2023年5月31日水曜日

お手並み拝見

パナソニックが電気自動車用バッテリーに本気で投資[^1]するそうです。日本の電機業界は「半導体メモリー、太陽電池パネル、液晶テレビ、携帯電話」と立て続けに海外勢に負けています。製品開発に成功するものの、その後の量産で失敗というパターンの繰り返しです。失敗の原因はひとつではありません。半導体メモリーは、それまでのメインフレーム用で必要だった25年という寿命がパソコン用では5年で十分だったのに、過剰品質のメモリーを作り続けてコスト負けしました。太陽電池パネルは国内生産に固執したため、中国製の安いパネルにコスト負けしました。液晶テレビは良いところまで行ったものの、技術流失を恐れて海外生産が遅れ、退職した日本人技術者をスカウトした韓国勢にやはりコスト負けしました。円高だった頃の話なのでコスト負けという共通要因はあるものの、過剰品質だったり海外生産が遅れたりと意思決定の遅さが目立ちます。電気自動車用バッテリーは今が最後のチャンスらしいので、今後の北米投資がどうなるかに注目です。

2023年5月30日火曜日

国債は将来への投資か

悪い事を良い事のように言うのが流行っています。筆者が驚いたのは「国債は将来への投資」という言い方です。どうやら歯止めのない国債発行を正当化したい人が使っているようです。ではなぜこれが大間違いかを説明します。まず前半の「国債」は単なる借金で、そのお金を何に使うかでそれが投資なのか浪費なのかが決まります。ある出費が投資というからには、そこには何年後に何パーセントの利子を伴って返却されるという計画が必要です。たとえば高速道路を造るのに「建設国債」を使えば、高速料金で50年後に借金をゼロにするといった計画があります。ところが日本の国債は「赤字国債」なので、その借金を返却する計画はありません。毎年の財政赤字さえゼロにできないのに、積み上がった借金を返すなどとうてい無理です。実現性を検証できる返却計画のない出費は投資ではありません。

2023年5月29日月曜日

マイナンバーと健保

日本のマイナンバーと健康保険の紐付けは他人が(健保の職員)がやっており、ミスが起きます。同姓同名はおろか、名前の書き方も揺らぐので、かなり怪しい仕組みです。なぜこれを本人の申告制度にしなかったのか分かりません。健保は毎年資格審査があるので、本人にマイナンバーを提出してもらう事ができます。健保が怪しげなデータベースでカナ氏名、生年月日、性別だけで名寄せ[^1]をしたら間違えるのは当然です。健保に加入するにはマイナンバーの提出が必要とすれば、こうしたミスを減らせます。それにシステムそのものに誤入力への耐性を持たせるのも必須です。同じマイナンバーが複数の保険で登録されないようにするとか、カナ氏名、生年月日、性別に加えて住所で確認するとかが考えられます。マイナンバーの利用に関して、デジタル化に不慣れな役所がヘマをする事例が相次いでいます。

2023年5月28日日曜日

EV普及度

日本はEVが少なく、充電設備もあまり見かけません。なので日本にいると、EVの普及はまだ先だと思ってしまいます。ところがこの記事[^1]にもあるように、中国やアメリカはEVの普及を急いでいます。中国は電気自動車大国になる計画を立てており、2023年1月から3月の(EVを含む)自動車輸出台数は日本を超えて世界一になりました。またアメリカは環境対策と国内経済を両立させるために、米国産のEVに大量の購買補助金を出しています。残念ながら日本産EVの購入者は、この補助金を受け取れません。日本はEVで完全に出遅れており、日本の主要外貨獲得手段である自動車輸出に暗雲が出てきました。テスラのEVがそこら中に走っているアメリカから見ると、日本は完全に周回遅れです。自動車輸出が減ると、日本の貿易赤字がさらに増えてしまいます。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD222860S3A520C2000000/

2023年5月27日土曜日

ストライキ

日本は先進国の中で最もストライキのない国です。それが低賃金の原因であるにもかかわらず、労働組合はストライキをしません。それは日本特有の会社別組合にあり、他国のような産業別組合となっていないからです。アメリカの脚本家組合は2007年に次いで15年ぶりにストライキ[^1]をしており、おそらくこれは成功するでしょう。公立学校の教員もストライキで賃金を上げたいのに、公務員にはスト権がないためできません。筆者の記憶する日本のストライキは私鉄組合のストライキとか旧国鉄のストライキで、どこかの会社で組合がストライキをしたというのは覚えがありません。ひとつの会社だけストライキをしても他の会社に市場を奪われるだけなので、労働組合も及び腰です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09DHI0Z00C23A5000000/

2023年08月26日追記
小売業のストライキは 60年ぶりとか。

2023年5月26日金曜日

東京に科学特化拠点

米CICの創業者が「生命科学やロボットに特化した施設を東京都内に作るべきだ」と提言[^1]しています。「企業を大きくするには海外で展開しなければいけない。だが現在の日本のスタートアップは日本市場だけを対象にしている。ある程度成功できるが、天井がある。日本人だけでスタートアップを作ろうとしている点も問題だ」とも言っています。筆者は前に日本に英語特区を作って海外の優秀な人材を呼ぶべきと提言しました。もし東京に科学特化拠点を作るのであれば、そこは英語特区にする事を希望します。日本語の他に英語でも行政や教育、医療サービスが受けられる英語特区は日本を確実に変える事ができます。国に必要なのは法律を変えるだけで、後は民間がやってくれます。海外から優秀な人材が起業のために、この特区に来るぐらいになれば成功です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC254PR0V21C22A0000000/

2023年5月25日木曜日

ガラバゴス化

この記事[^1]にあるように、日本は過去30年間ガラパゴス化の道をたどってきました。ここにはない重要な数値としては、国債発行残高が名目GDPに占める割合[^2]があります。日本は2.6倍とダントツ1位で2位のイタリアが1.5倍、3位のアメリカが1.4倍ですから日本は群を抜いています。社会保障の国民負担率が日本は低めになっているように見えても、国債という借金はここに現れないので、この数値はまやかし[^3]です。もし北欧なみに国債を減らしたら、大幅な増税で社会保障費を払う事になるので、この国民負担率は日本の実情を表していません。つまり少子化対策は「どうやって少ない人口で暮らしていくか」を考え、実行する事に他なりません。行政の合理化、介護のロボット化など人手をかけずに国を回す方法を今すぐ実行しましょう。

2023年5月24日水曜日

蛙ごときで

季節柄サラダに蛙が混入していたという報道[^1]が続いています。昭和生まれとしては「それがどうした」という気分です。有機栽培の野菜にイモ虫や蛙が混じるのは当然です。よそ見でもしてないかぎり、食べる時に気が付きます。無農薬野菜を望みながら、その一方で野菜にイモ虫や蛙が見つかると文句を言うのは矛盾しています。ゴキブリやネズミなら衛生上問題でも、産地で野菜に付くイモ虫や蛙は問題になりません。身近にイモ虫や蛙を見かけない都会人の過剰反応です。

^1: https://news.yahoo.co.jp/articles/e520907374611f5e0bc88aefdc79eb4ee69b9d28

2023年5月23日火曜日

人口減少は当然

日本の人口減少はなぜ問題なのでしょうか。それは社会の仕組みが人口増加を前提にしているからです。例えば年金です。日本の年金は仕送り型なので、老人が増えて若者が減ると年金も減ります。物価が上がるのに年金が下がると、老人が困る仕組みです。健康保険も若者は払うばかりで、主に保険金を受け取るのが老人なので維持できません。昭和の時代に制度設計された物はすべてこの調子で、平成から令和になったところで破綻の徴候が出ています。ところが小手先の変更では人口は増えませんし、たとえ移民を解禁しても人口を維持できる程は増えません。むしろ人口減少を当然のものとして受け入れ、それに見合う国になるという覚悟を持ちましょう。つまりロボットやAIが人口減少を補い、若者に依存しない国を作るという計画です。選挙対策のバラマキに予算を使うより、国家百年の計として若者に依存しない国を作るべきです。

2023年5月22日月曜日

選挙公報の郵送

もう紙の選挙公報は廃止しましょう。国民1人あたりスマホが1台以上ある日本で、コストと時間をかけて紙の選挙公報を郵送する[^1]必要はありません。少子高齢化で税金が足りない中、DXで行政コストを減らすのは当然です。選挙公報はタダではありません。

^1: https://www.tokyo-np.co.jp/article/249797

2023年5月21日日曜日

デジタル赤字

この記事[^1]が指摘するデジタル赤字とは、日本が主に海外のITサービスに払うお金の事です。アップルやアンドロイドのサービス、グーグルやマイクロソフトのサービスは多くの人が直接または間接的に使っています。他には動画のストリーミング・サービスでネットフリックスを使ったり、スポーツを視るためにDAZNと契約していれば、そのお金は海外に流れます。アマゾンのAWSや動画サービスも同じです。日本はこの分野で赤字続きであり、その赤字額[^2]も毎年増えています。電気機器の貿易収支も赤字となり、日本製の電気機器が売れない現状を直視する必要があります。最後に残ったのが自動車で、これは今のところ貿易収支が黒字です。つまり自動車を売って原油やガスを買うのが日本という国です。国の貿易赤字を埋めるのが海外への投資から得られる収入なので、これは円高だった時の投資のおかげです。経常収支が赤字になると国内のお金が減るので、国債を買うお金も減ります。すると日銀が国債を買うので金融緩和が続きます。つまり金利は上がらず、円安が続きます。円安は貿易赤字の原因のひとつなので、悪循環に入ってしまいます。だから日本は経常収支の黒字を死守する必要があります。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1115Z0R10C23A5000000/

2023年5月20日土曜日

マスクなし宣言

保守的な日本では、コロナが終わってもなかなかマスク着用が減りません。本来は若い人ほど年長者に逆らって自由を求めるのに、日本の若い人は従順ですね。高齢者や免疫の弱い人以外はマスクは不要と分かっていても、人の目を気にしています。実際には誰も見ていないのに、注目されると思い込んでいます。ふたつの選択肢がある場合、無難な方を選ぶという姿勢です。筆者はもうマスクなしでどこへでも出かけます。これから暑くなるし、無駄なマスクはしません。マスクなしは健康の証です。注射も3回受けたし、コロナにもかかって回復しています。「マスク=高齢者」という図式が速く浸透する事を期待します。

2023年5月18日木曜日

山の藤の花

こちらの記事[^1]には、「藤の花」が材木の価値を落とす厄介者であると書かれています。素人目には綺麗な花も、専門家の目には林が手入れされていない印と映るようです。日本の山林は材木としてスギやヒノキを植林し、ある時期までは地元の人が藤を退治してきました。ところが海外の安い材木が輸入されると、お金にならない山林を手入れする人はいなくなり、藤が増えてきたというワケです。スギやヒノキは花粉症の原因にもなるので、頭の痛い問題です。でも材木として使わないのであれば、藤が増えても不都合はありません。山林は国土保全やCO2削減に役立つので、人工林がかつての自然林に戻る過程だと考えれば、藤が増えるのも当然だと筆者は思います。もはや経済的価値のないスギやヒノキを、花粉症を起こさない落葉樹に植え替える事も考えて欲しいものです。

2023年5月16日火曜日

賃金上昇とインフレ

日本の賃金が2023年に上昇しています。賃金が上昇すると労働コストが高くなるので、さらにインフレになります。ところがこのインフレは長続きしません。まず日本の消費の主役が誰であるかを思い出しましょう。この年代別消費額[^1]によれば、中高年の消費額がもっとも大きくなっています。さらに日本の人口分布[^2]をみると、中高年にピークがふたつあります。その下の年代は尻すぼみになっており、この二つを掛け合わせると、お金を使うのは主に中高年であって、若者ではない事が分かります。ところが賃金の上昇は中高年、特に年金生活者には影響しません。年金の額は制度により物価の上昇ほど上がらず、年金は実質目減りします。するとこの世代は支出を減らすので、物が売れなくなります。つまり他の国なら進行するインフレの悪循環が日本では起きません。日銀の指摘通り、このインフレや賃金の上昇は一過性のもので、2024年には終わります。縮小する国内市場のデフレは当然であり、人口問題に手を付けずに日本の経済問題を解決する事は不可能です。

2023年5月15日月曜日

感染予報

コロナが5類相当になったので、感染者数の報告も週に一回の定点観測に移行しました。医療関係者の一部は、次の第9波が必ず来るので、ガードを下げてはいけないと言っています。ところがどれだけの感染者数になるのかは教えてくれません。それに第8波よりも感染者数が多くなる可能性があるという人もいて、それならその可能性を確率として数字にしてほしいものです。医学は科学ですから、仮説を出す以上判定できる数字が必要です。コロナが始まって3年以上経つので、感染者数を予想するモデルもたくさんあります。筆者は定性的な意見ではなく、定量的な意見を専門家には求めます。そうした数字がないと病院は医療資源の予約ができないし、政治家は予算を組めません。そうした数字がないのは、専門家の勉強不足が原因ではありませんか。今の変異株がそのまま続くといった前提を設けたうえで、何月頃にどのくらいの感染者数になるかを確率付きで求めるのは、技術的には十分可能だと思います。数理モデルの専門家もいることですし、外れてもいいので確率付きの数値として感染予報を出して下さい。

2023年5月14日日曜日

若手にチャンスを

この記事[^1]には大事な点が欠けています。それは税金を原資とする限られた資金をどの研究者に与えるかという点です。「若手にチャンスを」と言うなら、研究成果が乏しいベテラン研究者が切られるのは仕方ありません。10年という研究期間の間に結果を出せなければ、若手にチャンスを与えるのは当然です。もしそれまでの研究結果に自信があるなら、資金の豊富な海外の研究所に就職してもいいはずです。ただし海外の研究所はもっと競争が厳しいので、10年は待ってくれません。なお研究成果が評価されていても、有期契約で働く研究者[^2]は安心できません。普段から大学や研究所にネットワークを張って、常によりよい職場を探す努力が必要です。企業勤め以外の研究者はサラリーマンではなく、雇い止めは「若手にチャンスを」与えるために必要です。研究に使える税金は限られているので、もっと研究者に資金をと言うなら、増税に賛成しましょう。


2023年06月07日追記
中国など海外の研究所で働く日本人は今後も増えるでしょう。

2023年07月05日追記
日本で研究開発ができないなら、シンガポールに行きましょう。

2023年5月13日土曜日

移民と日本

この記事[^1][^2]には考えさせられました。先進国が人口減少に直面して移民の取り合いになると、日本は不利だという話です。他国と較べて賃金が安く、そのうえ排他的で移民を歓迎しない日本は現在の移民が少なく、これが将来の移民にとってマイナスに働きます。このさき人口が減って苦し紛れに移民を日本に入れようと思っても、日本に来る移民はいません。教育があって健康な若い移民を望んでも、そうした人は移民先進国であるカナダ、アメリカ、オーストラリアなどに行ってしまうので、日本には来ないという見込みです。これを避けるには今から移民を入れる必要があり、英語を日本語に次ぐ公用語と定めるなど日本も変わる事が求められます。もはや移民問題を先送りしている暇は日本にはありません。

^1: https://courrier.jp/news/archives/325533/

2023年06月20日追記
この予測は甘いと思います。二重国籍を許さない日本に魅力はありません。

2023年5月12日金曜日

AI病院

今日のお題は、病院業務のロボット化と情報の集約による効率的な医療です。日本の医療はコストを抑えつつ国民皆保険を実現しており、これを維持するには病院業務の合理化が欠かせません。この記事[^1]にあるように周りの病院と毎日情報を交換して、医療資源を効率良く使うのは画期的です。コロナ禍で表面化した人手不足という問題を解決する、有力な方法のひとつだと考えられます。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC122DV0S3A310C2000000/

2023年5月11日木曜日

納期より品質

日本の製造業に根付いた「納期厳守」という思想は誤りです。納期を品質より優先すると、この記事[^1]にあるような問題が起きます。突貫工事で従業員の生活も破壊され、少子化の原因にもなります。そもそも納期を計算する時に人員を100%使えると想定するのも誤りです。人は休暇を取るし、病気にもなるし、家族がケガする事もあります。せめて80%で予定を立てるべきであり、最初から残業を計算にいれてはいけません。確かに日本の「納期厳守」は世界一のレベルです。でもそれは多くの犠牲の上に成り立っており、優先順位の見直しが必要です。社員の生活や品質を守れない納期には意味がありません。そうした常識が若手にないなら、社員教育が失敗しています。

2023年5月10日水曜日

コロナはインフル並み

日本もやっとコロナの特別扱いが終わりました。コロナがインフル並みという事は、普通の人はコロナごときで医者にかかるなという事です。医者にかかればお金もかかるし、風邪薬を飲んで寝ていれば治ります。また高齢者はワクチンを接種して、不用意に出歩くなという事です。高齢者施設でコロナ患者がでたら、病院ではなくその施設で治療します。今回のコロナ禍で問題になったのは、病院は高齢者施設ではないという点です。コロナが肺炎を起こさないオミクロン株に変異したため、高齢者は基礎疾患の悪化を防ぐ必要があり、それには病院よりも住み慣れた施設の方が適しています。小さな布マスクを配布するとか、他国からワクチンを買いあさるといった行為ともお別れです。日本は次の新規ウイルス出現に備えて、自国のワクチン開発力を大幅に強化しなければいけません。

2023年5月9日火曜日

原因と引き金

新聞記者には原因と引き金を混同する人が多く、コロナ禍で誤解の元となりました。オミクロン株は肺炎を起こさないので、オミクロン株に感染して死ぬ人は高齢者が多く、もともと患っていた基礎疾患の悪化が原因でした。コロナは悪化の引き金にすぎず、死因ではありません。同様に「マイナンバーカードを使ってコンビニエンスストアで住民票の写しなどの証明書を交付するサービス」における誤発行[^1]も、「過剰な負荷」は引き金にすぎず、原因はシステムのバグもしくは設計ミスです。こうした負荷増大時に起こる問題は再現が難しく、とりあえず運用方法を工夫して逃げていたと記憶していたら、ついにデジタル相によるサービス停止要請[^2]となりました。つまり問題発覚から1ヵ月以上経つのに、原因の究明と修正が出来ていなかったという事です。あるいは、設計ミスなので運用しながらでは解決出来なかったという可能性もあります。そこで新聞記者には、何が原因で何が引き金かを区別して記事にするよう願います。

2023年5月8日月曜日

年齢差別

アメリカには採用において年齢差別を禁じる法律があります。ところが日本には同様の法律がありません。むしろ日本では年齢差別は当然な事として横行しています。それは年功序列と終身雇用の裏返しです。年齢と収入がリンクしてしまうと、企業はなるべく若い人を採用します。すると業績の悪い会社からリストラされた中高年には仕事がありません。年齢差別は日本の文化ではあるものの、これをなくさないと社会の流動性が増えません。つまり日本の経済成長には年齢差別の禁止が必要で、それは同時に年功序列と定年制度の否定をもたらします。すると手切れ金による従業員の指名解雇が可能になり、リストラが簡単になります。年齢と収入のリンクを外せばジョブ型雇用も可能です。ジョブ型雇用の利点は仕事のない人をすぐ解雇できる事なので、もし日本がアメリカ並みの経済成長を望むのであれば、まず年齢差別を禁じる法律を作りましょう。それなしではジョブ型雇用は中途半端に終わります。

2023年5月7日日曜日

アメリカの場合

 たまたま目にしたこの記事[^1]に補足します。そこに書かれているように、アメリカには公的保育園や公的幼稚園はありません。保育園や幼稚園は私立なので、それなりに収入がないと無理です。ただし移民が多いアメリカには、安い賃金で働く移民の女性が自宅で保育園を営む場合が多く、またメキシコ系の移民はカソリックなので離婚が少ないうえ、子供は多い傾向があります。アメリカの人口増は主に移民とヒスパニックの子だくさんが要因で、割合で言えば2050年ごろに白人は50%を切ります。基本的に子供第一なので、家族持ちが残業や休日出勤をする事は稀です。男性が家事や育児に参加する割合は日本より高く、母親に自由時間を与えるために、休日に公園で子供と遊ぶ男性をよく見かけます。孫の面倒を見る祖父母の割合も多く、結婚した娘が母親の近くに住むのも育児を手伝ってもらうためです。日本は祖父母が孫の面倒を見るケースがアメリカより少ないので、ここに改善の余地があります。普段は保育園があっても、病気の子供や夜間の保育は祖父母の出番です。母親はキャリアに空白を作らないために、0歳児を保育園に入れて自分は働き収入の大半を育児に使う事もよくあります。ご近所の同じくらいの年齢の子供がいる家族と仲良くなって、お互いに子供を預けて夫婦だけで外食するのも普通です。もともとアメリカの食事は簡単なので、用意するのに時間はかかりません。朝はシリアルに牛乳、昼はサンドイッチ、夜はお店のテイクアウトか冷凍食品です。買い物は週に一度で車でたくさん買い込み、洗濯は主に乾燥機を使います。

^1: https://nikkan-spa.jp/1905398

2023年5月6日土曜日

最低限の確認

この記事[^1]は新電力に切り替えるシステムに確認が欠けていると指摘しています。性善説に基づく切り替え手続きには、電力会社を切り替えた消費者への直接の確認がなく、最低限のチェックがありません。そのため中国人グループに悪用されて13億円をだまし取られたそうで、日本はいまだに性善説でやっているのかとビックリしました。切り替え申請の誤りも電話一本で確認できるのに、なぜやらないのでしょうか。人手をかけたくなければ、自動で消費者に電話をかけて、切り替えの是非を問う自動システムでも十分です。事情を知らない消費者に手紙を送るだけでは不十分で、まったく間抜けなシステムです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE189RP0Y3A110C2000000/

2023年5月5日金曜日

NFTとメタバース

1年前あれほど話題の中心だったNFTとメタバースが、影も形もありません。一時期の流行に終わり、損した投資家も多いことでしょう。コロナ・バブルの破裂が引き金になった事は間違いありません。例えばゲームに仮想通貨とNFTを組み込んだ「アクシーインフィニティ」[^1]というサービスがあります。内容から考えるとネズミ講に似ており、お金を払ってこのゲームをプレイするとSLPという仮想通貨がもらえる(お金が増える)という触れ込みでした。運営会社が北朝鮮にハックされて仮想通貨が盗まれた事でSLPの価値が落下したらしく、サービスとして破綻[^2]しています。仮想通貨が本当に盗まれたのかどうかも分かりません。単なるゲームの課金と違い、投機的要素があるのがミソです。同様にメタバースもビジネスモデルが曖昧です。一部に利益を得た人はいるものの、利用者にとって必須のサービスとはなっていません。ゲームのようなメタバースで生きていける人はいないので、投資先としてのメタバースはもう終わったと判断しています。

2023年5月4日木曜日

財政ファイナンスの行方

日銀が主な国債の買い手となって日本の財政を維持する現状は、財政ファイナンスに他なりません。財政ファイナンスはある時点を境に制御困難なインフレを呼ぶので、それがいつなのかは大事な情報です。経常収支が赤字になると、円の価値が低下して輸入インフレが進みます。これが制御困難なインフレにつながる可能性が高く、もしそうなると今のアルゼンチンのように、物価が1年で2倍になるような国になります。このインフレを抑えるには財政改革が必要で、増税と支出削減の組み合わせが普通です。つまり消費税倍増、公共投資半減、社会保険料値上げといった具体策が予想されます。これは時限爆弾であり、経常収支が赤字になると爆発します。かつての1ドルが360円という時代の再来です。

NHK受信料

この寄稿[^1]にはNHK受信料の歴史が述べられています。その中でNHKのスクランブル化が無理筋で、受信料を下げるために規模を縮小せよとあり、これにはおおむね同意します。ただしGHQが正しいという前提なので、NHKと比較するならBBC[^2]の方が妥当だと思う筆者から、アメリカの放送について補足します。まず現在のアメリカにおいて「政治的に公平」は存在しません。どの放送局も右か左に偏っています。それはお金のためです。視聴者は自分の政治信条に近い放送局を選ぶので、有料か無料かに関係なく自然と国民の好みを反映した放送局になります。それでも一番公平な放送局とされているのがPBSです。PBSは主に個人と企業の寄付で運営されており、財政的にはいつも火の車です。広告を流さないという建前ですが、寄付した企業の名前は流しています。どこが経費を負担するかという見方からすると、放送局は国営(税金)、民営(広告料)、公共(受信料・寄付)に分かれます。ロシアや中国は国営放送が強く、アメリカは民営放送が強く、日本は公共放送が強いという現状です。ではアメリカのように日本も公共放送は寄付のみで運営するべきでしょうか。これには「民主主義のコスト」を誰が負担するのかという視点が必要です。民主主義を続けるには、定期的に選挙を行うだけでなく、選挙権を持つ国民に真実を知らせる放送が必要です。独裁主義や権威主義の国には自由な報道はありません。それはロシアや中国をみれば分かるでしょう。税金で運営される放送局は政権批判ができませんし、民営ではスポンサーを批判する番組は作れません。つまりBBCのような公共放送局は国民の知る権利を担保するために存在し、これは民主主義に必要なコストだと筆者は考えます。もちろん受信料の使い道をガラス張りにして、それぞれの支出を国民が精査できるようにする事は大切です。電波(周波数帯域)は国民の資産だから、その使用には料金を取ります。「公共の電波」とはそういう意味です。NHKの受信料は電波の使用料と国民の知る権利を担保するための経費であり、NHK職員がカラ出張で不当所得を得る原資ではありません。秋からは衛星放送を減らすなどNHKもコスト削減に乗り出します。NHK自身がなぜ日本に受信料を取る公共放送が必要かを国民に知らせる努力がもっと必要でしょう。お金がない若者がNHK受信料を払いたくないのは当然で、チューナーレス・テレビなら受信料は不要です。アメリカにも民主主義には報道の自由が必要だという常識はあります。日本は自力で民主主義を勝ち取っていないため、民主主義や報道の自由はあって当たり前と思っている人が多く、NHK廃止論が生まれます。筆者は受信料を取る公共放送は必要だと思っており、NHKにはもっと細かい支出額の内訳を公表する事を望みます。

^1: https://president.jp/articles/-/68998

2023年5月2日火曜日

酪農問題

都市近郊型の酪農は限界に来ているという報道[^1]があります。それは時代の流れだと思うのは筆者だけでしょうか。エサを輸入して乳牛を飼っても、牛乳の消費量は少子化により毎年減っています。輸入される乳製品もあり、すべての酪農家が生き残れるとは思えません。特に都市近郊型の小規模酪農はもう無理だと思います。もし生き残れるとすれば、それは高級品に特化して差別化できる農家だけです。安いから買う、ではなく高いから買うという製品です。少子化により市場は毎年減少します。酪農もその影響は免れません。牛乳について言えば、業界として高齢者への売り込みが不足しています。「健康寿命を延ばす牛乳」とか「体に良い牛乳を使った料理」という切り口での宣伝を望みます。

^1: https://www.asahi.com/articles/ASR517RVBR3HUTIL01Y.html

2023年5月1日月曜日

外資系の考え方

高収入で有名なキーエンスの記事[^1]に、会議の席次が部屋に入った順だとか、全員が全員に丁寧語で話しかけるといったエピソードが出ています。これは外資系の企業によくある文化と同じです。数値に基づく会話とか、階級意識のない話し方も英語圏のビジネスのやり方としてごく普通です。そもそも英語には敬語はありませんし、年齢や性別により話し方を変える必要もありません。経験者の意見は尊重するけど、常に批判される覚悟も必要です。論理が通らない話とか、前提が不明な話、それに結論を先に言わない話も嫌われます。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC032580T00C23A4000000/