2013年12月26日木曜日

ムラ社会と平等

日本のムラ社会とは、外部の決まりより所属する団体の決まりを優先する人々が営む社会のことです。法律違反と分かっているのに会社の不祥事を隠す会社員は珍しくありません。その見返りとして、団体の中でムラびとは結果平等を保証されています。会社にいるかぎり定年まで終身雇用だからね、という見返りです。会社の外にいる人に何が起きても気にしません。日本の民間企業は円高で他国と較べて高くなりすぎた人件費を削るため、派遣労働者を使いました。ここでの結果平等は正社員にのみ適用され、派遣労働者はムラびととはみなされません。つまり日本の結果平等はあるムラに属する人たちだけに適用される考え方で、国民全体とか人類全体のような大きな単位には適用されません。自分たちだけ良ければいい、という利己主義の結果が今の日本のムラ社会とその中だけに適用される結果平等です。グローバル経済では単価の安い仕事が海外に移るので、日本の収入格差は今後ますます大きくなります。公務員や会社の枠を越えた結果平等を目指すか、または機会平等に舵を切り替えて何度でもやり直せる社会にするかのどちらかにしないと、日本はとても住みにくい国になってしまいます。前者は同じ仕事に同じ賃金という考え方なので、派遣労働者と正社員の間に賃金の差を付けないという方向です。後者は結果平等を不可能な目標としてあきらめ、その代わり機会平等に徹して年功序列を違法にする方向です。今の日本は実質的に結果平等でも機会平等でもないので、両者の悪いところだけを取ったような困った社会になっています。

2013年12月14日土曜日

また起きる原発事故

2011年3月11日を境に日本の原発は安全な物から危険な物に変わりました。それまで日本の原発が安全だと言い続けてきた根拠がなくなり、もう誰も日本の原発が安全だと言えなくなりました。「今まで過酷事故が起きてないから安全だ」という理屈はもう通りません。このまま原発の運転を続ければ、また福島原発のような事故が必ず起きます。問題がそれがいつかであって、起きないという可能性はゼロです。また大地震が起きて大津波がどこかの原発を襲えば、もっとひどい過酷事故が起きても不思議ではありません。もはや原発事故は想定外ではなくなりました。3月11日を境に、原発は経済的でもなければ安全でもない発電施設となったわけです。この期に及んでまだ原発を続けるとすれば、それは日本がいずれ核武装したいからだという他に理由が見当たりません。東電だけでは、事故の補償もできなければ除染や廃炉作業もできません。すべて国民のお金である税金をつぎ込まないと進みません。いくらお金を使えば事故の処理が終わるのか、それすらも見通しがありません。今や原発はとてつもなくコストの高い発電方法になりました。核武装するのかどうかは国民が決める事で、時の政府が国民に本当の理由を隠したまま、コストの高い発電方法を続けるのは背任です。次に起きる原発事故では運良く風が海に向かって吹くとは限りません。原発事故がまた起きるのは確かなうえ、原発の代わりになるコストの安い発電方法があるのにも関わらず、あえて原発を使い続けるのはなぜでしょう。日本の子供たちに放射性廃棄物の山と老朽化した原発を押し付けて、自分だけ楽しい思いができれば今の大人はいいのでしょうか。福島の原発事故は、日本の大人による不作為の結果起きました。日本の原発は安全だという神話を作ったのも、またそれを鵜呑みにしたのも今の大人です。我々はあの事故から何を教訓として学んだのでしょう。

2013年12月6日金曜日

グッドウィル

アメリカにはグッドウィルという非営利団体があって、障碍者の職業訓練や不要品を回収して販売する業務で職のない人に職を提供しています。大きな町には不要品の回収所兼販売所があり、引っ越しで不要になった家具や着なくなった洋服などを引き取って、少しキレイにして売っています。もともとはキリスト教の団体だったものが、今では宗教に関係なく安価で中古品を売る店として全米各地と世界の17カ国に広がっています。ただし日本にはまだありません。マサも貧乏学生の時よくここを利用しました。古着を1ドルから5ドル程度で売っていますし、子供の洋服なども成長が早いので、1年ぐらいしか着ないものはグッドウィルで十分です。また不要品を無料で引き取ってくれるので、捨てるよりもエコだし、寄付としてその受取証を税金控除に使えます。食器も半端物などをすごく安く買う事ができます。日本にもぜひほしいシステムなので、どなたか日本にこうした非営利団体を作りませんか。まだ使える家具や家電、食器や古着を捨てなくて済むのでゴミが減るし、欲しい人には安価で販売できるし、その売り上げで必要な人に職業訓練を与える事ができます。不要品を回収して販売するにはある程度の店の数が必要です。不要品がたくさん出る所と、それが売れる所とは違ってきます。年寄りの多い地域は不要品がたくさんあり、若い人の多い地域は安価な中古品がたくさん売れます。不要品が余っている場所から足りない場所へ配送するので、毎週トラックによる配送をしています。お金を寄付するかわりに不要品を寄付する事で、誰でも世の中の役に立つ事ができます。
http://www.goodwill.org/

2013年12月1日日曜日

案内板に英語を

2003年のアメリカ映画「Lost In Translation」の冒頭のシーンを覚えていますか。主人公が東京にサントリーのCM撮影のためにやってきます。タクシーから眺める東京は日本語の看板だらけで、英語の看板はひとつもありません。看板の文字が読めない場所、つまりまったくの異国にいるという状況を表すシーンです。アルファベットしか知らないアメリカ人が心細くなる状況をよく表現しています。もしもっと外国人に旅行に来てもらうつもりなら、まず看板にアルファベットを入れて、日本語が読めない人にも分かる看板にしてください。「品川」という駅で山手線を降りるために、three boxes and three linesという説明をしなくても済むのが理想です。看板に日本語と同じ大きさでShina Gawaと書けばいい話です。英語に存在しない固有名詞などの長い単語は発音しにくいので、漢字単位で分けて書きます。駅名をアルファベットで音読できれば、あまり心細くはなりません。病院など公共施設の案内板には、事実上の世界共通語である英語を併記します。案内板の日本語をただローマ字に置き換えても意味が分かりません。旅行者だからこそ電車やバスを使って動き回るので、それには英語の案内が必要です。これは日本に来る外国人旅行者を増やすための、ささやかな投資です。