自衛隊は存在するし、原発だってこれから何年も稼働し続けます。すべての政党が「歯止めのない財政赤字」という大問題に背を向ける限り、将来の日本は一部のお金持ちと貧乏人だらけになってしまいます。

2017年10月7日土曜日

医者のシステム

アメリカの医者は予約制がほとんどで、急患の場合は平日の昼間ならクリニックの救急外来に行き、夜間や休日だと病院の緊急室に行きます。子供の発熱程度だとまず担当の看護師に電話で相談して、医者に診せた方が良いとなると急ぎの予約を入れるケースもあります。予約はすぐには取れない場合があり、そのかわり処方箋なしで買える薬は種類も多く安いので、医療費の高いアメリカで安易に医者にかかる人はいません。病院は看護師とボランティアが中心で、医者は必要に応じて病院にやってきます。病院は主に手術する所であり入院する所です。クリニックは検査をしたり診断する所で、病院とは棲み分けができています。個人で開業している医者は、近くの病院やクリニックと契約を結んで、自分のオフィスでは不可能な検査を外注します。X線CTやMRIなどの高価な検査機器は病院やクリニックにあるので、開業医が所有する必要はありません。

2017年10月5日木曜日

また過労死?

アメリカで働いていて良かったと思えるものは、ここには過労死がないという事です。日本のような悲壮感を持って働いている人はいません。人を雇うのもクビにするのも簡単にできるアメリカでは、労働者から見ればクビになってもすぐまた次の仕事が見つかるという話です。過労死が起きるほどの長時間労働をさせると、たいていのアメリカ人労働者は他の会社に移ってしまいます。もちろん若者は暇なので、朝昼晩の食事をタダで提供すれば毎日12時間ぐらい働いてくれます。でも家族持ちはそうはいきません。子供の送り迎えや育児などで夜は誰も会社で働きません。家からインターネットで働く人もせいぜい夜の8時でいなくなります。それに長時間労働だと仕事も現状維持がせいぜいで、画期的なアイデアは浮かびません。日本の生産性が上がらないのは、経営者の頭が硬くて長時間労働の欠点が見えていないからだと筆者は思います。

2017年9月20日水曜日

さらに国債を増やす日本

日銀が2%の物価上昇を諦める中で、今度は政府が2020年度のプライマリー・バランスという目標を引っ込めました。つまり国債を増やせるだけ増やして子供や孫への借金を増やしたあげく、消費税増税によって増える税収を国債を減らす事に使うのではなく、選挙で反対の少ない「教育費の無料化」に使うという話です。今まで日本はどちらかと言うと「アリとキリギリス」のアリの生き方をする国だと思っていたのに、こうなるとキリギリスの生き方をする国になったかとガッカリです。人口が増えるアメリカと同じ事をやっても、人口が減る日本はアメリカのような経済成長はできません。増税と支出削減を同時にやって累積赤字を減らさないと、日本の将来に希望を持てない若者が増えるだけです。借金まみれの日本を子孫に残すのは、今の大人が無責任だからです。

2017年9月9日土曜日

第一世代の移民

アメリカの強みは移民のハングリーさにあります。アメリカに来てすぐの移民は第一世代の移民と呼ばれ、なんらかの理由があって祖国からアメリカに来た人たちです。戦争、迫害、弾圧、貧困など命の危険を感じて祖国を去る人は昔も今も変わりません。こうした人たちは言葉に不自由しながらも、アメリカで自立するために死ぬ気でがんばります。第一世代の移民に独特のこのやる気は貴重です。彼らが経済的に成功して子供を大学にやると、このやる気はそこで失われます。第二世代はもう言葉にも不自由せず自己認識も十分にアメリカ人なので、移民特有のハングリーさはもうありません。つまり移民による経済の活性化は一世代しか続かないので、アメリカは常にある程度の移民を必要としています。

2017年9月1日金曜日

日食の混雑から学んだ事

オレゴンの日食旅行には実はおまけが付きました。帰りの高速道路がめちゃくちゃ混んだため、なんと予定の飛行機に乗り遅れてしまったのです。そのためポートランドにさらに一泊して、ロス経由で6時間かけて帰る始末。これだけ道が混むとグーグル、アップルやウェイズの地図アプリはまったく役に立ちません。高速道路で2時間かかるとアプリは言うのに、渋滞のため6時間かけてもまだ飛行場には着きませんでした。明らかに過去のデータに頼るAIの限界です。またオレゴン州にとっても史上始めての混雑だったと思います。ただいつも我々が信用して使っている地図アプリなので、人間の方が自分の頭で判断する事を止めていました。ラジオで言っている混雑状況とアプリが言っている予想到着時刻が矛盾した場合、ラジオで言っている事を信じるべきなのです。いつもAIに頼るのではなく、いつAIを使うのを止めるかを考えるのも人間の責任です。今回は自分の判断力がアプリのせいでかなり衰退している事に気が付いた旅行でした。こうした地図アプリは普段は便利でも、天変地異や皆既日食のような大きな事件が起きると頼りにならないという事がよく分かりました。

2017年8月23日水曜日

皆既日食2017

カリフォルニアのすぐ北にあるオレゴン州で皆既日食が観られるとあって、一年前から宿を予約して週末にオレゴンに行ってきました。筆者にとって生まれて始めての皆既日食は本当に素晴らしい体験となりました。ただ残念なことにカメラではそのすべてをお伝えすることができません。プロの撮った写真は確かに肉眼で観た太陽に近いけれど、やっぱり違います。黒い太陽の周りに広がる白い糸のようなコロナを写真では表現できません。以下の短いビデオは筆者が携帯で撮ったものです。太陽は露出過多になり、実物よりも明るく写ってます。目の感度が昼間のまま周りだけ夜になるので、実際にはもっと暗い空に太陽が浮かんで見えます。双眼鏡で赤いプロミネンスもしっかり見えました。人間の目は見える明るさの範囲がカメラより広いという事ですね。1分以内に昼から夜に変わります。全方向に夕焼けが出現する不思議な景色です。

https://youtu.be/_PMEviqGOqA

2017年8月15日火曜日

アメリカの宅配事情

アメリカの場合、宅配業者は届け先が不在ならどんどん玄関先に配達した箱を置いていきます。よほど高価なものでないかぎり受け取りのサインは要らないので、再配達は要りません。また郵便の場合は、不在だと箱のかわりにピンクの紙を置いて受取人に郵便局まで取りに来させるので、やはり再配達は要りません。このため郵便局は土曜日も開いています。さらにアパートやマンションだと宅配ボックスがあるので、ある程度の大きさなら宅配ボックスに入ります。自分の勤め先の会社のサービスとして、会社に配達してもらって会社で受け取るという事もできます。再配達が必要になるのはパソコンなど高価な物を注文した時で、この場合はFedexに電話して受け取りの日時を調整します。ふだんの通販で再配達が必要になる場合はありません。

2017年8月12日土曜日

日銀の時間稼ぎ

日銀が2%物価目標の達成時期をまた1年遅らせ、2019年度ごろと発表しました。オオカミ少年の物語を思い出すまでもなく、もう世間の関心は日銀の物価目標から離れています。基本的に日銀のやっている事は時間稼ぎです。お札を刷って銀行から国債を買う事で日本に出回る円の量を増やし、インフレ期待を煽りました。その一方で昨年からは国債の10年物の利率をゼロパーセントに誘導するという方法で、国債の利払いを抑制しています。国債発行残高は着実に増えているので、政府の赤字財政を日銀が間接的に支えている構図です。国債の利率がゼロだと銀行の預金利率もほぼゼロとなり、それにつられて物価も上がりません。つまり日銀はあえて矛盾した施策をやっているわけで、それは政府に時間を与えるためです。この間に消費税を上げて社会保障費を減らす事ができれば日本の成長期待が上向きます。ところが2年ごとに選挙がある日本では、落選が怖くて不人気な政策を実行できません。高齢化による人手不足を補うため賃金の上昇が続く一方、コストの増大に耐えられない企業はAIやロボットを使って雇う人の数を減らそうとします。こうして神風が吹くのを待っている間にも、日本の基礎体力は確実に落ちていきます。

2017年8月5日土曜日

やる気は最低の日本社員

読売新聞の記事[^1]にあるように、日本の会社員のやる気は世界の最低レベルです。それでも日本のGNPはそれなりに高いので、やる気とGNPに直接の関係はなさそうです。筆者はむしろこのやる気の低さが生産性の低さにつながり、それが日本の労働時間の長さを生んでいるのかなと思います。日本はご存じのように就職ではなく就社なので、本人の希望と実際の仕事が一致する事は稀です。つまりほとんどの会社員はお金のために働いているので、仕事へのやる気が低いのは当然とも言えます。アメリカの真似をしていれば食べられた時代が終わり、お手本がない時代にやる気の低い社員ばかりでは会社は傾きます。過去の成功体験を単に模倣するだけでは売り上げは伸びません。日本の雇用慣習はもはや賞味期限切れなのです。時代の変化に対応するには、終身雇用を止めて人が転職しやすい雇用体系にする必要があります。手切れ金による解雇の容認と、年齢(生年月日)や性別、家族構成など本人の仕事の能力以外での差別を禁止する法律が求められています。

^1: http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170714-OYT8T50014.html?page_no=1

2017年7月31日月曜日

富裕層のお金

九州をめぐる列車の旅が100万円とか、腕時計ひとつで200万円とかいう話を聞くと、ホントに日本にはお金が余っている富裕層がいるんだなと感じます。そうした富裕層がお金を使うのは日本の経済には良いことなので、高額列車の旅や実用を超えた値段の腕時計があってもかまいません。ただもしあなたがそうした富裕層のひとりで、使い道のないお金を持て余しているのなら、ぜひあなたのお名前で社会貢献にお金を使ってみてはいかがでしょう。お金が使えるのは生きている間だけです。お金に生き金と死に金があると言ったのは龍馬伝の坂本龍馬です。同じ100万円や200万円でも、人に自慢するために使うのではなく社会に役立つために使えば生き金になります。自分へのご褒美というなら何も言いません。でもそのお金の使い方、生き金になっていますか。

2017年7月22日土曜日

若手の提言

中長期的な日本の社会の在り方に関する次官・若手プロジェクトの提言「不安な個人、立ちすくむ国家」という報告[^1]が経済産業省のサイトにあります。少子高齢化の荒波をもろに受ける世代の提言として、これはとても興味深いものです。政治から中立であろうと努力した若手の苦労も忍ばれます。若者に活躍の場がないというなら、若者の投票率の低さにも言及して欲しかったのですが、それはともかく報告の6ページにある『かつて、人生には目指すべきモデルがあり、 自然と人生設計ができていた。今は、何をやったら「合格」「100点」か分からない中で、 人生100年、自分の生き方を自分で決断しなければならない。』という指摘には苦笑してしまいました。いかにも日本人らしい発想です。一体どんなモデルが目指すべき人生だったのでしょう。60年近く生きてきた筆者は今までそうしたモデルを見たことがありません。もちろんこの報告の骨子はこの部分ではないので、ツッコミはここまでにします。彼らの提言は「年金の支給は75歳にからにして、老人にかかるお金を減らそう」という事であり、少子化を止められない以上、「前期高齢者には働いてもっと税金を納めてもらい、現役世代にもっとお金を回そう」という事です。筆者はこれに異論はありません。そしてその実現には大きな政治力が必要な事も確かです。問題の指摘と解決策の半分はこの報告にあります。残りの半分はその解決策を実現するために必要な政治力をどう手に入れるかです。そうした政治力を少数派の若者に持たせるには、1歳以上のすべての国民に選挙権を与え、その保護者に代理で選挙権を行使させるのが良いと筆者は考えます。ツケを支払う世代にも選挙権を持たせるのは、今のシルバー民主主義を是正する良い方法だと思います。

^1: http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdf

2017年7月15日土曜日

年金は誰が稼ぐのか

日本の会社では新卒を面接して誰を選ぶかを決める一つの基準として、「この人は自分の厚生年金を稼いでくれるのか?」という見方をします。これはなにも厚生年金に限りません。世代間の仕送り制度に基づく国民年金でも同じです。日本のように子持ちに不利な社会では少子化が進み、将来の年金の払い手がいなくなります。保育士の給料を低いままに抑えたり、子供のいる女性を職場から排除するという事を続けた結果が日本の少子化です。そこで世のオジサンたちに質問します。あなたが年老いた時、誰があなたの年金を稼いでくれるのでしょう?

2017年7月8日土曜日

歯科医療の違い

アメリカの歯科医療は予防に力点を置いています。歯周病予防のため半年に一度のクリーニング(歯垢除去)には保険が使えます。加入しているデンタル保険の種類によっては、無料でクリーニングできる事もあります。虫歯を治療する場合、かぶせる物(クラウン)は歯と同じ色のセラミックを使います。日本でよく目にする銀歯はニッケルを含むので、金属アレルギーを避けるため使いません。クラウンの内側は柔らかい金を使い、歯の土台になじむように作ります。歯科治療が日本より高度で高価なため、アメリカ人は子供のころから虫歯にならないよう気を付けていて、毎食後にフロスしたり歯を磨く人は珍しくありません。子供の歯にフッ素を塗るのも保険が使えますし、歯並びが悪いと虫歯になりやすいので、歯の矯正にも年間千ドルまで保険が使えます。

2017年7月1日土曜日

格差拡大のもうひとつの理由

同じぐらいの年収の人の結婚がアメリカで増えています。女性の教育レベルが上がり、収入の高い仕事につく人が増えると、教育レベルや収入が同じ人同士が結婚する事には明らかに利点があります。まずどちらかが仕事を失っても、経済的にはすぐに困る事はありません。健康保険も勤め先を通じてお互いに配偶者として加入しているので、アメリカで失業した時に一番問題になる「健康保険がない」という事は避けられます。また教育レベルが同じなら話も合うし、お互いの知り合いが集まっても話題に困るという事がありません。つまり離婚の可能性がぐっと減るという事です。ところがこの結果カップルの格差が拡大するという新たな問題が起きています。大卒と高卒という組み合わせが減り、大卒と大卒、高卒と高卒というカップルが増えるからです。高卒のカップルの子供が大学に行くのは経済的にとても難しいのがアメリカの現実です。

2017年6月25日日曜日

日本問題の解決策

前回は、増大する累積財政赤字、制度的に維持できない年金、止まらない少子化の三つが日本問題だと定義しました。今回はその解決策を考えます。政策的に可能かどうかはひとまず置いて、まず選挙制度を変えます。1歳以上18歳未満の子供にも選挙権を与え、その保護者に代理で投票してもらいます。財政赤字や税による年金補填問題は子供や孫のお金を横取りする行為なので、子供や孫にも意見表明をしてもらうためです。次に年間10兆円もの税金を国民年金に回す事をやめ、そのお金を子育てと教育に使います。国民年金の支払い額がこれで今の半分になるので、それで足りない人は生活保護で救います。増大する生活保護費用は、防衛費を削ることで捻出します。財政赤字を減らすには支出を減らし、収入を増やすしか手がありません。毎年5%ずつ国家予算を減らし、すべての支出項目を均等に5%ずつ減らします。これを10年続けて予算額をほぼ半減します。一方累積赤字を減らすため消費税を段階的に増やして25%まで上げます。保育費用と高校までの教育費を無料化するのと引き換えに、国民に消費税増税を受け入れてもらいます。所得と資産合計の少ない家庭の優秀な子供には、税金を財源とする給付型奨学金を出して大学費用を払います。さらに老人の定義を75歳以上とし、年金の支出開始年齢も75歳に引き上げます。人手不足の日本では60歳以上の人にも広く働いてもらう必要があります。人生の経験者で知恵も体力もあるシニアには、新しい仕事を生み出すという大事な仕事が待っています。未来に希望がもてる国にするには、こうした施策が必要です。この結果財政赤字がなくなり、年金を支払い不能から守り、少子化を解消できれば日本問題は解決です。

2017年6月17日土曜日

日本問題とは

世界で最も速く高齢化と少子化が進む日本の問題は、日本に特有の問題なので他国の事例はあまり参考にならず、日本人自身が頭を使って解決しなければなりません。この日本問題とは、増大する累積財政赤字、制度的に維持できない年金、止まらない少子化の三つからできています。この問題が日本の若者に及ぼす影響は大きく、未来に希望を持てない日本人を増やしています。税収が足りず、国債を買ってくれる人もなく、行政は予算不足で停止し、「昔は良かった」とつぶやく老人だけの国になります。日本問題は世代間の問題でもあります。1000兆円を超える公的債務を作りだしたのは今の老人です。国民年金を通じて年間10兆円もの税金を食べているのも今の老人です。年金は保険であり、その保険料を納めているのは今の若者です。年金保険は積み立て預金とは違い、現役の労働者が今の老人に仕送りするという割賦方式を採っています。このため老人の寿命が延びて労働人口が少子化により減ると、こうした仕送りはできなくなります。年間10兆円もの税金で年金を補填するのは世代間の搾取に当たり、財政赤字と合わせて子供や孫の世代が使うはずのお金を横取りしています。「今さえ良ければいい、自分さえ良ければいい」という近視眼的な政策の結果がこれです。そうした政策を支持してきた今の老人と、投票しなかった若者に大きな責任があります。

2017年6月11日日曜日

二つの働き方

世の中には、アメリカ式の「仕事に人をつける」ジョブ型と日本式の「人に仕事をつける」メンバーシップ型の二つの働き方があります。その両方を経験した筆者は、ジョブ型の方が労使双方に有利だと考えます。以下その説明です。アメリカ式の「仕事に人をつける」ジョブ型は、プロ野球の世界と似ています。投手として採用されれば、まず投手として働きます。働く人はみな専門職についており、仕事の内容は就職する前に明らかになっています。投手なのに捕手として働くという事はありません。これに対して日本式の「人に仕事をつける」メンバーシップ型では、就職というより就社という形を取ります。働く人は一般職として採用され、辞令ひとつで仕事や働く場所が本人の意思とは無関係に変わります。ジョブ型では経験者に価値があり、メンバーシップ型では新人に価値があります。ジョブ型では担当する仕事がなくなれば手切れ金付き解雇です。メンバーシップ型では担当する仕事がなくなれば配置転換か追い出し部屋です。社会の変化に対応するには「仕事に人をつける」ジョブ型が有利です。日本のメンバーシップ型では解雇が事実上不可能なので、会社は常に余剰人員をかかえています。このため新しい仕事に経験者が必要でも、外から簡単に人を雇えません。一方その余剰人員も専門性が不十分なので身動きできず、会社の人件費だけが高止まりしています。この人件費削減のため正社員を減らしたのが日本の現状です。人材に流動性がなく社会の変化に対応できないのがメンバーシップ型の欠点です。その一方ジョブ型では専門性が問われるので、働く人は自分の専門性を磨くため常に自分への投資が必要です。

2017年6月1日木曜日

ブラック・ホール・レインボー

映画「インターステラー」には見事なブラック・ホールの映像が出てきます。2014年に映画館でこの映画を観た筆者は、ブラック・ホールの映像をとても美しいと思いつつもある種の違和感を感じていました。それから3年たってようやくこの違和感の正体が分かりました。それはブラック・ホールの周りに「虹」が見えないという点です。ブラック・ホールの周りに物が集まってぶつかり、熱と光を発生するのは理解できます。その発生した光は強い重力に逆らって飛ぶので、エネルギーを失うはずです。つまり事象の地平線近くから発した光は赤方偏位するばずで、その結果生じるはずのブラック・ホールを取り囲む虹が映画には出てきません。可視光が事象の地平線の近くから外に向けて飛ぶと、赤外線や電波の領域まで波長が伸びます。ちょうど事象の地平線上で発生する光は、その波長が無限大になる(エネルギーがゼロになる)ので検知できなくなります。これがブラック・ホールがブラックと呼ばれる理由です。あそこまで科学的な考証を重ねて美しい映像を作ったのに、円い虹を省略したのは演出のせいでしょうか。

2017年5月27日土曜日

限界集落とゴーストタウン

日本の限界集落のその次にある物がアメリカのゴースト・タウンです。アメリカの西部にあるゴースト・タウンは、金や銀を産出する鉱山の周りにできた町が鉱山の閉山にともなって廃れてしまい、最後には住民が他に引っ越してできる廃墟です。人がある場所に住むには理由があり、その理由がなくなるとゴースト・タウンができます。日本には居住の自由があるので、人は自分の住みたい所に住みます。その結果人が住みたがらない場所はゴースト・タウンとなります。人口が減る日本では今後ゴースト・タウンの発生を避けられません。でもゴースト・タウンは未来の観光資源にもなるので、限界集落は悪い事ばかりではありません。若者にとって魅力ある場所でなければ、限界集落は必ずゴースト・タウン化します。それは町のライフ・サイクルの一部であり、ごく自然な現象です。

2017年5月20日土曜日

税金の考え方

教育国債とか子供国債などの議論から分かるのは、そもそも税金はなぜ払うのかという根本が不明だという問題です。教育を投資とみなして国債で払えば、その分を税金から払わなくなるので政治家は喜びます。投資なら利益が入るはずで、それは教育の結果増えるであろう企業や個人の収入となるはずです。教育に1億円費やして、その結果いくら税金が増えるかは分かりません。それは税金の増加には他の要因もあるからです。ではそもそもなぜ公立教育があるかと言えば、まさにこの投資効果が計測できないからです。税金は投資でなかったり、あるいは投資効果が計れないものに使います。前者は警察や自衛隊、議会、そして行政の人件費に相当します。警察や自衛隊は利益を生みません。行政の人件費は利益どころか損失です。でも国民生活に必要な出費として税金で払います。後者の投資効果が計れないものは教育、地震対策、医療、生活保護などです。かけたお金に対していくら儲かったのか分からないけど、絶対にプラスになると思うから税金で払います。国債という債券でお金を集めるなら、リターンを得る手段とその金額を確定する必要があり、このため教育は国債には向きません。儲かる話なら民間にやらせるべきで、わざわざ新しい国債を作って国の借金を増やすのは愚かな行為です。赤字国債もリターンを得る手段とその金額が不明なので、政治家が苦し紛れに生み出した「禁じ手」にすぎません。日本の行政サービスは段階的に減らさざるを得ないのです。

2017年5月13日土曜日

シリコン・バレー・コミック・コン

サンノゼで第2回シリコン・バレー・コミック・コンを観てきました。これはまさにお祭りですね。観客もコスプレしている人の方が多いし、SF好きとかコミック好きという共通点があるので、見知らぬ人どうしでも仲良くやってます。むかしテレビや映画に出ていた俳優が写真撮影とかサインに応じているのが特徴で、スタートレックでデータ役をやってたBrent Spinerとか、ウーラ役のNichelle Nicholsなどを見かけました。場所柄NASAとSETIのブースもあり、火星に関するパネル・ディスカッションにはNASAの人に加えてAndy Weirも登場しました。彼はマット・デイモン主演で映画にもなったThe Martianという小説の作者です。秋葉原のラジオ会館にあるようなフィギュアを売っている店や、映画のワン・シーンを手書きで描いた絵などを売っています。これは著作権料をちゃんと払っているのかな。一日券で$50と安くはないものの、筆者はその独特な雰囲気を堪能してきました。

2017年5月1日月曜日

人工知能と仮説

今の人工知能が得意なのは帰納法です。つまり数多くの過去の事例を覚えて、目の前の問題に合う最良の事例を探しだし、それを目下の問題に適用します。有名なビッグ・データとディープ・ラーニングの組み合わせは、帰納法に最適の手法です。ところが人間は帰納法だけではなく演繹法も使います。事例からある種の法則を見いだしたら、その法則から仮の事例を組み立てます。言い換えると人間は仮説を立ててこれを検証します。でも今の人工知能は仮説を立てる事ができないので、例えばゲームをする人工知能は仮説を立てるかわりに無作為にありとあらゆる手を試します。ゲームという閉じた世界なら手当たり次第に可能な手を試しても害はないでしょう。でも人間の世界でこの方法を行うのは膨大なコストがかかるのでまず無理です。仮説を立てられない人工知能は過去の知識を超える事ができず、新しい問題の解決には役立ちません。仮説を立てられる人間はこの点で(今のところ)人工知能より優れています。

2017年4月22日土曜日

人手不足

少子高齢化の結果日本では人手不足が進行しています。これから労働人口は減る一方なので、まず労働条件の悪い3K仕事から人がいなくなります。それは老人介護やトラックによる物流といった仕事です。飲食店のアルバイトも人が足りなくて賃金を上げています。同じ事はアメリカでも起きており、シリコン・バレーでは多くの飲食店でNow Hiringという張り紙を見かけます。ただしここの場合その原因は人口減少ではなく、収入格差が広がりすぎたというものです。シリコン・バレーの生活費は高いので、飲食店のアルバイトで食べていける人は多くありません。先日マクドナルドで「14歳からアルバイトできます」という張り紙を見かけた時はびっくりしました。普通は高校生を雇うのに、それを中学生にまで広げるなんて驚きです。日本でも人手不足を外国人労働者で補おうとする動きは止まりません。3K仕事に安価な外国人労働者をあてるとアメリカのような超格差社会になり、日本はより大きな問題を抱え込むことになります。

2017年4月11日火曜日

東芝とテレビ

2015年12月26日に「テレビよりロボット」という記事の中で、筆者は「日本ではテレビよりも介護ロボットに投資先を変えた方が良い」という指摘をしました。テレビは汎用部品を買って組み立てるだけで他社と遜色ない製品ができてしまうので、製造コストの高い日本のメーカーには勝ち目がないからです。それより他社に真似できない製品としてロボットに力を入れるべきで、少子高齢化の進む日本では労働力としてのロボットが有望です。特に介護の分野は労働条件が悪いので、もっと機械化が必要です。原発投資で失敗した東芝が今年になってようやくテレビ事業を手放す[^1]ことに決めました。筆者の過去の記事を見るまでもなく、テレビが儲からない事業となったことは数年前から明らかだったのに、ダメになる企業には特徴的な「意思決定の遅さ」があります。

^1: http://www.asahi.com/articles/ASK4961B8K49ULFA002.html

2017年4月8日土曜日

テレワーク

日本でもよく耳にするテレワーク、つまり会社に出勤せずにインターネットなどを使って家から働く方法が今回のお題です。マサもHP社に勤めた1990年ごろから必要に応じて家から働いていました。ソフトウェア・エンジニアだったので、電話線にモデムをつないで2400bpsでメールのチェックとかしてました。まだワークステーションが無かったので、会社のコンピュータにつながないと仕事ができないという時代でした。今の会社でも事情は似たようなものです。モデムの代わりにインターネットとVPNになったので、回線スピードが桁違いに速くなっただけです。ターミナル・プログラムを使ってコマンドを打ち込むという作業に変わりはありません。家から働くと通勤と子育てには楽です。でも顔を突き合わせての話しができないので、テレワークは週に一度でいいと思いました。米Yahooではテレワークが禁止されたこともあります。アメリカの場合、従業員が遠くに住んでいて会社に通勤できない場合もあるので、そうした人はほぼ毎日テレワークです。アメリカは広いので毎日テレワークで働く人は珍しくありません。それでも月に一度くらいは会社に来て直に話しをするという作業が必要です。同じ部屋で白板に絵を描いて議論するというのはテレワークでは実現できません。

2017年4月1日土曜日

ふるさと納税の愚

日本の「ふるさと納税」という仕組みが壁にぶつかっています。自分の住む自治体以外に納税する時、いくら納税したかを納税先の自治体から自分の住む自治体に通知するきまりがあります。それはこの納税額を住民税から控除できるからです。このとき納税額から、お礼の品の地元での値段を差し引いた額を通知する法律にすれば良かったのにと筆者は思います。いかにも日本らしい「返礼品」の値段を巡って、くだらない駆け引きが続いています。合理的な法律を作らないから、返礼品の値段をめぐって自治体が争うようなアホな事をやっています。いっそ返礼品を法律で禁止したらどうですか。

2017年3月24日金曜日

就活生へ

先日日本の大学生と話したとき、どの会社に入るのが良いかという質問をもらいました。その時は時間がなくて答えられなかったので、ここに筆者の答えを書きます。これはあくまでも個人的意見なので、読者は自己責任で読んでください。会社が株式公開していれば毎年の売り上げを公表しているので、その売り上げのグラフを見て指数関数的に上がっている会社は狙い目です。もちろんこの場合毎年の売り上げを会社が誤魔化さずに公表しているという条件があります。こうした売り上げはほぼS字カーブを描くので、その前半にいる会社ということですね。また企業の寿命はおおむね30年です。30年たつと創業当時の元気な人がいなくなるので、会社が保守的になって売り上げが伸びなくなります。なので創業30年ぐらいの会社は避けた方がいいでしょう。今がピークの会社に入ると、そうした会社は有名なので親は喜ぶかもしれないけど、後が大変です。今がピークかどうかは毎年の売り上げをみれば分かります。売り上げのグラフでS字カーブのどこにいるのかを判断します。伸びている会社では自分から新しい仕事を提案して実行できます。逆にピークを過ぎた会社だと、旧態依然の仕事をより少ない人数でやるという後ろ向きの仕事になりがちです。株式公開していない会社は会社四季報で売り上げを調べるとか、目星を付けておいて面接時に過去5年間の売り上げの推移を訊いてみるという方法があります。売り上げは企業秘密だから教えられないという会社は入らない方がいいでしょう。公開していなくても業界の人なら競合する会社の売り上げぐらい知っています。売り上げは公然の秘密なので面接する人に隠していても無意味です。スタートアップのようにまだ売り上げがない会社もあります。筆者は社会経験の少ない新卒にスタートアップは勧めません。会社はお金をもらいながら仕事のトレーニングを受ける場所でもあるので、新卒は創業10年ぐらいの会社でまず働きながら仕事のトレーニングを受けるのがベストです。一方30年以上続いている会社は安定しているので、仕事の面白さより安定性を求めるならそうした会社が良いでしょう。そこはお好みで。

2017年3月18日土曜日

ポットラック・パーティー

よく引っ越しするアメリカ人は、人付き合いの方法が日本人とは違います。誰とでもすぐ打ち解けようとするし、逆に人とべったり仲良くなる事は避けようとします。キリスト教信者なら自分の宗派の教会を探して、そこに顔を出すことで知人を増やします。学齢の子供がいれば、子供の親を自宅に招いてパーティーをする事で友人を増やします。自宅でパーティーを開くときは、ポットラック・パーティーと呼ぶ料理持ち寄り方法を使います。パーティーの場所を提供する人がテーブルや椅子、食器や飲み物を用意します。参加者はパーティーの人数を聞いて、その人数で食べられる分量の料理を一品作るか、あるいは買って持っていきます。今はメールで事前に料理の調整ができるので、サラダ、肉、デザートなど参加者どうしで持参する料理を決めます。この方法だとパーティーの主催者に負担が集中しないので、安価で気楽にパーティーを開けます。このパーティーの目的は情報交換なので、「おもてなし」や「ごちそう」は必要ありません。自宅がある程度広ければ、英語でいうpotluck partyは日本でも可能です。

2017年3月9日木曜日

貴方はインターン?

スタンフォード大学病院は近いせいもあって時々お世話になります。でもここは大学病院なので最初に会う先生はインターンの場合がほとんどです。やけに若い先生だなと思いつつ英語で一生懸命自分の病状を説明しても、その先生がいったん引っ込むと、10分ぐらいして今度はもっと経験のありそうな指導教授っぽい先生と一緒に戻ってくるので、今度はこの指導教授にさっきの病状の説明を繰り返さなければなりません。最近はこちらも最初に会う先生にはあまり期待しなくなったので、最初の説明はこっちも英語の練習だくらいに思って、次の先生にしっかり病状を伝えるようにしています。手術も普通は見習いの先生(レジデント)がやって、指導教授は隣にいて見習いが失敗しそうになったら手を出します。手術の説明の時に誰が手術するのかと訊けば、「自分が指導する誰々」がやるとちゃんと教えてくれます。もし診断や手術の練習台になるのがいやなら大学病院に行ってはいけません。

2017年3月1日水曜日

子育ては残業月300時間

子育ては毎日休みなしで16時間以上続くので、単純計算でも16時間かける30日で月480時間の労働です。サラリーマンの仕事が8時間かける20日とすると月160時間なので、毎月300時間以上残業している計算になります。もちろん子育てはサラリーマンの仕事とは違います。でも時には親にも休みが必要です。特に一人親の場合は子育てと生活費のための労働が重なるので、親は簡単に追い詰められてしまいます。子育てが重労働だという事を知らない男性議員が国を仕切っている以上、日本の人口減少は止まりません。

2017年2月15日水曜日

高騰する廃炉処理費

福島原発の廃炉処理費が当初の見積もりの4倍の8兆円になったという報道[^1]がありました。これに損害賠償と除染費用を加えると総額は20兆円を超えています。廃炉処理には数多くの未経験の問題があり、その費用の見積もりはそもそも不可能です。今出ている数字は最低これ位かかるというもので、実際にはもっともっとかかります。これらはすべて原子力発電のコストに含めるべきで、そうすると原子力発電のコストは今の日本で最も高いもの[^2]になります。日本の原子力発電のコストが安いという主張にはもはや根拠がありません。廃炉処理費を東電が支払うといっても、それは電気代に加算されて利用者が負担することになります。損害賠償も送電費用に上乗せされて国民の負担になります。送電事業は今のところ競争ができない仕組み[^3]になっているので、地域ごとの独占事業です。発電会社は選べても送電会社は選べません。福島原発事故が起きるまで国民は全体として原発を容認していたので、その結果生じた事故の責任は最終的に国民全員が負うという理屈です。実質債務超過となった東電をJALのように法的処理したとしても、税金で救うことになるのでやはり国民負担になります。

^1: http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201612/CK2016120902000265.html
^2: http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201612/CK2016121102000125.html
^3: http://www.nikkei.com/article/DGXMZO09340430Z01C16A1000000/

2017年2月8日水曜日

予防注射

日本では必ず医者が打つ予防注射が今回のお題です。秋になるとインフルエンザの注射とか打ちますよね。アメリカだとこうした予防注射は看護師が打ちます。問診書に自分の健康状態を書いて申し込むので、この自己申告で問題なければ相手は健康な人ということで、看護師が予防注射を打ってもかまいません。会社にも毎年契約する看護師と事務手続きの人がペアで来て、希望する社員にインフルエンザの予防注射を打ってくれます。またおおむね健康保険が効くので予防注射は無料です。アメリカの看護師にはいくつかランクがあって、一番上の看護師になると簡単な薬を処方することもできます。日本のように予防注射まで医者の仕事にしてしまうと、なかなか医療のコストは下がりません。日本の看護師が予防注射を打てない理由は何でしょうね。

2017年2月1日水曜日

物価下落

2016年の日本の消費者物価が前年比で0・3%下落したというニュース[^1]がありました。これは日本の消費者にとって朗報であるにもかかわらず、デフレ脱却ができなかったということで問題視している新聞が多いのにはがっかりです。消費が増えない以上インフレにはなりません。そして消費を増やすには人口を増やすのが一番です。老人が増えて子供が減れば税金を払う人がいなくなり、年金どころか国家予算が不足します。公務員の給料は遅配となり役所が閉鎖されます。国中がスラム化するのを防ぐには、年金に流用している年間10兆円の税金を若者と子供に使わなければなりません。お金のない老人には生活保護があります。増加する生活保護費用は防衛費を削ってまかないます。

^1: http://www.jiji.com/jc/article?k=2017012700156

2017年1月28日土曜日

天然酵母の誤解

最近日本でよく目にする「天然酵母パン」の天然酵母ってヘンですね。イーストは全部天然酵母です。酵母は生物で人工のものはありません。そこで天然酵母の定義を調べてみました。パンに適した酵母を純粋培養した物がイーストです。これに対して一部の業者は、ブドウやリンゴの表面に自生する酵母や乳酸菌の混合物を培養して、これを天然酵母と呼んでいるようです。培養に使ったブドウやリンゴの果汁も含むので、酵母だけでなくいろいろな細菌と有機物を含みます。サン・フランシスコ名物のサワードウというパンにも酵母より多くの乳酸菌が使われているので、独特の酸味があります。今のことろ天然酵母にはパン業界の定義も法律上の定義もないので、乾燥イーストで作ったパン生地に干しぶどうを一個入れただけでも天然酵母入りと言えます。つまり「天然酵母パン」にはピンからキリまであるという事です。繰り返すとイーストは全部天然酵母なので、独特の味がない「天然酵母パン」には意味がありません。

2017年1月21日土曜日

両足運転

高齢者の運転でアクセルとブレーキを踏み間違えるという報道が最近増えてます。オートマチックの自動車なら足もとのペダルは二つだけなので、アクセルを右足で踏み、ブレーキを左足で踏むという運転方法を最初から教えてはどうでしょう。右足だけにアクセルとブレーキを担当させると、アクセルからブレーキに足を動かすという動作が不十分な場合、ブレーキのつもりでアクセルを踏んでしまいます。クラッチがなければ左足でブレーキを踏むのが自然な動作です。そのためにオートマチック車ではブレーキペダルが左右に大きくなっています。始めて左足でブレーキを踏むと減速が強すぎるので、今まで右足でブレーキを踏んでいた人は最初に安全な場所での練習が必要です。両足を使えば運転中に使わない左足がだるくなる事も防げます。特にオートマ限定の免許なら両足運転をしない理由がありません。とっさの場合にアクセルからブレーキに正しく足を動かすという動作は、誰にでもできる事ではありません。右足で加速し左足で減速するという単純な運転方法が高齢者の事故を減らします。

2017年1月14日土曜日

成人式不要論

日本の成人式という自治体の行事は不要です。そんなお金があるのなら、給付型の奨学金として地元の学生に使ってください。そもそも何のために成人式があるのでしょう。毎年成人式になると酒を飲んで騒動を起こすアホな若者の話が新聞に載ります。これから財政赤字がもっと悪化する日本に無駄な公金を使う余裕はないので、自治体の成人式は真っ先に廃止すべき支出です。同窓会なら自分のお金でやってください。ちなみに筆者は日本の自治体で自分の成人式に出た事はありません。比較のために言うとアメリカには成人式はありません。

2017年1月7日土曜日

人工知能とお金

人工知能は道具です。ではこの道具でお金を得るにはどうしたらいいでしょうか。ひとつの方法は、法人が人工知能を使って有料サービスを提供し、その結果に責任を持つというビジネスです。例えば医療診断というサービスを考えましょう。医療診断は人の命に責任を持つビジネスなので、法人がその結果に責任を持つには保険をかける必要があります。誤診断の結果患者が被る不利益をカバーする保険があれば、法人がこうしたサービスを提供しても十分ビジネスになります。アメリカだと営利企業が病院を運営しても良いので、人件費の高い人間の医者の代わりに人工知能を使って24時間医療診断する病院を作れば大きな利益が見込めます。診断サービスを提供する法人が医師のかわりに結果責任を持つので、多くの利用者を集めればリスクを分散でき十分ビジネスになります。人工知能を使って有料サービスを提供する法人が、保険をかけてサービスの結果に責任を持つというビジネス・モデルはいろいろな業種で使えます。人工知能そのものは責任を取れなくても、それを使って有料サービスを提供する法人は責任を取ることができるからです。

2017年1月3日火曜日

大学費用

日本の格差是正には大学教育の無料化という手もあります。北欧のように高負担高福祉の国になるなら日本でも大学の無料化は可能です。でも増税がいやなら教育費用の無料化はできません。そして大学費用を払えない人は大学に行けません。これは国の制度として国民が選んだ結果なので、格差是正をどこまで実現するかは国民にかかっています。この場合どうしても大学に行きたければ、まず働いて大学費用を貯めてからそのお金で大学に行くという手があります。日本の大学進学率は50%ぐらいなのでアメリカとほぼ同じです。大学を出た人が母校に寄付して特待生の数を増やすのが、低負担低福祉の国アメリカのやり方です。

2017年1月2日月曜日

日本の労働形態を変える

経済格差を是正するにはどうしたらいいでしょうか。それにはまず「正社員と非正規労働者」「若者と高齢者」「男性と女性」という三大差別を法律で禁止しなければなりません。具体的には「(仕事や場所が限定されない)正社員制度の禁止」「手切れ金による解雇の容認」「年齢(生年月日)による就職差別の禁止」「(憲法違反である)年功序列制度の禁止」「(同じく憲法違反である)定年制度の禁止」「(過労死を防ぐ)長時間労働の禁止」という法律が必要です。これらはすべて労使双方に利益があります。仕事や場所を限定して手切れ金による解雇を認めれば、仕事がある場合にだけ必要な人を雇うので、無理な仕事や転勤はなくなります。儲からない仕事はすぐ止められるので、経済の環境変化に強い会社になります。年齢(生年月日)による就職差別の禁止は当然として、年功序列制度も憲法14条違反であるうえ、若者と高齢者の差別になるので禁止します。年齢で決まる定年制度もなくなります。長時間労働の禁止は過労死を防ぐだけでなく、長時間労働しにくい女性や仕事のきつい男性にも恩恵があります。仕事に人を付けるという社会になれば、就職という言葉通りに仕事に必要な人を必要な時にだけ雇うという労働形態になります。就社ではないので仕事がなくなれば手切れ金による解雇もある反面、仕事や場所が限定されているので、社畜になる恐れはありません。同じ仕事がある限り他の会社に移るのも簡単になり、ブラック企業は淘汰されます。仕事や場所が限定された限定社員でも、定年がないので仕事がある限りいつまでも働く事ができます。そのかわり定年をなくせば退職金もなくなります。非正規労働者は同じ雇い主のもとで働ける期間を1年未満とします。それ以上は正規社員である限定社員として雇わなければなりません。仕事に対して人を雇うので、同じ仕事ならば男性と女性で賃金に差を付けるのは違法にします。繰り返すと、仕事に人を付けるという社会は労使双方に利益があります。法律で三大差別を禁止すれば経済格差是正への大きな一歩になります。

2017年1月1日日曜日

経済成長の是非

人口が減る日本ではGDPの大幅な増加といった経済成長は期待できません。そこで経済成長が日本の進むべき道なのかという議論があっても良いかと思います。そもそもなぜ経済成長が問われるかというと、国の政策が経済成長に依存しているからです。例えば国債は、将来日本の税収が増えるという見込みの下に行う借金です。経済成長しているかぎり国民は増税に大きな不満は持ちません。年金問題だって経済成長しているかぎり何とでも誤魔化せます。ところが経済がマイナス成長になると、こうした社会の歯車が逆転して大きな問題となります。国債は返すあてもなく増え続け、貯めた年金も2030年には枯渇します。増税したくてもマイナス成長下では不況が怖くてできません。時間と共に経済が成長するという前提が崩れた以上、経済成長に頼らない経済運営をするべき時が来ています。円安を目的とした量的緩和では経済成長は実現しなかったし、低金利だけでは人口減少に対処できません。おまけに強すぎる規制のせいで民泊やウーバーもできません。中間層が少ないと税収が細り国が滅ぶので、経済成長より経済格差の是正が喫緊の課題です。