2023年3月31日金曜日

グローバリゼーションの失敗

世界の国々が貿易を通じて相互依存すれば、経済も活性化するし戦争もなくなるというのがグローバリゼーションのうたい文句で、確かに2022年2月23日まではその通りでした。でも翌日のロシアのウクライナ侵攻がすべてを変えました。相互依存しても戦争は起きるし、むしろ依存関係そのものが兵器化すると分かったのがこの1年です。もちろん経済の活性化は国内産業の犠牲の上に成り立っており、すべてが上手くいくという保証は最初からありません。中国を富ませれば民主化するというアメリカの予想は外れ、今や経済と軍事の両面でアメリカに次ぐ国となった中国は、ロシアを利用して世界支配を目指しています。民主国家が数の上では少数派という現実の前に、グローバリゼーションは失敗したと言わざるを得ません。特に民主化した後の汚職の取り締まりが大切で、これに失敗した国はロシアやイラクのように元の権威主義に回帰します。

2023年3月30日木曜日

気候変動

どうやら気候変動は避けられそうもないので、どうしたら生き延びられるかを考えてみました。まず大雨で浸水しやすい場所や孤立しやすい場所に住むのはやめましょう。崖の下とか上も危険です。台風や竜巻で木が倒れるとか電線が切れるとかもあるので、木が多い場所は要注意です。停電やガス欠にそなえて家に水と食料を貯蔵するとか、屋根にソーラー・パネルをのせるのも良いでしょう。都会では家が狭いので、食料の備蓄は工夫が必要です。地震対策と合わせてローリング・ストックにしましょう。逆に干ばつの場合、農家を救うのは井戸です。普段から井戸を使い、干ばつ時には井戸水で生き延びます。酷暑で冷房に電気を使うと、発電量が足りなくなって部分的な停電が起きます。タワマンの住民は普段から足腰を鍛えておくべきで、毎週一回は階段で自宅とロビーを往復する練習をしましょう。

2023年3月27日月曜日

ドイツの欺瞞

この報道[^1]によれば、ドイツはEUの「2035年にガソリン車など内燃機関車の新車販売を禁止する方針」に反対し、内燃機関を動力源とする車を作り続ける事を決めました。既存の車にはガソリンが必要なので、2035年になっても何も変わりません。「温暖化ガス排出をゼロとみなす合成燃料の利用に限り」そうした新車の販売を認めるそうですが、値段の高い合成燃料を使う人はおらず、結果的にEUの方針が骨抜きになったという事です。環境先進国のイメージで売っていたドイツはロシアから天然ガスを買えなくなり、原発廃止も先送りしました。自国内の森を切り倒して畑や町を作り、工業生産で裕福な国となったドイツの欺瞞が顕著です。VWの排気ガス不正問題で分かるように、ドイツといえどもズルします。学生時代にドイツ語を勉強した筆者としては、今のドイツの欺瞞にガッカリしています。

2023年3月25日土曜日

1.5度は無理

地球温暖化は一向に止まりません。どうやら1.5度の温度上昇[^1]に抑えるのは無理そうです。ウクライナ戦争で化石燃料の消費はむしろ増加し、それとともに異常気象も増えています。「背に腹は替えられない」という事で、天然ガスや石油から石炭へ戻る国が出ています。日本は再生可能エネルギーへの転換が進まず、輸入する化石燃料のインフレにより国民生活が圧迫されています。もはやエネルギー安全保障というべき段階に来ており、自前でエネルギーを生み出せない国は没落します。化石燃料のインフレは相対的に再生可能エネルギーの価格を下げるので、経済界が本気になって再生可能エネルギーへの転換に進むべきです。ところが税金でガソリン価格や電気料金を下げているので、せっかくの機会を生かせません。再生可能エネルギー技術やリサイクル技術は将来の日本の飯の種になるのに、近視眼的なバラマキがその芽を潰しています。

2023年3月23日木曜日

子供第一

アメリカで暮らした経験から言うと、日本とアメリカの最大の違いは「日本は仕事第一、アメリカは子供第一」という事です。日本では「仕事」が何よりも優先されます。「その日は仕事で忙しい」と言えば、ほぼ何でも断れます。同様にアメリカでは「子供」が何よりも優先されます。「子供が熱を出した」場合、仕事を休むのは当然ですし、そこに男女差はありません。今ならリモートで働く立派な理由になります。筆者もアメリカで働いていた時、子供を午後6時までに保育園に迎えに行くために、5時からの会議を途中で抜けるのは普通でした。家族が仕事より大切というのは、アメリカの会社組織では常識です。会社には貴方の代わりはいるけど、家庭に貴方の代わりはいません。スタートアップや特殊な会社を除き、家族を仕事よりも優先するのがアメリカです。老人よりも子供の方が大事なのは、社会として当たり前でしょう。

2023年3月20日月曜日

クレカ有効化

日本のクレジットカードには有効化という手続きがありません。新しいカードや更新後の新カードは、受け取った瞬間から使用できます。ところがアメリカの場合、新しいカードはそのままでは使えません。カードを普通の郵便[^1]で送るので、受け取った人が前もってカードに登録してある電話から、自動システムに電話してそのカード番号伝える必要があります。日本でも防犯のため、こうした有効化を導入するべきでしょう。日本の防犯意識は低いので、ここはアメリカを真似したらどうでしょう。

^1: https://www.jiji.com/jc/article?k=2023032001027

2023年3月18日土曜日

人手不足対策

少子高齢化が進む日本の課題は、まず人手不足対策です。人間がやらなくてもいい仕事は、極力機械にやらせるという事です。次に利益を生まない無駄な仕事はやめるという事です。その結果一時的に失業率が上がったとしても、カネにならない仕事はなくしましょう。幸いAIが発達して、人の代わりを務められる場面が増えました。AIが仕事を奪うと恐れるのではなく、AIができる仕事はAIに任せて、人間は人間にしかできない仕事をしましょう。時給の低い仕事がAIで十分となれば、人間をもっと時給の高い仕事に回せます。合理化できるところは合理化して人手をかけないのが人手不足対策です。飲食や小売りもロボット化を進めて、人手不足に対処しましょう。逆に教育・介護・育児の3分野はもっと人手を必要としています。そこに人手を割くには、他の分野の合理化が欠かせません。

2023年04月27日追記
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD256QW0V20C23A4000000/
人口減を前提に社会を作り直そう」当然ですね。現実を直視しましょう。

2023年3月17日金曜日

人口推計の幅

日本政府が発表する人口推計[^1]には幅があります。真ん中が中位、上が高位で下が低位です。これらがどのように決まるのか興味があったので調べてみました。こちらの資料[^2]によると中位とは全国平均の出生率を指します。高位は出生率の高い10県の平均で、低位は出生率の低い東京都の数値です。つまりそれなりに実績のある数値です。1990年代は中位ですら時間と共に上昇するという推定でした。でも2020年代の今は若者の収入低下や婚姻率の減少で出生率は時間と共に減少すると予想されます。2017年の推計で用いた低位の出生率がほぼ現実となったいま、次の2023年前半に公表の人口推計は大幅に下方修正されると見られます。内閣府が予想した出生率の回復も起きず、子供の数そのものが減り続ける日本です。

^1: https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2021np/index.html

2023年3月16日木曜日

新手の押し売り

屋根の修理を持ちかける新手の押し売りが[^1]近所に来ています。ちょっと古そうな屋根を見つけると、やれ釘が浮いてるだの板が外れてるだのと言って、その場で修理を持ちかけます。最初は近くの工事で車が出入りするから良いですか、とか言いながら、実はその家の屋根の修理を持ちかけるのが目的です。足場を組まなくてもハシゴだけで屋根に登れる家を狙います。この営業をかわすと次にもっと若いのが来て、今度は屋根のはずれそうな板をそのままのしておくと風で落ちて子供がケガするから直した方がいいと持ちかけてきます。それでも断ると今度は「子供がケガしてもあんたは責任取れるのか」と脅かしてきます。「取れるよ、そのために家の保険があるんだよ。もう帰ってくれ。」とこちらが言うと、この若いのは「子供がケガしてもいいのか、バカヤロー」と言って去って行きました。まったく営業の基本ができてません。ちなみに我が家の屋根に問題はありません。雨漏りもないし、外見上修理が必要な所はありません。こうした平日の昼間に押しかける新手の押し売りにご用心を。

2023年3月13日月曜日

英語は必要か

こちらの寄稿[^1]には英語を学ぶ理由が書かれています。言語学の大学教授が書いたものですから、当然AI時代でも英語は必要という結論です。でもここに書かれていない理由もあって、それはAIでも間違えるという事です。英語を知らなければ、翻訳が間違っている事すら分かりません。ではどのくらい学べば良いかというと、9割の人は中学英語で十分です。つまり残りの1割の人は留学したり仕事で海外に住む人で、そういう人たちはプロの道具として英語を学びます。でもそれ以外の「普通の」日本人は基礎が分かれば十分で、翻訳とか会話にはAIを利用できます。高校以上の英語は選択科目で良く、英語以外の言語も選べる方が重要です。大学入試だけを目的とする英語教育なら、今のAI時代には不要です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0731G0X01C22A1000000/

2023年3月12日日曜日

日本のITがダメな理由

それはシステムを外注するからです。だから発注者に知識と経験が残らない。それは民間企業だけでなく、地方自治体や国家のITにも言えます。こちらの記事[^1]には、外注先の企業が再々委託先に仕事を回していた問題が載っています。それを発注者に無断で行っていた事と、そもそも再々委託が契約上禁じられていた事も明らかになっています。残念な事にこうした悪弊は、この業界には昔からあります。発注者側に「システムは外注すればよい」という考えがある限り、こうした問題はなくなりません。民間企業なら子会社に100%作らせるようにすれば、グループ内に知識と経験が残ります。便利なシステムは常に改変が必要で、作って終わりではありません。政府系なら公務員で構成するIT部隊を作り、そこが複数のシステム作成と保守を請け負う形にします。ITシステムの知識と経験は、それ自体に作ったシステムと同程度の価値があります。これをみすみす手放す愚はもう止めましょう。

2023年3月11日土曜日

田舎と都会の違い

「田舎と都会の違い」とは生活の便利さや高層ビルがあるかどうかではなく、「よそ者を受け入れるかどうか」だそうです。だとすれば日本は世界の田舎と言えます。これは程度問題で、どの国でも「よそ者」には冷たいのが普通です。ただし「よそ者」にも基本的人権があると考えるなら、難民をほとんど追い返す日本は田舎にまちがいありません。自分たちはうまくいっている、何も変えたくないと考えるのが田舎の人です。毎年人口が減り、街から子供の姿が消えつつあるのに、日本がうまくいっていると考えるのはよほどのおバカでしょう。日本は年齢差別や男女差別といった基本的人権侵害があちこちにあるので、感覚が麻痺しているのでしょうか。日本国憲法は日本にいるすべての人に基本的人権がある事を保証しています。国籍には関係なく、旅行者や難民といった区別もなく、ましてや自国の経済に役立つかどうかにかかわらず、日本の領土にいるすべての人に基本的人権を認めるのが日本のはずです。難民イコール犯罪者ではありません。日本の永住権を取りやすくして、同胞として受け入れる事のできる人かどうかを5年かけて見極めてから国籍を付与するという方法で構いません。日本の難民受け入れ率は0.7%[^1]と極端に少なく、外国人を人として見ていない事が分かります。

2023年3月10日金曜日

やっぱり原発は危険だ

11年前に筆者は「原発は危険だ」というコラム[^1]を書きました。今の日本はエネルギー価格高騰を受けて再度原発推進に舵を切るようですが、この11年間で日本の原発は少しも安全になっていません。とりあえず使えるものは使おうという発想で思考停止してしまうと、次の大地震でまた原発事故が起きます。あの福島第一原発事故では東京まで放射能の雨が降った事を忘れていませんか。アメリカ、ウクライナ、日本と原発事故は世界中でもう3度起きています。もうこれ以上起きないという保証はどこにもありません。既存の原発を使うのは減らしつつ再生可能エネルギーに移行しないと、核のゴミと放射能だらけの日本を子孫に残す事になります。

2023年3月7日火曜日

高齢者扶養率

15歳から64歳までの「生産年齢人口」に対する65歳以上人口の比率を高齢者扶養率と呼びます。もちろん65歳以上でも働いている人はおり、逆に15歳から64歳の間の人で働いていない人もいるので、ざっくりとした数値です。これを国別に見ると日本は2位[^1]となっており、50.97%と50%を越えています。つまり2人の労働者の上に1人の高齢者が乗る状況です。1位のモナコは金持ちが多い特殊な国で例外としてよさそうなので、日本がダントツ1位と見なしてかまいません。この数値は今後も上昇し、2050年には70%程度[^2]まで増加します。つまり1.4人に1人という割合です。そこから考えると、高齢者で働ける人が働かないと、今の生活レベルは維持出来ないという見込みです.。つまり年金の支給開始時期を遅らせるとか、増税で毎年の国家財政を支えるといった政策が必要になります。国民に不人気な変更なので、政府にとっては難しい決断になるでしょう。

^1: https://www.globalnote.jp/post-3755.html

2023年3月6日月曜日

48と38と28

2022年の日本の平均年齢[^1]が48歳、同じく中国のそれが38歳、そしてインドの平均年齢は28歳です。ちょうど10年ずつ離れているので、覚えやすい数字です。この数字だけでもインドのポテンシャルの大きさが分かります。平均年齢が1歳上がるには、一般にその4倍から5倍の年数がかかるので、しばらく中国の天下が続きます。でもその後を追うインドは着実に中国に迫っており、あと10年くらいで中国経済を追い越すでしょう。その頃にはもちろん日本も平均年齢が50歳を越え、アジアの中で経済的に中位に沈むと予想されます。平均年齢が50歳越えの国はかなり珍しい存在です。

2023年3月5日日曜日

ゾンビ企業

経済の世界では「実態として利益を得られないのに補助金などで食いつないでいる企業」をゾンビ企業と呼びます。コロナ禍で飲食業や小売業が打撃を受け、政府から補助金(税金)や無利子無担保融資をもらってなんとか続いていたゾンビ企業が、ここに来て淘汰[^1]されつつあります。経済が強くなるには弱い企業が倒産する必要があり、ゾンビ企業の倒産は国の新陳代謝として避けられません。顧客に必要とされない企業を税金で維持する理由はなく、倒産しそうな企業に人員整理を促す法律がすでに存在します。人的資源を浪費するゾンビ企業には退場してもらわないと、日本が潰れます。インバウンド観光が復活して宿泊業で人手が足りないなら、ゾンビ企業の従業員に宿泊業を助けてもらいましょう。

^1: https://diamond.jp/articles/-/318618

2023年03月07日追記
金融緩和で利率を下げても利益率の低い会社が増えるだけで、競争が阻害され経済には逆効果という分析が出ています。

2023年3月4日土曜日

暑い犬と寒い猫

犬は寒い土地の動物なので、汗をかくことができず、舌を出して体温を下げています。そのうえお腹に毛がないので、ここを地面に着けて体温を下げる事もできます。先日見かけた犬は毛皮の上に洋服を着せられて、頻繁にお腹を地面に着けていました。あまり寒くない日だったので、この犬には暑い気温だったのでしょう。逆に猫は暑い土地の動物なので、日本の冬は猫にとって寒く、コタツで丸くなるのももっともです。今どき外の犬小屋で犬を飼う人は少なくなりました。ペットを飼う人は色々なので、飼い主を選べないという意味でガチャとなっています。

2023年3月3日金曜日

少子化対策

日本の人口予想は最悪のシナリオに近い線に沿って進んでいるので、人口が1億人を切るのも2050年頃ではなく2040年頃に前倒しになりそうです。出生率は現状が1.2で、既婚者の希望は1.8だそうですが、たとえ1.8を実現できたとしても人口は減り続けます。その上結婚しない若者や子供を持たない夫婦もいるので、人口を維持するには出生率として3ぐらいが必要です。ただし今すぐ出生率3を実現しても、若者の数が毎年減っているので今の人口は維持できません。今の人口を維持するには出生率4が明日にも必要で、もちろんそれはとうてい無理です。つまり少子化を止めることは不可能で、手遅れだという事です。だとすれば少子化対策は、いかに少ない人数で国を回していくかに集中するべきで、お金をかければ少子化を止められるという幻想を振りまくのは間違いです。

2023年03月18日追記
「出生数減、最低100年は止まらない」避けられない事態です。

2023年03月31日追記
出生率を上げても、生まれる子供の数は減り続ける事が書いてありません。

2023年3月2日木曜日

ゼロイチ

ゼロからイチを創り出す、つまり何もないところから儲かるビジネスを生み出す人をゼロイチの人と呼びます。こういう人がアメリカには多く、日本には少ないような気がします。ゼロイチは確率の低い賭けです。何度も失敗して一部の人がやっと成功するというシロモノです。だから敗者復活が難しい日本には向かないという見方もあります。筆者はゼロイチではなく、次のイチジュウでもなく、ジュウヒャクぐらいの人です。スタートアップで働いた経験はなく、IPOした会社が大会社になる途中の会社に何度か勤めた事があるだけです。それでもゼロイチの人の話は聞いたことがあります。そこから考えるに、ゼロイチの人は「いい人」ではありません。強烈な思い込みと体力がある人で、合う人と合わない人がはっきり分かれる、クセの強い人です。つまり日本では教育から落ちこぼれるような人です。どうりで日本には少ないわけです。

2023年3月1日水曜日

インフレ率と金利

日銀がかかえている矛盾のひとつは、インフレ率を2%にあげつつ長期金利をそれ以下に抑えている点です。インフレ率が2%なら、利率も2%を越えないと誰もその債券を買いません。わざわざ損をすると分かっている投資をする人などいないからです。インフレ率と金利には関係があり、その関連を無視する日銀は袋小路にはまっています。エネルギーや輸入品のコストアップによるインフレが続かないという日銀の見立ては外れる可能性もあり、財政規律を失う無制限の量的緩和をやめる時が来ています。