2021年11月30日火曜日

日本の双子の赤字

日本の財政赤字を表す表現が「ワニの口」[^1]です。それは収入と支出の差を表し、この差は1990年のバブル崩壊のあと常に拡がっています。赤字国債の発行と日銀の買い入れでこの赤字を埋めるので、2020年度を除くとこの10年で毎年40兆円ぐらいの赤字額となっています。2020年度はコロナ対策のため、その赤字額が倍以上に膨れあがりナント100兆円を越えて過去最高となりました。日銀による買い入れとマイナス金利には限度があり、どちらも限界に近づいています。アベノミクスは不発に終わり、時間稼ぎをしていた日銀もガッカリです。JT株やNTT株[^2]を売る事で赤字を多少減らす事は可能でも、その売却可能額は数兆円しかありません。しかも赤字は毎年発生するのに、株は一度売ったらそれでおしまいです。税金で経済を活性化するという方法はバブル崩壊のあと30年間にわたり失敗が続いています。つまり税金を使った以上に税収が増えていません。しかも増大する国民健康保険や国民年金保険の赤字にまで税金を投入しています。少子高齢化という人口赤字と財政赤字(日本の双子の赤字)は今までの方法では解決できません。すると円安が続くので、輸入物価はじりじりと上がります。収入が増えずに物価だけが上がる「悪いインフレ」[^3]の到来です。

2021年11月29日月曜日

地球温暖化と油断

まことに見事なブーメランとなっているのが、地球温暖化対策と原油不足です。化石燃料への投資を止めれば、原油不足は免れません。今まで石炭を使ってきた国が石油やガスを使うので、その分石油やガスが不足します。ところが化石燃料への投資は抑圧されているので、原油やガスを増産する事はできません。バイデン大統領が産油国に増産を要請しても、産油国は「まずアメリカがシェールオイルを増産するのが先」[^1]と動きません。当然ですね。世界一の産油国はいまやアメリカです。そのアメリカが地球温暖化対策のために化石燃料への投資を止めているので、誰も動けません。アメリカに残された道は緊急事態という理屈でシェールオイルを増産するか、あるいはサウジアラビアに投資して原油増産を助けるかです。備蓄原油の放出は焼け石に水ぐらの効果しかなく、それはバイデン大統領も承知しています。安い石炭を禁止するなら、エネルギー価格が上がるのは仕方ありません。その結果再生可能エネルギーが相対的に安くなるので、日本は再生可能エネルギーに投資する良い機会になります。湯水のごとく化石燃料を使えた時代は終わりました。

2021年11月28日日曜日

オミクロン株

新しいコロナ変異株のオミクロン株が南アフリカで増えています。デルタ株を凌ぐ勢い[^1]なので、その感染力は相当なものです。南米に多かったラムダ株やガンマ株[^2]は結局デルタ株ほどには広まらず、世界的に生き残ったのがデルタ株でした。ところがオミクロン株には多くの変異が見られるそうで、いわばコロナのラスボス登場です。こうした複数の変異はウイルスが長く体内にとどまり数多くの増殖を繰り返した結果とされ、免疫不全者の慢性感染が原因と考えられます。南アフリカにはHIVに感染した人が多いので、その可能性はあります。香港ではブレークスルー感染も確認されており、ワクチンがどれだけ重症化を防げるかは各国で調査中です。デルタ株の時と同じく、ニュースになった時点でもう既に日本にも入っていると考えるべきです。でも基本的なマスク着用と3密回避で再度の感染爆発は防げると期待されます。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB00017_W1A121C2000000/

2021年11月27日土曜日

みずほ銀行

最初に言っておくと、筆者はみずほ銀行の利用者ではありません。旧富士銀行にあった口座はとっくの昔に閉じました。そのみずほ銀行でCIOを勤めているのが人事畑出身者[^1]というのが今日のお題です。システム部門の軽視がみずほ銀行の根本的な問題であり、銀行業務がシステム業務だという認識がトップにないのは問題です。アメリカの銀行はアプリでほとんど何でもできるように進化しました。小切手の現金化ですらアプリで小切手の写真を撮ればおしまいです。このため窓口がどんどん減って、浮いた人件費をシステム強化にあてています。少額送金にはVenmoとかZelleといった無料サービスが登場し、銀行からは小口送金業務が減っています。日本も銀行間の小口送金業務を早く無料化しないと、ナントカペイという無料サービスに食われてしまいます。するとペイアプリが銀行になるので、そこが顧客との接点になり従来のビジネスモデルは崩壊します。銀行に残る仕事は企業相手の融資だけになり、自前のATMや窓口を持たない銀行が繁栄します。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB262120W1A121C2000000/

2021年11月26日金曜日

アメリカの大問題

歴史が浅いアメリカには意外としぶとい保守層があり、いまだにヤード・ポンド法を使っています。温度は華氏だし、長さはインチとフィートです。まるで19世紀のような度量衡がまかり通るのは、輸入が輸出より多かったので相手の国に合わせる必要がなかったというのも理由です。そのうえ大きな格差問題があり、信心深くて科学を無視する底辺の保守層がコロナ・ワクチンの接種に反対しています。神様が守ってくれるからワクチンは要らないとか、エリートの言う事は信用できないからワクチンを接種しないと否定する人たちです。その保守層を支持基盤として大統領になったトランプが、まだ大統領のうちにこっそりコロナ・ワクチンを接種していたのは皮肉です。

2021年11月23日火曜日

雇用改革

日本にはびこる「無駄な仕事」については、この記事[^1]と筆者は同意見です。雇用がすべてに優先する日本では、無駄な仕事をなくすと社内失業者が増えるので無駄な仕事がなくなりません。生産性は上がらず、対外競争力の欠如から現状維持も難しくなっています。国家公務員も無駄な仕事[^2]で残業に追われるし、いくら効率良くやっても無駄は無駄です。そこで法律を変えて定年制度と年齢(生年月日)による就職差別を禁止するとともに、手切れ金による指名解雇を合法化して変わり身の速い日本に変わる必要があります。さらに正社員制度を解体して、雇用をジョブ型の有期雇用と無期雇用のふたつに分けます。有期雇用は最長1年までとし、無期雇用は年収制にすることで残業を減らします。この雇用改革で失業率は一時的に上昇するので、それを正当化できる政治家が日本にいるかどうかは疑問です。

2021年11月22日月曜日

100年に一度

コロナ・パンデミックが100年に一度の災厄とすれば、2011年の東日本大震災も100年に一度の大地震・大津波でした。事故を起こさないはずの原発が事故を起こし、これも100年に一度の大災害に含まれるでしょう。こう100年に一度が続くと、またすぐ次の「100年に一度」級の災害が来るのではないかと思ってしまいます。それは首都直下地震や南海トラフ巨大地震でしょう。それぞれの出来事は無関係ながら、100年に一度はこの10年間で2度起きています。「二度ある事は三度ある」という諺もあるように、もし次の大地震が今から10年以内に起きると、日本経済にはほぼ回復不能なダメージ[^1]になってしまいます。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD171180X11C21A1000000/

2021年11月21日日曜日

赤字国債

日本の財政法において「赤字国債」は禁止されています。ところが政府の支出は収入の倍近いので、特例法を作って毎年の「赤字国債」を正当化[^1]しています。背に腹は替えられないというわけです。子供や孫の世代が増税という形で返さなければいけない赤字国債を正当化する理屈はただひとつ、こんなに便利で住みやすい国になったのだから、その費用を払えという事です。つまりインフラ利用料です。この理屈に対する反論は、まず子供や孫の世代には選挙権がないのに負担だけ押しつけられているという事と、インフラの保守費用を払うのは子供や孫の世代だという事です。また大人は子供により良い国を残すのが義務だとすれば、国債残高が無制限に積み上がる現状はその義務に違反しています。コロナにより誰も「赤字国債」に反対出来なくなった日本で、円安だけが確実に進みます。


2021年12月17日追記
「国債発行残高、1000兆円突破へ 財政悪化の底見えず」もう誰も責任を取りません。

2021年11月20日土曜日

抗原検査とネット販売

日本ではコロナ抗原検査キットをネット販売[^1]できません。「無症状感染者を誤って陰性判定するリスク」があるというのがその理由です。でも自宅で手軽に検査できるキットを薬局で対面販売で手に入れないといけないという規制があると、検査そのものを省いて「無症状感染者が知らずに出歩くリスク」もあります。コロナ抗原検査キットを無料で配布する英国のような国もある中で、日本は相変わらず及び腰です。アメリカでは症状がなくても無料でコロナのPCR検査を受けられます。岩盤規制が強い医療分野で規制改革が進まない理由は、医師会の政治力と厚労省の不作為です。国民が不満の声を上げないと規制改革は進みません。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA179HG0X11C21A1000000/

2021年12月24日追記
わざわざ出歩いて薬局に行かないと検査キットを買えません。矛盾してます。

2022年08月12日追記
やっとネット販売を解禁するとのこと。半年おせーよ。

2021年11月18日木曜日

衣食住から住食衣へ

日本でのお金のかけ方は「衣食住」つまり衣類、食事、住居の順です。最後に住居が来るため、けっこう狭くて住みにくい家に住んでいる人が少なくありません。いわゆる「ウサギ小屋」です。食事にお金をかけるのは「医食同源」だから当然として、最初に来る衣類がくせ者です。こちらの記事[^1]によると、日本に輸入される年間80万トンと国内で生産される年間2万トンの合計82万トンの衣類のうち、51万トンが廃棄されるそうです。リサイクルされるのは27万トンで、残りの4万トンは在庫になります。何回か着た後で廃棄される衣料がこんなに多いのは問題です。流行遅れとかサイズ違いで着ない服は邪魔なので、廃棄されるのは当然です。売れ残りの衣類も最終的には廃棄です。つまり燃やすか埋めるかです。なんともったいない事か。流行を追わずに定番の衣類を着ていればいいのに、販売店の売り込みに釣られて流行の衣類を買う人が多いのでしょう。着道楽という言葉もあるように、日本には衣類にたくさんのお金をかける人がいます。それが回り回って地球温暖化を促進しているので、廃棄される衣類はもっと減らす必要があります。そこでお金をかける順番は「住食衣」に変えましょう。法律で住居にひとり当たりの最低面積を設定し、極端に狭いアパートや家を禁止します。長持ちする家に住めば、それだけ木材やエネルギーの節約になります。

2021年11月16日火曜日

ポスト・コロナ

日本の2021年7月から9月のGDPがその前期と比べてマイナス[^1]となり、東京オリンピックがコロナ禍の景気にあまり影響しなかった事が分かりました。もちろん半導体の不足やエネルギーの高騰など他の要因もあり、コロナだけが原因ではありません。原因がコロナだけではない以上、コロナが終わっても景気がすぐ良くなるとは期待できません。その中で飲食店を中心にアルバイトの時給が上がっているのは朗報です。今までが安すぎたので、アルバイトや介護職、保育職の給料はもっと上がって良いと思います。昭和にできた紙とハンコの制度が今でも続く日本で、ポスト・コロナの経済は行政の合理化が進むかどうかにかかっています。以前の経済に戻るという後ろ向きの発想では前に進めません。

^1: https://www.tokyo-np.co.jp/article/142837

2021年11月15日月曜日

革新的イノベーション

この日経の記事[^1]では「革新的イノベーション」は(既存の)企業の業績に寄与しないとなっています。むしろ「漸進的イノベーション」の方が企業の成長に関係するそうで、納得できる内容です。なおアップルのiPhoneは「革新的イノベーション」ではありません。それまでにBREWというアプリ環境[^2]が走る携帯電話が既にあり、またBlackBerry[^3]というキーボード付きの携帯電話もありました。もう誰も覚えていないでしょうけど、その数年前にアップルが出したNewton[^4]というPDAが失敗し、アップルは会社として追い詰められていました。ところがソニーのWalkmanが大ヒットとなり、それにヒントを得てアップルがiPodを出しました。デジタル化された音楽をインターネット経由でiTune Storeから買うというビジネスモデルと、CDの音楽も取り込めるという操作性の良さから、iPodはWalkmanを駆逐してアップルの成長に貢献しました。この延長線上にiPhoneがあり、タッチスクリーンを使ってキーボードをなくした携帯電話として大ヒットしました。「革新的イノベーション」だったNewtonが失敗して、「漸進的イノベーション」だったiPodとiPhoneがアップルを大躍進させたのは事実です。それまでの世の中にないNewtonのような製品は、消費者にとって使う意味が分かりません。iPhoneはNewtonの持っていた機能まで取り込んで、まさに「利口な電話」(スマートフォン)として売れたのです。だから10歩先をいくような製品ではなく、1歩先を行くぐらいのイノベーションが(既存の)企業には必要です。テレビならスマートテレビ、掃除機ならルンバのようなスマート掃除機、いずれ自動車もスマートカーになるでしょう。「革新的イノベーション」で成功したのはSNSで、これはスタートアップに適した製品です。もし既存の企業が「革新的イノベーション」をやりたいなら、子会社を設立してそこに任せるのが一番です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC26BP50W1A021C2000000/

2021年11月14日日曜日

外資系のジョブ型雇用

外資系に勤める理由の一つが高給[^1]です。でも外資系だとある程度の英語が必須となり、純日本的な会社から転職する人は躊躇します。このサイトを訪れる方は外資系で働く事に興味がある人もいるので、外資系特有のジョブ型雇用[^2]を説明します。日本以外の国ではジョブ型雇用が普通で、仕事の中身や責任範囲、予想される出張の量や必要な学歴などがあらかじめ決まっています。これらを記述した書類が職務記述書で、雇用契約の一部となります。ただしその仕事が何らかの都合でなくなると、手切れ金で解雇される事もあります。そうした解雇条件は雇用契約に書いてあり違法ではありません。職務記述書に書いてない仕事をやる義務はなく、会社都合での転勤もありません。定年も終身雇用も年功序列もなく、採用時の年齢制限はもとより就職希望者に年齢や性別を尋ねるのは違法です。結婚しているか、子供がいるかも尋ねてはいけません。この制度で働く人は「正社員」ではなく「無期契約勤務者」として年収をもらい、年齢ではなく仕事の経験で年収[^3]が決まります。ひとつの会社に一生勤める人は珍しく、数年で新しい経験やより高い収入を求めて転職するのが普通です。その道のプロとして雇われるので、経験者が優遇され学卒の未経験者は敬遠されます。そこで学生はインターンで経験を積み、自分のプロとしての価値を高めてから大学を卒業します。

^1: https://style.nikkei.com/article/DGXZQOLM058I7005102021000000

2021年11月13日土曜日

かもしれない

最後が「かもしれない」で終わる意見はゴミです。最後にちゃんと言い切れないのは、自分の意見に自信がないか、または反対意見を恐れて自分の立場を曖昧にする意図があります。つまり「かもしれない」は逃げです。明日の天気は「晴れかもしれない」とか「雨かもしれない」という天気予報を信じますか。どうしても言い切れない時は、せめて「という可能性がある」という言い方で終わりましょう。説得力のある意見を述べたいなら、最後に「かもしれない」を使ってはいけません。特に結論の文章を「かもしれない」で終わったら、腰砕けもいいところです。

2021年11月12日金曜日

エネルギーの自給自足

日本にはエネルギーの自給が必要です。日本の太平洋側は年間を通じて日照時間が長く、すべての家の屋根で太陽光発電が可能なので、電気の自給自足ができます。問題はコストなので、税金による低利の融資で自家発電を後押しすれば、日本の将来にとって良い投資となります。電池も低価格化が進み、それぞれの家で電気の自給自足が普通になります。それでも熱源としての水素は必要で、これは風力発電や潮力発電、地熱発電や水力発電で作った電気で水を分解する事で自給自足ができます。50年後の日本は再生可能エネルギーで自給自足できる国になるというビジョンを国のトップが宣言するべきです。真夏の太陽も発電に役立つと考えれば、日本には緯度の高い欧州に較べエネルギーの自給自足に有利な条件が揃っています。

2021年11月11日木曜日

抗体検査

日本のコロナ感染者数が激減した理由について専門家の意見[^1]は分かれています。インドの感染爆発が収束した理由については、あるインドの専門家は国民の9割以上がコロナの抗体を持っているから[^2]と言っています。日本は抗体検査が不十分なので、国民の何割がコロナに感染したのか不明です。若者は無症状感染が多いので、報告された感染者の何倍もの人数が実際には感染したはずで、1万人ぐらいのサンプリング検査をすればあまりコストをかけずに国民の抗体保有率が分かります。その結果若者の抗体保有率が少なければ、この年代のワクチン接種をさらに加速する必要があるので、この検査は一石二鳥です。

2021年11月10日水曜日

どっちやねん

日本政府が新たに示した外国人入国の条件[^1]が細かすぎます。素直にみれば誰も日本に来て欲しくないのかと思えて、来て欲しいのか欲しくないのかどっちやねんとツッコミたくなります。ワクチン接種完了者で空港の抗原検査で陰性ならフリーパスにすべきところを、恐ろしく細かい活動計画だの宣誓書だのを要求しています。自分たちの責任を回避したい意図は分かりますが、やり過ぎです。国内ではワクチン接種完了者に行動の自由を与えているので、これでは外国人差別です。同じ条件なら数の多い日本人入国者がワクチン変異株を日本に持ち込む可能性が高いのが現実です。ここは日本人と外国人で入国時の条件を同じにすべきです。「羮(あつもの)に懲(こ)りて膾(なます)を吹く」のは止めましょう。

^1: https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/cp/page22_003380.html

2021年11月27追記
海外から戻るとワクチン完了者でも感染者扱い。非科学的です。

2021年11月9日火曜日

東京のコロナ増加

前の週と較べて東京の11月8日と9日の新規コロナ患者数[^1]は増えています。つまり次の波が始まったという事です。でもワクチン接種率が7割を超えているので、この波は第5波のような大きなピークにはならないと思われます。冬に向けて経済再開は慎重に進めるべきで、ワクチン完了者を中心に徐々に制限を緩めるのが肝心です。去年は秋に感染が終わったと勘違いしてGoToプログラムを一気に始めたため、冬の感染拡大を招きました。そこから学んで、GoToの利用者をワクチン完了者に限定し、ワクチン未接種者が無症状感染を拡げないような方法が必要です。日本の強みは全員がマスクに賛成している事で、このまま人流を抑えれば冬の感染爆発は避けられます。その間に子供へのワクチン接種を加速し、人口の9割がワクチン接種を終えるまではマスクと3密回避を続けましょう。

^1: https://www.tokyo-np.co.jp/article/141796

2021年11月8日月曜日

シリコン・バレー

この記事[^1]を読んで思い出したのは、アメリカのシリコン・バレーと日本のビット・バレーの違いです。シリコン・バレーの強みは①世界最高の頭脳が集まるスタンフォード大学やノーベル賞受賞者が二桁もいるUCバークレー校があること、②風光明媚で夏は涼しく冬は暖かいSFベイエリアが移民者に優しいこと、③ビジネスで成功した金持ちがベンチャー・キャピタルを通じて新しいビジネスに投資する文化があること、の三つというのが定説です。ところが日本と較べるともっとも大きな違いは④雇用形態がジョブ型なので人材の流動性が高く、⑤有名大学を出ても大企業には行かずにベンチャー企業で一攫千金を狙うのが若者の常識であり、⑥賃金も「医者、弁護士、エンジニア」の順でとても高いという事です。こうしてみると、日本が逆立ちしてもシリコン・バレーには勝てない事が分かります。日本には世界最高の頭脳が集まる大学はないし、気候は雨が多くて夏は蒸し暑く移民はほぼゼロだし、雇用形態はメンバーシップ型で流動性が低く、エンジニアの賃金もつい最近まで「士農工商エンジニア」と言われるほど低いものでした。特に雇用形態の差が大きく、ジョブ型ならたとえ勤め先のベンチャー企業が潰れても、その経験を生かして他の企業に入る事は簡単で、しかもアップルで働いていた人がグーグルに移り、数年して今度はフェイスブックに移動して、さらにネットフリックスに移るというような高い流動性のおかげで、技術がひとつの企業に偏る事がありません。この豊富な人材を求めてシリコン・バレーで起業するベンチャーが多く、世界中から人と金が集まる仕組みがあります。

2021年11月7日日曜日

石炭だけじゃない

化石燃料はすべて燃やすとCO2を出します。同じ燃焼カロリーあたり[^1]でみると石炭のCO2排出量が一番多いので、排出係数の比として石炭を10とすると原油が7.5で天然ガスが5.5です。つまり石炭火力発電[^2]だけを止めてもCO2はあまり減りません。石炭は安いので、発電コストまで考えると植林の方がCO2を減らすには効果的です。炭素税を導入して排出するCO2に応じた税金をかけ、そのお金で再生可能エネルギーや植林に投資した方がお金が生きます。炭素税があれば自然に石炭の利用は減ります。若者だって電気のない世界に戻りたいわけではありません。すべての国が十分な炭素税を導入するまでCO2の排出量は増加します。石炭を追放すれば済む話ではなく、どれだけ高い電気代なら許されるのかという話です。石炭を止めようと言う前に、炭素税[^3]を増やそうと言うべきです。

2021年11月6日土曜日

1家に1台

日本の(自動2輪と軽自動車を含む)自家用車の保有率をみると、平成28年度のデータ[^1]で1家に1.06台、人口ひとり当たり0.47台となっています。1家に1台になったのは平成8年(1996)で、令和3年には1家に1.04台という数値もあり、ここ数年で車の保有率は下がる傾向にあります。都道府県別では福井県がトップで1家に1.71台、最下位は東京都の1家に0.42台です。全国平均だとふたりに1台という割合です。東京や大阪などでは日常生活に車はほぼ不要なので、公共交通手段が少ない地方で複数の車を所有する家があります。今後は電気自動車の時代になるので、日本は電気の自給自足を目指しましょう。

2021年11月5日金曜日

コロナ飲み薬

これは朗報です。ファイザーのコロナ飲み薬が入院・死亡リスクを9割下げる[^1]そうで、ワクチンに匹敵する効果です。これが普及すればワクチン反対派の人も死ななくて済みます。もちろん薬に副作用は付きものなので、新しい飲み薬に反対する人もいるでしょう。それは個人の選択なので、コロナによる死亡がゼロになる事はありません。でも$700で済むこの治療がワクチンに次ぐコロナへの切り札になる事は間違いありません。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB05BNW0V01C21A1000000/

2021年11月4日木曜日

自己矛盾

元皇族の眞子様を追う報道はもう止めたらと思います。結婚で普通の人になったのだから、その動静を報道するのはプライバシーの侵害です。この報道[^1]は自己矛盾もいいところで、「もう一般人だから手を振る必要はない」と言いながら、その一般人の様子を事細かにニュースにしています。視る方もこうした報道にはダメ出しをするべきでしょう。この調子ではこの先皇族と結婚する人はいなくなります。皇族は芸能人ではありません。

^1: https://news.yahoo.co.jp/articles/c49c51b8d95a3d702ba07b39c2d43f1951f5b25a

2021年11月3日水曜日

正社員問題

日本の会社には「正社員」という制度があり、メンバーシップ型雇用の中核をなしています。基本的に「正社員」は何でもやる人であり、定年があってそれまでの雇用が保障されています。会社側が指名解雇する事は判例上できません。この制度には法律上の裏付けはなく、ただ今まではそうだったという事です。先進国の真似をしていれば経済成長できた昭和の時代には、この制度が日本の役に立ちました。既存の製品をより安く作って輸出するというモデルがうまく機能した時代です。でもこれは他の国でも可能なモデルなので、中国、韓国、台湾、ベトナム、インドネシアなどアジア諸国が日本を真似した今では、日本は外需による成長ができていません。内需も人口が減るので毎年減少しています。経済成長には無駄な仕事をやめて、お金になる仕事に人を割り当てる必要があり、その過程で失業者が増加します。会社内で失業者が出た場合、指名解雇はできないのでなかなか無断な仕事が減りません。これを打開するにはメンバーシップ型雇用をジョブ型雇用に変える必要があり、それは「正社員」制度の廃止と同じ意味を持ちます。「正規」と「非正規」の区別や定年がなくなる代わりに、手切れ金による指名解雇ができるようになります。労働者は「有期契約」か「無期契約」を選ぶ事ができ、法律で「有期契約」は最長1年までと決めます。でも日本のメンバーシップ型雇用が成長の足かせだという認識を持つ政治家は少ないので、メンバーシップ型雇用をジョブ型雇用に変える法改正は議論にもならず、「非正規」が賃金の重しになっています。無駄な仕事をたくさん抱え込んだ日本が他の国に負けるのは、正社員制度が原因なのです。

2021年11月2日火曜日

景気回復?

日本の人が「景気回復」と言う場合、どのレベルまで戻る事を期待するのでしょうか。コロナで潰れた経済は、今後ワクチンの普及とともに数年で2019年のレベルには戻ります。インバウンド観光も復活するし、円安で海外のお客も増えます。ただし昔のレベルに戻っても、何もかもが以前と同じとはなりません。消費者物価は高いし、消費税もまた上がります。少子高齢化もいっそう進んで、財政赤字は今より増えます。つまり時代は変わり、かつての状況には2度と戻りません。だから「景気」は「回復」ではなく「好転」すると考えた方が間違いありません。海外との競争は進むし、韓国、中国、台湾に日本の産業が負ける場面も増えるでしょう。人口が減少する日本で需要は時間とともに減ります。昔と同じでは衰退するだけなので、先に進むにはどうすれば良いかを考えましょう。

2021年11月1日月曜日

水素とエネルギー源

水素はエネルギー源ではありません。それはエネルギー媒体[^1]であり、水素を水から生成するには電気が必要です。石油や天然ガスと違って、水素は地中から手に入れる事はできません。そのかわり太陽光発電で余った電気で水から水素を生成するとか、人工光合成で水と太陽光から水素を生み出す事はできます。つまり蓄電の難しい電気を水素に変え、これをエネルギー媒体として使う事はできます。水素は酸素と合わせて発電に使え、また熱源としても利用できます。化石燃料から水素を抽出すると二酸化炭素が残るので、地球温暖化という観点からは利点がありません。既存のガス管を使ったりガス用内燃機関の手直しで水素を使うのなら、変更に必要なコストはだいぶ少なくなります。ただし理想は電気をそのまま使う事で、電気を水素に変えると効率が落ちるし、再び水素を電気に変えるとまた効率が落ちます。なお運搬の難しい水素を液体アンモニアの形で運搬する方法もあり、遠くからエネルギーを移送する場合に使えます。日本はまずエネルギーを自給できるようにすべきで、すべての屋根に太陽光発電パネルを置くとか、遠浅の海に風力発電プロペラを置く、さらに瀬戸内海で潮流発電を行うとか、国立公園内での地下地熱発電所を可能にするなどで、コストを上げずにエネルギーの自給は可能です。

^1: https://news.yahoo.co.jp/articles/4b48fc593dd227a1a03f43e712f5188d1ccc1dc4