2010年4月27日火曜日

サイエンス・フェア

日本の夏休みの自由研究というのはどんなもんでしょうか。とにかく何でもいいからやってみて、というノリ。夏休みがそもそも1学期と2学期の間というのがいけないんですね。暑くて勉強にならないから休みにするのに、宿題をだすのが矛盾してます。さて文句はそれくらいにして、サイエンス・フェアが今回のお題です。アメリカの小中学校はこれが好きです。年に1回希望者もしくは全員が理科の勉強の一部として自分でテーマを決めて、3ヶ月ぐらいかけて研究して最後に参加者全員が講堂でポスター発表します。目的は科学的手法を身につけることで、まず自分のテーマに沿った仮説を立てて、それを実験によって肯定または否定します。たとえば「洗剤」をテーマとします。仮説は「値段の高い洗剤ほど汚れが良く落ちる」です。するといろいろな汚れを実際に色々な洗剤で洗って汚れの落ち方を比較します。その結果最初の仮説が肯定されることもあれば、否定されることもあります。仮説が肯定されることが大事なのではなくて、仮説の立て方、実験の仕方、そして最も大事なのが結果の見せ方です。三面鏡のような厚紙にパソコンで打った文やグラフ、表などを貼って自分の研究成果を説明します。これを夜の6時くらいからサイエンス・フェアと称して学校で親に見てもらいます。ポスターを前に担当の子供が説明します。また理科以外の先生や親の中からボランティアを募って優秀賞数名を決めます。この場合公平を期するため先生や親は自分の子供がいない学年を担当します。そうしてなるべく独創的なテーマで科学的手法にそって行われた研究で、さらに上手な発表ができているものを優秀とします。優秀とされた研究にはリボンが付けられて、子供の名前が呼ばれます。学校の成績には直接関係ありませんが、名前が呼ばれることは子供の自信につながります。もっとも、最初のうちは親が半分以上手伝わないと無理でしょう。テーマを決めるにしても、仮説を考えるにしても、そして実験方法を編み出すにしても親の協力なくしては不可能です。そこで親子の対話が必要となり、たいてい父親の出番となります。先生も毎週研究の進み具合を見てくれます。仮説を立てて実験して、仮説を証明する又は棄却するという科学的手法は日本だと高校で勉強するのでしょうか。受験が中心の学校だとこうした勉強はないかもしれませんね。大学で卒業論文を書くときに必要になるはずですが、いかがでしょうか。アメリカのサイエンス・フェア、恐るべし。これを小学校からやってます。

2010年4月18日日曜日

イルカとロボット

イルカとロボットには日本とアメリカの間に大きな価値観の違いがあります。イルカは日本ではただ海にいる動物なのに対して、アメリカでは犬や猫に次ぐペットのような位置を占めています。実際にイルカを飼っている人はいませんが、「わんぱくフリッパー」というテレビドラマのおかげで、イルカに対するアメリカ人の感覚はまるでペットなのです。これとは逆に、ロボットは日本では「鉄腕アトム」にあるような人間の友達として考えられていて、アメリカ人が持つ「ターミネーター」のような人類の敵という見方はありません。アメリカにはロボットの格闘技戦があり、ロボットの兵隊を研究している会社もあります。ひるがえって日本だと、癒しロボットだとか女性型ロボットのようにあくまでも人間の補佐役です。子供のころにみたテレビドラマやアニメが与える影響は意外に強く、世論を左右する力があります。イルカはペットで、ロボットは人類の敵という見方はあくまでもアメリカのものですが、日本人は日本の常識とアメリカの常識がほぼ同じものだと誤解していますので、この差には注意しましょう。

2010年4月9日金曜日

税金

毎年4月になると税金が話題になります。アメリカに住む人は4月15日までに前年の所得を確定申告しなければなりません。給料から所得税は毎月天引きされているものの、控除される経費がアメリカには多いので確定申告することで税金が戻ってくることもままあります。パソコンが普及する以前は、ワラ半紙のような紙に印刷された申告用紙を図書館などでもらってきて、電卓片手に領収書や給与明細を見ながらまる1日かけて記入していました。今はパソコンがありTurboTaxというソフトを使って申告するので、計算はパソコンがやってくれるし、インターネットと電子申告を使えば郵便で書類を送る必要もないので助かっています。アメリカの所得税は日本より多く、ほかに9%強の売上税もあるので実効税率は高めです。毎年昨年の自分の年収を計算し、連邦税と州税が沢山引かれるのを目の当たりにすると、自然と税金の使われ方に厳しくなります。家のローンの利子は控除できますし、株投資での損失も控除できます。ここまでは当然ですが、小額の寄付も控除できます。学校への寄付、NPOへの寄付、教会への寄付など数10ドルの寄付は沢山あり、これらを控除できるのはありがたい仕組みです。寄付される方も寄付する方も喜んでいます。このほかに仕事を探すのにかかった費用や、大学の授業料も控除できる点はアメリカらしいでしょう。日本はサラリーマンだと確定申告をする人は稀ですね。税金の計算をして毎年どれだけ自分が税金を払っているかを自覚すると、税金を支払う者としてその使い道には当然注文を付けたくなります。アメリカ人が政治好きなのはこのあたりにも理由がありそうです。日本では逆に税額をなるべく隠そうとしていますね。消費税は内税にして価格の一部にしてしまうし、サラリーマンからは確定申告する機会を奪っています。税理士でもないかぎり、日本では何がいくらまで控除できるかを知っている一般市民はいないでしょう。マサの意見では今の日本には増税が必要です。子供や孫の世代から借金して、返す気はさらさら無いのが今の日本の有権者ではないでしょうか。このままだと、ある日すべての国内預金が封鎖されるかもしれません。収入の倍の支出を続ける国家は存続できませんから。

2010年4月8日木曜日

保護者遺棄

子供の保育の話です。日本からアメリカにやって来た子連れ夫婦がよくやる失敗がこれ。車で移動すると子供がカーシートで寝てしまうことがあります。すると日本では子供だけ車に残して親が店に買い物に行くことがあります。これはアメリカでは法律違反になります。大人の監視なしに子供だけ車に残すことは保護者遺棄になってしまうのです。同様に子供だけで自宅に留守番をさせるのもダメです。この場合子供とは12歳以下の子供を指します。日本では幼稚園児ぐらいでも家に残して親が出かける事があり、よく子供が火事の犠牲になったり、マンションだとベランダから落ちたりします。アメリカでこれをやると親が逮捕されます。始めはアメリカの法律って厳しいなと思いました。ところが、日本でよく子供が火事や事故の犠牲になったニュースを聞いたり、自分で子供を育てた経験からいえば、アメリカの法律のほうが子供を守るという意味で正しいのです。子供は社会の宝です。税金で公立学校を設けているのは、社会全体でお金を出して次世代を担う子供をちゃんと育てようという意思の表れです。法律も子供にとって何がベストかを考えて作られています。マンションも車なく、家は全部平屋で、隣近所が普通に助け合っていた50年前の日本ならこうした法律は不要でしたが、現代の日本では、子供を車に残したり子供だけで留守番させたりするのは犯罪として取り締まるべきでしょう。これは日本の法律が時代に合っていないことを示しています。児童虐待もそう。アメリカでは子供が異常な泣き方をしていると、隣近所の人が警察に通報します。子供は親の所有物ではなく明日の社会を支える人材なのですから、親の勝手ないじめは犯罪として社会が許さないという考え方です。また見て見ぬふりをしていると、検察官から消極的な共犯者と見なされる可能性もあります。いじめは犯罪であり、法律で処罰するという考え方は日本にも必要ではないでしょうか。保護者遺棄といじめは同じものです。少子化日本が作るべき法律は、子供をそうした保護者遺棄やいじめから守る法律だとマサは思います。