2020年5月30日土曜日

日本がデジタル後進国の理由

新型コロナウイルスは、日本がデジタル後進国だという事を証明しました。テレワークでも書類にハンコを押すためだけに出社するとか、10万円を受け取るためには郵送の方がインターネットとマイナンバー・カードの組み合わせより速いとか、情けない話がたくさんあります。これらの原因は事務職の優秀さと人件費の安さです。人がやる方が安くて正確だったので、あえて機械化しませんでした。手作り餃子が機械作り餃子より好まれる日本では、人手をかける事に価値があります。たとえ機械作りの方が安くて清潔でも、同じ味なら手作りの方が良いという思い込みがあります。でもこれだけデジタル後進国の弱点を見せつけられると、さすがに合理化しようという機運が出てきました。ハンコを使わない、紙の書類を使わない、マイナンバーは使うけどカードは要らない、人のサービスよりもロボットのサービスを使うという世の中になれば、日本もデジタル先進国になれるでしょう。

2020年5月28日木曜日

物がないのは余分に買う人のせい

時事ネタその16です。トイレット・ペーパーから始まり、マスク、消毒用アルコール、それからカップ麺、小麦粉、バターといった食品にまで及んだ物不足、その原因は買い占めです。普段ひと月にひと箱のマスクを買う人が倍のふた箱買うと、たちまちマスクが売り切れてしまいます。普段よりたくさん買う人がいるから、物不足が起きます。お店の人は毅然とした態度で「売り切れです」と言えば良く、客に欠品をわびる必要はまったくありません。悪いのは買い占める人で、お店の人ではないからです。文句を言う客には「ご不満なら他のお店へどうぞ」と言ってやりましょう。態度の悪い客は店員が卑屈になるとつけ上がるので、店員と客は対等だという事を忘れずに。客に店を選ぶ権利があるように、店にも客を選ぶ権利があります。

2020年5月24日日曜日

集団免疫への道

時事ネタその15です。スウェーデンのように国をロックダウンせずに集団免疫を得るには、ゆっくりと感染を広げなければなりません。重症者の数が病院のICU病床数を上回らないようにし、重症者に適切な治療が行われる事が必要です。ただしスウェーデンといえども、死者数からみて重症者に適切な治療がなされているとは言えません。そもそも何が適切な治療なのか分からない状況で、死者数の増加は避けられません。もちろん対人距離の確保により感染速度を抑え込めれば、いずれは集団免疫を獲得できます。スウェーデンは4ヵ月で国民の7%がコロナ抗体を得たので、目標とする70%に到達するには単純計算であと36ヵ月(3年)かかります。日本もワクチンなしで集団免疫を得るには最低これくらいの時間がかかるでしょう。

2020年5月21日木曜日

抗体テスト

時事ネタその14です。韓国とアメリカの研究から、新型コロナウイルスに感染して病気が治った人にはこのウイルスを中和する抗体があり、再度この病気にかからない事が分かりました。これによりワクチンが可能になるとともに、抗体テストで陽性の人はこの病気への心配がなくなります。すると国際線で他の国に行く場合に、抗体がある事を証明するカードがあれば入国後2週間の外出禁止も不要となります。これから経済活動を再開するにあたって、働く人に抗体があるかどうかは重要な点になり、英国が試みた「抗体パスポート」を国際的に導入する必要があると思います。6月のG7でまず合意して、抗体のある人の移動を解禁するのが妥当です。抗体がない人には従来通り空港でのPCR検査または2週間の自主検疫を求めます。

2020年7月7日追記
スペインからの報告[^1]によると、新型コロナウイルスに対する抗体は数ヶ月で消えるそうです。これは免疫がなくなるという意味ではなく、抗体検査には時間制限があるという意味です。普通はB細胞とT細胞がリンパ節で長生きするので、免疫が細胞の記憶として残ります。でも抗体は不要となれば体から消えます。それが数ヶ月という短期間で起きるとなると、抗体テストで陰性となった人の中には、数ヶ月前にコロナにかかって回復した人も含まれます。抗体が陰性でも免疫がある人もいるので、免疫そのものを調べるテストが必要です。

^1: https://www.jiji.com/jc/article?k=2020070700193

2020年5月16日土曜日

新常態

コロナ以前を常態とすれば、コロナ後は新常態となります。何が違うかというと、新型コロナの感染を避けるために常に3密を避けるとか、発熱したらPCR検査を受けるとか、スマホがその人の感染可能性を教えるとかで、西洋でも公共の場でマスクを着用するとか、挨拶で握手はしないといった変化が起きています。また不要不急の医療がなくなり、病院の経営が難しくなっています。以前のような人混みは敬遠されるので、満員電車や窮屈なレストランは人が減るでしょう。旅行も国内中心となり、海外旅行は行く人も来る人も激減します。そのかわり企業や役所にテレワークが広まるとか、学年が9月開始となれば、周回遅れの日本が世界標準に追いつく良い機会となります。紙の書類やハンコをなくせば、事務効率が上がって自然と「働き方改革」になります。国民が新常態を受け入れれば、このピンチがチャンスに変わります。

2020年5月12日火曜日

マイナンバー・カード

時事ネタその13です。「特別定額給付金」の申請時に本人確認としてマイナンバー・カードを使うと、オンラインで手続きができます。書類を揃えて給付金を郵送で申し込む方法は時間がかかるので、マイナンバー・カードを持っている人はオンラインで手続きしようとします。でもマイナンバー・カードを本人確認に使うには、①カード作成時に決めた暗証番号を覚えている事と②パソコンにICカードリーダーの組み合わせ又はNFC付きのスマホを使う事が必要で、ここがネックとなってオンライン手続きができません。そもそも暗証番号に頼るというのが時代遅れであるうえに、パソコン用のICカードリーダーは普及していないので、マイナンバー・カードは2重に使いにくいカードとなっています。役所の窓口が混むのを避けるためにオンラインを選んだのに、暗証番号を忘れたりスマホを持っていないという理由で窓口に来る人が多く、4時間待ちという役所もあります。郵送で書類を送りマイナンバーを銀行口座と結びつけてから「特別定額給付金」を配布すれば良かったのに、政府はせっかくの機会を無駄にしました。大事なのはマイナンバーという数字であって、今のマイナンバー・カードという物理媒体には価値がありません。しかも住所が変わるとマイナンバー・カードの内容を書き換える必要があり、何のためのマイナンバーなのか不明です。

2020年5月14日追記
マイナポータルにも基本的な設計ミスがあるようです。
https://www.asahi.com/articles/ASN5F6FY3N5FUTIL02B.html

2020年5月9日土曜日

非常時の財政

時事ネタその12です。新型コロナウイルスは百年に一度くらいの世界的疫病なので、大量の赤字国債を増発して経済を支えるのは当然です。この非常時に財政赤字を嘆いても仕方ありません。この疫病の影響は数年続くでしょうから、その間は日本の財政が悪化すると予想します。将来世代からの借金を増やしてでも、今の世代を支えないと日本は景気後退で身動きできなくなります。経済に寄与すると思って招いたオリンピックも、来年までコロナが続いて中止となれば、逆に日本経済の足を引っ張ることになります。するとこの先十年ぐらい日本の財政赤字はタガがはずれて悪化の一途をたどります。その間は昭和と平成の時代に貯めたお金を使って生き延びる日本になります。

2020年5月2日土曜日

スウェーデンの社会実験

時事ネタその11です。欧州ではスウェーデンのみ外出禁止せずに新型コロナウイルスに対処しています。その結果スウェーデンの人口百万人あたりのコロナ死者は264人となっており、アメリカの204人、スペインの537人、イタリアの475人、イギリスの414人、フランスの379人と近くなっています。ちなみに日本は4人、韓国は5人、中国は3人です。このほかドイツが81人、デンマークが82人、ノルウェーが39人、フィンランドは41人です。外出禁止をしても手遅れとなった国は三桁の数字で、北欧はだいたい二桁、アジアは一桁という状況です。その北欧の中でも例外となったスウェーデンの死者数は突出しており、感染の広がりを示しています。経済を優先してロックダウンを回避したスウェーデンの社会実験は今のところ国民に支持されており、このくらいの犠牲は仕方ないと考える国民が多いと思われます。スペイン風邪も感染が終息する頃には、この風邪に抵抗力のない人はすべて亡くなっていました。スウェーデンは国民が次第にコロナに感染して集団免疫を獲得し、ウイルスが国内から消えるのを待っているようです。

2020年5月1日金曜日

台湾の教訓

台湾は外出禁止をしなくても新型コロナ感染を制御できています。これは2月6日に中国本土住民の入境を禁止したことが大きな理由です。当時日本は4月に習近平の来日を控えていたため、この思い切った措置ができず2月中に新型コロナ感染の拡大を招きました。また可能なPCR検査の数が足りず、帰国者を空港で全員検査する事ができなかったため、3月には症状のない帰国者から感染が広がりました。筆者も含めて日本は新型コロナ感染への備えがまったく不十分です。今でもPCR検査は足りません。経済活動を元にもどすには症状のない人へのPCR検査と抗体検査が必要です。ワクチンが完成して国民全員に免疫ができるまで、日本のオリンピックも不可能です。この病気は結核や麻疹のようにこれから人類と共存します。