2010年8月27日金曜日

自己否定できますか

なかなか日本の社会ではできない事というと、自己否定ではないでしょうか。たとえばソニーは液晶テレビで出遅れ、iPodの後塵を拝し、音楽はいまだにCDに乗せて売っています。トリニトロンというブラウン管で成功したソニーはブラウン管を否定することができず、CDプレーヤーのあとMDプレーヤーで成功した体験が足かせとなって自社の製品に競合する音楽プレーヤーを出すこともできず、さらにソニーミュージックという関連会社をもちながら、音楽をインターネットで販売することもできませんでした。ソニーは家電製品の製造会社で音楽販売会社ではないという思い込みが墓穴を掘ったのではないでしょうか。先輩の仕事を簡単に否定できない日本では、過去の成功体験を簡単に否定できません。日本だけでなく世界が大きく変わる中で、自社製品の改善だけで成功し続けることは無理です。ソニーはかつてマサが約30年前に入社したいと思ったくらい好きな会社だったのですが、今のソニーには魅力を感じません。ところが、90年代に倒産しかかったアップルは、逆に自分がパソコン屋ということを否定して音楽プレーヤーを出し、音楽販売事業を営み、さらには携帯電話まで販売しています。日本の会社でそこまで自己変革ができる会社があるとしたら、ソフトバンクぐらいでしょうか。日本という国そのものが、製造業で成功した体験を否定することができず、どうすれば国内の製造業を守ることができるかを考えています。日本が否定しなければいけないのは、高度成長の時の常識でありその後のバブルの経験です。つまり製造業はこれからの日本の雇用の中心ではなく、日本にバブル景気が再来することもなく、人口と国内マーケットは縮小していきます。では今後の日本の進む道は何でしょうか。マサの意見では、製造業の代わりに雇用の中心になるのは観光業です。日本の食事、文化、安全は観光地として大きな魅力です。円高でも日本を訪れたい外国人は沢山います。まず英語での案内や看板を全国的に増やすことが必要です。また国内マーケットが縮小することから、成長したい会社や人間は海外に出て行かざるを得ません。有名な学校を出て有名な会社に入れば安泰だという常識を、皆さんは否定できますか。

2010年8月22日日曜日

インターン

アメリカの企業は大学生をインターンとして受け入れることが盛んです。期間は3ヶ月から6ヶ月程度で、大学側でもインターンシップを卒業に必要な単位の一部として見てくれます。インターンシップには企業と学生の双方にとって良いことがあります。企業は安価な労働力を得るほか、もしその学生が気に入れば卒業に向けて活発に採用活動をします。学生にとっては仕事をした経験をつむことができますし、その会社がどんな社風かを正社員にならずに経験でき、もしその会社が気に入らなければ次の年に他の企業にインターンに行くことができます。インターンは学生の都合で卒業までに複数回できますし、人気のある会社、たとえばグーグルなどですと採用する側がインターンを吟味するので、大学1年の夏休みから始まって何回かトライする学生もいるでしょう。私の勤めている会社は社員の出身校を中心に毎年数人がインターンに来ます。そうしたインターンには、その期間で結果がでるような、それでいて会社にもある程度役に立つようなプロジェクトをやってもらいます。場所柄スタンフォードやバークレーの学生も多く、カナダのウォータールー大学からも毎年誰か来ます。これは、受け入れるチームのマネジャがウォータールー大学出身ということでつながりがあるのでしょう。かれらの賃金はアルバイトに近いものですけど、仕事としては学生にとって歯ごたえのあるものを与えます。それを先輩社員の指導のもとでやり遂げれば、本人の自信になると同時に会社にとって好ましい人材と見られます。実際こうして入社した元インターンが何人もいます。学生は専門分野の仕事の経験が少ないので、即戦力を求めるアメリカの企業では就職に際して圧倒的に不利です。そこを補うのがインターンという制度です。学生は自分でインターン先を探しますが、大学には就職課がありそこでインターンシップの斡旋もしてくれます。企業側は大学に出向いて面接しインターンとなる学生を選ぶのが普通です。日本でも最近はインターンをやっているそうですが、期間が夏休み中の1ヶ月と短いのが多いようです。大学生活4年間のあいだに3ヶ月、つまり1学期まるまるインターンに時間を費やすのは意外といい経験になるとマサは思います。日本の学生もアルバイトに力を入れて大学の勉強はそっちのけという人もいるので、それは日本流のインターンかもしれません。