2021年12月31日金曜日

成果主義の前提

京セラの稲盛和夫さんは立派な経営者です。彼が言う言葉には納得できる点も多く、尊敬できる日本人だと思っています。でもこちらの意見[^1]には考え込んでしまいました。成果主義は日本以外の国では成功しています。ではなぜ日本では失敗したのかというと、日本は雇用がメンバーシップ型だからです。個人の仕事の範囲やKPIがきっちり定義されていないと、成果主義は使えません。それぞれが適当に目標を自分の都合の良いものだけ選べる日本では、成果主義を使うと小ぶりな成果しか得られません。これに対して日本以外はジョブ型なので、初めから個人の仕事の範囲やKPIが決まっています。上司との面接でどの程度の成果を目標にするかを数値で決められるので、成果主義以外の評価は不要です。成果主義を使わないと、本当は無駄な仕事を一生懸命やる従業員まで高評価されてしまいます。成果主義の前提はジョブ型[^2]であり、それが分かっている経営者は日本にはいません。

^1: https://news.yahoo.co.jp/articles/3ffef90a3120db16c6a7cf92f09acb2089ec820d

2021年12月29日水曜日

先進国のエゴ

先進国は歴史上早くから自国の木を切って、畑を作ってきました。ドイツ、フランス、イギリスが農業国なのも、森を切り開いて畑を作ったからです。また木は燃料として貴重で、ギリシャの古代建設に石造りの建物が多いのは、木を建物に使えなかったからです。船は木で作る必要があり、燃やして調理にも使います。だからインドネシアやブラジルが経済発展のために自国の森を畑に変えるのは、当然の権利と言えます。それに対してCO2が増えるから森を伐採するなというのは、先進国のエゴです。自分たちが過去にやった事を棚に上げて、発展途上国を非難しています。もしアジアや南米の森を保護したいのであれば、それにお金を払うべきです。実際には日本を含む先進国がパーム油や牛肉という形でインドネシアやブラジルから森を奪っています。先進国は資金を出して砂漠を森に変えるとか、発展途上国の森に対して現地の人々が豊に暮らせるだけの対価を払うべきです。

2021年12月28日火曜日

森を燃やす

お金がからむとロクな事がないという実例が、バイオマス発電[^1]です。CO2を減らすために始めたバイオマス発電が、その反対にCO2を増やしています。木を切って燃やすけど、植林はしない業者。インドネシアの森を燃やしてアブラヤシを植え、そこから採れるパーム油で発電する日本の施設。木や森はCO2を吸収します。それを伐採した時点で既にCO2を増やしています。そこからバイオマスを化石燃料を使って運ぶわけですから、さらにCO2は増えます。結果的にCO2を増やすバイオマス発電からはしっかり炭素税を取るべきです。


2022年01月29日追記
バイオマス発電が燃料費の高騰で採算が取れず、中止となるそうです。そもそも廃材ではなく海外から輸入したバイオマスを使うという点が間違いの元です。ゴミ発電であるべきです。

2021年12月27日月曜日

ストライキのない日本

アメリカではこのところストライキが盛んです。インフレやコロナ対策でお金がかかる庶民が賃金アップを求めて、数ヶ月に渡るストライキをする事も珍しくありません。有名なところでは食品メーカーのケロッグ、病院チェーンのカイザー、農機具メーカーのジョン・ディアなどでストライキがありました。会社がコロナで儲けたお金を従業員にも配分しろという当然の要求です。先手を打って最低時間給を15ドルに上げたアマゾンのような会社もあります。会社のトップとボトムで収入が大幅に違うアメリカでは、ストライキはいつでも起こりうるイベントです。これに対して日本ではあまりストライキのニュースを耳にしません。雇用がメンバーシップ制のため、給料よりも雇用を重視する労使協調の結果です。年齢による就職差別がまかり通る日本で、首をかけてストライキをするには勇気が要ります。正規だけでなく非正規労働者にもストライキ権はあるので、法律上は誰でも労働組合を作って団体交渉することができます。ストライキがないという事は、その賃金で満足しているという証拠です。

2021年12月26日日曜日

高度人材の日本語能力

日本の企業はメンバーシップ型のため、外国人の高度人材に高い日本語能力を求め、結果的に高度人材を採用できない[^1]というのが本日のお題です。つまり「つぶしのきく人材」をもとめるから、外国人の専門職を雇えないという実態です。せっかく日本に留学してある程度の日本語会話ができるようになっても、専門の能力ではなく日本語の能力で足切りするから、高度人材を逃しています。IT企業の公用語は英語なので、英語で仕事の会話ができれば十分です。雇う側に英語力がないとITエンジニアを日本に呼べないという深刻な問題です。会社をジョブ型の雇用に切り替えるか、またはジョブ型の子会社を作って外国人を雇うなどの解決策が必要です。給料の安い日本で働きたい高度人材は少ないので、人材獲得の面で日本は欧米に負けています。思い切って英語特区を作り、そこでは英語を公用語にする位の変化が必要です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE048YY0U1A800C2000000/

2021年12月25日土曜日

イスラエルが4回目接種へ

イスラエルが60歳以上を対象に新型コロナの4回目接種[^1]を始めました。つまり1年間で4回接種という事です。予防接種だけでは新型コロナに勝つ事はできず、ウイルスの増殖を阻害する飲み薬やウイルスを中和する抗体薬と合わせて治療可能な病気として扱うのが良さそうです。新型コロナへの抗体は半減期が1ヵ月しかなく、予防注射で重症化は押さえられるものの、感染そのものはなくなりません。そのうえ予防注射に反対する人も多いので、新型コロナと共存するには予防接種の義務化も必要です。

^1: https://www.cnn.com/2021/12/21/middleeast/israel-fourth-covid-vaccine-booster-intl/index.html

2021年12月24日金曜日

目元口元

先日のテレビ番組で、日本人は相手の目元で感情を読み取り、欧米人は相手の口元で感情を読み取ると知りました。つまりマスクで口元を隠すと、欧米人は相手の感情が読み取れなくて困るという事です。これが欧米でマスクが嫌われる理由のひとつかと思います。もともと多民族国家が大半の欧米では、相手の感情が読めないと危険を感じます。だからアメリカなどでは、不意に目が合った時に微笑んだりハローと言って敵意がない事を表します。マスクをしてるとよそよそしい感じになるので、欧米人は本能的にマスクをいやがる可能性があります。その不快感を正当化するのに政治を利用しているのが欧米の姿なのでしょう。

2021年12月23日木曜日

オミクロン化

伝染性のウイルスには一般的に「毒性と感染性が反比例する」という経験則があります。たとえばエボラ・ウイルスは死亡率が50%以上と高い反面、感染者がすぐ発症して動けなくなるので、パンデミックにはならずに済みました。新型コロナ・ウイルスはご存じのように死亡率は1%を下回るものの、感染者が無症状のまま歩き回るので世界中に感染が拡がり、パンデミックを引き起こしました。新型コロナのデルタ株は日本の2021年夏の感染爆発[^1]の原因となり、東京を中心に医療崩壊を招いた一方で、それ以前の感染のピークと較べると死亡率は下がっており、「毒性と感染性が反比例する」状況になっています。もちろんこれには抗体カクテルのような治療薬の進歩のおかげという可能性もあります。そこにオミクロン株が加わり、さらに「毒性と感染性が反比例する」傾向が南アフリカから報告[^2]されています。オミクロン株はデルタ株より数倍感染力が強いため、ワクチン未接種でも症状が軽症で治まるという報告には勇気づけられます。オミクロン株がパンデミックを終わらせるカギになる事を期待します。

2021年12月22日水曜日

アベノマスク

税金の使い方としては最悪の部類に入るでしょう。アベノマスクの費用対効果を表す数値をどこかで見た事がありますか。こちらの記事[^1]によると「マスク調達費は約184億円。このほか配送費などで約76億円」で合計「契約総額260億円」だそうです。また「アベノマスクの在庫15%は不良品 検品費に20億円超」という数字[^2]もあり、「保管費用が6億円以上かかっている」という記事[^3]もあります。ここまでの合計で286億円です。これを日本の人口1億2千5百万人で割るとひとり当たり229円となり、それだけの価値があったのか検証が必要です。ちなみに筆者はマスクがあまりに小さいので使わず、他に欲しい人もいないので捨てました。これは無駄金のひとつだと思います。納税者としては、誰がこんなアホな事を提案したのかぜひ知りたいところです。


2022年02月07日追記
”アベノマスク、雑巾への転用は「有用とは少し違う」 厚労相” 無駄は減らそうよ。

2021年12月21日火曜日

スマートテレビ

インターネットで番組や映画を視る事が普通になったので、アメリカの安いテレビにチューナーは付いていません。当然そうしたテレビには録画機能や番組表もありません。いわゆるスマートテレビで、インターネットにつなげて各社のアプリを使うように設計されています。日本はまだ放送局が広告収入を使って無料放送をしているので、チューナーレス・テレビは一般化していません。そんな中ドンキがチューナーレス・テレビを発売[^1]したそうで、中国製の安価な製品を日本でも売り出したという事かなと思います。アメリカの場合だと広告付きで放送局の番組をネット経由で無料視聴できるアプリもあります。その結果ケーブルテレビや衛星放送を解約する人が増えているそうです。

2021年12月19日日曜日

謎のルール

国の統計の信頼性がまた揺らいでいます。建設業の受注実態を示す数値が二重計上により過大となっていた[^1]そうで、どのくらいの金額が上振れしたのかも分かりません。業者が受注実績を毎月記し、提出する調査票の数値を消しゴムで消して、別の数値を記入していたそうで、その理由は「業者が提出期限に間に合わず、数カ月分をまとめて提出した場合に、この数カ月分の合計を最新1カ月の受注実績のように書き直させていた」ということらしく、その一方で「未提出の業者でも受注実績をゼロにはせず、同月に提出してきた業者の平均を受注したと推定して計上するルール」があるため、二重計上になったという事です。このルールの意味が分かりません。後から合計を記入するなら提出期限に間に合わない分をゼロにしても良いはずです。誰がこんなバカなルールを決めたのでしょう。統計は単なる空欄の穴埋めではありません。政策を決める数字がこの有様では、予算がどんぶり勘定になるのも当然です。

^1: https://www.asahi.com/articles/ASPDG64YYPDGUTIL03X.html

2021年12月18日土曜日

韓国台湾に抜かれる日本

 日本経済研究センターの予測[^1]によると、「個人の豊かさを示す日本の1人あたり名目国内総生産(GDP)が2027年に韓国、28年に台湾を下回る」そうです。「行政などのデジタル化が遅れ、労働生産性が伸び悩むことが主因だ」とも述べています。無駄な仕事を効率良くマジメにやる日本は、労働生産性が上がらず平均賃金も低いままです。小泉政権時代に非正規労働者の1年という勤続期限を撤廃したのが最初の間違いでした。メンバーシップ制の日本で労働生産性を上げると社内失業者が生まれます。手切れ金による指名解雇ができない日本では、労働生産性を上げる理由がありません。公務員ではもっと顕著で、マイナンバーカードがあってもスマホで投票すらできません。いいかげん韓国や台湾を見習ってほしいと思います。国としても昭和と同じ仕事をしていては他の国に負ける[^2]のは当然です。

2021年12月17日金曜日

韓国も再びコロナ

上手に対処してきたはずの韓国でコロナが急拡大[^1]しています。それに比例して死亡者も増えており、2021年夏の日本の感染と同じパターンになっています。これは恐らくデルタ株が市中感染しているものと思われます。コロナ禍が長く続くと油断するのはどこも同じです。これからクリスマスに向けて人が集まる機会の多い韓国としては、ここで一段踏み込んで感染を抑える必要があり、飲食店の時短営業を復活[^1]させました。イギリスと同じく、ウィズコロナで経済を回すのは難しいという事です。

2021年12月16日木曜日

イギリスの現状

ウィズコロナで経済を回してきたイギリスで、新規感染者が急増しています。このままでは2020年12月に記録した過去最高の新規感染者数を抜きそうです。イギリスのコロナ・ワクチン接種率は約70%[^2]と高いのに、これはどうした事でしょうか。ひとつにはイギリスで主流のアストラゼネカ製のワクチンの感染予防効果が低く、その効果も数ヶ月で消えるからです。もうひとつはオミクロン株がデルタ株を駆逐しつつあるからです。でも幸いな事にイギリスの死亡者数はそれほど増えていません。これは抗体薬やワクチンが重症化を防いでいるからだと見られます。一方ジョンソン首相はコロナのブースター接種を勧めていて、接種完了から3ヵ月経てばブースターを打てる[^3]と言っています。つまりそれだけアストラゼネカ製のワクチンの感染予防効果が速く消えるという事です。専門家の予想通りコロナ・ウイルスは感染や予防注射による抗体が長持ちしないので、オミクロン株が新型コロナの「終わりの始まり」となるかどうかに注目が集まっています。オミクロン株がワクチンなしでも軽症で済むのであれば、ワクチン代わりにオミクロン株に感染するのも手です。

^1: https://www.worldometers.info/coronavirus/country/uk/

2021年12月15日水曜日

平均寿命

日本人の平均寿命は2020年(令和2年)において男性が81.64歳、女性が87.74歳[^1]となっています。つまり2020年に生まれた日本人の平均余命がこれだけという事です。これは将来の見込みであって、今の老人が死ぬ平均年齢ではありません。2020年において80歳の男性は8.5年の平均余命があるし、女性は11.4年の平均余命があります。2020年において60歳の男性は22.5年の平均余命があるし、女性は28.1年の平均余命があります。2020年に60歳の人は1960年生まれですから、その年の男性の平均寿命65.3歳と女性の70.1歳から較べると、寿命は過去60年で17年以上伸びています。年齢別の死亡率で見ると、男女とも最初と最後が高く真ん中が低いというバスタブ型のカーブを描きます。そこで0歳の平均余命は低めに計算され、中年期を過ぎた人の平均余命は高めに出ます。2020年において60歳まで生きた人は、おそらく平均であと30年は生きるでしょう。

2021年12月14日火曜日

ブースター接種

新型コロナのブースター接種が今日のお題です。65歳以上または免疫不全の人、及び医療関係者などはブースター接種が必要となっています。3回目が必要という事は、おそらく毎年ブースター接種が必要という事です。つまりインフルエンザと同じです。期待したほど抗体が長持ちしない[^1]のでブレークスルー感染が起きます。でもほとんどは無症状で済むので、予防注射は大切です。体の免疫が続くためには定期的に病原体と接触する事が必要で、コロナも例外ではありません。毎年ブースター接種をしなくても、知らずに新型コロナに毎年感染してブースター接種と同じ効果を得られる可能性もあります。

2021年12月13日月曜日

人口減少

2020年に行われた国勢調査の結果、その年の10月1日時点での日本の(外国人を含む)人口は1億2614万人と確定[^1]しました。5月の速報値とは0.1%も違いません。5年前の調査から94万人の減少です。これは人口の減少分であって、日本人に注目すると178万人[^2]も減っています。そのかわり外国人が84万人増えたので、差し引き94万人の減少という数字が出ています。これから減少幅は毎年増えて、30年後の2050年には日本の人口は1億人を切ります。その頃には毎年100万人の減少となる予想です。これは人口の1%にあたり、もはや避けられない未来です。それにともない税金の払い手も大幅に減る[^3]ので、未来の税収は激減します。今の日本に税収に合わせて国家予算を減らすという発想はなく、それまでに財政赤字が大幅に増える事は確実です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA29AND0Z21C21A1000000/

2021年12月12日日曜日

スタバの服装規定

服装規定を英語で「dress code」と言います。スタバの2016年アメリカ版[^1]服装規定では、当たり前ですが髪の毛の色については規定がありません。アメリカではいろいろな国の人が働いているので、髪の毛の色もまちまちです。衛生上問題がなければ毛染めもかまいません。2021年8月には日本のスタバも髪の毛の色を制限しなくなった[^2]そうで、そもそもそうした制限は日本ぐらいしか見かけません。これは日本人の閉鎖性を表す典型的なエピソードです。髪の毛の色をどうするかは基本的人権に含まれ、学校や会社が制限するのは憲法第十四条違反です。


2021年12月11日土曜日

南アのオミクロン株

どうやらオミクロン株はデルタ株よりも毒性が低く、普通の風邪として扱っても良さそうです。南アフリカ[^1]ではコロナ感染者がすごい勢いで増えているものの、死者は増えていません。WHOもオミクロン株による死者はいない[^2]と言っています。南アフリカでの感染者の増えるスピードから、オミクロン株はデルタ株の数倍の感染力があると考えられます。その一方で感染者は無症状が多く、あっても発熱、喉の痛み、鼻水が一日続くなど軽症がほとんどです。オミクロン株に感染して回復すればデルタ株にも免疫ができると考えられ、オミクロン株が拡がるのは南アフリカにとって吉と出そうです。

2021年12月10日金曜日

上司ガチャ

新しい日本語を覚えました。「上司ガチャ」というもので、上司の当たり外れを指す言葉です。同じ会社でも上司によりテレワークができる部署とそうでない所があって不公平と言う部下の話が記事[^1]になっています。この場合部下はまず上司にテレワークをお願いし、その理由と利点を挙げて上司の説得を試みます。これが不成功の場合、次に人事に相談します。これも失敗の時は、他の部署に移るか上司の上司に相談します。この時点でもうこの上司はダメだと見切りを付けているので、最後の手段は転職です。優秀な部下を失う上司は評価が下がるので、ダメ上司を減らすには部下がダメ出ししないといけません。筆者の経験で言うと2割の上司はダメです。そういう人に当たったら、アメリカならすぐ部下が辞めます。日本は転職が難しいので、ダメ上司の割合はもっと高いでしょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC258HM0V21C21A1000000/

2021年12月9日木曜日

無症状感染

コロナ対策の難しい点は、無症状感染が多いという事です。これには感染初期でまだ症状が出ていないという場合と、感染しているけど免疫のおかげで症状は出ていないという場合が含まれます。デルタ株では3割から4割は無症状感染となっており、オミクロン株だともっと割合が多いと予想されます。日本は濃厚接触者以外の一般の人が無症状のままコロナの検査を受けられる体制にはなっていないので、オミクロン株の市中感染を検出するのが難しくなっています。その反面それほど無症状の割合が多いなら、普通の風邪の原因となるコロナ・ウイルスと同じ扱いで良いという判断にもなります。今はオミクロン株に過剰反応している国々も、年が明ける頃には渡航制限を廃止する可能性が高いとみています。

2021年12月8日水曜日

衰退する国

技能実習生という名前の外国人労働者[^1]がコロナのせいで日本に入国できず、彼らに頼っていた農業や産業が困っています。そうした農業や産業は給料が安すぎて日本人がやらない仕事なので、技能実習生という現代の出稼ぎを利用しています。つまり生産性が低すぎる農業や産業を無理に維持しようとすると、外国人労働者が必要になります。彼らの出身国と較べれば、日本の安い給料も本国だと十分な収入になるから[^2]日本に来ます。日本の農業や産業が外国人頼みとなると、現場の大切なノウハウが日本人に継承されず、長い目でみると国は衰退します。これは日本だけではなく他の先進国でも起きている問題です。生産性を上げたければ給料を上げるのが一番です。すると日本人にも魅力的な仕事となり一石二鳥です。経営者は低い生産性のままでは仕事を続けられないので、高い生産性を持つ経営者に仕事を奪われます。現状維持では生き残れないため、常に機械化や規模の拡大といった合理化を考えるようになります。こうして日本の生産性は上がって行くのです。生産性が低すぎる農業や産業には退場してもらわないと、日本は衰退していきます。

2021年12月7日火曜日

アルバイト

正社員制度を年収ベースの無期雇用と有期雇用のふたつに解体すると、残るのはアルバイトです。アルバイトは時給ベースで、短期間だけ雇用するのに適した労働者で、農作業とかスキーシーズンのスキー場や夏の海の家などを想定しています。これが短期間ではなく常に仕事がある場合、それにアルバイトを当てるのは低賃金の雇用につながり、問題です。そこで最低賃金として時給を決め、これを高めに設定する事で対処します。この最低時給はアルバイトだけに適用され、年収ベースの労働者には関係ありません。最低賃金を上げれば物価は上がります。でもアルバイトの雇用が減る事はありません。

2021年12月6日月曜日

生き締め

「イカやタコも苦痛感じる」[^1]という当たり前の事が話題になっています。キリスト教では人と動物を区別し、神は人に動物を含む自然を自由に利用する事を認めたとなっています。動物を殺す事を宗教が正当化したわけです。そこで何をもって人と動物を区別するかが問題となり、「知能」であったり「知覚」が使われます。ところが生物はすべて「苦痛を感じる」はずです。なぜなら生存の危機に苦痛を感じない生物は生き残れないからです。少し前までは魚も苦痛を感じない[^2]と誤解されていました。イギリスの動物福祉法では、苦痛を感じる生物を生きたまま茹でるのは不適切となるそうで、すると生きたイカやタコを茹でるには、直前に神経を切り離す必要がありそうです。これは日本の「生き締め」技術を世界に広める良い機会かと思います。

^1: https://news.yahoo.co.jp/articles/fe0394b3f3f8d2e1e3ae2054946db2ffbf64b812

2021年12月5日日曜日

オミクロン免疫

コロナのデルタ株より感染力が強いとされるオミクロン株が、もしワクチン未接種者に感染しても軽症で済むのであれば、これはパンデミックを終わらせるカギになる可能性があります。一度オミクロン株に感染して回復すればコロナへの免疫ができ、次にコロナに感染しても無症状か軽症で終わるなら、コロナは普通の風邪となります。今のところ南アフリカの感染者は若者が多いので、高齢者がどのくらい重症化するのかというデータがなく、オミクロン株をワクチン代わりに使えるかどうかは分かりません。

2021年12月4日土曜日

温泉権買い取り

このコロナ禍で廃業寸前の温泉宿は多いと思います。そうした温泉の温泉権を国が買い取って、宿のかわりに小型地熱発電所を作るのはどうでしょう。発電に必要なのは熱だけなので、発電に使った温泉水はまた地中にもどします。ちょうど不人気なゴルフ場が太陽光発電所になったように、人気のない温泉地は地熱発電所に最適です。また国立公園内の開発でも、法律を変えて地熱発電所の設置を可能にしたら良いと思います。日本の電力の3割は石炭火力で作っているので、これを地熱発電におきかえたら良いと思います。

2021年12月3日金曜日

変異株流入

空港の検疫でオミクロン株が見つかり、日本でもオミクロン株を使った実験ができるようになりました。コロナ・ウイルスはほかの細胞に感染しないと増殖できません。ようやくオミクロン株を手に入れた事で、今後はオミクロン株がワクチンや薬に対してどう反応するか調べる事ができ、日本の製薬会社に役立ちます。オミクロン株をターゲットとした試薬を開発して、変異株のスクリーニング[^1]を再開する事もできます。空港の検疫で新しい変異株が見つかるのは良い事でもあるのです。

2021年12月2日木曜日

ウイルスのゲノム解析

日本のコロナウイルスは、その5%から10%しかゲノム解析[^1]されていません。大半の検体はゲノム解析に回されないので、最初に変異株が見つかるのはもっぱら空港で陽性となった検体です。空港検疫での陽性検体は必ずゲノム解析に回すので、あたかもそこが最初の検出場所のように見えます。でも南アフリカがオミクロン株を公表する前に、オランダでそのウイルスに感染した人がいた事[^2]が分かっています。日本の変異株スクリーニング検査で使っている試薬ではオミクロン株を検出できないので、最近の国内検体をゲノム解析すればオミクロン株が見つかる可能性があります。ただし今のところこの変異株による重症化は世界的に報告されていません。

2021年12月03日追記
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC034VK0T01C21A2000000/
「東京都、オミクロン対応のPCR検査開始 1日以内で判別」朗報です。

2021年12月1日水曜日

家庭内感染

日本の水際対策では海外からのウイルス流入は防げません。一般に変異株が生まれてから検出されるまで数週間から数ヶ月の時間がかかります。変異株が発見された時には、その変異株はその国では相当拡がっているので、ほかの国[^1]にもうすでに入っています。それに感染して間もない場合PCR検査でもウイルスを検出できないので、海外旅行者が知らずにウイルスを持ったまま空港から自宅に戻り、そこで家庭内感染を起こします。無症状感染なので本人はもとより、家族も知らないまま感染を拡げます。コロナと共生すると決めた以上、変異株の市中感染は避けられません。国民にできる事はワクチンで自分と家族を守り、感染しても軽症で済む体にするだけです。デルタ株の時と同じく日本にも新しい変異株は当然もう入っているはずです。


2021年12月06日追記
上記の穴をふさぐため、指定地域からの帰国者はコロナ陰性でも指定施設での3日間の隔離が必要になりました。その後のPCR検査で再度陰性なら自宅に戻る事ができます。この指定地域というのがくせ者で、空港のトランジットでも感染するオミクロン株の場合、指定地域以外の国から帰国した人も対象にしないと穴は残ります。

2021年12月11日追記
指定地域以外の国から帰国した人で自宅待機中にオミクロン株の感染が分かった事例です。

2021年12月19日追記
空港検査で陽性が分かるのは3分の2で、残りの3分の1は検査をすり抜けています。