2019年12月30日月曜日

インターンとイントロ

インターンシップはもともと医者の訓練として始まりました。国家試験に受かり医師免許を得た医者の卵が、実地のトレーニング、いわばOJTで医療のイロハを学ぶ事がインターンシップで、そこには先輩の医者が指導役として新米の医者に付き添います。これに対して学生を対象とするアメリカのインターンシップとは、学生と企業のお見合いの場であり双方が相手を評価する機会です。学生はその企業の仕事がどのようなものかを入社せずに学べるし、企業は学生がその仕事に適しているかを雇用せずに調べる事ができます。その上学生は労働の対価としてのお金がもらえて、企業は学生の成果物を仕事に利用できます。双方に利益があるからインターンシップをやる価値があるので、ただのイントロ、つまり企業案内とは違います。仕事を学ぶには3ヵ月ぐらいかかり、また学生が何らかの成果を出すにもそれぐらいかかります。だからアメリカの大学では学生に1学期を使ってインターンシップを受けさせ、それを卒業に必要な単位として認定しています。日本の企業案内はイントロであって、インターンシップではありません。学生を送り出す大学が3ヵ月程度のインターンシップを必須としない限り、日本のイントロでは時間が短すぎて企業案内と変わりません。日本の1日や3日といったインターンシップは、ただの企業案内です。

2019年12月21日土曜日

アメリカの教育システム

文科省はもっと外国の教育システムを研究して、良いと思う点を日本に取り入れて欲しいものです。例えばアメリカの少人数教育です。小学校はひとクラス20人までで、教科によっては教師ひとりに助手がひとり付きます。高校までは義務教育なので、大学に入る時に成績でふるい落とされます。その成績は高校の内申と、複数回受けられる共通テストの得点と、面接の代わりになる作文で決まります。さらに学生の周りの人からの3通の推薦状も必要です。日本のような一発勝負ではないので、ゆっくり数ヶ月の時間をかけてその大学にふさわしい学生を選びます。作文ではなぜその大学で学びたいかを説明し、自分を売り込みます。この過程において、不正防止のため受験者の個人情報は最後まで分かりません。もちろんどの大学にもスポーツ特待生のような仕組みはあります。また私立大学が寄付金の多い親の子供を優遇する仕組みもあります。そのかわり、大学が成績優秀者の学費をタダにしたり生活費を払ったりする事もよくあります。優秀な博士課程の学生には奨学金が給付されます。それはノーベル賞をもらうような優秀な博士を、自分の大学からたくさん出したいからです。アメリカ以外だと、フィンランドの教育とかイスラエルの教育なども参考になります。日本の教育現場には無駄な仕事がたくさんあり、クラスの人数も多く、教師の負担が重すぎます。少子化の進む日本において、教育はますます重要な投資になります。学校をブラック企業にしてはいけません。

2020年5月10日追記
現場の先生から出てきた新しい動きに注目です。
https://www.asahi.com/articles/ASN5933P2N53UTIL007.html

2019年12月15日日曜日

これで良いのか、日本

人口が減り、健康保険も年金も税金も今後悪化すると分かっている日本で、全然若者に危機感を感じません。政治は花見の話だし、若者は公務員になるのが目標です。こんな日本にいても先はないぞ、と言いたい衝動を抑えています。国民全体が、あえて先の事は考えないようにしているように見えます。移民しか方法がないと分かっていても、誰も怖くて言えないのでしょう。平成生まれの若者にはお気の毒です。宴が終わり、昭和世代が借りた借金を返すのは平成世代です。実は日本は貧乏な国なんだと分かるのはこれからです。

2019年12月6日金曜日

日本の栄養成分表示は手抜き

日本の加工食品に付いている栄養成分表示は、三つの問題を抱えています。最初の問題はビタミン類の表示がない事です。エネルギー(カロリー)、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩相当量しかありません。次に単位となる重さがまちまちな事です。100gに統一されていないため、食品間での比較が難しくなっています。アメリカだと1オンス(32g)当たりの表示となっていて、どちらの食品が食塩が多いかなどの比較が簡単です。販売単位(1人分)が1オンスに満たない商品は、1オンス当たりとその販売単位当たりの両方を併用して表示してあります。大人の一日の必要量の何パーセントに当たるかも栄養成分表示に出ています。最後の問題は英語の表示がない事です。栄養成分と原材料名まで英語の表示を追加すれば、来日外国人はそうした食品を安心して買う事ができます。観光で生きていく日本にとって食品の英語表示は必須です。

2019年12月1日日曜日

予約のドタキャン防止

日本の飲食店が予約のドタキャンで困っています。この防止策は簡単で、予約時に仮払いしてもらえば良いのです。そこでアメリカだと予約時にクレジット・カードの番号と有効期限を尋ねます。お店はドタキャンの場合、このクレジット・カードを使って料金を請求します。つまりクレジット・カードがないと予約できないという仕組みです。日本もクレジット・カードもしくは支払いアプリを使って予約時に仮払いする仕組みを作ればどうでしょう?性善説がもはや通じない日本で、これぐらいの仕組みを作れない訳がありません。

2019年11月24日日曜日

FIRE

Financial Independence, Retire Early の略です。共稼ぎで無駄使いせず、早くから最適な投資をすれば30代で引退できるという説です。ホントかなと思いますけど、カナダやアメリカでやっている人はいますね。30代で仕事を辞めると、残りの人生が50年としても1億円以上のお金がかかります。それだけの資産を20代で速く作れば、生活コストの低い場所なら引退できます。車も一台に限り、子供も学費の安い大学に行かせるなど工夫すれば可能です。大学の学費は学生の親の収入と連動するので、資産がどれだけあっても関係ありません。収入がなくて学生の成績がよければ、学費がタダになるだけでなく奨学金までもらえる場合があります。そのかわり旅行は切り詰めるとか、家の修理は全部自分でやるという覚悟が要ります。引退といっても、人に雇われる立場にいないという意味で、フリーランスで好きな時だけ働くという人が大部分です。ストレスがない分、出費も減るようです。

2019年11月16日土曜日

SNS上の有料政治広告

facebookとtwitterが政治広告を巡って異なる方針を決めました。facebookはほぼ何でもありなのに対して、twitterは11月22日より政治広告を受け付けません。基本的に政治広告は有料で偽ニュースを流すサービスなので、これをやめるというのはひとつの英断です。facebookは「言論の自由」を盾に政治家からの偽ニュースを受け付けます。facebookはお金に目がくらんで社会悪になってしまいました。政治的意見は有料でばらまくものではなく、知りたい人が無料で見に来るものだというtwitter CEOの意見は正しいと思います。アメリカの票はお金で買える物になりつつあり、これは民主主義の方向としては誤りです。これでは大金持ちしかアメリカの大統領になれません。政治家がたとえ支持者から寄付をもらって政治広告を出すとしても、その金額で世論が決まるようではいけません。政治家の意見を問うのが選挙であり、偽ニュースはSNSから極力排除すべきだからです。

2019年11月10日日曜日

人は溶けない

日本人はよく「その場所に溶け込む」という表現を使います。でも人は溶けません。人がその場所に馴染むことはあっても、溶け込むことはありません。人は最後まで自分の個性を保ったまま死にます。だから外国人が日本に住む時、馴染むことはあっても溶け込むことはありません。母国から持ってきた言語や宗教や文化は捨てません。だからこそ他の日本人とは違う視点で貢献できるのです。「溶け込む」のではなく「持ち寄る」のが正解です。新しい住民はその場所を新しくするので、溶けてもらっては困るのです。

2019年11月3日日曜日

世代間の争い

日本の年金や健康保険は世代間の争いになっています。お金を払う人と受け取る人が世代で別れているからです。同様に地球温暖化の問題も世代間の争いになっています。今大量に温室効果ガスを排出して利益を得ている人と、将来温暖化の被害を被る人が世代で別れているからです。昭和生まれと平成生まれ、さらに令和生まれでは世代が違います。昭和生まれが逃げ切れる年金や地球温暖化の問題に、平成生まれは直面しています。

2019年10月26日土曜日

日本の農業

日本の農産物は、アメリカ産と較べると美味しくて高価です。農業の規模拡大が難しい日本では、農家の収入を上げるには単価を上げるしか手がありません。そのため美味しくて高価な果物や野菜が日本産として店頭に並び、安いモノは輸入品になります。例えば安いブドウはアメリカ産で、安いニンニクは中国産です。もちろん日持ちがしない葉物はほとんどが日本産です。でもパプリカ(赤ピーマン)は国産の半額で韓国産を売ってます。米や小麦も輸入品のほうが安いので、国内の農家を守るため関税で価格を維持しています。農家が減ると自民党の票田が減るので、農家の数を維持したい政府にとって大規模農業を促進する理由はありません。農家の年齢が上がって自然に農家が減るのを待っている状況です。

2019年10月19日土曜日

外食の持ち帰り

アメリカと違い、日本は外食の持ち帰りができません。食べ残した料理は、お店の人に見つからないように隠して持ち帰るしか方法がなく、廃棄される食品を増やしています。その理由は、お店の方が持ち帰った料理による食中毒を心配するからです。高温多湿の日本では、特にお刺身など生ものを持ち帰ると途中で腐る危険があります。ここは新しい法律でお店を守り、食べ残しを持ち帰る場合の責任をすべて客に取らせる必要があります。もともと持ち帰りを想定してない店内料理なので、新しい法律でゴミを減らすと同時に持ち帰る客も喜ぶ世の中にしませんか。例えば生ものは持ち帰れないなどの制限があっても良いでしょう。廃棄される食品を減らすのは日本の義務です。

2019年10月12日土曜日

加熱式タバコ

日本でフィリップ・モリス社が売っている加熱式タバコ「アイコス」の宣伝に「火を使わない。周りに配慮できる。」という文句があります。「火を使わない」から火事の原因にならない。「燃焼による煙がない」から周りの人に悪影響が少ないと言いたいのでしょう。でもこれは本質的な利点ではありません。周りに配慮したければタバコを吸わなければいいのであって、加熱式タバコだって気化したニコチンなどを霧として口からはき出す以上、周りの人への悪影響は避けられません。そのうえ電子タバコに内蔵されているリチウムイオン電池が爆発して、顔に大やけどを負った人も世の中にはいるので、火事の原因にならないとも言えません。まったく人を馬鹿にした宣伝文句をよく使っているなと感心します。

2019年10月5日土曜日

株価も円レートも関係ない

あなたの暮らし向きには株価も円レートも関係ありません。関係するのはあなたの実質賃金が去年より上がったか下がったかだけです。株に投資している人ならともかく、一般の人には株価は意味ありません。円レートだって直接あなたの実質賃金には影響しません。ニュースによく取り上げられる株価や円レートを、政府は日銀を通じて操作する事ができます。でも実質賃金は経済の実態を表すので、そう簡単に動かす事ができません。経済の基礎体力が失われた国では、実質賃金が時間とともに減っていきます。今の日本はそういう国です。同じ人数でより儲かる仕事をしなければ、競争に負けて実質賃金が減ってしまうのです。

2019年9月27日金曜日

郵便局がおかしい

親方日の丸の感覚が抜けないのか、日本の郵便局がおかしくなってます。まず窓口で現金しか使えない。クレジットカードもATMカードもだめ。ましてや電子マネーもだめ。役所以下です。郵便局の民営化はどこにいったのでしょう。これでは利益を上げられる訳がありません。だから保険の拡販で手数料を稼ごうとして自爆しています。中途半端な民営化では郵便局は利益を上げられません。だいだい都市部の郵便局の数が多すぎます。郵便の赤字を簡保の黒字で補填するのは誤りです。これは変われない日本のもうひとつの象徴です。老人をだまして不要な保険を買わせるのは詐欺と言っていいでしょう。

2019年9月20日金曜日

世界最大の原油産出国はアメリカ

2018年のデータによると、アメリカの日量平均1095万バレルという原油産出量はロシアとサウジアラビアを超えて世界最大となりました。つまり世界最大の原油産出国はアメリカ[^1]というのが現状です。こうなると日本には中東だけでなくアメリカからも原油を買うという選択肢が生まれます。必要量の半分は中東から、残りはアメリカからという方法です。アメリカも天然ガスや原油の販売先を増やそうとしているので、お互いの利害が一致します。アメリカのテキサスから来るタンカーはパナマ運河を通り太平洋を渡るので、ホルムズ海峡のような危険な海域を通らなくて済むという利点もあります。石油は中東からという昔の常識はもう通用しません。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42961830X20C19A3000000/

2019年9月14日土曜日

日本のひとり負け

東京新聞の記事[^1]によると、1997年と較べ先進国の中で時間当たりの賃金が下がっているのは日本だけです。物価を考慮した実質賃金だと2018年は10%の減少となっています。人口減少により国内の売り上げが減る中で、企業が利益を確保するために賃金を抑制したのが原因とされています。賃金の安い非正規雇用の比率がこの21年で23.2%から37.8%に増えているのがその証拠で、小泉政権の時代に非正規労働の規制緩和をしたのが元凶です。人口減少を無視した経済学では日本は救えません。非正規労働は最長1年までに戻し、本格的に移民を受け入れる以外にこの状況を反転させる事はできません。

^1: https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019082990070238.html

2019年9月7日土曜日

通帳は時代遅れ

日本の銀行は通帳を廃止すべきです。オンラインで分かる情報を通帳に印字するために多大なコストがかかっています。インターネットが使えない顧客には、月に一回手紙でその前ひと月分の収支を送れば十分です。顧客にとっても通帳は邪魔で、ハンコとともになくして欲しいと思います。本人確認はスマホで可能です。21世紀にいまだに通帳を使い続ける銀行のコスト意識が理解できません。もちろん銀行によっては、アプリで通帳を置き換える事に成功したところもあります。ちなみに通帳のないアメリカのATMはカードなしでも、その銀行のアプリがあれば one time password で使えます。

2019年9月1日日曜日

5通りの消費税率

10月1日から日本の消費税が10%に上がります。ところが軽減税率という愚かな政策と、キャッシュレス還元というさらに愚かな仕組みのため、消費者が払う消費税率は 3, 5, 6, 8, 10%の5通り[^1]あります。政治家は税制に例外を設けることで自分の支持層への税負担を減らし、その結果税制が複雑になります。税制が複雑になると徴税コストがかさみます。このコストは無視されるので、例外を設けたために増税の効果が相殺されていても気付きません。日本の消費税はこれまでアメリカに較べて簡単な仕組みで、一律8%で徴税コストが安く済みました。政治家の妥協のために複雑になった税制のコストを支払うのは国民です。こうした近視眼的な政策が日本を蝕みます。目先の利益しか見ない有権者にも責任があります。

^1: https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201908/CK2019082402000135.html

2019年8月25日日曜日

国別高齢化率

総人口に対する65歳以上の比率を高齢化率と呼びます。2018年の世界銀行の統計データでこれを日本と他の国で比較[^1]すると、まず第1位は日本27.47%です。第2位はイタリアの23.31%、第3位がポルトガルの21.89%、第4位がドイツの21.66%とヨーロッパ諸国が続きます。アメリカは15.80%で36位、韓国が14.42%で50位、中国は11.19%で65位です。ただし中国は今後40年で35%を超え、日本に追いつくと予想[^2]されています。これに対してアメリカは40年後でも25%を下回り、先進国の中でも最下位に位置しています。これはいったいなぜでしょう。筆者はアメリカの高齢者があまり医療費を使えないからだと見ています。国民皆保険制度のないアメリカだと、65歳以上で会社の保険に入っていない人は、国が主導するメディケアという保険に入ります。この保険はカバーする額が低いので、65歳以上で大病すると医療費で破産する事もあります。日本ほど高齢者に税金を使わないので、高齢者は金の切れ目が命の切れ目になります。お金がある人は長生きできるし、ない人は早く死にます。健康保険は自己責任の世界なので、アメリカだと大部分の人は老後に医療費の少ない人生を選び、日本ほど長生きしません。そこには「長生きが善」という発想はありません。神様が決めた寿命まで生きたら死ぬという死生観があり、お金のかかる延命医療は家族が良しとしません。

^1: https://www.globalnote.jp/post-3770.html
^2: https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/gaiyou/s1_1.html

2019年8月18日日曜日

日本の高齢化と現役世代

日本の高齢化はびっくりする程進んでいます。2018年の高齢社会白書[^1]によると、「総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は27.7%」となっていて、さらに総人口から15歳未満人口を引くと11,112万人ですから、16歳以上に占める割合は31.6%になります。いわば大人の3人に1人が65歳以上というとんでもない数字です。国内の介護は外貨を稼げる仕事ではないので、1人の高齢者に1人の介護者がつくと残る1人しか外貨を稼げません。つまり高齢者の介護に時間やお金を使えば使うほど、現役世代の暮らしが悪化するという計算になります。しかも人口は減る一方で高齢者の数はむしろ増えるので、高齢者が日本を食いつぶすという未来は目前に来ています。日本にいる現役世代にできる事はより高い賃金の仕事に就くことで、増税や社会保障費の増加と将来の年金の目減りを補うためには、もっと多くのお金を稼がなければいけません。

^1: https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/gaiyou/s1_1.html

2019年8月5日月曜日

敗戦と被害者意識

毎年8月になると太平洋戦争で日本国民がどれだけひどい目にあったか、というテレビ番組が放送されます。そこには日本国民が戦争の被害者であるという視点しかありません。どうして国の指導者はあの戦争を始めたのか、日本国民はなぜこの戦争に加担したのかという視点はありません。アメリカに対して戦争を始めたのは日本です。敗戦の結果、日本国民が被害者であると同時に加害者でもあるという事実は時間がいくら経っても消えません。独裁者ヒトラーだけ悪者にすれば良かったドイツと違って、日本は東條英機だけを悪者にしてお終いとはいきません。東條英機は独裁者ではなく、間接的に全国民の信任を受けていました。国のトップである昭和天皇も戦争には同意していました。命をかけて、当時の空気に逆らってでも戦争反対を主張しなかった人は、この戦争に加担した加害者である事を免れません。当時の新聞や大学も戦争を煽ったという意味では加害者です。現代において被害者の視点で作られた番組ばかりではなく、加害者の視点で作られた番組も同数ないとバランスが取れません。被害者意識だけでは次の戦争を避けることはできません。戦争に負けたから被害者なのであって、次の戦争に勝てばもはや被害者とはならないからです。侵略されたら戦争してでも国民と国土を守る、でもこちらから戦争を始める事はない、という国の方針をあなたは支持しますか。

2019年8月3日土曜日

アパート過剰の東京

駅近の古い家を壊してアパートに建て替える事例が東京で増えています。そのアパートは明らかに独身者用で、普通の一軒家のスペースに8世帯が入るように作られています。敷金や礼金がゼロというのが売りで、駅から徒歩5分以内に集中しています。使わなくなった古い家の土地を利用する方法としては分かります。でもワンルーム・マンションのような狭い部屋が建物に8個も入っていて、あきらかに無理をしています。そうして作ったアパートにもほとんど人が入っている気配がなく、すでにこの手のアパートは東京で過剰になっているようです。

2019年7月21日日曜日

民主主義のコスト

民主主義を維持するにはコストがかかります。選挙や投票もコストですし、立候補するにもお金がかかります。選ぶ側の国民は投票する議員を選ぶために、偽ニュースではない本当の報道に接する必要があります。バイアスの少ない、本当の報道を得るには有料のニュース媒体が不可欠で、そのために新聞やNHKが存在します。つまり新聞やNHKは民主主義のコストです。NHKの予算が何にどれだけ使われたかは国民がしっかり精査するものです。しかし、NHKを一部の国民にだけ利用できる媒体にしてしまうと、それ以外の国民を本当の報道から遠ざけてしまいます。新聞もNHKも利用しない国民が増えると、日本の民主主義は瓦解します。本当の事を知らないと、偽ニュースに簡単に騙されてしまうからです。日本は選挙があるから民主主義なのではなく、国民が最終責任を負うから民主主義なのです。そのため投票率が50%を割る日本は、もはや民主主義といえる状態にはありません。

2019年7月10日水曜日

アメリカの有権者はうるさい

ほんとにアメリカの有権者はうるいさいです。ちょっと気に入らない事があると、すぐ自分の支持する議員にメールや電話で文句を言います。言い換えると、一般の人と議員との距離が短くて、選挙だけでなくいろいろな機会を捉えて有権者と政治家が接触しています。市会議員から始まって、州知事から大統領までメールアドレスを公開していて、だれもですぐにメールを送ります。子供でもメールを送れるので、子供は将来の有権者ですから大統領側もちゃんと子供のメールに(多分スタッフが)返事を出します。タウン・ミーティングと称して、学校の体育館などで議員が有権者を集めて集会を開くのは当たり前です。そうした集会に子供を連れて参加する有権者にも、民主主義とは何かが浸透しています。民主主義では最終責任を負うのが市民なので、支持する議員に常に自分の希望を伝えるのが有権者の義務であり権利であるという理解があります。議員は有権者の代弁者であるという民主主義の基本は、アメリカだと小学校で教わります。

2019年7月2日火曜日

知らぬが仏

英語には「He that knows nothing, doubts nothing」という諺があります。日本語でこれに相当するのはたぶん「知らぬが仏」でしょう。知識がないと人の話を鵜呑みにしてしまいます。日本人は世界でも稀な「お人好し」の国民です。政治家や医者、警察官や学校の先生の言うことを疑いもせずにすぐ信じてしまいます。だから「オレオレ詐欺」は日本でしか聞きません。一歩日本の外にでると、日本人はいいカモです。

2019年8月23日追記
アメリカでも外国人が中心となってインターネット詐欺を働き、個人や会社のお金をだまし取るという事件が摘発されました。「オレオレ詐欺」と違い「internet romance」と呼ばれます。よくメールで来る「僕は○○の王子で今度遺産をもらうから××してほしい」みたいな話です。メールのやりとりだけで信頼を得て、お年寄りにお金を送金させる手口は大した技術です。日本人だけがカモではありません。

2019年6月26日水曜日

アメリカで働くには

このブログの読者にはアメリカで働いてみたい人もいるでしょうから、その方法を一緒に考えてみましょう。まず外資系のアマゾン、アップル、グーグルなどに日本で勤めて社内異動でアメリカに渡る方法と、アメリカの大学を出てそのままアメリカの企業で働くという方法のふたつがあります。アメリカは賃金の高い国なので、賃金の安い海外の労働者がアメリカ国内に流入することを法律で厳しく禁じています。このため日本人がアメリカで合法的に働くには労働ビザが必要で、アメリカ国内に労働ビザのスポンサーが要ります。グローバル企業の場合だと別の国に異動するのは割と簡単なので、これを使うのが一番確実です。もしアメリカの大学に留学中でどこかの会社でインターンしている人は、学生ビザF1のまま大学卒業後に一年間働けるので、これを使ってその会社に入ってそこで労働ビザを取ってもらうという手もあります。どちらの方法でも英語で仕事できるだけの会話力は必須です。それはTOEICで860点以上となります。

2019年6月19日水曜日

何かがおかしい

巷にあふれるヒマな老人と人手不足の日本、保育園が足りない都会と働けない女性、国家予算の半分を国債に頼る政府と増税に反対する国民など、日本はどうも矛盾の多い国です。ヒマな老人が近所の子供の保育をすれば、働ける女性はぐっと増えます。老人も収入が増えるので税収入が増えて、年金への依存度が減ります。使っていない空き家を改築して保育所に変えれば、空き家問題も解決します。政治家の皆さん、これって不可能ですか?

2019年6月10日月曜日

今さらだけど

日本政府の言う「百年安心年金」は最初から「絵に描いた餅」でした。出生率と経済成長率を過大に見積もり、不都合な真実を隠してきました。だから金融庁の「95歳まで生きるには2000万円の金融資産が必要」という提言は「何をいまさら」という話です。知っている人は知っています。何も不正確な事は書いてありません。これから年金の給付水準は下がるし、税金は上がります。65歳になっても働き続けるか、そのかわりに2000万円の金融資産を65歳までに用意しておけばいいだけです。現在60歳の人の25%は95歳まで生きるそうなので、長生きする人は投資をしましょう、というのが金融庁の指摘です。

2019年6月7日金曜日

日本の行政手続きは恐ろしく時代遅れ

例としてアメリカの運転免許を日本のものに書き換えるという手続きがいかに時代遅れかというお話をします。まずアメリカの免許ですから英語で書いてあります。発行日とか期限ですね。これを府中の自動車運転免許試験所では英語なのに読めないので、これをまずJAFに持って行って日本語に翻訳してもらわねばなりません。JAFは東京だと浜松町にあるので、府中から浜松町に電車で移動して翻訳を申し込むと、12時を過ぎているという理由で翻訳が出来上がるのが次の日の午後1時、しかも3千円の手数料がかかります。そもそも日本の免許がアメリカにいる間に失効しただけなら、古い日本の免許を今のアメリカの免許で復活させられるはずです。でも失効した後日本に1ヵ月以上滞在しているとなぜかこれができず、復活はあきらめて外国免許の切り替えが必要です。こうした手続きは一切インターネット経由ではできません。すべて人がその場所にいってやらなければなりません。せいぜいできるのは申請書を前もって印刷して記入しておく位です。この時代遅れな行政手続きにはあきれてしまいました。これではまるで昭和の日本です。なぜすべてウェブ上で完了できないのか理解できません。もちろんその結果としてたくさんの人手を必要とするので、この人手不足の時代に日本の失業率をさらに低く抑えることができます。でもこれでは国際競争に負けてしまいます。こんな非効率な国では新しいビジネスが育ちませんし、優秀な人は他のもっと効率的な国に行ってしまいます。日本の行政手続きは、それほど進んでいないアメリカに較べても20年遅れです。

2019年6月1日土曜日

シニアは起業を

60歳をすぎたシニアが定年後に仕事がないと言ってはいけません。ベテランなら売りになるスキルがあるはずで、それをもとにフリーランスでもいいから自分で仕事を創るのがシニアです。60歳ともなれば物覚えも悪いし、体力で若い人にはかないません。そのままでは最低賃金でないと雇われない人なんだから、自分にしかできない仕事をするのが一番です。それには50歳を過ぎたころから準備します。自分の知識と経験、それに人脈で始められる仕事は何かを考えます。もしそこにやりたい仕事がないなら、定年後に備えて新たに知識と経験、それに人脈を獲得するところから始めます。50年も生きていれば自分のやりたい事も分かるし、それに必要なスキルが何かも分かります。シニアは若者ではないので、まちがっても最低賃金で働いてはいけません。若い人にはできない仕事で収入とやりがいを目指して下さい。それに自営業なら定年はなく、好きなだけいつまででも働けます。ただし飲食店は失敗する確率が高いので、シニアには向きません。

2019年5月24日金曜日

英語名の順序

英語圏の名前の順序は日本と反対だと思っている人が多いようです。ところがアメリカの公式書類や会社の目簿などでは日本と同じ姓と名になっています。つまりFamily name, Given nameという形です。ポイントはカンマで、これがあると最初が姓だという印になります。カンマが無いとどっちが姓でどっちが名かどうか分からないので、このカンマを必ず付けます。ではなぜ公式書類や名簿で姓を先に書くのでしょう。それはGiven nameが先だと人を探しにくいからです。名の種類より姓の種類の方が多いので、姓を先にした方が見つけやすくなります。もちろん今はパソコンやスマホがあるのでGiven nameで検索してもすぐに見つけられます。でもChristopherもChristineもChrisになる英語圏では、Family name, Given nameという形式は便利なのです。

2019年5月17日金曜日

博士号は取ったけど

日本では博士号を取った人の勤め先がないと新聞記事にありました。それは日本だけの問題ではありません。アメリカでも博士号を取る人に比べると、研究職の求人は恐ろしく少ないのが現状です。でも博士号を取って一般の企業で働く人はたくさんいます。流行の人工知能とか機械学習の分野だと企業で働く方がずっと給料が良いので、大学から企業に移る人は珍しくありません。仕事の給料は需要と供給で決まります。もし教授職を目指すなら、大学にとって必要な人になればいいという事です。地味な学者でも良い意味で有名になる方法はあります。ユーチューブで自分の研究成果を魅力的に発信できますか。Professorというのは人前で話をする人という意味です。論文のための研究ではなく、人の役に立つ研究ならあなたの話を聞きたい人は必ずいます。

2019年5月9日木曜日

夜十時までの配達?

筆者の住む場所だと、最寄りのWhoe Foodsスーパーマーケットから2時間配送が可能です。その配達時間帯を見ると、朝の八時から夜の十時までとなっています。食べ物とはいえ夜の十時まで配達の仕事をしている人がいるかと思うと、なんか申し訳なくて注文できません。ほとんどの人が午後五時で仕事を終えるし、飲食店も九時には閉まるアメリカで、バーやナイトクラブなみに夜十時まで配達の人が働いています。これは人類にとって進歩なのでしょうか。以前は六時で終わっていた配達の仕事が今は十時までかかります。独身ならともかく家族持ちには辛い仕事です。注文する方はスマホのボタンをひとつ押すだけです。でもその結果として誰かが夜の十時まで働かなくてはなりません。これが誰かの犠牲の上に成り立つ便利な生活だとしたら、あまり気持ちの良いものではありません。もちろん配達する人は自分で選んでその仕事をしてるのだとは思いますが。

2019年5月1日水曜日

人が時代を作る

日本の年号は、人心を一新する目的で過去何度も任意に変えられています。戦争や大地震の後に改元した例として一番有名なのは、室町時代に起きた応仁の乱です。この戦争の後、年号は応仁から文明に変えられています。実際には年号を変えても現実はなかなか変わりません。でも人々が変化を望む以上、年号を変えるのは簡単でそれなりに効果のある方法だったのです。さてひるがえって時代は平成から令和になりました。名前は変わっても、そこで生きる人たちが変わらなければ何も変わりません。時代は年号ではなく人が作るからです。昭和(戦争)や平成(バブル経済、原発事故)の過ちを繰り返す事なく、新しい年号にふさわしい元気な日本を作るのは今の大人の仕事です。

2019年4月27日土曜日

EHTの快挙

4月10日に発表のあった、M87の中心のブラック・ホールの画像は見応えがありました。このブラック・ホールの推定質量は太陽の65億倍で、そこから事象の地平線までは約120AU(AU=天文単位:太陽から地球までの距離)となります。画像の中心にある丸い穴はブラック・ホールが生み出す影で、事象の地平線の2・6倍と見積もられています。つまりこの影の半径は312AUで、太陽系に置き換えると海王星が太陽から30AUの距離ですから、その十倍以上外側にあります。ボイジャー1号ですら2018年において142AUぐらいの所を飛んでいるので、いかにこの影が大きいかが分かります。ブラック・ホールの強い重力によって周囲の空間が曲がり、それにともなって光が曲がるのでこの影ができます。影を囲む明るい輪には濃淡があり、これが何を示すのか興味津々です。

2019年4月21日日曜日

消費税増税は不可避

今年の日本は消費税増税を控えています。前の時もそうだったように、10月の増税まで半年を切ったこの時期になると人気取りを目的とした増税延期論が出てきます。もちろん誰一人として税金を増やしたい人はいません。でも過去2度も延期したこの増税をまた延期すると、日本は財政赤字を減らすつもりがないと海外から判断されます。すると日本への投資が減ってしまいます。また今年度の予算にすでに10%の消費税が織り込み済みなので、使い道が決まった支出への財源がなくなってしまいます。増税があってもなくても少子高齢化は止まりません。それに米中の貿易摩擦も長くは続きません。日銀だって無限に国債を買い支える事はできないので、ここで増税を延期するのは愚かな判断です。

2019年4月12日金曜日

SpaceXの快挙

日本の新聞が報道しなかった今週のニュースから、筆者がすごいと思うものをご紹介します。アメリカの民間ロケット会社SpaceXがFalcon Heavyと呼ばれる三本のロケットを束ねたものを打ち上げ、三本とも回収に成功しました。つまりこの三本のロケットはまた使えるという事です。三本のうち左右の二本は打ち上げた場所の近くに垂直着陸し、真ん中の一本は海上で待ち受けたドローン船に垂直着陸しました。そのうえ衛星を守っていたフェアリングというカバーも海から引き上げています。つまり打ち上げた衛星と第二段ロケット以外は再使用できるという事です。すごい快挙です。これなら衛星打ち上げのコストが桁違いに下がるのは間違いありません。この打ち上げと着陸のビデオは迫力があります。

4月16日追記:ドローン船に着陸したロケットは、海が荒れたため移動中に海に落ちてしまったそうです。残念!

2019年4月5日金曜日

飛行機のソフトウェア

ボーイング社のジェット機737MAX8が最近続けて2度の墜落事故を起こし、ついにボーイング社がこの飛行機の制御システムの欠陥を認めました。MCASという失速防止装置が誤動作を起こして、2度の墜落を起こしたという話です。問題はこの装置の動作を操縦者が容易に無効化できないという点で、明らかに仕様が誤っています。それにMCASが使う仰角センサーは左右に合計二つあり、そのひとつしか使っていなかったという点で設計にも誤りがあります。こうしたセンサーは間違ったデータを送る事もあるので、左右両方のセンサーを使ってデータが合うかどうか確かめるべきであり、合わなければそのデータは捨てるというルールが必要です。こうした安全装置が誤動作した場合、人間の動作を優先すべきなのは当然です。ボーイング社はついにソフトウェアを変えて、操縦者の動作を優先するそうです。自動化と人間優先は矛盾するので、設計思想としては常に人間優先を貫ぬくべきでしょう。この飛行機に乗った人はソフトウェアのせいで死んだも同然です。仕様が間違っていたら、それを指摘し改善するのがプロです。

2019年4月1日月曜日

どうすれば良いのか

赤字国債という多額の借金を背負わされた平成生まれが現状に気付くにつれて、昭和生まれの「逃げ切り世代」への反感が増しています。それは「失われた平成の30年」という呼び方に対する反発でもあり、過去の日本経済をいくら批判しても彼らの怒りは収まりません。「それならどうすれば良いのか」という今後の話を聞きたい彼らに対して、「平成のこれが失敗だったよね」と言っても無意味です。筆者の意見では、日本人のひとり当たりの収入を倍にするのが解決策です。年収が600万円の人は1200万円にするという事です。労働人口が減る中で未来に希望を持つには、日本に再び所得倍増計画が必要なのです。では具体的にどうすれば所得を倍増できるでしょうか。それには英語等の外国語を仕事の道具として使い、世界の人口が増える国を顧客とします。大部分のアジアの国々、およびインドや南米もこれから人口が増えるので、膨大な需要が発生します。頭を使ってより儲かる仕事をするのが今後の日本の進む道です。もう他の国の真似をしていれば良かった時代ではありません。

2019年3月24日日曜日

退職金

アメリカの会社には退職金はありません。ただし会社都合でクビにする場合、手切れ金を払う制度はあります。例えばレイオフの時、もし会社にお金があれば数ヶ月分の給料をもらってクビになります。また有給の残りを買い取ってくれる制度もあるので、使い残した有給休暇は日割りの給料額から税金を引いた残りがもらえます。またアメリカの重役は会社と特別な契約を結んで退職するので、同業他社に行かないという条件で多額の退職金をもらう人もいます。これに対して日本の定年以外の退職金はその理由が不明です。なぜ自己都合で会社を去る人にお金を払うのでしょう。日本では有給の残りを買い取ってくれないので、その代わりという見方はできます。またより長く働いてもらうために、給料の後払いに近い形で報償として取っておくという見方もあります。本当は退職金は手切れ金なので、会社都合でクビにする場合に払うものです。だから定年には退職金があって、自己都合だとないというのが正しい姿です。

2019年3月16日土曜日

自由

自由とは何でしょう。好きなときに好きな事をすることですか。人から指図を受けない事ですか。法律の枠内で許された事をすることですか。自己責任で何かをする事ですか。失敗する自由、成功する自由、法律に縛られない自由もありますね。例えば公海上に出てしまえば、管轄する法律はありません。自由の反対は不自由です。自分の好きな事ができない状態が不自由です。つまり自分が自由かどうかは自分で判断できます。主観的な判断だけで決まるので、あなたが自由だと思えば自由です。逆に自由だと思えなければ、誰が何と言おうと自由ではありません。さて、ここまで読んで来た方にはもうお分かりでしょう。アメリカはイギリスから自由を求めて海を渡った人たちが作った国です。日本とは自由への渇望度が違います。アメリカという国の根本は自由主義です。では日本の根本は何でしょう。日本は国としてどこを目指しているのでしょう。日本の国是は何ですか。

2019年3月4日月曜日

借金を返すのは誰か

昭和生まれの世代が将来の世代から借りた1100兆円もの借金を返すのは誰でしょうか。平成生まれの世代に返済義務がのしかかるのは避けられません。またその後の世代もこの借金を背負うことになります。昭和生まれの世代は脳天気です。国債を発行できるだけ発行してそのお金で飲み食いしたあげく、その借金を返すことなく消えていきます。今の若者が貯蓄に走る理由は明らかです。この先国債という借金を増税で支払わなければいけない世代に、無駄遣いする余裕はありません。日本の人口が増えた昭和と人口が減る平成では時代が違うのです。生まれつき巨額の借金を背負わされた今の若者は、昭和生まれの浪費家世代に文句を言う権利があります。日本は実力以上に国家予算を使っています。この借金を返すのは誰か、日本の政治家は誰も勇気がなくて言えません。

2019年2月23日土曜日

労働生産性

アメリカの中間層が減っているという記事を前に書きました。コンピュータによる省力化が盛んなアメリカでは、中間層がやってきた事務処理をことごとく機械化したので、事務仕事そのものが激減しています。そうやって事務仕事を失った人は、自分を再訓練してより頭を使う仕事に移るか、あるいはコンピュータにはできない運転手や飲食店の店員をやっています。もちろんそのまま引退して、つつましく暮らしている人もいるでしょう。労働生産性を上げるという事は、結局同じ人数でより多くの仕事をするか、あるいは同じ仕事をより少ない人数でこなすかです。労働生産性を上げるために機械化すれば、機械は税金を払わないので国の税収が減ります。この状況を打開するには、新たに生産性の高い仕事を創る必要があります。投資家がIT企業とかAIに投資するのは、それによって生産性の高い仕事を創れる見込みがあるからです。政府は規制緩和によってそうした企業を後押し、国民は増える税金を負担しつつ、より給料の多い仕事をする必要があります。

2019年2月9日土曜日

二度手間

日本の税務署は、いつ誰にいくら給料を払ったかという情報を事業者から得ています。これは当然コンピュータで利用できる情報としてデータベースに格納してあるので、賃金統計にこの情報を使わない理由が分かりません。厚生労働省の賃金統計があてにならないというニュースを見て素人の筆者が思うのは、なぜ同じ情報を複数の省庁が事業者に別のルートで尋ねるのかという疑問です。大体、いまだに紙と人手で情報を集めるという発想そのものが時代遅れです。(事業所にエクセル・ファイルを送って、それにデータを記入してプリントした紙を役所に送れって何ですか。何でエクセル・ファイルをインターネットで受け取れないの。)それぞれの省庁が抱えている統計情報は国民の税金で集めた物で、もしそれがあてにならないなら税金の無駄です。より少ないコストでより正確な統計情報を集める方法は必ずあります。税金を払っている国民は、こうした無駄を見過ごしてはいけません。

2019年2月2日土曜日

どうして○○は××なのか?

ここ数年でウェブ上に「どうして○○は××なのか?」という題の記事をよく目にするようになりました。これは偽ニュースである事が多く、注意が必要です。なぜなら「○○は××だ」という部分を証明抜きで正しいとして、「それはどうしてか?」と問いかける記事が多いからです。例えば「どうしてラーメンはアメリカ人に人気なのか?」という題があるとして、「ラーメンはアメリカ人に人気」という部分は本当でしょうか。実は寿司の方がラーメンよりアメリカ人には人気があります。それに日本食に限定しなければ、ピザの方が寿司よりアメリカ人に人気があります。「ラーメンはアメリカ人に人気」という事を証明せずに、それを正しいとしてその理由を尋ねる題は読者の誤解を招きます。またこの手の記事は実質的に広告となっている事が多いので、そこにも注意が必要です。

2019年1月24日木曜日

ボイジャーとオポチュニティ

1977年に打ち上げられたNASAの惑星探査機ボイジャー(1号2号)と、もっと最近の2004年に打ち上げられたオポチュニティは対照的な探査機です。前者は木星を含む火星より外の惑星を探査する人工衛星なのに対して、後者は火星に着陸して14年にわたり火星の地表を観測してきた探査車です。両者には27年近い年の差があり、生き残りの方法も違います。ボイジャーはプルトニウムを熱源とする原子力電池を使い、40年以上も宇宙を旅しています。でもオポチュニティは太陽の光を太陽電池で電気に替えて、電池に貯めて使うロボットです。プルトニウム238の半減期は87年なので、その崩壊熱を使うボイジャーの発電量は2018年には当初の半分以下になっており、無線通信の他にはプラズマ検知器が働いているのみです。そのため2025年頃には発電量が足りなくなって、無線通信が止まるかもしれないと予想されています。一方オポチュニティは2018年に火星の大規模な砂嵐に巻き込まれて、太陽の光が届かなくなったので冬眠モードに入り、2019年1月現在通信が途絶しています。どちらのロボットも内部の電子機器を室温で動かすには熱源が必要で、ボイジャーはプルトニウム238を熱源として、またオポチュニティは電池に貯めた電気を熱源として内部を室温に維持しています。オポチュニティは長い間太陽の光を遮られたため、熱源となる電気が足りなくて電池や内部が凍ってしまった可能性があります。火星で砂嵐に巻き込まれたオポチュニティは寿命かもしれません。でもボイジャーは打ち上げから50年後の2027年になっても活動を続け、太陽系外のプラズマの様子を人類に教えてくれるものと期待します。

2019年1月14日月曜日

4年分のブログを本に

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