2016年12月23日金曜日

自動運転と高速道路

グーグルの地元マウンテン・ビュー市ではグーグルの自動運転の車をよく見かけます。町中を走っているこの車には必ず実験を担当する人間が乗っていて、いろいろなデータを集めているそうです。面白いことに、この自動運転の車が近くの高速道路を走っているのは見たことがありません。つまりグーグルの自動運転車はまだ高速道路は走れないようです。先頃グーグルが自動運転のタクシーを始めると発表しました。これは町中を走るタクシーという事でしょうか。混雑した高速道路を走るのは確かに自動運転にとって相当難しいと思います。日本では日産が高速道路を走る半自動運転を始めるということなので、日本とアメリカの違いとして面白いと思います。高速道路を走れない自動運転車だとタクシーとしてあまり役立たないのではと気になります。グーグルは完全自動運転を目指しているので、日産とは目指す方向が違うのでしょう。

2016年12月17日土曜日

AIに何を教えるのか

AIは学習する事で知識を増やします。では何をAIに教えるのでしょう。先ごろあったマイクロソフトの事件を覚えていますか。チャットするAIのテイは利用者との会話から知識を増やします。ところが悪意をもった利用者がテイに人種差別的な意見を大量に教えたため、テイはそれを学習して人種差別的なツイートを始めるようになりました。これに気がついたマイクロソフトはすぐテイをインターネットから切り離したので、その後このAIがどうなったかは知りません。でもこの事件から得られる教訓は、AIは素直な子供のように良いことも悪いこともすべて同じように学習するという点です。するとAIに何を教えるのかというのが大切な問いになってきます。たとえば宗教はどうでしょう。AIに宗教を教えるべきですか。教えるとしたらどの宗教ですか。戦争はいけない事ですか。それなら今なぜ中東に戦争があるのでしょう。こうした疑問には答えが複数あり、唯一の正解はありません。学習型AIには何を教えたらいいでしょうか。

2016年12月13日火曜日

人工知能についての誤解その3

話題の機械学習には報酬が必要です。囲碁やチェスならゲームの勝ち負けが簡単に判断できるので、勝てば報酬がもらえる(勝った方のプレーヤーの経験値が増える)という形で機械学習を行います。この場合機械に何を報酬として与えるかは学習結果に大きく影響するので、人間に役立つ人工知能を作るには報酬の条件を適切に決める必要があります。その際には善悪の判断も必要で、報酬の条件を間違えると人間に有害な人工知能ができてしまいます。人工知能が進むと人間の仕事がなくなるというのは誤解で、むしろ人工知能を使って何をするかを考える仕事や、人工知能に適切な条件を与えて学習させる教師のような仕事が生まれます。かつてパソコンがソロバンに取って代わったように、仕事に使う道具は常に変化しています。人工知能はあくまでも道具なので、その使い方を学べば人間の仕事がなくなる事はありません。

2016年12月10日土曜日

人工知能についての誤解その2

囲碁の世界で人工知能が人間に勝ったというニュースがありました。チェスの世界ではもっと前から人工知能が人間に勝っています。こうしたゲームは勝敗に関わる情報がプレーヤーに完全に見えているので、機械学習を駆使して、人間より経験豊富な人工知能プレーヤーを養成することができます。デジタル化されたすべての定石を覚え、さらに人工知能プレーヤー同士を高速度で対戦させれば、人間の数千倍の経験をもつ人工知能プレーヤーを作る事は今でも可能です。つまりこうしたゲームで人工知能に人間が勝つ見込みは今後ありません。でもそれはゲームという特殊な状況だけに限定されます。「勝敗に関わる情報がプレーヤーに完全に見えている」という状況は実社会の状況とは違います。例えば車の自動運転をする人工知能があるとします。この人工知能は安全で便利な運転に必要なすべての情報を持っているでしょうか。住宅地では子供が車の影から飛び出すかもしれません。高速道路では逆行する車があるかもしれません。不完全な情報のもとで決断を下す以上、常に最上の決断を下すことは人工知能にも不可能です。人工知能にできる事は、住宅地ではゆっくり走るとか、高速道路で逆行する車を見つけたらすぐ路肩に止まるぐらいです。実社会のすべての状況変化に適応できる人工知能はありません。

2016年12月6日火曜日

人工知能についての誤解その1

レイ・カーツワイルという未来学者がその著書「シンギュラリティは近い」という本で紹介した「シンギュラリティ」という言葉は、ひとつのコンピュータが持つ計算能力がひとりの人間の脳をシミュレーションするのに十分なレベルに達する状況を表します。ここにはまず脳をコンピュータがシミュレーションできるという仮定があり、次にその方法を人間が知っているという仮定があります。もしこのふたつの仮定が成立する場合、2045年にコンピュータ技術がシンギュラリティに到達するというのがカーツワイルの予測です。これに対してよくある誤解は、2045年には人工知能が進歩して人間の知能を超えるというものです。今の人工知能は脳のシミュレーションではありませんし、そもそも脳を100%シミュレーションする方法は分かっていません。たとえ分かったとしても、空っぽの脳を作れるだけです。計算能力だけでは人間を超える知能はできません。

2016年12月1日木曜日

国債は将来世代からの借金

世の中にはおめでたい人がいます。国債は将来世代からの借金だという事を忘れて、日銀が国債を全部買い取れば良いという人がいます。日銀がお札を大量に刷って日本の国債を全部買い取ると、どんな事が起きるでしょうか。日本の国債残高は既に1000兆円を超えています。これは今のお札の発行残高とほぼ同じです。つまり日銀が日本の国債を全部買うためには、世の中に出回っているお札の量を倍にしないといけません。これはつまり短期間に円の価値を半分にするという事ですから、1ドルが200円を超える円安を招きます。輸入物価が跳ね上がり、とんでもないインフレを引き起こします。お金の価値が半減するので、タンス預金もその価値が半減します。輸出企業は売り上げをドルで受け取るので、日本円に換算すると売り上げは倍になります。でも円の価値が半減しているので、日本でそのお金を使う限りプラス・マイナス・ゼロです。もともと国債は将来世代からの借金なので、いくら増やしても今を生きている人に不便はありません。将来世代が北海道夕張市のような緊縮財政を強いられるという意味で、国債は世代間の争いとなっています。

2016年11月13日日曜日

毎月勤労統計調査

今年の2月から対前年同月比で日本の実質賃金がわずかに上昇しており、これ自体は良いニュースです。ところがその内容を詳しく見ると、二つの問題点が見えてきます。まず第一に実質賃金の経年変化です。日本政府が出す毎月勤労統計調査というエクセルをみると、2010年平均を100とする実質賃金指数は2016年8月において95・4となっています。2015年8月が94・7でしたから、8月は確かに0・7ポイント上昇しています。でも2010年に較べるとずっと下のままです。2011年だけ100を超えたものの、その次の年から実質賃金指数はずっと100を下回っています。また今年の2月からの対前年同月比での上昇分は、大部分が物価下落のおかげという事実です。例えば2016年9月の実質賃金は前年同月比で0・9%伸びました。これは消費者物価指数が0・6%下落した分を含むので、この一年で労働者の賃金は0・3%しか上がっておらず、主に物価が下がった分だけ実質賃金が上がったという事が分かります。人口が減る日本で経済成長するのがいかに難しいかは、こうした数字を見るとよく分かります。

2016年11月6日日曜日

残業月100時間とは

かつて日本のIT企業で働いたことのある筆者には分かります。残業が月に100時間というのは日本のこの業界では普通です。これがどのくらい惨めな生活かと言うと、ひと月が4週間として毎週25時間の残業なので、平日は毎日11時間働いて平日の残業が計15時間になり、それに週末10時間の出社が加わります。残りの一日も疲れているので、昼まで寝てから洗濯と掃除を済ませて、夕方に本でも読めれば良い方です。馬車馬のように働かされてお金をもらっても、自分に投資する時間的余裕がないので、もし体を壊して働けなくなれば人生の終わりです。こうした働き方をしているサラリーマンは、東京では珍しくありません。将来に希望も持てず、会社と自宅の往復だけで職業人生が終わってしまいます。この悪循環から抜け出すには、サラリーマンを辞めるしか手がありません。独身ならいざ知らず、結婚して子供もいればまず無理でしょう。過労死として労災が出る月80時間超の残業をなるべくしない、これがあなたの身を守ります。大人なら誰にでも自分に素直に生きる権利があります。せっかく大学まで出たのに社畜として一生を終えたいですか。

2016年10月22日土曜日

敗者復活

日本とアメリカの最大の違いは何でしょう。筆者の意見では、日本では就職のチャンスが一生に一度しかなく、人生が一本道だという点です。終身雇用と年功序列という制度の下では、敗者復活は容易ではありません。たまたま入った会社が自分に合わなかったり、ブラック企業だったりしても、その会社をやめて新しい会社に入るには壁があります。日本では新卒が優遇される反面、中途採用には即戦力が求められるため、前職で十分なトレーニングや経験を積んでいない人には不利です。つまり敗者復活が難しいのが日本です。これとは対象的に、アメリカの新卒は就職において最も不利な立場にあります。アメリカには終身雇用もなければ年功序列もないので、基本的にすべてが中途採用です。このため働いた経験のない新卒は最も価値が低い求職者となります。ただし、日本と違って前職で十分なトレーニングや経験を積んでいない人でも、大学に再度入って仕事の知識を学んだりインターンを通じて経験を積むことで、比較的容易に敗者復活を遂げることができます。また同じ仕事の分野でより待遇の良い会社に移ることは当然と見なされるので、たまたま入った会社が自分に合わなかったり、ブラック企業だったりしても、その会社をやめて新しい会社に入るのは普通の事とされます。このように敗者復活が容易であれば、その道の経験者がスタートアップ企業に就職するケースも多くなり、新しい会社が成功する確率が高まります。アメリカには過労死や社畜もありません。どちらが働く人にとって生きやすい社会でしょうか。

2016年10月13日木曜日

長時間労働の欠点

日本の長時間労働は国際的に有名になりつつあります。日本で働く外国人が増えたためでしょう。ユーチューブにも毎日の残業で疲れたサラリーマンを描写した作品[^1]があります。アメリカのIT企業でエンジニアをしている筆者は、午後6時には誰もいなくなるオフィスにすっかり慣れてしまったので、日本の長時間労働の欠点を思い出すのに苦労しました。まず長い時間働くと疲れが溜まって頭が回らなくなります。新しいアイデアが浮かばず、目の前の問題をとりあえず解消する仕事ばかりになります。英語でいうfirefightingばかりです。次に家族との関係が悪化して離婚の危機にさらされます。子育てに回す時間がないので、少子化を招きます。健康を害して仕事ができなくなる危険もあります。これだけの欠点がありながら長時間労働が減らない理由はふたつあり、残業をすればするほど月給が増えるという賃金の仕組みと、人に仕事を割り当てるという日本の労働形態が大きな原因です。前者は年収ベースの賃金に変えて、どれだけ残業しても賃金は増えないという労働契約を結べば変えられます。ところが後者は日本の年功序列や団体主義と結びついているので、そう簡単に変えることができません。人の仕事の範囲が決まっていないので、時間のある人は他の人の仕事までやらなければなりません。効率良く自分の仕事を終わらせても、その分早く帰宅できるのでなければ、かえってたくさんの仕事を押しつけられてしまうので、効率良く仕事を終わらせようという気持ちになりません。アメリカのように仕事に人を割り当てる動労形態なら仕事の縄張りがきっちり決まっているので、自分の仕事さえ効率良く終わらせれば大手を振って帰宅できます。それでもアメリカの方が日本より生産性が倍も高いので、日本の長時間労働が何の役に立つのか筆者には不思議で仕方ありません。

^1: https://www.youtube.com/watch?v=po8IPh64rVM

2016年10月8日土曜日

二重国籍

国により国籍についての考え方が違います。でも二重国籍を法律上許すかどうかで世界の国々はふたつのグループに分かれます。アメリカ、カナダ、フランス、韓国などは二重国籍を認め、外国籍を維持したままその国の国籍を取る事が可能です。いっぽう日本や中国その他の国は二重国籍を認めず、国籍はひとつしか選べません。日本は人口減少に悩み、海外からの高度な人材を必要としています。それに日本が好きで日本に一生住み続けるつもりの人でも、母国の国籍を失いたくない人は大勢います。国籍を一つに限ることで日本にどんな国益があるのでしょうか。日本で働き税金を納めていても、日本の国籍がなければ政治に参加できません。もし同じ能力の人が日本とアメリカを較べたら、二重国籍を認めているアメリカは日本より魅力があります。日本よりアメリカの方が給料が良いし、労働時間も少なくて済みます。日本はなぜ二重国籍を認めないのか不思議で仕方ありません。法律が現状にそぐわないなら変えるのが議員の仕事です。移民を語る上で二重国籍は避けて通れない問題です。

2016年9月25日日曜日

笛吹けど踊らず

日銀の「総括的な検証」を読むと、物価の年率2%上昇に失敗した理由として「原油安」の他に「国民が日銀の言う未来を信じなかった」という意味の事が書かれています。つまり「笛吹けど踊らず」です。人口が減り、国債という国民の借金は増え、消費税という税金も増えるという状況で、これから(なぜか)景気が良くなると信じて支出を増やす人がいなかった、という当たり前の結果です。原因と結果を逆に考えるからこうなります。需要が増えて供給が追いつかないから物価が上がるのであって、円安を起こして(輸入)物価を上げても需要は増えません。賃金が上がらなければ消費は増えないし、人口が増えなければ需要は増えません。円安のため海外からの観光客が増えたのは良いとしても、人口を増やす抜本的な政策がなければ、もう日銀にできる事はありません。少子高齢化は国の根本に関わる大問題です。税金を払う人が減り、税金をもらう人が増える日本で、国債にいつまで頼るのか、日本政府にその答えはありません。

2016年9月2日金曜日

アメリカの雇用問題

先日読んだ本 [^1]によると、アメリカの被雇用者数は2000年から2010年の10年間でちっとも増えなかったそうです。その原因はふたつ指摘されていて、この10年間に海外へ仕事のアウトソーシングが進んだためと、今まで人間がやっていた仕事をコンピュータなど機械がやるようになったためです。当時もシリコン・バレーでエンジニアをしていた筆者には納得できる話です。今と違いソフトウェア・エンジニアの仕事はどんどん中国とインドにアウトソースされていました。2005年のある日、勤めていた会社のCTOが「design on shore, implement off shore」と言うのを壁越しに偶然聞いてしまい、驚いた事もありました。コストカットが厳しく、アメリカで一人雇うお金があればインドで三人雇えるとも言ってました。インターネットのおかげで海外との通信費がほぼタダになり、アメリカのIT会社がこぞってインドに拠点を作っていた時代です。AT&Tのカスタマー・サポートの電話もインドに転送され、インドなまりの英語を話すオペレーターと戦わなくてはなりませんでした。数年後そうした電話は機械が回答するようになり、人減らしが進んだ事がうかがえました。

^1: ロボットの脅威 https://www.amazon.co.jp/dp/B01B2Q2BWK

2016年8月15日月曜日

脳死判断

日本だと医者が子供の脳死判定をするには保護者の承諾が必要です。つまり家族に脳死判定を始める権利があります。でもアメリカの保護者にはこの権利がありません。医者に脳死判定を始める権利があり、その結果を受け入れるかどうかは保護者が決めます。まだ子供の体が生きていて心臓も動くのに、脳死判定を始めろと保護者が言うのは感情的に無理です。これが日本で子供の臓器移植が進まない理由です。何億円もの大金を使ってアメリカで臓器移植を受ける日本の子供は珍しくありません。アメリカの子供の臓器は決して余っているわけではなく、それだけの大金を払える患者が少ないだけです。アメリカからみると、日本はお金に物を言わせて命を買いに来ているように見えます。日本も法律を変えて、医者に脳死判定を始める権利を持たせるべきでしょう。たとえ脳死と判定されても、それに同意するかどうかは保護者が決めます。移植が必要な子供が何億円もの大金を用意しなくても、日本で臓器移植が受けられる時代になってほしいと思います。

2016年8月9日火曜日

訪問者中心

日本の観光名所には訪問者中心、英語でいう visitor center がありません。これはもったいない話です。アメリカだと国立公園には必ず visitor center があって、無料地図を配ったり、トイレがあったり、ボランティアによるガイド付きツアーの集合場所になったりしています。海外からの観光客は観光名所にこうした visitor center があると期待するので、これがないとガッカリします。博物館やギフト・ショップを兼ねている所もあります。日本の観光名所にもアメリカのようなビジター・センターがあるといいなと筆者は思います。国立公園だけでなく、お城や都市などの観光名所にも欲しいところです。観光客がまず最初に立ち寄る場所なので、観光名所の入り口や最寄りの駅付近に作ると便利です。

2016年8月1日月曜日

商品に英語の説明書を

7月に上野の国立博物館を訪れました。ここの本館には大きなギフト・ショップがあり、多数の外国人がお土産を物色していました。ところが肝心の商品には日本語の説明書しか付属していません。これは一体どうしたことでしょうか。例として挙げるなら、「根付」はキー・ホルダーなど手軽なギフトとして外国でも人気があります。でも付属の説明は日本語だけです。英語の説明も付ければギフトとしてもっと喜ばれること間違いありません。国立博物館には多数の外国人旅行者が訪れるため、すべての商品に日本語と英語の説明書を付けて欲しいと思います。

2016年7月23日土曜日

日本の弱点

日本の弱点とは総論として合理的な決断ができない事です。各論賛成でも総論反対となって解決できない問題が日本には多すぎます。例えばこの暑いのに、長袖のシャツを着て長袖の上着を持って歩く営業職の服装です。日本の夏はハワイ並みに暑いので、アロハシャツを正装にすればいいのに、夏でも涼しいイギリスの真似をして長袖の上着を着てます。同じイギリス系を真似するなら、暑いオーストラリアの半袖半ズボンの正装を真似してもいいのでは? これだけ暑いのに何で長袖の上着に固執するのでしょう。沖縄並みに暑い東京では、かりゆしを夏の正装にしてもいいくらいです。それぞれの人は簡素な服装に賛成なのに、ひとりでも反対だと合理的な決断ができません。それが日本の弱点です。

2016年7月16日土曜日

家の買い方

アメリカの家は中古を買うのが普通で、新築はほとんどありません。その中古の家の買い方がアメリカと日本とでは大きく違うので、今回はこの家の買い方を取り上げます。まず日本の中古の家は、仲介する不動産会社が査定した値段を付けて売り出します。家の年数、駅からの距離、土地の広さや家の面積などでほぼ決まる値段です。これを見た買い手が不動産会社に連絡し、物件を見て気に入れば手付け金を入れます。ここでは時間的に早いもの順に買う権利があります。これに対してアメリカだと、買い手は査定した値段を参考に入札します。売り手は複数の買い手の中から一番条件の良い買い手を選び、契約を結びます。つまり早いもの順ではなく、より高い値段を出した買い手の順です。このほか買い手がローンを組むのか、それとも全額現金で払うのかという差も順番に影響します。アメリカの家は投資物件というのが常識なので、売り手は自分の家を改装してより高く売ろうとします。人口が増えている場所では家の値段も必ず上がるので、家が自宅ならば節税しながら投資ができます。

2016年7月8日金曜日

移民の問題

移民は基本的に本国で食えない人たちなので、経済的に貧しい国から経済的に豊かな国へと人が動きます。また移民は言葉が喋れなかったり教育がないなどの理由で、最初は安い賃金の仕事に就きます。新天地を求めて来ているので、大半の移民はよく働きます。すると今までそうした賃金の仕事をしてきた人たちから仕事を奪うようになります。つまり移民は格差を広げる働きがあるので、その格差を縮める仕組みがないと社会不安が高まります。貧富の差が激しい国では犯罪率も高く、住みよい国とはなりません。一定期間に社会が受け入れる事のできる移民の数は割と少ないので、日本では結婚できる人の数を増やしたり、夫婦がもつ子供の数を増やす政策で日本人を増やす必要があります。つまり老人ではなく若者にもっと税金を使えという事です。

2016年7月3日日曜日

ATMカードと現地通貨

アメリカのATMカードにはPLUSとかCirrusのようなロゴが裏に印刷してあって、アメリカ以外の国でも現地の銀行が持つATMで自分の口座から現地通貨を引き出すことができます。たとえば筆者もギリシャに旅行したとき、現地で自分のドル口座からユーロを引き出す事ができました。もちろん引き出し手数料は取られるし、業者が決めたその日のレートでドルを現地通貨に換算するので、民間の両替商よりコストが安いとは限りません。それでも必要な時にすぐATMから現地通貨を得られるのは便利です。筆者の口座は一日につき引き出せる現金の限度額が300ドルなので、これを超える額を引き出そうとすると失敗します。日本の銀行でもこうしたサービスをやっているところがあるので、カードによっては海外で現地通貨を引き出すことができるでしょう。逆に外国人が日本で外国のカードを使って円を引き出す場合は、郵貯銀行やコンビニのATMが良いそうです。

2016年6月26日日曜日

将来が楽しみなハッカー少年

こちらのニュース[^1]によると、日本にも高い能力をもった若いハッカーがいるようです。まだ高校生ということで、ぜひ周りの大人が正しく世の中のためになる方向にこの少年を導いてほしいものです。この分野でメシを食う筆者に言わせれば、「佐賀県が運営する教育情報システム『SEI―Net』」のセキュリティが弱すぎるのであって、この少年に悪意は認められません。抜いた情報を売って不当な利益を得た形跡もないし、むしろ既存システムの脆弱性を教えてくれたと考えるべきです。

^1: http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20160627-OYS1T50000.html

2016年6月19日日曜日

正社員の矛盾

日本の正社員という制度は日本独特のものです。仕事に制限がなく、働く場所にもきまりがありません。つまり正社員とは社畜の事です。上司の命じるままに、時には体を壊すほど働くのが社畜です。日本では正社員の解雇が判例上ほぼ不可能なので、多くの会社で余剰人員を抱えています。(日本のホワイトカラーの生産性がアメリカの半分というのは事実です。)このため中途採用の数が少なく、正社員となった人が退社して別の会社に正社員として働くのは容易ではありません。すると待遇が悪くてもなかなか今の会社を辞められません。本来働く人を守るための判例が、正社員の社畜化を強いるという矛盾が起きています。その上こうした制度では、会社間での適材適所ができません。もはや正社員という制度は時代遅れであり、日本の足かせとなっています。無制限に働く社畜ではなく、仕事に必要な人を必要な場所で雇うため無期限の限定社員を中心にした法律を作り、不要になった人の手切れ金付き解雇を法律で認めて、採用にあたっての年齢(生年月日)や性別、家族構成など仕事と関係のない事実による差別を法律で禁止するのが労使双方にとって有利です。正社員の社畜化を防ぐには、正社員を廃止して無期限の限定社員が中心の雇用にすればいいのです。簡単に会社を移れるようにすれば社畜は消えます。会社間での適材適所も簡単です。ブラック企業や儲からない会社はすぐ淘汰され、儲かる会社に人が移動します。すると収入が増えるので人口増加も期待できます。法人税や所得税が増えるので日本の国債を減らすことができます。

2016年6月11日土曜日

ゴミ箱

日本の街角からゴミ箱が消えて久しいと思います。それとは逆にアメリカの街角には今でもゴミ箱がデンと置かれています。この違いは何だろうと考えて先日思いついたのが、アメリカのゴミ箱は頑丈だという点です。もともと歩道が広いので、厚さ1cmぐらいの鉄の板を曲げて直径50cmぐらいの円筒形のゴミ箱を作り、歩道に置いてあります。ここに爆弾を仕掛けても上に爆風が抜けるだけで、周りに被害はなさそうです。だとすれば日本も頑丈なゴミ箱を作れば良さそうです。ゴミを減らすには包装を簡素化すればいいのであって、ゴミ箱を街角からなくしても不便なだけです。海外からの旅行客の三大不満は、英語が通じない事、無料で登録不要なWifiがお店にない事、それにゴミ箱が街角にない事です。どれも解決可能な問題なのに、この10年で少しも良くなっていません。

2016年6月3日金曜日

自動運転は難しい

グーグルの地元に住んでいるので、家の周りをたくさんの自動運転車がテストのため毎日走り回っています。一日に最低1台はグーグルの自動運転車を見かけるので、自分の経験を元にして言うと自動運転はそう簡単じゃないと言えます。ある交差点で自動運転車が一時停止のあと右折しようとしました。ところがその交差点の右の歩道わきの庭に、穴を掘って水道管の取り替えをやっている人がいました。するとこの自動運転車は右に曲がる方向指示を出したまま、いっこうに動きません。1分ぐらいそのままなので、後ろの車が業を煮やしてクラクションを鳴らしました。テストですから運転者が乗っているので、やっとその車は手動で右に曲がりました。水道工事をしている人を歩行者と間違えて、自動運転車は歩行者が交差点を渡るのをじっと待っていたわけです。グーグルの自動運転車は、歩道にいる人が歩行者なのかどうかが分かりません。安全のため歩行者だと判断すれば、このような状況では車は動けません。人間ならその人が何をしているのか経験からすぐ分かるので、歩行者ではないと判断できます。高速道路とちがって住宅街にはこうした高度な判断が必要です。自動運転の実用化にはまだまだ時間がかかります。

2016年5月27日金曜日

日本は超不景気?

銀座のネオンは消えてますか。通勤電車はガラガラですか。街にホームレスがあふれていますか。そうでなけでば、日本は超不景気ではありません。リーマンショック並み?どこが?日本の株価は日経平均で1万6千円を上回っています。リーマンショックの時は8千円を下回っていました。今やその最安値の2倍以上です。アベノミクスが失敗した事を認めないのは潔くありませんね。ウーバーが走れない国は先進国で日本ぐらいなものです。AirBnBも日本だけ実質不可能です。規制撤廃すれば負ける企業も出るし、一時的に失業者もでます。でもそうしないと、日本の構造改革はできません。もうかる仕事に人を移さないと、日本はじり貧です。

2016年5月13日金曜日

日本人を増やすには

当たり前ですが人口が減る国は滅びます。国の力が落ちれば周りの国に侵略されます。第二次世界大戦末期にソビエトが日本を侵略した事実を思い出してください。人口のデフレという根本原因を放置したまま、経済のインフレだけ起こしても何の解決にもなりません。積極財政や公共支出が不景気に効くのは人口が増えている時だけです。人口が減っている時は、逆に財政を切り詰めて公共支出を減らし、将来の負担を軽くしなければなりません。国民は人口減少と将来への不安からお金を貯めています。老後が心配だから、あるいは2020年の後の日本経済が不安だから貯金しています。しかも今やその利率はほぼゼロです。日本の経済学者にできる事はもうありません。日本人を増やすには移民を受け入れるか出生率を上げるかです。でも移民にはそれなりの社会コストが付随するので、日本の取るべき道は出生率を上げる事です。それには国民年金に流用している年間10兆円の国家予算を、教育の無料化や子供手当の形で子育てに使うべきです。先のない老人ではなく、日本の将来を背負う若者と子供に必要なお金を回してください。今が最後のチャンスです。

2016年5月8日日曜日

タカタ問題

自動車のエアバッグの破裂事故でアメリカでは10人の死亡が確認されました。エアバッグを製造した日本の会社の名前を取って「タカタ問題」と呼ばれています。アメリカは製造者責任に厳しい国です。会社の製品が原因で事故が起きた場合、素早く責任を認めて事故の拡大を防止すれば、その会社はむしろ消費者に信用されます。この好例として取り上げられるのが頭痛解熱薬の「タイレノール事件」です。ところが社長が逃げ回って記者会見に出てこなかったり、責任を認めずに時間稼ぎをするようだと鉄槌が下ります。人間は神様じゃないからミスは許す、でもミスした事を認めない不誠実な人は絶対に許さないという社会風土がアメリカにあります。タカタはどうやらこの社会風土を理解していないようです。こうした下手な危機管理のせいで日本人全体が不誠実だと思われるのは日本の損です。

2016年5月1日日曜日

プログラミングとは

コンピュータのプログラミングとは何でしょう。よく聞く「人間の意図した処理を行うようにコンピュータに指示を与える行為」という定義では不十分です。「処理」という言葉が定義されていないので、これでは本質が分かりません。コンピュータのプログラミングとは、「現実をモデル化し、そのモデルを数式で表して、コンピュータの中に実現する行為」です。平たく言えば、プログラミングとはシミュレーションです。コンピュータは数値計算と論理演算が得意なので、モデルを数式と論理式で表します。つまりプログラミングとは、「現実をモデル化する」と「そのモデルを数式で表す」と「その数式をコンピュータの中に実現する」という3段階の行為からできています。プログラミングの入門書は一般に「その数式をコンピュータの中に実現する」という行為だけ教えるので、「現実をモデル化する」方法と「そのモデルを数式で表す」方法を知りたければ、別の本で学ぶ必要があります。小学生に簡単なプログラミングを教える事はできても、「現実をモデル化する」方法と「そのモデルを数式で表す」方法を小学生に教えるのは難しいと思います。

2016年4月23日土曜日

コンピュータを使う人、使われる人

小学生からプログラミングを教えるという今度の政府の方針[^1]、これを別の角度から捉えてみましょう。すでに中間層の仕事はコンピュータに奪われ始めており、人工知能がこれだけ有名になる前から、これからの労働者はコンピュータを使う人と使われる人に分かれると予想されていました。コンピュータに使われる人とは主に手足を使う仕事をする人です。コンピュータが指示した通りに経路を回り配送業務を行う人、コンピュータが指示した通りに倉庫を移動し商品を集める人、コンピュータが指示した場所でお客を拾うタクシーの運転手などはただちに機械で置き換えられないので、人がやっています。でも賃金が高いのはコンピュータを使う人の方です。政府は税収増加のため働き手を増やすと同時に、賃金の高い仕事に就く人の割合も増やしたいので、コンピュータを使う人を増やしたいと願っています。こう考えると、小学生からプログラミングを教えるというのもアリかと思います。プログラミングといっても「読み・書き・パソコン」の延長上にあり、コンピュータを使う練習のひとつです。

^1: http://www.asahi.com/articles/ASJ4M5D4GJ4MUTIL044.html

2016年4月12日火曜日

不景気の原因

日本の不景気は人口減少が原因です。国内の需要が減るため、国内企業が売り上げをなんとか維持しようと値下げした結果、デフレになりました。デフレは不景気の原因ではなくて結果です。この当たり前の因果関係がなぜか日本経済の専門家には見えていません。経済のモデルには人口増加率が入っているべきで、それがマイナスになるとデフレになるというモデルが日本の現実を表しています。でもそんなモデルは見たことがありません。それは経済の専門家が人口増加率を軽視しているからです。輸出競争力はほぼ円レートで決まります。それに対して国内需要は人口を増やさないと増えません。アベノミクスで円レートをいじった結果、見かけ上インフレが進んでいるように見えます。ではなぜ日本は今だに不景気なのでしょうか。それは国民の実質所得が上がらないからです。より儲かる仕事をする以外に実質所得を上げる方法はありません。産業構造や労働形態の変更を先送りしている間は実質所得は上がらず、不景気が続きます。日本に必要なのは小手先の金融対策ではなく、より儲かる仕事に簡単に人が移れる社会にする構造改革です。儲からない仕事から抜け出せない家電業界は、まさに不景気から抜け出せない日本の象徴です。人口と共に減少する国内市場に頼っていてはダメです。

2016年4月9日土曜日

暖炉と煙突

アメリカの家には必ず暖炉と煙突があります。暖炉で薪を燃やして暖を取る人などまずいない都市部でも、ほとんどの家に暖炉と煙突があります。新しい家だと暖炉に薪ではなくガスを燃やす設備があって、いわば炎を眺める設備となっています。だいたい暖房はガスで室内の空気を暖めて、それを家中のダクトから吹き出すのが普通です。つまりセントラル・ヒーティングです。それなのに新築の家でも暖炉と煙突を設けるのは、合理的かどうかを超えたアメリカの伝統のようです。暖炉がなければ家じゃないという固定観念でしょうか。

2016年3月26日土曜日

日本の個の力

日本の男子サッカーが国際試合で点を取れないとき、よく「個の力」が足りないという話になります。いくらチームワークを良くしても、同じくチームワークの良い相手からは点を取れません。でもそこにドリブルで3人抜いてシュートできる選手がいれば、点を取れます。イザという時にゴールの隅にシュートできる選手は、チームワーク練習からは生まれません。日本はどれだけ周りの人と協力したかが大事な社会なので、個人技を磨く選手は嫌われます。日本人のストライカーが少ない理由は、日本の社会がそうした人を嫌うからです。例えば日本の会社で新卒を募集する場合、人事は回りの人と協調して仕事ができる人を採用します。飛び抜けた能力を持つ人はスタンドプレーをする人として嫌われ、日本では育たないのです。「出る杭は打たれる」という諺が日本の価値観をよく表しています。

2016年3月13日日曜日

日本の投資先

日銀の量的緩和で余ったお金は今のところ主に日銀の当座預金と国内の不動産に回りました。国債と引き換えに銀行にお金を渡しても、誰もが納得する有利な「投資先」はこのふたつしか見当たらないからです。短期的にみればその通りでも、長期的にみれば教育に加えて国産エネルギーに投資するのが一番国民のためになります。原子力が危険なエネルギーであると分かった以上、エネルギーの自給率100%を目指して原子力以外の国産エネルギーに投資するのがベストです。幸い日本は島国で海に囲まれています。という事は海上風力発電をする場所がたくさんあるという事です。海流や潮流を使って発電する事もできます。さらに海底にはメタンガスがメタンハイドレートの形で眠っています。外国から石油や天然ガスを輸入しなくても自国のメタンガスを使える可能性があります。陸上の地熱もまだ開発の余地があります。どうせ国債という借金を増やすなら、今の老人ではなく次世代の日本人に役立つ投資にお金を使ってほしいとマサは思います。今は石油が安くてもいずれ高くなる時が来るので、日本は今こそエネルギーの自給自足に向けて投資しましょう。

2016年3月5日土曜日

雇用の責任

日本ではまだ会社に雇用を守る責任があります。終身雇用という建前のもと、会社は景気が悪くても簡単に正社員をクビにすることは判例上できません。これに対してアメリカの会社にはそうした責任はありません。終身雇用という制度がないので、景気が悪くなれば赤字を減らすため簡単に従業員をレイオフします。つまり手切れ金つき解雇です。このためアメリカでは政府に雇用を守る責任があり、会社にはありません。日本の会社が利益を内部に貯め込むのは、リーマンショックのような不景気に備えて雇用を維持するためだと言われています。不景気になると銀行もお金を貸してくれないので、内部留保をため込んで正社員の雇用責任に備えています。そのかわり日本の会社は非正規労働者を増やしました。日本の労働者の四割が非正規なので、その人たちの雇用は自分で守るしかありません。本来雇用を創り守るのは政府の仕事です。だからハローワークは税金で運営しています。日本の労働形態では会社に雇用を守る責任を押しつけたため、会社の利益が働き手に分配されないという矛盾が起きています。

2016年2月28日日曜日

消費税とアベノミクス

2017年4月に予定されている消費税率アップが話題になっています。アベノミクスがうまく行けば消費税を上げるという事だったので、もし来年の消費税率アップを諦めるならアベノミクスが失敗した事を認めなければなりません。ジレンマですね。景気が上向いていないから消費税率アップを先送りするなら、前回の2015年10月の時と同じ理由による先送りなので、この一年半で何も良くなってないという事になります。アベノミクスが成功しているというなら、来年の消費税率アップを先送りする理由はありません。さてマスコミ各社はこのジレンマを突いてきますかね。経済政策より安保政策を優先した結果です。

3月16日追記
東京新聞が17日付けの社説でこのジレンマを突いてきました。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016031702000144.html

2016年2月20日土曜日

公立保育所

日本にあってアメリカにないものが公立保育所です。日本の公立保育所とは地方自治体が税金を使って運営する保育園のことで、空きがあればゼロ歳児から五歳児まで面倒を見てくれます。これに対してアメリカの五歳児は普通キンダーという公立小学校に併設された幼稚園に通います。でもこれは半日で終わるので保育所とは違います。ではアメリカの親はどこに子供を預けて働くかというど、私立の保育園またはベビーシッターを使います。アメリカには低賃金で働くヒスパニック等の移民が多いので、そうした人たちが自宅を使って保育園を運営したり、顧客の家に行ってベビーシッターとして働きます。払う方は全部私費なので、子供を預けるためのお金と働いて得るお金に大差ない事もあります。それでも働くのは仕事の経験を絶やさないためです。経歴にブランクがあると次の就職に差し支えるのはアメリカも同じ。アメリカの共働きを支えているのは、主に移民のベビーシッターです。

2016年2月8日月曜日

実質賃金4年連続マイナス

東京新聞の2月8日の記事[^1]によると、日本の2015年の働く人一人当たりの実質賃金は0・9%減で、4年連続のマイナスだそうです。つまりアベノミクスとは、国民からお金をかき集めて輸出企業に配っただけ、という事実が政府の数字で裏付けられたわけです。円安が株高と旅行収支の黒字を生み出した事はプラスでも、実質賃金が増えなければ消費は増えません。円安で物価が上がっても、それを上回る賃金の上昇がなければ全体として国民は貧しくなるだけです。経済のデフレは原因ではなく結果であって、量的緩和だろうがマイナス金利だろうが、無理矢理インフレを起こしても今の日本で消費は増えません。人口のデフレという根本原因に切り込まなければ何も解決しないという事です。経済がデフレでも実質賃金が増えれば暮らしは楽になるので、儲からない仕事をやめて儲かる仕事をやるにはどうしたらいいかとか、拡大する海外の市場に日本製品を売り込むにはどうすればいいかなどを、人任せにしないで国民それぞれが真剣に考える時だと思います。

^1: http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016020890140309.html

2016年2月6日土曜日

老人天国

今の日本のことです。これだけ世の中の変化が激しい時代に、国や会社のトップが老人ばかりだと時代に取り残されてしまいます。60歳を過ぎたら、よほど特別な能力がないかぎり普通の仕事では体力的に若い人に負けるので、無理せず後進に道を譲るべきです。日本でリタイアというと仕事をせず暇を持て余している人のイメージがあるため、なかなか老人がリタイアしません。アメリカ人にとってリタイアとは、お金を目的とせず自分のやりたい事をする時期を意味します。第二の人生を楽しむのがリタイアなので、隠居とは違います。例えはヒューレット・パッカード社(HP社)でCEOを務めたジョン・ヤング氏は、1992年にHP社の社長を辞めたあとナパのワイナリーのCEOとなりました。彼は長年ワイン造りという仕事がしたかったそうで、リタイアによって長年の夢を実現したそうです。もちろん彼の給料は大幅ダウンです。それでもリタイアによってやりたい仕事を選んだ彼は幸せ者です。日本のトップの老人は会社の外にやりたい事がないため、いつまでも会社にしがみつこうとします。その上こうした老人が若者のアイデアを潰すので日本は変われません。まさに老人天国です。

2016年1月16日土曜日

日本のGDPが20位

円安の結果予想されていた事とはいえ、2014年の日本国民一人あたりの名目国内総生産GDP(ドルベース)が、OECD内部で過去最低の20位になったというニュース[^1]には衝撃を受けました。引用した日経の記事だと棒グラフで比較できるので、日本のGDPがいかに小さいかが分かります。日本より下位にあるのはイタリア、スペイン、韓国の3国だけで、ここには相互にあまり差がないため、日本が最下位に落ちるのは時間の問題です。GDPが減ったという事は、日本で作られた商品の取引やサービスの売り上げが減ったという事です。日本はいまやイタリアやスペインといった欧州の問題児と同じ国になろうとしています。こうした国では若者の失業率と財政赤字が突出していて、働ける人が働いてお互いを支えるという国の仕組みが崩壊しつつあります。日本の若者の失業率はまだイタリアやスペインほど高くありません。そのかわり累積赤字である債務残高の対GDP比では、日本が230%[^2]とトップを走っています。歴史を見るとこうした国の結末はほぼ同じで、格差が大きくなりすぎて革命が起きるか、あるいは国が弱体化した結果として他国に侵略されます。日本は地理的に中国に近いので、経済的に中国に飲み込まれる可能性があります。TPPでそれを防止できるかどうかは、今後の日本の経済次第です。

^1: http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS25H4Z_V21C15A2EE8000/
^2: https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/007.htm

2016年1月9日土曜日

草刈り機

日本の草刈り機は金属の回転刃を使っているものがあります。これは大変危険な道具で、アメリカでは販売されていません。アメリカの草刈り機は、プラスチックでできた20センチメートルぐらいの紐が回転する円盤に2本ついていて、刃ではなく紐で草の繊維をちぎるようになっています。これだとキックバックが起きないし、人に当たっても軽い打撲で済みます。速く回転する紐が遠心力で伸びて草を切ります。この紐は消耗品なので、ちぎれたら新しい紐に取り替えます。電動丸鋸をカバーなしに振り回すような構造の日本の草刈り機は、危険すぎるので今すぐ法律で禁止するべきです。