2022年11月30日水曜日

コロナとの戦い

医療従事者から見れば、新型コロナとの戦いは引き分けです。ワクチンを開発したものの、その予防効果は長持ちせず、4回接種しても感染する人は感染します。ただ重症化しないだけで、感染予防効果はあまり期待できません。でも新しいウイルスに対して、これだけ短期間でワクチンを開発した事はノーベル賞ものです。人間の体はコロナウイルスが変異しやすい事を知っており、抗体を作り続けても無駄だと分かっています。感染を防ぐのではなく、ワクチンで重症化を防いだ上で普通のカゼとして扱うのが得策だと人類は学びました。共存するという事は、生物学者から見れば戦いに共に勝利したという事です。人類はたちの悪いウイルスを人間界から排除し、ウイルスは人間界を無症状のまま動き回る術を身に付けました。

2022年11月28日月曜日

コロナ5類化

報道は中立であるべきで、新型コロナを2類相当から5類に変える事で起きる良い事と悪い事は同じ重みで紹介すべきです。その意味でこの報道[^1]には問題があります。医療費負担の増加だけに重点を置くと、もちろんワクチンやPCR検査が有料になるのは消費者にとってマイナスです。でもその費用は税金で支払うので、この先の増税でまかなう事になります。お金に余裕のある高齢者が重症化しやすいので、受益者負担で高齢者が自分のPCR検査代や今後のワクチン接種代を負担するのは理にかなっています。重症化しにくい若者にはPCR検査も今後のワクチン接種も不要です。医療機関や高齢者施設が独自に感染予防策を採るのは自由なので、インフルエンザと同様に個人が必要に応じてワクチン接種代を払う制度で不都合はありません。


2022年12月22日追記
ようやくオミクロン株とインフルエンザの致死率比較が厚生労働省から公表されました。コロナ対応を5類化する前触れと見られます。正常化への現実的な第一歩です。

2022年11月26日土曜日

企業年金

会社員が受け取る企業年金には確定拠出型と確定給付型のふたつがあります。日本ではまだ確定給付型が主流で、低金利のため会社の運用では利回りが足りず、補填が必要になっています。これを避けるには企業年金を確定拠出型に変えて、会社員に運用主体になってもらうという方法があります。確定拠出型は転職時にも会社員にとって有利なので、今後は確定拠出型が増えていくと予想[^1]されます。筆者はアメリカで最初からずっと確定拠出型だったので、そのメリットを生かして3度の転職をしました。転職により会社が変わっても年金で損をする事はありません。個人として運用の勉強が要るものの、それは社会人の常識として当然持つべき知識です。年金には節税作用もあり、給料から税引き前で年金に回せる金額を自分で選びます。どれだけの運用リスクを取るかも選べるので、国債と株の組み合わせで確定拠出型より有利な利回りも可能です。終身雇用ではないジョブ型の雇用には確定給付型が最適です。

2022年11月24日木曜日

アメリカの課題

コロナはアメリカの課題をくっきりとあぶり出しました。その課題とは貧富の差をどう縮めるかという事です。アメリカのジニ係数はコロナ以前から0・4を越えており、歴史的にみて革命が起きてもおかしくない水準にあります。共和党の大統領は小さな政府を目指すので、減税により金持ちはより金持ちになり、規制緩和により貧乏人はより貧乏になりました。もともと税金は貧富の差を縮める道具なので、これを減らすと貧富の差が広がるのは当然です。そこにコロナが襲いかかり、財政バブルによる株式価格の上昇で資産家はますます資産を増やしています。そこでアメリカの大多数の国民は、民主党の大統領が貧富の差をどこまで減らせるか見張っています。民主党左派が押す国民皆保険や大学無料化は若者に人気があるものの、そのコストを負担することになる中高年には嫌われているので、実現は無理です。昔の東ヨーロッパを始めキューバやベネズエラのように、アメリカには失敗した社会主義国から逃げてきた移民が多いので、社会主義に対する嫌悪があります。民主党中道派のバイデン氏が、増税対象の金持ちを敵に回して次の2年間でどこまで貧富の差を縮められるかで、次の大統領が決まります。

2022年11月21日月曜日

機械学習の限界

面白いニュース[^1]を見つけました。科学記事を自動で生成するAIが、入力内容次第でウソ記事を生成してしまうという問題です。このAIは機械学習ベースで、たくさんの論文や教科書、百科事典などからモデルを作り、入力欄で指定した記事形式や質問に対して、文献や数式を引用しながら科学記事や解説文を自動で生成できます。ところが質問された内容が科学的に正しいかどうかを判断していないため、明らかに非科学的な問いに対しても肯定的な文章を生成するケースが報告されています。いわばフェイクニュース製造機になってしまったので、わずか3日間で非公開になってしまいました。開発者としては「悪用された」という気分でしょう。でも一般に公開したモデルがこうした「意地悪な使い方」[^2]をされるのは、これが始めてではありません。人がAIを批評する時に「善悪を含む質問」をするのは当然であり、機械学習と言えども倫理観が必要です。そうしたセーフガードを持たない機械学習モデルに実用性はありません。

2022年11月20日日曜日

消費税インボイス制度

売り上げ1000万円未満の事業者から消費税を納付してもらうため、インボイス制度が来年から始まります。そこでフリーランス(個人事業主)が多いアニメや声優業界から反対の声[^1]があがっています。これは事務手続きの増加と益税がなくなる事への不満が原因です。消費税を導入した時から分かっていた事ながら、いざ目の前に来ると反対するのもどうかと思います。益税の解消は公平な税制という点から切実な問題です。事務手続きの増加は個人事業主を法人化して協力者を従業員にすれば解決します。もちろん運営コストは増えるので、益税がなくなる事と合わせればサービスの値上げが必要です。つまりアニメや声優業界の低賃金が根本問題なので、インボイス制度はそれを表面化させたきっかけにすぎません。法人化して複数のアニメ作家や声優を束ねる会社ができれば、値上げも容易になります。この業界も値上げができるサービス業に進化しないと生き残れません。益税はあくまでも人から預かった税金ですから、それをネコババするのは納税者として問題です。消費税額を8%と10%に分けたから、納税手続きが難しくなりました。

[^1]: https://news.yahoo.co.jp/articles/bac1d46378d1340537aef748cbdde91c4ba7a15e

2022年11月17日木曜日

仮想通貨

仮想通貨のブームが去りつつあります。ビットコインから始まった仮想通貨は似たような物が乱立していて、正確にどのくらいの種類があるのかも分かりません。そうした仮想通貨の交換所のひとつがFTXで、この会社が倒産した事で仮想通貨市場に大きな疑問が湧いています。そもそも筆者には仮想通貨に価値があるとは思えず、仮想通貨を買ったことはありません。株とちがい仮想通貨には値段の裏付けがなく、人が仮想通貨に価値があると思えばその価値がある、という循環論法で成り立っています。だから一度その価値が揺らぐと歯車が逆転して価値はゼロになります。国際送金の手数料低減が目的だった仮想通貨の終わりが始まっています。

2022年11月15日火曜日

スパコン1位

日本で民主党が政権党だった時にスパコンの開発が予算削減の対象になり、ある議員から「2位ではダメなのか」という質問がありました。これは国民目線のまっとうな質問であり、これにちゃんと答えるのは科学者の義務です。ところがこの質問に当時の議会では満足な答えがなく、その場で予算削減が決まりました。その後の科学界からの要請で予算は復活したものの、科学者はこうした質問に普段から答えを用意しておくべきだという教訓になりました。スパコンを使った研究や技術開発は国民から遠い所で行われているので、その効用が問われるのは当然です。2位のスパコンでもできる研究や技術開発は当然あります。逆に言うと1位のスパコンと2位のスパコンの違いは計算速度なので、もし1位のスパコンを使えば1年かかる研究が2位のスパコンだと3年かかるとすれば、1位のスパコンで研究した方が2年早く研究成果を得られます。その差はノーベル賞または世界特許を得られるかどうかという違いになり、1位のスパコンを使うのは時間をお金で買うためだと言えます。でもその金額をいくらにするのが適切かという問いに簡単な答えはありません。教育にかける金額と同じで、リターンがいくらかという計算は難しいからです。産業に道路や空港が必要なように、研究には速いスパコンも必要です。ただしスパコンは戦略物資なので、他国から簡単に買えるものではありません。

2022年11月13日日曜日

米国のマスク事情

久しぶりのアメリカです。こっちの人はあまりマスクしてません。もう飛行機でも不要となっており、心配な人だけがマスクを着けています。アジア系とか高齢者がマスクをしている傾向があります。お店でもマスクは不要です。以前の状況にもどったという事です。2019年はこうだったかと思い出してます。日本にいるとマスクが普通なのに、アメリカだとマスクが不要というのは何が違うのでしょうね。筆者は社会の死生観とか自己責任といった文化の違いを感じます。老人が死ぬのは当たり前と思うかどうか、自分の身の安全は自分で守るという常識があるかどうかといった違いが大きいと思います。日本のように安心安全を追求すると個人の自由を制限する他なく、行政コストが増大します。アメリカにもまだコロナの感染者はいるものの、その数はもはや話題にはなっていません。かといってアメリカが良いとも言えず、人口より銃の数が多いアメリカでは、銃によるテロ行為が増えています。銃を規制したカナダとの差は歴然です。

2022年11月10日木曜日

子は社会の宝

当たり前の事を書きます。このブログを読んでいる人の年金を稼ぐのは今の子供です。「子は社会の宝」という言い方もできます。だから社会全体で子育てを手伝うのです。車を持たない親にとって、日本のバスや電車は乳児を連れての移動が難しく、子供が社会に拒絶されていると感じます。とくに双子だとベビーカーも倍の大きさになるので、他人の助けなしにバスに乗るのはほぼ無理[^1]でしょう。ところが「手伝ってもらう前提で行動するな」という意見が必ず出てきます。自分で子育てした事がない人や、「子は社会の宝」という発想がない人です。そこでそういう人に尋ねます。あなたの年金を稼ぐのは誰ですか?

2022年11月9日水曜日

賃金を上げるには

リクルートが2022年に卒業予定だった大学4年生を対象に行った調査[^1]によれば、「できれば新卒で入社した企業・組織団体等で、ずっと勤めたい」が58.6%と6割近くで最も高く、「新卒入社した会社で勤め上げたい」という伝統的な価値観の強さが明らかです。でも裏を返せば「転職せずに済むならしたくない」と考える若者が過半数を占めるという事でもあるので、雇用主から「雇用か賃上げか」と二者択一を迫られたら「雇用」を取る人たちが過半数とも言えます。だから日本の賃金は上がりません。これを打破するには、年齢(生年月日)による(就職)差別を法律で禁止しなければなりません。すると定年制度が違法となり、転職が容易になります。ただしバランスを取るため、手切れ金による解雇も法律で認める必要があり、仕事に必要な人を雇い不要な人を解雇するジョブ型雇用が実現します。会社都合による解雇を容易にする事で企業内失業者を減らし、筋肉質の会社にする事で海外との競争に勝てるようになります。経済成長を求めれば競争は激しくなり、勝ち負けがハッキリします。負けた会社は人を解雇せざるを得ず、転職が容易な社会でないと困ります。終身雇用はもはや絵に描いた餅なので、現実に合わせて法律を変える時期に来ています。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD261F10W2A021C2000000/

2022年11月8日火曜日

中間選挙とインフレ

アメリカの中間選挙で、バイデン大統領はインフレを起こした張本人として共和党から攻撃されています。でも実際は誰が大統領であってもインフレとなっていたと思います。日本ですらインフレになった位なので、エネルギー価格の上昇や物流の目詰まりといった外部要因は大統領と言えども解決できません。アメリカ人はアメリカ以外のニュースに興味がないので、そもそも他の国がどれだけインフレになっているかも知りません。ロシアのウクライナ侵攻が悪化させたエネルギー価格の上昇でガソリンが値上がりすると、バイデン大統領は石油の国家備蓄を一部放出して値上げを抑えました。中国のゼロコロナによる物流の乱れは全世界に影響を与えており、アメリカだけが突出してインフレなのではありません。中国からの輸入品に高い関税をかけたり、コロナ前に減税で消費を増やそうとしていたのはトランプであり、彼が大統領だったとしても同程度のインフレは起きていただろうと思います。

2022年11月6日日曜日

どうすれば

日本は変われるのか、それが今日のお題です。大多数の日本人は今の日本に満足しており、そもそも変わる必要があるとは思っていません。財政赤字には慣れっこになっていて、何が問題なのかも知りません。平和な暮らしがこれからも続くと信じており、ほとんどホームレスも見かけません。気候変動は困るといいつつ、ガソリン車には乗るし断熱性の劣る古い家に住み続けています。マスコミだって経済成長しない日本が今後どうなるかまでは教えてくれません。老人の多い日本は自然と保守的になり、ますます世界から取り残されます。つまり老人が減るまで日本は変われません。それにはあと30年はかかるというのが筆者の予想です。ちなみに経済成長しない日本で可処分所得は毎年減っていきます。大幅な円安を避けるには増税しか道はなく、消費税率をもっと上げる必要があるからです。

2022年11月5日土曜日

トランプと日本人

米国元大統領のトランプについて多くの日本人は好意的です。その最大の理由は彼が中国を敵視した事と、メキシコ経由の不法移民を減らそうとしたからです。では今のバイデンはどうでしょう。彼も中国を敵視しており、半導体技術の中国移転を防止する法律を作りました。この8年くらいで米国の中国に対する態度は逆転しており、それまでの「中国は最大の貿易相手国」から「中国は最大の軍事敵国」になりました。そのきっかけは2014年から始まった香港の「雨傘運動」で、中国が香港の民主派を武力により排除して香港を中国化した事です。つまり中国は経済的に豊かになっても民主化せず、日本のようにはいかないと米国は悟りました。だから誰が大統領になっても今の米国は中国を敵視します。内政から国民の目を逸らすために中国をたたくだけでなく、実際に米国は太平洋で中国と敵対しています。またトランプは公約で、メキシコに費用を払わせて国境に壁を作ると約束しました。しかし実際には軍の予算を流用してわずかな壁を足しただけで、リオ・グランデ川しか国を隔てる物がない部分は残り、メキシコからの不法移民は続いています。不法移民に対する米国の立場はトランプとバイデンで大差なく、そもそも日本とは無関係な問題です。ではなぜトランプが2020年の大統領選で負けたのでしょう。日本であまり報道されないトランプの問題点は、彼が白人至上主義者を擁護している事です。大統領選での負けも認めていません。根拠のない嘘をつき続けるトランプにうんざりしている人がバイデンに投票しました。コロナをただのカゼと言ったり、漂白剤を飲めばコロナが治ると言ったので、さすがにこれはダメだと気付いたからです。気候問題を否定したり大企業への減税を進めたトランプは、パリ協定に復帰し大企業への増税を進めたバイデンとは正反対です。日本語になったニュースだけを視ていると、本当の米国の様子は分かりません。

2022年11月4日金曜日

トヨタと円安

円安の恩恵を一番受けそうな製造業のトヨタが、2023年3月期の業績見通しとして意外にも増収減益[^1]を発表しています。円安で円換算の収入は増えるものの、輸入原材料の価格も上がるためかえって減益になるという事です。半導体の納入遅れもあって製品を出荷できず、価格を上げて収入を確保するも追いつかないという状況です。ウクライナ戦争によりエネルギー価格が上がった事も要因のひとつで、円安がすべての原因ではありません。ただし加工貿易の典型であるトヨタですら円安を味方に出来なかった事は事実で、日本の製造業が必ずしも今の円安で増益となっているとは限りません。物価上昇を賃金の上昇が越えない限り、実質賃金の低下は止まりません。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD319720R31C22A0000000/

2022年11月3日木曜日

睡眠時間

これは深刻な問題です。日本の労働者の睡眠時間が6時間半を下回り[^1]、その一方で1人当たりの労働生産性も低いという報道です。合理化できず労働時間が長いと、睡眠時間を削って労働する事になります。そのうえ基本給が安いので、時間外労働で稼ぐというサラリーマンも多いでしょう。社畜という言葉も日本でしか聞きません。睡眠不足はパワハラの原因にもなるらしいので、お互いに足を引っ張っているのが日本の会社員です。国民の貧乏化は止まらず、少子化が進みます。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF05CCQ0V01C22A0000000/

2022年11月2日水曜日

冷食輸出

日本の冷凍食品は安くて美味しいので、もっと冷凍食品の輸出が増えても良さそうなものです。でも例えばアメリカは肉類の輸入が禁止されていて、たとえ調理済みでもダメなので、肉類を含む冷凍食品は輸入できません。肉のエキスが使われているだけでもダメなので、輸入できるのは野菜か海産物を使った物に限られます。海産物は海がひとつにつながっているからという理由で許されています。冷凍餃子とか冷凍チャーハンはまず無理です。なので現地生産すれば良さそうですが、それには最初に大きな投資が要るので、食品会社としては躊躇します。それでも大きな市場が海外にあると思います。和食もアメリカなら現地の材料でかなり作れるので、今こそ冷食というブルーオーシャンに乗り出す時期です。

2022年11月1日火曜日

第8波への対応

新型コロナがこの冬に再度感染者を増やす事は確かです。つまり第8波は必ずやってきます。でももう感染者の数を数えても無駄です。ネットで買った抗原テストで陽性になっても、いちいち保健所に報告する人はいません。それにオミクロン型の亜種は肺炎を起こさないので、無症状もしくはただのカゼで済みます。ただのカゼでも高齢者の中には死ぬ人もいます。でもそれはコロナが原因ではなく、もともと持っていた基礎疾患が原因です。第8波への対応はインフルエンザと同じでかまいません。発熱すれば家で休む。薬が必要ならリモート診療で医者に処方箋を出してもらうか、OTC薬をネットで買う。高齢者や基礎疾患のある人のみ病院に行くという対応で十分です。もう日本人全員が一度はコロナに罹っており、自然に又は予防注射によって免疫を獲得しています。新型コロナはもはやパンデミックではありません。