2014年12月27日土曜日

一流のエンジニア

シリコン・バレーには一流・二流・三流の三種類のソフトウェア・エンジニアがいます。一流のエンジニアは全体の一割くらいを占め、プログラムを書くのが何よりも好きで、会社の仕事だけでは飽き足らず、夜や週末はオープン・ソフトウェアのボランティアとして活躍します。彼らの書くプログラムは効率が良く、誤りが少ないうえ、変更も容易です。さらに二流のエンジニアの十倍の生産性があります。このため二流のエンジニアの倍の給料でもおつりが来ます。博士号を持っている人も多く、会社の中で一目置かれる存在です。これに対して二流のエンジニアは全体の六割ぐらいで、計画に沿って着実に仕事をこなし、必ず会社の中核をなす部隊の中心にいます。彼らは会社の仕事だけで満足しているので、プライベートの時間を使ってまでプログラムを書く人はまれです。さらに三流のエンジニアともなるとコンピュータ科学以外の学部を出た人も多く、例えば生物学や数学を学んだけどプログラムを書く方がお金になるので、独学でソフトウェア・エンジニアになった人がいます。プログラミングの経験が足りないので、効率が悪くて変更が困難なソフトを書く場合もあり、セキュリティの問題もよく起こします。三流のエンジニアはトレーニングや経験を通じて二流のエンジニアに進化することができ、割合でいうと全体の三割ぐらいを占めます。本当はこの他に超一流のエンジニアがいて、一人で世の中を変えるソフトを作っています。例えば Linuxカーネルを作ったリーナス・トーバルズとか、Javaを作ったビル・ジョイとか、Mosaicブラウザを作ったマーク・アンドリーセンなどが好例です。こうした超一流のエンジニアは世界でもせいぜい十人ぐらいなので、割合から言えばとても貴重な存在です。このためIT業界を支えているのは二流のエンジニアが中心となり、筆者もその一人として働いています。二流のエンジニアと一流のエンジニアの違いは主にプログラミングにかける情熱の差で、一流のエンジニアは変わり者が多いので良い意味で「ハッカー」とも呼ばれます。世の中を変える新しいソフトを作るのは一流のエンジニアが大好きな仕事です。そのためには毎日12時間働いても彼らは文句を言いません。

2014年12月18日木曜日

薬の処方箋

アメリカでも医者は薬の処方箋を書き、患者は自分で好きな薬局からその処方箋で薬を買う事ができます。薬のコスト削減のため、もしジェネリックがあれば医者は自動的にジェネリックを選びます。保険によっては患者がジェネリックを使うかどうか選べるものもあり、もしジェネリックを使わないと患者の自己負担額がその分だけ増えます。医者の手書きの処方箋は最近はほとんど姿を消して、パソコンで打ち出した紙にサインしたものか、あるいは患者の指定する薬局に電子的に送られるものが主流になっています。血圧の薬などは一度に三ヵ月分買えるので、インターネットや通信販売で注文できます。処方箋をFAXで送るか郵送すれば、近くの薬局から買う場合と比較して半額ぐらいの自己負担額で薬を買うことができます。処方箋には何回分使えるかが明記してあるので、一回に三ヵ月分として四回使えるなら一年分です。アメリカはもともと通信販売が盛んなので、処方箋の薬でも当然のようにインターネットや通信販売で買う事ができます。まだ日本では処方箋の薬をインターネットや通信販売で買う事はできないそうなので、薬代を下げるにはこうした規制の撤廃が必要です。

2014年12月10日水曜日

高速道路無料化で地方創生

地方創生には主な高速道路を無料化するのが一番です。高速道路の建設費はガソリン税と重量税を増やして回収します。まず高速道路を無料化すると、目的地だけでなく途中での高速道路の乗り降りが盛んになり、途中の地方にもお金が落ちます。その上わざわざ道路料金を集めるお金も要りません。当然観光業にも好影響があります。地方に仕事を作るには移動にかかるコストを大幅に下げる必要があり、高速道路を無料化すれば電車や飛行機の料金も下がります。今はガソリン代よりも高速料金の方が高いので、せっかく車を持っていても使い道がありません。普通の国道は無料なのに高速道路だけ有料にするのは無意味です。高速道路の建設は国民全員の役に立つ投資なので、無料化して道路を積極的に使うのが国民のためになります。どのみち道路は使っても使わなくても時間とともに劣化するので、わざと有料にしてせっかく作った道路を使わないのは愚かです。首都高など無料化すると混雑して困る場合のみ、道路料金を課して利用者数を加減します。道路は生き物の血管と同じで、その流れを良くすれば国全体が元気になります。

2014年12月2日火曜日

規制緩和は自己責任

今の日本は1970年代のイギリスに似ています。当時のイギリスは手厚い福祉政策と多すぎる国有企業のせいで、英国病と呼ばれるほど経済が衰退していました。国有企業は経営努力を怠ったため赤字で、法人税が高かったので民間企業が外国に本社を移してしまい、イギリスの税収が減って国の借金である国債残高だけが増えていました。そこに登場したのがマーガレット・サッチャー首相で、彼女は1979年から福祉の大幅削減と国有企業の民営化、さらに税制改革、財政支出の削減、規制撤廃などを行い国際競争力のあるイギリスを取り戻そうとしました。それでも2001年にブレア内閣が英国病の克服を宣言するまで実に22年もかかっています。実際サッチャーが首相を務めていた間は、イギリスの失業率が上がるなど効果より副作用の方が問題でした。これを日本と比較すると、手厚い福祉政策と国債頼みの財政、電気やガス、銀行といった競争のない企業が多いなど類似点がたくさんあります。サッチャーが英国民に自覚させた大事な事は「タダのランチはない」という事実です。手厚い福祉政策を維持するには多くの税金が必要で、法人はそれを嫌って他の国に移りイギリスの税収を減らしました。福祉を大幅に削り、法人減税を断行し、規制撤廃を行うには「自己責任」が前提です。つまり何でも税金で面倒をみる「大きな政府」ではなく、軍隊や警察といった最小限の行政サービスのみ税金でまかなう「小さな政府」への変身です。同じく日本の規制緩和にも「自己責任」という覚悟が大切です。規制が減るという事は自由に経済活動ができると同時に、利用者が自分の責任でサービスを選ばなければいけないという事です。保育園なら認可という制度をやめて民間企業に自由にやらせるという事です。質を重視して保育士の多い高価な保育園を選ぶか、それとも値段を重視して安い保育園を選ぶかは利用者に決める責任があります。こうした「自己責任」を受け入れるなら日本でも規制撤廃は可能でしょう。でも「お上に頼る」伝統のある日本では「小さな政府」は実現できそうもありません。規制緩和が日本で進まない本当の理由は、国民が「自己責任」で生きる覚悟を持っていないからです。成長産業を国に決めてもらうという発想そのものが「自己責任」から外れています。税金を減らしたければ政府の仕事を減らさなければなりません。