2011年1月25日火曜日

人の採用

人の採用方法の違いについて書きます。日本では4月に新卒の人が会社に入社します。そのため会社の人事は前の年に候補者を選び内定を出して人材を確保します。マサも30年前に日本の会社の面接を受けて入社しました。アメリカのIT会社が人を採用する場合、まず現場のマネジャが人数と職種について上層部の許可をもらいます。現場のマネジャに人事権があるので、採用も現場中心で行います。新卒よりも経験者が優遇され、一緒に仕事することになるチームメンバーがひとりひとり面接します。新卒者は戦力になるまでに時間がかかるので、就職においては不利です。それを補うのがインターンシップです。学生は目当ての企業にインターンとして数ヶ月働き、自分を売り込みます。会社はめぼしい学生を捕まえて、その仕事ぶりを見極めます。経験者の採用では、まず電話による振り分けがあり、チームリーダーが30分ほど電話で質問してチームメンバーによる面接に持ち込む価値があるかどうか判断します。社内の人の紹介でもこのスクリーニングは欠かせません。もし良さそうだとなれば、会社に2回以上来てもらってチームメンバーとの1対1の面接が始まります。これは一種のお見合いなので、将来の同僚としてどうかいろいろな方面から質問します。プログラムをその場で白板に書いてもらうこともよくあります。面接されるほうも、ここで会社の社風や人間の種類を見抜きます。採用するマネジャも最後に面接します。これにパスすると人事による背景調査があり、過去の犯罪歴とかで問題なければ2回目の面接に進みます。関係する他のチームのリーダークラスと面接があり、採用するマネジャの上司とも面接します。そこでOKとなると数日後そのマネジャが出せる給料を提示し、候補者がそれに合意すれば採用決定となります。人気の職種では、最終面接までいっても他の会社に取られることもあります。アメリカの募集では仕事の内容、期待されるレベル、出張の有無とその量、必要な資格や学歴などがはっきりしています。まず仕事ありきでその仕事に必要な人を採用するという発想なので、面接も焦点がはっきりしています。また現場のチームメンバーが面接するので的確な質問ができます。ただしアメリカの雇用機会均等法は徹底していて、面接で年齢や家族など仕事に関係ない質問をするのは違法です。履歴書には性別も写真もありません。仕事に関係ない事柄で落としたりすると訴えられます。女性を雇う場合、結婚しているかどうか、子供がいるかどうかも聞いてはいけません。あくまでも人物本位でその仕事に適するかどうかを判断することが求められます。英語で話せるか、チームメンバーとして一緒に働けそうかも面接の中で判断します。面接者全員が納得しないと採用されないので、面接される方は1日でぐったり疲れてしまいます。