2011年12月28日水曜日

想定外の一年

2011年がもう終わります。幸いマサの身の回りでの想定外は無かったものの、海の向こうの日本では3月の東日本大震災と大津波、福島の原発事故、さらには円高とヨーロッパの経済危機など想定外の出来事がありました。マサは今回初めて津波の恐ろしさを目の当たりにしてびっくりしました。日本は地震の巣の上にある国であることもよく分かりました。シリコンバレーのあるカリフォルニア州は地震の多い土地です。アメリカは東側が比較的安定した土地なのに対して西側ではよく地震があります。火山が多いのもカリフォルニア州のある西側です。その西側にも複数の原発があります。その一つを題材にして1979年に作られた映画がチャイナ・シンドロームです。マサは今年初めてこの映画をDVDで観ました。この映画は実は炉心溶融といった原発の危険性よりも、原発産業の閉鎖性を問題にしています。残念ながら、この構図は日本にもそのまま当てはまります。誰かが「原子力は安全だ」と言ってしまったために、それに反する情報はすべて隠蔽されるか無視されてきました。その結果が福島の原発事故です。アメリカの原発事故はスリーマイル島事故の前にも沢山あり、「原子力は危険だ」という認識が1979年のアメリカにはありました。アメリカや旧ソ連で起きた原発事故が日本でも起きる可能性は十分あったのに、マサを含め日本人の大部分はそれを無視しました。2004年の「東京原発」という日本映画は話題にもなっていません。こうした閉鎖性が続く限り、日本が抱えている問題は何一つ解決しないだろうと考えさせられた一年でした。

2011年12月24日土曜日

院生と企業

日本の企業は人をとってから仕事を割り当てるので、どんな仕事でも文句を言わずにやってくれる「色のついていない」人を好みます。新卒が好まれるのもこのためです。修士や博士は「この仕事がやりたい」とはっきりしているので、企業としては使いにくい存在です。まだ修士なら若いので説得できますが、博士となると30歳前後なので企業は嫌います。その結果日本では大学院に進む人がアメリカに比べ少なく、高学歴の人が人口の割に少ない国となっています。逆にアメリカではまず職ありきでその仕事に必要な人を採用するので、逆に新卒は仕事の経験がないため不利です。修士や博士はその仕事に役立つと判断されれば学士より好まれます。そのかわり会社の方針が変わってその仕事が不要になれば、優秀な人でも手切れ金とともに首になります。自分のやりたい事を我慢してでも会社にしがみつこうとする人はいません。会社の他部門の求人に自分と合うものがあれば面接試験を受けに行きます。なければサヨナラです。日本は終身雇用という建前があるので、正社員を簡単に首にすることができません。変化の激しい時代にどちらの企業が有利かと言えば、残念ながらアメリカ型となります。アップルがiPhoneを発表する数年前、アップルは携帯電話技術者の求人を沢山出していました。アメリカでは企業の求人広告をみればその企業が進む方向が分かります。こうした変わり身の速いアメリカ企業に、終身雇用制の日本企業が勝てるでしょうか。博士など高学歴の人が少ない国が世界をリードする国になるでしょうか。答えはどちらも否だというのがマサの意見です。日本企業は競争相手の姿を知らないまま戦略なしに戦って、そのあげく価格競争に負けています。はっきり言えば日本の製造業は今後の日本の雇用の中心ではありません。それでも製造業に残る会社には、せめて他では真似のできない魅力的な製品を作ってもらいたいものです。

2011年12月13日火曜日

日本への3つの提言

日本にいないマサが言うのもなんですが、日本の政治が迷走中なので分かりやすい3つの提言で日本に元気を取り戻したい思います。まず第一に「議論は本音で」しましょう。議論で建前を言う人間は時間のムダなので議論に呼びません。そんな人間に権力を握らせたら日本は没落します。第二に「投票率が半分以下の選挙は無効」にしましょう。半分以下では民意を反映していないので、投票率が50%を超えるまで何回でもやります。そして第三に「公立教育の目的」を国民レベルではっきり決めましょう。税金を使う教育ですから、国民の過半数が同意する必要があります。日本の最大の資源は人なので、公立教育は国として最も大切な投資のはずです。ここで目的と手段を混同してはいけません。ゆとり教育は国際競争力のない日本人を増やしました。本当は教師ひとりあたりの生徒数を半分にして、教育レベルを上げるべきでした。貿易立国として人の国際競争力も避けて通れない問題です。教育は結果が現れるのに10年以上かかります。もはや先送りしている時間はありません。私立校はお金を払える人が行きますので、それぞれの学校で違う目的で教育しても問題ありません。でも実際には公立校に行く人が国民の大部分ですので、「公立教育の目的」をはっきり決めて全体の方向をそろえないと、日本はますます他の国に人材の点で負けます。

2011年12月1日木曜日

派遣労働者

派遣労働者や期間限定従業員という働き方が日本にあります。アメリカにも似たような労働形態としてコントラクタというものがあります。正社員とちがって、コントラクタは同じ会社に連続して1年以上働く事ができません。コントラクタは臨時の仕事をするために雇うので、1年以上続く仕事は臨時ではないからです。例えば女性従業員が出産で半年休む場合など、代わりにコントラクタの人に来てもらうことがあります。法律には詳しくないので、期間限定従業員がアメリカで可能かどうかは分かりません。でも農業の分野では収穫時に大量の不法移民を使っていると聞きます。こうした人たちは季節とともに南から北へと移動するそうです。日本の派遣労働者は複数年に渡り同じ会社で正社員のように週40時間働くという点でアメリカと異なります。日本の派遣や期間限定労働の問題点は、それが臨時雇いではなく安価な非正社員労働者とみなされていることです。会社はなるべく固定費を減らそうとしますから、正社員の数をぎりぎりまで削り、残りは派遣でこなします。でも日本全体としてみればこれは国民のためになりません。個々の会社にとっての正解が全体の正解にはならない典型的な例です。ぎりぎりまで削られた正社員は長時間労働を強いられ、少子化を招きます。派遣社員は正社員と同じ仕事でも給料が安いので国に納める所得税が減ります。安い給料では結婚もできないので、ますます人口が減ります。ビジネスの戦略的見直しよりも派遣の雇い止めの方がコストカットとして簡単なので、会社の構造改革に結びつきません。こうして国全体としてだんだん国際競争力を失って行きます。1年以上継続して仕事をしてもらう場合、正社員として雇わなければいけないという法律に日本もすべきでしょう。もちろん裏をかく方法はあるので完全ではありませんが、派遣労働という働き方にはその期間に1年未満という上限を設けるべきです。派遣労働を増やすのは日本の国民のためにならない、というのがマサの意見です。