2010年12月8日水曜日

12月8日

日本では、12月8日というとジョン・レノンの暗殺された日として有名です。実際はアメリカ時間の12月8日夜に彼は暗殺されたので、日本時間では12月9日にあたります。実はこの時期アメリカで必ず話題になるのが、日本軍の真珠湾攻撃です。アメリカという自分より強い相手に奇襲攻撃をかけるのは、日本人としては当然かもしれません。でも西部劇をみれば分かるように、アメリカでは相手を後ろから銃で撃つのは卑怯者のすることで、そうした相手は完全に悪者と見なされます。戦後何十年もたって第二次世界大戦は日本ではあまり話題ならないでしょうが、アメリカでは毎年この時期にジョン・レノン暗殺ではなく真珠湾攻撃がマスコミの話題になります。マサの見方では、日本はアメリカの策略にまんまとはまったと思います。アメリカの当時の世論は、わざわざ日本という遠くの小国と戦争をする必要はないというものでした。それが真珠湾攻撃で180度かわり、日本という悪者を懲らしめるべしとなりました。日本はなぜ負け戦を始めたのか。戦争をしかけたからには勝たなければ意味がありません。日露戦争はロシアの内部事情のおかげで日本が勝ちました。これが日本人に誤った自信を与えた可能性はありますが、マサの意見では、当時の日本の指導者がアメリカという国を知らなかったというのが原因ではないかと思います。日本がアメリカに奇襲攻撃をかけてその上負けたために、当時のアメリカにいた日系人は大変辛い思いをしました。今でもアメリカにいる日本人は、この時期になると新聞の見出しを読むのが憂鬱になります。なぜ負け戦をしたのかを日本人はぜひ明らかにするべきです。ヒトラーにその原因を求めたドイツは、ヒトラーのような独裁者を出さないことで負け戦を避けられます。日本は自衛隊という立派な軍隊を持っているので、また負け戦を始める可能性は常にあります。戦争を否定するなら自衛隊を持つべきではなく、自衛隊を持つなら戦争を否定することはできません。アメリカと軍事同盟を結んでいるので、アメリカに引きずられる形で戦争に巻き込まれることもあり得ます。日本がどこで道を誤ったのか、なぜ負け戦を始めたのかは日本人が子供に伝えるべき大事な知識です。

2010年12月3日金曜日

健康保険

アメリカの健康保険は、政府が行っている低所得者向けの物と高齢者向けの物、および民間の保険会社が行っている一般の人向けの物と3種類あります。アメリカ人は政府より民間のほうがより効率的に仕事すると信じているので、健康保険も民間の物を好みます。一般向けの保険は、個人でかける物と会社に所属して会社のグループでかける物に分かれます。会社員でない人は個人保険に加入するか、あるいは会社員の配偶者としてグループ保険に加入します。個人で加入すると保険料はものすごく高くなりますので、健康保険のために会社員を続ける人は珍しくありません。グループ保険ですと保険料を会社が半分以上負担しますし、若い人はあまり病気にかからないので自分が払う保険料は安くなります。マサの会社だと、家族の分を含め毎月約2万5千円を健康保険に払い、毎月約2千円を歯科保険に払っています。逆に医者にかかる場合に払うお金は、窓口で診察一回につき約千二百円となり、処方箋の薬はものによって千円から一万円ぐらいを払います。保険会社の数だけ保険の種類があるので、グループ保険といっても千差万別です。アメリカの医療費は高いのですが、会社のグループ保険に入っている限りは高いとは感じません。つまり自分で負担する分はあまり大きくありません。医者は救急以外完全予約制なので、日本のような3時間待って3分診療ということはありません。プライバシーのため診察は必ず個室で行い、医者は患者が納得するまで説明をしてくれます。これに比べると、日本の医療は「安かろう悪かろう」に近いのかなと思います。勤務医が激務で特に小児科と産婦人科のなり手がいないとか、救急でたらい回しにされるとかは医療行政の問題です。日本の国民皆保険は素晴らしい制度なので、勤務医の激務を減らし、医療サービスの質を上げるには保険の仕組みを変える必要がありそうです。医者の数を増やすと同時に保険料も値上げして、さらに自己負担分を増やすことになるでしょう。また、患者が自分の医療にかかる金額を選ぶ仕組みも必要でしょう。薬は当然ジェネリック品を選べるようにして、老人医療費は年間金額に上限を設けるなどの歯止めが望まれます。

2010年12月1日水曜日

世代間の搾取

日本の国家財政がギネス級の赤字を抱えているという話は以前に書きました。これは子供や孫の世代からお金を借りて返すつもりがないとう事で、いわば世代間の搾取です。日本の国債の買い手は大部分が日本の機関投資家ですので、財政赤字がこのまま増えると政府は次のふたつのどちらかを選ぶ事になります。つまり、増税と歳出カットで赤字を減らすか、あるいは国債を踏み倒すかです。前者は各種税金の増加と行政サービスの減少をもたらし、後者は国民の預金を封鎖して返さないという道をたどります。いずれにせよ割を食うのはこれからの世代で、その人たちは選挙権すらないのに負担だけは増えるという運命にあります。日本という国が収入の倍の支出を続けられるはずがありませんので、年金や介護および健康保険といった社会保障を国の収入に合ったレベルにまで下げるのが肝心でしょう。そのほか公務員数の削除や消費税の大幅アップも避けられません。今は政府も官僚も財政赤字は自分の責任ではないと鼻をつまんでいるので、財政赤字が減る理由が見当たりません。マサはこれが民主主義の欠陥だと思っています。だれも負担が増えることを望まないので、世代間の搾取だけが残ります。選挙権がない子供や孫の世代からお金を借りて返さないのは麻薬と同じで、国債という麻薬は日本だけでなくアメリカや他の国も蝕んでいます。ただ日本だけが突出して財政赤字が大きく、なおかつ日本自身がお金の貸し手になっているという点で他の国と違います。法律を変えてまで手を出した赤字国債という麻薬は、着実にこれからの日本を蝕んでいくでしょう。国としても壮年期から老年期に入った日本の再生は、一度生まれ変わらないと無理なのかもしれません。あるいは生まれ変わる事に匹敵する大きな変革を経験する必要があるのかもしれません。民主主義では国民の多数意見が国の将来を決めるので、国民に増税を納得させられる政治家が登場するまで日本の財政赤字は増え続けるでしょう。ここでは既存の経済学は通用しません。日本の経済学者は、人口の減少という未知の領域に入った日本のために独自の経済学を生み出す必要があります。

感謝祭とクリスマス

11月の第4木曜日はアメリカで感謝祭と呼ばれ、息子や娘が親元に戻って七面鳥の丸焼きを食べる習わしがあります。最初にイギリスからアメリカに渡った清教徒たちが、アメリカインディアンの助けをかりて最初の1年を生き延びた事を祝って始まったもので、昔は野生の七面鳥を捕まえて食べていたのだと思います。飼育された七面鳥は味の薄い鳥で、ちゃんと味付けしないと美味しくありません。そのため塩味で茶色のグレービーソースを付けて食べます。クランベリーという赤い果実から甘酸っぱいソースを作って、七面鳥にかけて食べる人もいます。この七面鳥とマッシュドポテトはアメリカ版おふくろの味です。感謝祭は日本のお盆のようなもので、実家に帰る人が多いので空港が1年で一番混雑します。これに対してクリスマスは家族中心となり、旅行に出かける人、家で子供と過ごす人などいろいろです。クリスマスは親しい人どうしがプレゼントの交換をするので、人の家に招かれたときなどはプレゼントを用意する必要があります。マサはまだアメリカに不慣れだった頃、友人のクリスマスパーティーにプレゼントなしで行ってしまい、恥ずかしい思いをしたことがあります。日本のお正月に相当するのがクリスマスです。子供はお年玉のかわりにプレゼントを貰うわけです。そこで感謝祭が終わるとプレゼントの需要が急増し、小売店は一斉にセールを開始します。感謝祭の次の日は夜中または早朝からセールが始まるので、お金があまりない学生などは感謝祭のご馳走もそこそこに、セールのチラシを調べてどの店のセールに並ぶかを検討します。どの店も目玉商品は数が限られているので、効率よく買い物をしないと目的の物が買えません。最近ではそれにインターネット上でのセールもあるので、マサは寒いなか店の開店を待つかわりにインターネットからセールに参加しています。この日ばかりはどんな小売店も必ず黒字になるので、ブラックフライデーと呼ばれています