2016年4月23日土曜日

コンピュータを使う人、使われる人

小学生からプログラミングを教えるという今度の政府の方針[^1]、これを別の角度から捉えてみましょう。すでに中間層の仕事はコンピュータに奪われ始めており、人工知能がこれだけ有名になる前から、これからの労働者はコンピュータを使う人と使われる人に分かれると予想されていました。コンピュータに使われる人とは主に手足を使う仕事をする人です。コンピュータが指示した通りに経路を回り配送業務を行う人、コンピュータが指示した通りに倉庫を移動し商品を集める人、コンピュータが指示した場所でお客を拾うタクシーの運転手などはただちに機械で置き換えられないので、人がやっています。でも賃金が高いのはコンピュータを使う人の方です。政府は税収増加のため働き手を増やすと同時に、賃金の高い仕事に就く人の割合も増やしたいので、コンピュータを使う人を増やしたいと願っています。こう考えると、小学生からプログラミングを教えるというのもアリかと思います。プログラミングといっても「読み・書き・パソコン」の延長上にあり、コンピュータを使う練習のひとつです。

^1: http://www.asahi.com/articles/ASJ4M5D4GJ4MUTIL044.html

2016年4月12日火曜日

不景気の原因

日本の不景気は人口減少が原因です。国内の需要が減るため、国内企業が売り上げをなんとか維持しようと値下げした結果、デフレになりました。デフレは不景気の原因ではなくて結果です。この当たり前の因果関係がなぜか日本経済の専門家には見えていません。経済のモデルには人口増加率が入っているべきで、それがマイナスになるとデフレになるというモデルが日本の現実を表しています。でもそんなモデルは見たことがありません。それは経済の専門家が人口増加率を軽視しているからです。輸出競争力はほぼ円レートで決まります。それに対して国内需要は人口を増やさないと増えません。アベノミクスで円レートをいじった結果、見かけ上インフレが進んでいるように見えます。ではなぜ日本は今だに不景気なのでしょうか。それは国民の実質所得が上がらないからです。より儲かる仕事をする以外に実質所得を上げる方法はありません。産業構造や労働形態の変更を先送りしている間は実質所得は上がらず、不景気が続きます。日本に必要なのは小手先の金融対策ではなく、より儲かる仕事に簡単に人が移れる社会にする構造改革です。儲からない仕事から抜け出せない家電業界は、まさに不景気から抜け出せない日本の象徴です。人口と共に減少する国内市場に頼っていてはダメです。

2016年4月9日土曜日

暖炉と煙突

アメリカの家には必ず暖炉と煙突があります。暖炉で薪を燃やして暖を取る人などまずいない都市部でも、ほとんどの家に暖炉と煙突があります。新しい家だと暖炉に薪ではなくガスを燃やす設備があって、いわば炎を眺める設備となっています。だいたい暖房はガスで室内の空気を暖めて、それを家中のダクトから吹き出すのが普通です。つまりセントラル・ヒーティングです。それなのに新築の家でも暖炉と煙突を設けるのは、合理的かどうかを超えたアメリカの伝統のようです。暖炉がなければ家じゃないという固定観念でしょうか。