2023年1月31日火曜日

データの質

機械学習に基づくAIの品質は、その学習に使ったデータの質で決まります。今は玉石混交のデータを人手で選んで、質を維持しています。つまり人間の判断力が最終的にそのAIの品質を決めるという事です。人手にお金がかかるので、こうした選択を行うのは賃金の安い国の労働者です。誤ったデータや倫理的に問題のあるデータで学習したら大変です。つまり最先端の技術として宣伝されるAIが、泥臭い人手によるデータ選択の結果に依存するという構造です。またデータは日々刻々と生まれるので、AIも学習を毎日行う必要があり、最近の話題はAIにとって苦手な分野となります。

2023年1月30日月曜日

貿易赤字

先日「2022年の貿易赤字は過去最大」という報道[^1]がありました。2010年までの黒字が2011年からの5年間は赤字に変わり、これは東日本大震災で日本の輸出力が衰えた時期と重なります。2013年からの異次元緩和では円安になり、輸出が増えるとともにインバウンド観光による貿易黒字が実現しました。でも黒字は2016年、2017年、および2020年だけで、その黒字額も年間5兆円には届きません。2022年の赤字額は約20兆円と巨額で、エネルギー価格の上昇と円安の結果です。そのエネルギー価格は高止まりしており、円安も続きます。2023年はインバウンド観光で数兆円の収入が期待できるものの、10兆円以上の貿易赤字になるものと予想します。日本の貿易赤字は定着し、「加工貿易」という昭和のビジネスモデルが破綻している事を証明しています。財政赤字と貿易赤字という双子の赤字が日本の課題です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA190OR0Z10C23A1000000/

2023年1月29日日曜日

臓器移植

iPS細胞を使った臓器再生が実用化されるまで、脳死患者からの臓器移植は続きます。そこにはふたつの問題があり、日本の移植ドナーの人口当たりの数が米国と較べて極端に少ない理由となっています。そのふたつの問題とは、まず脳死の判定を始めるのに患者家族の同意が要るという点と、脳死の子供から臓器を取るのに保護者の同意がいるという点です。つまり日本では医者に脳死判定を始める権限がないので、医療の素人である家族が実質的に脳死判定をしています。脳死が人の死であると法律で決まっていても、目の前の患者は体温があり(人工)呼吸もしているので、それを死と認めるのは家族には無理です。その結果日本ではドナーが極端に少なく、心臓移植では5年待ちとなっています。その5年の間に移植待ちの人は大部分亡くなり、脳死患者も生き返る事はありません。生きている人を救うという意味では、日本の臓器移植法はあまり役に立っていません。まずは医者に脳死判定を始める権限を持たせるべきでしょう。

^1: https://mainichi.jp/premier/health/articles/20230116/med/00m/100/024000c

2023年1月28日土曜日

異なる価値観

日米間で一番違う価値観は、その雇用思想にあります。日本ではひとつの会社に長く勤める事が良しとされ、また会社もまっさらな新卒を雇用して、時間をかけてその会社に適した従業員に育て上げるのが良いとされます。終身雇用と右肩上がりの経済では当然と言える方法です。逆に米国では、経験者を雇って即戦力として働いてもらう事に重点があり、現場の管理職に人事権があります。いわゆるジョブ型なので、会社の方針が変わって不要となった人材はすぐ解雇です。最近のIT企業の人員整理が良い例です。米国の俊敏さを目の当たりにして、日本人は「米国みたいにすぐ解雇されるのはたまらない」と思う人がほとんどでしょう。でも米国では新卒より中途の方が価値が高く、転職が給料を上げる機会になっています。年齢による就職差別を法律で禁止しているので、仕事の能力が同じならより経験を積んだ人が採用されます。つまり「解雇も容易だけど、再就職も容易」というのが米国です。年齢による差別が禁止という事は、定年退職もありません。他国の人材を引きつける力があるという点で、米国の価値観は日本のものよりも時代に合っているのでしょう。

2023年1月27日金曜日

償還期限

アメリカには法律で決められた債務上限があり、国の国債残高をこの上限より増やす場合、議会がその都度法律を変える必要があります。でも日本にはこうした法律上の上限はなく、ただ「赤字国債はダメ」という法律があります。ではなんで日本で赤字国債が発行できるのかと言えば、毎年「今年は例外として赤字国債を認める」という法律を通しているからです。その国債に償還期限があり、今は60年となっています。これを80年に伸ばすというアイデア[^1]が出ており、実質的に「国債は返せない」と言い出しています。もしこれを通してしまうと、日本国債の信認が揺らぎ、その価格が下がります。それは国債金利の上昇と同じなので、日銀がYCCで引き下げてきた金利が上昇します。日銀はすでに国債を買えるだけ買っており、日本の長期金利を抑える力は残っていません。つまり国債の償還期限を伸ばしても財源が増える訳ではなく、むしろ国債価格の低下と金利の上昇という副作用が経済の足を引っ張る事になります。景気を冷やすのはインフレ退治には好都合でも、増税を避けている限り矛盾は拡大します。どうせ景気を冷やすなら、増税を選ぶのが国民のためです。

2023年1月26日木曜日

末期症状

この報道[^1]にある「末期症状」が日銀の現状をよく表しています。異次元緩和が行き詰まり、民間銀行に低利でお金を貸して国債を買ってもらおうとしています。その国債を利用して、また海外勢が国債の空売りを浴びせてくるでしょう。コロナとウクライナ戦争で始まった世界規模のインフレは日本にも悪影響を与えており、内外の金利差から長期金利は上がります。これをむりやり抑えれば円安になり、日本のインフレが悪化します。四月で任期が終わる黒田総裁の置き土産は、いびつな金利カーブと膨大な国債残高のふたつ[^2]です。人口減少を上回る生産性の向上は起こらず、10年にわたる異次元緩和は国民の借金を大幅に増やしただけに終わります。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB195B80Z10C23A1000000/

2023年1月25日水曜日

コロナと共に生きる

横文字だと「ウィズコロナ」です。医療関係者は「コロナと共に生きる」なんてとんでもないと思っているでしょう。でもこの新しい病気を根絶できない以上、どうこの新しいウイルスと共存出来るかを考える方が現実的です。今の「コロナ死亡者」の平均年齢は「以前の高齢者の死亡者」の平均年齢と同じという指摘もあり、コロナを恐れる理由はないと思います。限られた税金をどこに使うかという視点で考えれば、もともと先の短い高齢者よりも若者に使うべきであり、少子化を少しでも食い止めるために若者の貧困対策を強化した方が良いでしょう。もうコロナ対策を決めるのは医療関係者ではなく政治家だという事です。

2023年1月24日火曜日

高速道路料金

高速道路料金は本来建設費を償還した時点で無料になるものでした。この報道[^1]によると無料化は事実上なくなり、その理由として保守点検に費用がかかるからだとなっています。では料金を半額にしましょう。保守点検だけなら今の料金は高すぎます。ただし、既存の高速道路料金で新しい高速道路を造ってはいけません。それを許すと需要の少ない高速道路を造る事が可能になり、お金の無駄になります。高速道路はそれ自身の料金から建設費をまかなえる所に限定しないと、負債だけが残ってしまいます。人口が急速に減る日本で、利用料金から建設費を返せるほど需要のある新しい高速道路はもう候補がありません。既存の料金を半減して、コストに厳しいトラックや観光バスが高速道路を避ける現状を変えましょう。そもそも地方活性化と言うなら、まず物流費を下げるのがスジです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA142270U3A110C2000000/

2023年1月23日月曜日

超過死亡数

面白いグラフ[^1]を見つけました。日本の過去数年間の超過死亡数を表すグラフです。これを見るとコロナ以前から毎年冬は死亡者が多い事が分かります。また2020年は死亡者が平年より少なく、コロナのためステイホームした結果だと思われます。そのかわり2021年は夏に死亡者が増えており、2020年に減った分が2021年に増えた形になっています。2022年は純増になっていて、その三月と八月のピークがコロナ感染者の二月と七月のピークにひと月遅れで重なっているので、増えた分の死因はコロナ関連だと推測できます。スペイン風邪のウイルスがインフルエンザA型になったように、コロナも新種のインフルエンザと見なせる状況が近づいています。インフルエンザとコロナの混合ワクチンが実用化されれば、これを毎年秋に接種する事で冬の死亡者を減らせる可能性が高いという事です。ただしコロナの抗体は半年しか持たないので、2023年の夏に感染が増えると高齢者には年2回のワクチンが必要となります。これは平均寿命にも影響がありそうです。

^1: https://exdeaths-japan.org/graph/weekly/

2023年1月22日日曜日

デジャブ

「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」[^1]これは以前に聞いた事があります。もう時効だから言ってもいいでしょう。40年以上前に筆者が大学を出てすぐ入った会社が横河ヒューレットパッカードで、入って数年でトップダウンの会社になってしまいました。エンジニアの意見は無視され、上からの指示だけを実現する組織となりました。そうする事で製品開発の時間を節約できるという理由でしたが、実際には「言うべきことを言わない」ため色々問題が生じました。日本の製造業はいまだにこの間違った考え方に取り付かれています。風通しが悪く役所のように動きの鈍い組織では海外勢に負けます。そもそも上意下達の組織だったから日本軍は太平洋戦争に負けたのではありませんか。

2023年1月21日土曜日

少子化不可避

今度「異次元の少子化対策」なるものが決まるそうですが、我々は少子化が不可避だという事を理解しているでしょうか。少子化対策をすれば少子化が止まるなんて事はありません。少子化は複利で進みます。指数関数的に進むという事です。子供を産む女性の数そのものが減っているので、たとえ女性ひとりが平均2人子供を産んでも人口は減り続けます。子供手当や教育費を出せば3人生むと期待するのは甘いでしょう。そもそも結婚する女性が減っているし、仕事や自分の人生を優先するために子供を持たない人もいます。人の生き方が多種多様になり、子供がいなくても年金のおかげで老後の心配がない日本では、平均2人すら期待できません。現実[^1]を直視し少子化を前提とした国づくりをする覚悟を持ちましょう。

2023年1月20日金曜日

新時代

「新時代」という歌が流行っているように、令和の日本はまさに新時代にいます。新型コロナはすっかり定着し、5類相当の感染症として毎年感染の流行を繰り返します。スペイン風邪と同じく、人類にとって新しい病気として居座ります。でもオミクロン株はそれで死ぬような病気ではなく、無症状のまま済む人もいます。重症化しないという意味では、日本は集団免疫を獲得しています。積極的なワクチン接種とステイホームのおかげで、死者数も少なくなっています。これが高齢者にとって手強いウイルスである事は明白です。だからといって、いつまでもマスクを着けて3密を避ける生活はできません。同じくウクライナ戦争も新時代の特徴です。これで日本は自分から仕掛けなくても、他国から侵略される事があると気付きました。つまり「平和憲法」では平和を守れず、憲法の変更と国防できる軍備が必要になりました。現実の国際政治では、平和を守るのは軍事力による抑止です。戦争をしても勝てないと相手に思わせる事が大切です。アメリカは自国に得になる事でないと軍事介入しません。核戦争の恐れがあると、アメリカといえども躊躇します。日本の回りには中国、北朝鮮、ロシアと核ミサイルを持つ国が三つもあるので、戦争をしても勝てないと相手に思わせるのは容易ではありません。国連が頼りにならない以上、新時代において日本は積極的に自衛する必要があります。

2023年1月19日木曜日

税金の無駄

デジタル街づくりの7割が成果なしという報道[^1]がありました。この手のプロジェクトは補助金目当ての企業が自治体の税金で商売をするという図式になりがちで、最初から企業を主体にする事が間違いです。またプロジェクトの進行はガラス張りにして、成功も失敗もそこから学ぶという目的を最初にはっきり建てるべきです。企業ではなく大学の研究室と自治体が組むのが正解で、金儲けが目的の企業を主体にすると失敗が多くなります。ただ税金を使って企業が利益を上げておしまいというプロジェクトは税金の無駄です。自治体に当事者意識がなさ過ぎます。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE118XR0R11C22A0000000/

2023年1月18日水曜日

非正規労働

ユニクロが正社員の給料を大幅に上げても、9割を占める非正規やアルバイトには関係ありません。非正規やアルバイトは本来短期間の労働のはずでした。小泉政権の時に1年を越える非正規労働が合法化され、そこから問題が生じました。雇用の調整弁として使われる非正規の待遇を改善しないと、日本の貧困ひいては少子化は止まりません。非正規労働は米国と同様に1年未満とし、同じ会社で同じ仕事をするには間隔を1年以上空けるという法律に変えましょう。これは非正規労働者を減らすのが目的であり、アルバイトにも適用されます。それで一部の仕事はロボットがやるようになり、大半の仕事は正社員に戻ります。それと同時に正社員の過保護をなくし、手切れ金での解雇を合法化します。企業が非正規を増やしたのは人件費を減らすためと、経済の変化に素早く対処するためです。でもコアな仕事で非正規に頼るのは間違いです。日本は人件費を減らしすぎであり、貧困国への入り口に立っています。

2023年1月17日火曜日

中国ビザ

メンツにこだわる中国は、日本の水際対策強化に「ビザ発給停止」で対抗しています。これはある意味日本にとっても好都合です。今の中国に行くのはわざわざコロナに感染しに行くようなもので、危険この上ありません。春節が終わって今の感染の波が引くまで中国には行かない方が安全です。まだどんな変異株が生まれるか分からないので、三月末までは中国からの人流も最小限に抑えましょう。フルコロナに転換した中国はWHOの意見も無視しています。

2023年1月16日月曜日

公立校教員

こちらの報道[^1]には、公立校の教員が不足し質も低下しているとあります。教職は今やブラック職種とされ、給料も安くて人気がないのは当然です。モンスターペアレントや残業代が実質ない事も問題です。教員の仕事は教育であり、子供の教育に役立たない雑務は極力なくすべきです。部活動も教員の仕事ではありません。やりたい子は地元のスポーツクラブに入れば良く、公立校の施設をスポーツクラブに解放すれば十分です。各種の報告も電子化して、紙に同じ情報を何度も書くのはやめましょう。そして教員1人当たりの生徒数を減らして、20人までにします。少子化の数少ない利点は少人数教育ができる事なので、教育予算を削るのではなく、逆に増やして教職を脱ブラック化します。公立教育は国の要であり、競争力の源です。次世代に大量の借金を押しつけた以上、日本は社会保障の予算を削ってでも教育予算を増やさねばなりません。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD258XU0V21C22A0000000/

2023年1月15日日曜日

どっちもどっち?

ウクライナ戦争について当然ロシアにも言い分はあります。ナチスと戦っているとか、ドンバス地方はロシアの一部だという主張です。でも歴史を見れば、ソ連崩壊後のウクライナにあった核兵器をロシアにもどす時に、ウクライナの安全保障を約束したのがロシア、イギリス、そしてアメリカです。その約束を反故にしてロシアがウクライナに攻め入ったのは、ウクライナのNATO加盟を阻止するためです。ロシアはソ連崩壊後NATOへの加盟を試みましたが、アメリカに特別扱いされなかったため、メンツを潰されたと思ったプーチンが反アメリカ、反NATOに転換しました。憲法を変えてまでロシアの指導者に居続けるプーチンは国民の支持を得るため、国連の常任理事国でありながら隣国ウクライナに侵攻しました。イギリスやアメリカも潔白ではなく、外交でウクライナ戦争を止められなかった責任を負っています。でももし「どっちもどっち」だと思うなら、この戦争を始めたのが誰なのかを思い出しましょう。2014年のクリミア半島の侵攻も、2022年のウクライナ本土への侵攻もロシアが始めたものです。独裁者が権力の座に居座るために始めたものです。ロシアに報道の自由はなく、戦争に反対する者は逮捕されます。あなたはどちらの国に住みたいですか、ロシアとアメリカ、権威主義と民主主義。日本はアメリカと軍事同盟を結んでおり、アメリカ側にいます。平和の実現と維持のために作られた国連が機能しない以上、日本は「どっちもどっち」という立場にはいられません。戦況次第では日本に核ミサイルが飛んできます。第三次世界大戦が目前に迫っている中で、少なくともウクライナの民間人がロシアに殺される理由だけは理解しておきましょう。他国に侵略しておいて「祖国を防衛するため」というのは帝国主義者の言い分です。

2023年1月14日土曜日

過剰品質

日本のスーパーで売っている野菜は綺麗です。大きさも揃ってます。キュウリなんかまっすぐで、どうしてこんなに曲がってないキュウリが作れるのか不思議です。これらはすべて日本の消費者が野菜に高品質を求めた結果です。当然その代償は高価格であり、物価が安いとされる日本でも野菜や肉の値段は外国より高くなってます。これはいわば消費者が自分で自分の首を絞めている状況です。1円でも安い野菜が欲しければ、今の高品質をあきらめれば良いのです。ほうれん草に泥が付いているのは当たり前、キュウリが曲がっているのは当たり前、大きさが揃っていないのは当たり前と思えば安くなります。そこで必要になるのが、重さでいくらという値段づけです。大きさが揃っていない場合、一個いくらでは売れません。そのかわり100グラムでいくらという売り方をします。複数個をまとめて売る場合、それぞれに違う値段が付きます。売り場には秤を置くことになり、買う方も慣れが必要です。でも無駄になる野菜も減るし、農家も儲かるのであれば、消費者としてやるべき事は一つしかありません。過剰品質は日本の欠点です。

2023年1月12日木曜日

日本の失敗

人口減少問題に本気で取り組まなかった事が最大の失敗です。すぐ票に結びつく問題ではないので、政治的な優先順位が低すぎました。これはもう手遅れとなり、高度人材の移民受け入れ以外に策はありません。それにたとえ移民が実現したとしても、賃金の安い日本で働く高度人材は少ないでしょう。次の失敗は規制緩和がほとんど進まなかった事です。アベノミクスでは賃金向上のため生産性を上げる必要があり、いろいろな規制緩和を進める予定でした。これは岩盤規制に穴を開ける作業であり、やはりすぐ票に結びつく政策ではないので、即効性のある補助金に政治力が流れ、結果的にほとんど進んでいません。賃金は向上せず、時間稼ぎのためのYCCが過度な円安を招いたため、国民の可処分所得が減るというマイナスの結果を残しています。生産性を上げるにはゾンビ企業に退場してもらう必要があり、むしろ補助金は逆効果です。こうした痛みを回避する政策により、アベノミクスが失敗しました。令和の日本に必要なのは革命であって、小手先の変更ではありません。シルバー民主主義がもたらす、若者や未成年者に負担を押しつける政策はもう限界です。

2023年1月10日火曜日

移民問題

日本人は排他的なので移民には消極的です。言葉や文化が違う外国人と国土を共有するという発想はありません。それでも人口減少の解決策としてもし移民を受け入れるのであれば、欧州や米国の経験から次の提案をします。まず移民は高度人材とその直系家族に限定します。学歴や職歴、資格などを点数化し、高収入が見込める人を優先します。最低賃金で働く移民は差別の温床になり、社会不安の原因となるので禁止します。つまり人手不足を移民で解消する事はできません。そうした低賃金労働にはロボットを使うか、賃金を上げて日本人を雇うべきです。次に二重国籍を許します。つまり日本の国籍を得るのに、それまでの国籍を捨てる必要をなくします。米国は二重国籍を許しており、優秀な頭脳が米国に集まる理由のひとつになっています。最後に英語特区を国内に複数設けます。そこでは公用語として日本語のほかに英語が使え、日本語ができなくても暮らせます。医者や行政も英語でサービスを受けられる場所です。移民の最初の世代は日本語が不自由なので、そうした特区から日本生活を始めて次第に日本に慣れていく必要があります。繰り返すと、人手不足を移民で解消する事はできません。そのかわり日本に高度人材を招いて、税金を払う人を増やすのが移民の目的です。

2023年1月8日日曜日

需要不足

マクロ経済の専門家は日本を他国と較べて、需要不足だからもっと財政支出を増やせ[^1]と言います。こうした比較に使われる数字はその主張に沿う物だけを選ぶので、こうした意見を鵜呑みにするのは危険です。例えば日本の少子高齢化は世界でもトップレベルです。税金を払う人が減って、税金を使う人が増えています。日本のインフレが他国と較べて低いのは時間差があるためで、仕入れ値は他国と同様に上がっています。日銀がお札を刷って毎年の財政赤字を補填しており、10年物国債の利率をYCCで下げているので、円の対ドルレートは2022年の1年間で115円から134円に値下がり[^2]しました。これだけでもエネルギーや食料品などの輸入物価が16%上昇します。日本のような人口が減る国ではデフレが普通であり、外的要因によるインフレは可処分所得を減らします。今はコロナで外れたタガを締め直す時期であり、財源のない支出を思い切って減らしましょう。どこにも人口減少への解決策がない中で、日銀がいくらお札を刷っても日本の人口は増えません。

^1: https://www.dlri.co.jp/report/macro/205686.html

2023年1月6日金曜日

ナビダイアル

日本特有の「ナビダイアル」の問題です。顧客サポートの番号によく使われる「ナビダイアル」は、まずかけるのにお金がかかります。そのうえIP電話からはつながりません。もちろん国外からも受け付けてくれません。筆者の経験では、宅配便の再配達について質問があったのに、たまたま海外にいたため電話できませんでした。おまけに「ナビダイアル」はコールセンター向けなので、たとえ宅配の支店がわかってもそこの電話番号は公開されておらず、あくまでも「ナビダイアル」を使わせようとします。これは顧客には誠に不便で、海外からは使えない事も含めて、今すぐ「ナビダイアル」を廃止してほしいと思います。そもそも電話しか連絡手段がないというのが時代遅れで、アプリやネットから連絡出来るようにするべきです。時代遅れの「ナビダイアル」はもう止めましょう。

2023年1月4日水曜日

ヘドロ茶

もうはっきり言います。「深蒸し茶」は「ヘドロ茶」です。失敗作です。蒸しすぎて茶葉が粉々に崩れているので、それは速く色が出ます。でも味も香りもありません。煎茶の命である味と香りを犠牲にしてまで、すぐ色が出る事を優先する理由はありません。消費者の無知につけ込んだ商法はもう止めましょう。ペットボトルのお茶は深蒸し茶ではありません。プロは深蒸し茶が出来損ないである事を知っています。ヘドロのように急須に茶葉が残ります。お金を出して茶葉を買うなら、決して深蒸し茶を買ってはいけません。80度に冷ましたお湯に三分浸しておけば、普通蒸しのお茶でペットボトルのお茶を超える味と香りが得られます。袋入りのお茶を外から指で潰して、砂袋のような感覚があれば深蒸し茶です。市販の茶葉は9割が深蒸し茶になってしまい、日本の煎茶はとてもまずくなりました。お茶を殺したのは誰ですか?

2023年1月1日日曜日

ジョブ型の誤解

日本で最近流行の「ジョブ型雇用」は誤解されています。「ジョブ型雇用」そのものは会社を強くしません。日本以外の「ジョブ型雇用」では仕事に不要な人を簡単にクビにする事ができます。このため無駄の少ない「筋肉質」の会社を作る事ができます。でも日本の法律では人を簡単にクビにする事ができません。つまり日本の法律を変えないと本当の「ジョブ型雇用」は実現できません。今の法律のままでは「なんちゃってジョブ型」となり、中途半端に終わります。もちろん「定年制度」や「終身雇用」を廃止できれば多少の効果はあるでしょう。でも「ジョブ型雇用」のキモは「変わり身の早さ」にあり、今の日本の労働法では無理です。

2023年01月21日追記
「生え抜きだけの会社は変化に弱い」という趣旨のご意見で、まったく同感です。

2024年01月28日追記
日本型雇用とジョブ型雇用は矛盾するので、つじつま合わせだけでは失敗します。