2011年2月27日日曜日

大学生の就職活動

マサの身の回りでは、大学生の就職活動というとインターンシップが多数を占めます。以前にも書きましたが、アメリカは本当に色々な人がいますので、会社の求人広告に応募してくる人から選ぶのはあまり効率がよくありません。従業員のコネを利用して選ぶほうが結果的に効率が良いので、アメリカの就職活動ではコネが重視されます。人の流動性が高い国ですから、必然的に失業率はある程度以下には下がりません。そうした状況で学卒の新人は経験がないと就職活動に不利になります。それを補うため学生と企業の双方がインターンシップを利用します。ほとんどの大学でインターンシップは単位になりますし、大学によっては1学期程度のインターンシップを必須科目としているところもあります。学生には、自分がどの仕事に向いているかを知るいいチャンスですし、希望の企業にコネを作るいいチャンスです。アメリカは現場のマネジャーに人事権があるので、そうしたマネジャーのもとで実績を上げておけば、そこから「うちで働かないか」という誘いが来ます。雇う方にしても、数ヶ月働かせてみて使える人間かどうか判断できるので、日本でいう試用期間みたいなものですけど、双方に利点があります。新人を雇う企業としては、経験者より安い賃金で良い人材を手に入れることができます。日本では就職活動がだんだん前倒しになって大学3年から始めるとか。これは日本全体にとってマイナスに働くと思います。勉強する時間を削って早くから就職活動をする大学生と、数多くの学生を相手しなけでばならない大手企業の人事は無益な時間を過ごすことになります。新卒の一括採用という方式に無理があるのではありませんか。以前とくらべて猫も杓子も大学にいく世の中です。頭数をそろえて4月に採用し、数ヶ月の人事研修のあと現場に配属するだけでは新人の質を維持できないのが現状です。大学生の平均レベルが落ちている以上、企業はインターンシップを活用して良い学生を選びましょう。大学もインターンシップを必須科目として単位に認定しましょう。人事は新人の一括採用という無理をやめ、通年採用に切り替えて現場に人事権を与えましょう。大学生の就職活動は、それを社会人教育として考えれば無駄ではありません。通年採用になれば、大学を卒業してすぐに企業に就職する必要はありませんし、卒業後数年以内の退職者が不利になることもありません。日本の新卒偏重は曲がり角にさしかかっているとマサは思います。

2011年2月22日火曜日

360度評価

アメリカの大学では、学期の最後の授業が終わるとマークシートが配られて、記名でその教師の評価を行います。授業の進め方、宿題の量、質問への答え方、授業外での質問できる時間の量、教科書の善し悪し、テストの善し悪し、授業中の生徒との対話の量、授業に対する満足度などを5段階評価で記入し、学生が全員の分を集めて教務課に持って行きます。この結果は教務課でまとめられて、期末テストが終わり学生に成績が付いた段階で教師とその上司に伝わります。点数が甘い先生が評判も良いとは限りません。学生は割と率直に授業に熱心な先生には良い評価を付けます。もしこの仕組みが日本の大学にもあれば、淘汰される先生も出てくる事でしょう。おなじように会社でもシリコンバレーの場合、部下がその上司を評価してその上の上司と人事に定期的(四半期ごと)に記名で報告するのが普通です。いわゆる360度評価というものですが、部下が同僚の評価だけでなく上司の評価もするのがすごい点です。以前オンラインオークションの会社にいたときに、隣のマーケティング部門で女性従業員たちが団結して彼女らの直属の上司を追い出したことがありました。日本のように年齢が上というだけで従う部下はいませんから、マネジャーになる人はある程度周りから尊敬され好かれる必要があります。また部下どうしではひとりにつき3人から上司が評価を求めます。この3人は仕事で関わりのあった人間で、そのうちひとりは自分とは別の部署の人を選ぶ必要があります。それぞれの評価は上司と人事にのみ送られ、公式記録としてファイルされます。評価する人を選ぶのは自分なので、なるべく良い評価をしてくれそうな人を選びます。なおマネジャーから指定されなくても、他の人が自分の評価を自分の上司と人事に勝手に送る事ができるので、360度評価とはチームワークが重視される評価方法と言えるでしょう。評価には具体的な例を示す必要があり、根拠のない評価は価値を持ちません。評価軸には、顧客満足度、専門知識、独創性、チームワーク、コミュニケーション、時間管理、頼りがいなどの項目があり、会社によってはさらにコンテストなど会社行事への参加度も含まれます。

2011年2月12日土曜日

労働時間

年棒制で働く場合、1日8時間を超える労働時間には給料は出ません。残業手当はないので、休日出勤しても手取りは同じです。こうした制度のもとでは、人はなるべく効率よく仕事して残業せずに退社しようと努力します。残業がゼロになることはないものの、日本のような残業手当を目的とした長時間労働はなくなります。仕事の効率を上げるには、無理をしない、無駄を減らす、ムラをなくすという日本でもおなじみの方法の他に、コンピュータにできることはコンピュータにやらせて、人は人間にしかできないことに集中するという方法もあります。繰り返しやる仕事はコンピュータ化できるので、仕事の効率化で残業を減らすのは年棒制ならば当然の行為になります。その結果アメリカのホワイトカラーは、感覚的に言うと日本の半分の時間しか働いていません。マサはよく冗談で、日本人はアメリカ人の倍の時間働き半分の給料をもらうから、アメリカ人の4倍の生産性があると言っていました。でも最近は円高が進んで給料はほぼ同じになりました。何で測るかにもよりますが、時間当たりの仕事量を効率とすれば、平均で日本はアメリカの8割ぐらいだそうです。マサの今までの経験からすると、このあたりのIT産業ではアメリカの効率は日本の倍とみて良いでしょう。だから日本人はアメリカ人の倍の時間働いて同じ仕事量になります。逆に言うと、日本人が1日10時間かけてやる仕事をアメリカ人は半分の5時間で終わらせるということです。アメリカ人は自分の仕事が終わるとさっさと退社します。仕事の前か後に学校やジムに行く人は珍しくありません。社外の友人とスポーツをしたり、家の手入れをしたり、子供がいればサッカーのコーチをしたりと結構プライベートが忙しいのです。給料を得るために拘束される時間が短いと、その分家族や地域への貢献、あるいは自分への投資ができます。労働時間は短い方がいいと頭では分かっていても、ワコールのような例外をのぞいて日本ではまだまだ長時間労働を良しとする企業文化があります。人は測られる物差しによって働き方を変えるので、ホワイトカラーを年棒制にすることで仕事の効率を上げれば、労働時間が減るとともに少子化にも歯止めがかかるのではとマサは思います。

2011年2月11日金曜日

タバコ

シリコンバレーの会社は法律によりすべて禁煙です。こうした公共の場所は禁煙というのが今のカリフォルニアの法律なのです。市によってはアパートの玄関や廊下だけでなく室内まで禁煙にしているところもあります。喫煙は自宅または自分の車の中だけで許されています。喫煙は周りの人に有害な物質を出す行為なので、非喫煙者の健康を守るためにこうした法律が作られました。そのため会社でタバコを吸いたくなったら、建物の外で入り口からある程度離れた場所に行かなければなりません。そうした場所に灰皿がある会社もあれば、屋根すらない会社もあります。でもこの地域の喫煙率は低いので、ほとんど文句は聞きません。困るのはヨーロッパや中国、日本から来た人たちです。これらの国では喫煙率がまだ高いので、タバコを吸いたい人がたくさんいます。会社の中や近くでは吸えない場合、禁煙するしか手がありません。ホテルも喫煙の部屋と禁煙の部屋に分かれていますし、健康保険も喫煙者は保険料が高くなります。アメリカは禁酒法時代にギャングに手こずったので、タバコを法律で禁止することはありませんが、タバコの税率を上げて喫煙率を下げようとしています。日本は昨年タバコの税率を上げたので喫煙率がどうなるか興味を持っていたところ、あまり下がらなかったとのことで、むしろタバコ会社は売り上げが増えてよかったね、という結果らしいです。日本でも禁煙の会社は増えているようです。ところが出入り口の近くに喫煙者が集まるので、そこを通過するたびにタバコの害に曝されることになります。またタバコを吸った人は体や衣服にタバコの有害物質や臭いが付いているので、その人の近くに行くのはあまり気が進みません。タバコ休憩が社内の非公式情報を交換するいい場であることは認めるので、せめてその場所を出入り口の近くには設けないでほしいというのがマサの願いです。屋上とか喫煙室とかに限定できないでしょうか。あとタバコの税率をもっと上げて、喫煙率を今の10分の1にできたら日本の医療費が半減するのではと勝手に期待しています。