2013年1月28日月曜日

体罰とステロイド

先日スポーツ強豪高校での体罰問題が日本を揺るがしました。それと同じ頃、アメリカでも自転車競技で有名なアームストロング元選手が自身の薬物使用を認めて新聞に載りました。この二つには共通するものがあるとマサは思います。学校での体罰はアカデミック・ハラスメントです。それはイジメであり、子供を人質に取った教師が行う最悪の行為です。それがたとえスポーツの順位を上げるとしても、筋肉増強剤であるステロイドを選手が服用することと同じで選手自身に悪影響を与えます。体罰の悪影響は、その循環を生む事です。体罰で育った生徒は体罰を容認します。自身に受けた体罰を次の世代や周りの人に与えて何の罪悪感も感じません。その行き着く先が被害者の自殺です。そこまで行かなくても、暴力行為にたまらず転校した生徒はゼロではありません。ステロイドは心臓を蝕む薬で選手の寿命を縮めるため、ルールとして禁止されています。体罰は学校のルールで禁止されているにも関わらず、それが無くならないのは体罰を受けた世代が容認しているからです。この悪循環をどこかで断ち切らなければなりません。体罰がないとスポーツで勝てないという指導者は、ステロイドを服用しないと勝てないと言っている選手と同じです。それは二流の指導者や選手がやることです。さらにそうした指導者や選手を見て見ぬ振りをする周りの大人は共犯者です。こうした高校に通う、他の世界を知らない子供たちが可哀想でなりません。

2013年1月23日水曜日

機会平等と結果平等

日本国憲法14条に「法の下の平等」という決まりがあります。これは人を差別してはいけない、という決まりで、人種、信条、性別での差別を禁じています。また貴族制度を否定し、勲章などは一代限り有効としています。これにはぜひ年齢による差別も禁止するという文言がほしい所です。それでもアメリカの人種差別の歴史からみると、これは実に画期的な条文です。その意味するところは機会平等であり、それぞれの努力を否定するものではありません。ケネディ大統領もかつて life is unfair と言っています。ある者は大統領になり、ある者は乞食になります。人生が平等だとは誰も思っていないでしょう。でも会社員の給料は何で決まるべきでしょうか。青色発光ダイオードで有名な中村修二氏が起こした訴訟は日本でも有名です。会社員はどんなに利益を上げても他の社員と同じ給料を貰うべきでしょうか、それとも会社への貢献度に応じた給料をもらうべきでしょうか。前者は結果の平等を目指し、後者は機会の平等を目指します。日本の労働組合はおおむね結果の平等を採用しました。終身雇用で敗者復活が難しい日本では、結果の平等が大多数の国民の希望でしょう。「出る杭は打たれる」という諺があるくらいですから、日本ではあまり目立たずに群れの中で大人しく暮らす事が良いとされています。また群れの平均値から外れる者を排除することで群れの平和を守ろうとします。機会平等と結果平等は相反する関係にあり、その選択は国のあり方を決めてしまいます。

2013年1月14日月曜日

人柱社会

誰かの怠慢により死亡者が出るまで問題が隠蔽される社会を、マサは「人柱社会」(ひとばしらしゃかい)と呼んでいます。残念ながらこれは日本とアメリカに共通する現象です。日本の笹子トンネルの事故は、点検を手抜きしたことが直接の原因です。アメリカの小学校における銃乱射事件は、銃規制が政治家の怠慢により進まないことが原因です。ではなぜこうした怠慢が起きるのでしょうか。ここから先は100%マサの個人的な意見です。仕事にはお金を目的としてやるものと、そうでないものがあります。大人はほとんどの人がお金を目的として仕事しています。自分の仕事の社会的評価がお金ですから、当然といえば当然です。ところが好きでもないのにお金を目的として仕事をすると、なるべくその仕事を減らそうとします。もし嫌いな仕事なら、やらないで済まそうとします。やったふりだけしてお金をもらう人もいます。犯人のでっち上げ、証拠の改ざんなど最近はそうした手抜きが横行しています。こうした怠慢の結果として誰かが犠牲になります。仕事は「やりたいこと」で「十分なお金をもらえて」かつ「できること」が理想です。やりたくない事をお金のためにやる人がいる限り、手抜き仕事は減りません。でも仕事の結果を可視化できれば、犠牲者が出る前に他の人が問題に気づくこともあります。仕事の可視化は「人柱社会」への解決法のひとつです。

2013年1月7日月曜日

ムダの定義

増税の話になると毎回出てくるのが税金のムダを減らせという要求です。でも何が税金のムダなのか明確な定義はありません。国民の過半数が納得できて、しかも数字で表せる定義がないとムダは減りません。前にも書いたように、税金は払う方からすればムダでも、もらう方からすればムダではありません。年金に年間10兆円を税金からつぎ込むのはムダでしょうか。生活保護者の医療費を全額税金から払うのはムダでしょうか。公立教育を税金で行うのはムダでしょうか。エコカー減税やエコポイントに税金を回すのはムダでしょうか。救急車を税金で運営するのはムダでしょうか。原子力発電所をかかえる自治体に税金を渡すのはムダでしょうか。ガソリン税で道路を作るのはムダでしょうか。使わない空港を作るのはムダでしょうか。そもそも税金とは投資と利益の関係で評価するべきものでしょうか。その場合は誰が責任をもって利益を見積もるのでしょうか。本当の「仕分け」には明確なムダの定義が必要であり、それを決めるのは政治家の仕事です。この問題に正解はありません。

2013年1月1日火曜日

ライバルは

日本の貿易赤字の半分以上は対中国です。日本がたくさん中国から物を買っているのに、中国は日本からあまり買っていません。日本は何を中国に売る事ができるでしょうか。逆に日本は何を中国からそんなにたくさん買っているのでしょうか。100円ショプの商品はほとんどが中国製です。ユニクロもそうです。野菜も日持ちするタマネギとかゴボウは中国産が多そうです。中国は人件費が日本よりはるかに安いので、人手がかかる物は中国製の方が安くなります。日本の人は、公務員を除く全員が中国など外国との競争に曝されていることに早く気づいてほしいと思います。もう日本人同士で楽しく利益を分けあう時代ではありません。民間の企業はすべて海外の企業と競争しています。日本で働く人は賃金の安い海外の人に勝たねばなりません。日本は今や世界で一番人件費の高い国です。でもエネルギーと食料を海外から輸入しなければいけない日本には円高は好都合です。中国や韓国など海外が強くなった分だけ日本も強くならねばなりません。日本企業は内部留保を使って海外の企業買収を進め、海外の企業から世界で勝負する術を学ぶ時です。日本の公立教育は、海外との競争に勝てる意欲的な人間を生み出していません。群れの中なら安全と思っている日本人は、その群れが周りからどんどん侵食されている現実に目をつぶっています。世界経済というゲームで日本は勝てますか。