2014年1月25日土曜日

ブログ本その2

読者の皆様からいただいた励ましのおかげで、このブログから第2のキンドル本を出すことができました。前著に較べるとぐっと身近な日米の違いを話題にしています。シリコン・バレーに住んで25年になるマサが見つけた本当の話がいっぱいです。加筆修正してあるので、ブログより読みやすくなっています。お求めは下記のリンクをご覧下さい。

http://www.amazon.co.jp/dp/B00I1PUHFE

2014年1月18日土曜日

部分最適と全体最適

かつてマサの勤めていた日本の会社にはQC活動というものがあって、どの部署も仕事の改善方法を模索していました。良くあるのが自分の仕事を他の部署に回すというアイデアで、自分の部署はそれで仕事が減って表彰されるけど、仕事を押し付けられた部署は不満たらたらです。例えば仮に、仕事で使う文房具は事務所の中で複数の決まった場所にあり、定期的に庶務の人が巡回して足りないものを補充するという決まりだとしましょう。ところがQC活動として、足りなくなった事に気づいた人が庶務に取りに来るという方法に変えるとします。すると確かに庶務の仕事は減りますが、回りの人の仕事は増えます。おまけにいちいち取りに行くのが面倒とか、定時を過ぎると庶務の人がいないなどの問題もあり、必要な文房具が必要な時に使えないという不都合まで起きます。つまり全体としてこれは改悪です。部分的には仕事が減ったように見えても、そうした部分最適だけ集めても全体最適にはならないのが普通です。同様に国として見れば、日本中に高速道路を作ったのに、その通行料金が高いため十分に使われないのはお金のムダです。立派な道路を作るのも、また道路の利用者から通行料金を取るのも、ともに部分最適の例です。でもせっかく作った道路が使われないまま朽ちて行くとしたら、それは全体最適にはなっていません。この場合の全体最適は、そうした高速道路の通行料金を無料にした上で、道路の建設費はガソリン税や軽油税に含めるというものです。車は高速道路の方が燃費が良いので、同じ距離を走るなら高速道路を使う方が温暖化防止にもなります。さらに高速道路を使わない人は、LPガスや電気で走る車を使えば余分な税金はかかりません。

2014年1月11日土曜日

花見酒の日本

落語の「花見酒」は、ふたりの酒飲みが売り物の酒をお互いに相手から買っているうちに、酒樽を空にしてしまうという話です。手元に残るのは1貫という酒一杯分のお金だけで、酒を売り切ったのに儲けがないのはどうしてだろうと、二人の酒飲みは酔った頭をひねります。この落語は以前にオイルショック前の日本経済を表す話だと本にもなりました。たしかに土地ころがしのようなバブル経済に似た所があります。でも自分の資本を食いつぶしてしまうという意味では、今の財政赤字の日本にピッタリの話です。日本人は日本人に一人あたり1000万円の借金をして飲み食いしています。つまり銀行に預けたはずの貯金はもう他の誰がか使ってしまいました。ところが日本はまだ債務超過にはなっていないと政府は言っています。これは政府の持つアメリカ国債やJTおよびNTTなどの株式会社の株、さらに国宝や国有地を売れば借金はすべて返せるという意味です。では誰がそれを買うのでしょうか。日本国民にはもう余分なお金がありません。すると裕福な中国人に売るのでしょうか。1990年のバブルとその後の20年で、日本は昭和の時代に貯めた資本を食いつぶしてしまいました。「花見酒」と同じく金庫の中には現金の代わりに国債の紙があるだけです。収入の倍の支出を続けるのには限度があり、このツケは国民が支払わなければなりません。なぜなら民主主義では国民が最終責任を負うからです。政治家も官僚もこのツケは払ってくれません。彼らにできるのはこのツケを次世代に先送りする事だけです。まだ生まれていない、選挙権もない未来の日本人に借金を押し付けているのが今の日本のオトナです。

2014年1月4日土曜日

スタート・アップだけじゃない

シリコン・バレーはスタート・アップ企業で有名です。でもシリコン・バレーでスタート・アップ企業に勤める人は実はごく僅かで、IPOを経て大会社となったヤフー、アップル、グーグルなどの様にスタート・アップでない会社に勤めている人が大部分です。昔からあるシスコ、HP、インテルなども含めれば、シリコン・バレーの中でスタート・アップ企業に勤める人は1%もいないでしょう。それにここにあるのはハイテク企業だけではありません。スーパーもあれば病院もあります。塾もあれば老人ホームもあります。シリコン・バレーでも大部分の人は安定した会社に勤めているのが現実です。お金に困らない人や身軽な若者以外は、健康保険と子供の教育にお金がかかるのでスタート・アップでは働きません。家も高いので住宅ローンを組んでいる人はほぼ全員が共働きです。スタート・アップ企業には、独身の若者やお金に困らない投資家が必要なのです。