2017年7月31日月曜日

富裕層のお金

九州をめぐる列車の旅が100万円とか、腕時計ひとつで200万円とかいう話を聞くと、ホントに日本にはお金が余っている富裕層がいるんだなと感じます。そうした富裕層がお金を使うのは日本の経済には良いことなので、高額列車の旅や実用を超えた値段の腕時計があってもかまいません。ただもしあなたがそうした富裕層のひとりで、使い道のないお金を持て余しているのなら、ぜひあなたのお名前で社会貢献にお金を使ってみてはいかがでしょう。お金が使えるのは生きている間だけです。お金に生き金と死に金があると言ったのは龍馬伝の坂本龍馬です。同じ100万円や200万円でも、人に自慢するために使うのではなく社会に役立つために使えば生き金になります。自分へのご褒美というなら何も言いません。でもそのお金の使い方、生き金になっていますか。

2017年7月22日土曜日

若手の提言

中長期的な日本の社会の在り方に関する次官・若手プロジェクトの提言「不安な個人、立ちすくむ国家」という報告[^1]が経済産業省のサイトにあります。少子高齢化の荒波をもろに受ける世代の提言として、これはとても興味深いものです。政治から中立であろうと努力した若手の苦労も忍ばれます。若者に活躍の場がないというなら、若者の投票率の低さにも言及して欲しかったのですが、それはともかく報告の6ページにある『かつて、人生には目指すべきモデルがあり、 自然と人生設計ができていた。今は、何をやったら「合格」「100点」か分からない中で、 人生100年、自分の生き方を自分で決断しなければならない。』という指摘には苦笑してしまいました。いかにも日本人らしい発想です。一体どんなモデルが目指すべき人生だったのでしょう。60年近く生きてきた筆者は今までそうしたモデルを見たことがありません。もちろんこの報告の骨子はこの部分ではないので、ツッコミはここまでにします。彼らの提言は「年金の支給は75歳にからにして、老人にかかるお金を減らそう」という事であり、少子化を止められない以上、「前期高齢者には働いてもっと税金を納めてもらい、現役世代にもっとお金を回そう」という事です。筆者はこれに異論はありません。そしてその実現には大きな政治力が必要な事も確かです。問題の指摘と解決策の半分はこの報告にあります。残りの半分はその解決策を実現するために必要な政治力をどう手に入れるかです。そうした政治力を少数派の若者に持たせるには、1歳以上のすべての国民に選挙権を与え、その保護者に代理で選挙権を行使させるのが良いと筆者は考えます。ツケを支払う世代にも選挙権を持たせるのは、今のシルバー民主主義を是正する良い方法だと思います。

^1: http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdf

2017年7月15日土曜日

年金は誰が稼ぐのか

日本の会社では新卒を面接して誰を選ぶかを決める一つの基準として、「この人は自分の厚生年金を稼いでくれるのか?」という見方をします。これはなにも厚生年金に限りません。世代間の仕送り制度に基づく国民年金でも同じです。日本のように子持ちに不利な社会では少子化が進み、将来の年金の払い手がいなくなります。保育士の給料を低いままに抑えたり、子供のいる女性を職場から排除するという事を続けた結果が日本の少子化です。そこで世のオジサンたちに質問します。あなたが年老いた時、誰があなたの年金を稼いでくれるのでしょう?

2017年7月8日土曜日

歯科医療の違い

アメリカの歯科医療は予防に力点を置いています。歯周病予防のため半年に一度のクリーニング(歯垢除去)には保険が使えます。加入しているデンタル保険の種類によっては、無料でクリーニングできる事もあります。虫歯を治療する場合、かぶせる物(クラウン)は歯と同じ色のセラミックを使います。日本でよく目にする銀歯はニッケルを含むので、金属アレルギーを避けるため使いません。クラウンの内側は柔らかい金を使い、歯の土台になじむように作ります。歯科治療が日本より高度で高価なため、アメリカ人は子供のころから虫歯にならないよう気を付けていて、毎食後にフロスしたり歯を磨く人は珍しくありません。子供の歯にフッ素を塗るのも保険が使えますし、歯並びが悪いと虫歯になりやすいので、歯の矯正にも年間千ドルまで保険が使えます。

2017年7月1日土曜日

格差拡大のもうひとつの理由

同じぐらいの年収の人の結婚がアメリカで増えています。女性の教育レベルが上がり、収入の高い仕事につく人が増えると、教育レベルや収入が同じ人同士が結婚する事には明らかに利点があります。まずどちらかが仕事を失っても、経済的にはすぐに困る事はありません。健康保険も勤め先を通じてお互いに配偶者として加入しているので、アメリカで失業した時に一番問題になる「健康保険がない」という事は避けられます。また教育レベルが同じなら話も合うし、お互いの知り合いが集まっても話題に困るという事がありません。つまり離婚の可能性がぐっと減るという事です。ところがこの結果カップルの格差が拡大するという新たな問題が起きています。大卒と高卒という組み合わせが減り、大卒と大卒、高卒と高卒というカップルが増えるからです。高卒のカップルの子供が大学に行くのは経済的にとても難しいのがアメリカの現実です。