2023年9月30日土曜日

定年制

ラピダスに50歳代のベテランが多いという報道[^1]に、ひとつ気になるコメントがありました。「海外の半導体メーカーでは定年制度が無い事は常識」というもので、実はジョブ型雇用には定年制度がなく、海外の会社はジョブ型雇用ばかり、というのが真相です。つまり半導体メーカーに限らず、定年制度は海外では少数派です。それは定年(停年)制度が年齢差別だからで、日本がオカシイのです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC153L60V10C23A8000000/

2023年9月29日金曜日

インボイス制度とは

長年欧州で使われている「インボイス制度」[^1]が日本でも始まります。その目的はふたつあり、「8%と10%に分かれた消費税の計算を容易にする事」と「益税をなくす事」です。もともと徴税コストが上がるので、筆者は消費税の税率をふたつに分ける事には反対でした。でも決まってしまったものは仕方ありません。物やサービスを売る側がインボイスを発行し、買う側がそのインボイスにもとづいて税務処理します。年間売上高が1000万円以下の売り手はインボイスを発行できない「免税事業者」であり、消費税を税務署に納める必要はありません。従来は「免税事業者」も買い手から消費税を受け取り、それを自分の利益に入れる「益税」が存在しました。今後は買い手がそうした消費税の支払いを拒むので、その分買い入れ価格を下げる圧力が働きます。つまり「益税」が減ります。なお年間売上高が少ないフリーランスは、買い手から値段をたたかれる恐れがあります。それに対抗するには、複数のフリーランスを束ねて法人化し、年間売上高が1000万円超過になる事業者の社員として働くという方法があります。もともと免税事業者は消費税を納めないので、買い手に消費税を請求する事はできません。年間売上高が1000万円以下の輸出企業などが「課税事業者」として登録し、消費税の還付を受ける事はできます。つまり年間売上高が1000万円以下の売り手は、「免税事業者」となるか「課税事業者」となるかを選ぶ事ができます。消費者は消費税を収入から控除できないので、「免税事業者」が消費者から消費税を受け取り、それを「益税」にする事は可能です。

^1: https://gigazine.net/news/20230928-invoice-system/

2023年12月21日追記
課税事業者が増えたので、益税が減り税収増という結果のようです。

2023年9月28日木曜日

薬価引き下げ

日本の医療費は4割が税金で補填されているので、医療費削減のために薬価引き下げ[^1]が検討されています。その一方でジェネリック医薬品が処方薬として普及し、薬の単価そのものが削減の対象になるようです。あまり単価を下げてしまうと日医工のような事件[^2]を誘発するので、そこには歯止めが必要です。むしろ処方薬として出す薬を絞り込み、OTC薬を増やすのがより良いやり方ではないでしょうか。記事のコメントにもあるように、ヒアルロン酸や湿布薬などを処方するのは医療費の浪費であり、安すぎる処方薬と高すぎるOTC薬の是正が必要と考えます。中国やインドの安い薬に依存するのも輸出停止の危険があり、政府には全体最適を目指して欲しいものです。
detail.php?movie_id=1438
^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA152JM0V10C23A9000000/

2023年11月18日追記
医薬品メーカーが採算を取れないほど薬価をさげてしまうと、ジェネリックも作れません。

2023年9月27日水曜日

日本の再生エネが

今後は減ってしまうようです。筆者は思わずこのグラフ[^1]を二度視してしまいました。2023年から2027年にかけて中国、アメリカ、インドが再生エネを大幅に増やすのに、日本は逆に減らしています。たとえ人口が減るとしても、価格の高い化石燃料から安い太陽光などの再生エネに移行するのが経済的なはずなので、再生エネの代わりに原子力を増やすという計画なのでしょう。つまり日本の再生エネ産業は育たず、コストの高い原子力を続けるというのが国策です。日本の将来には期待できませんね。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2611N0W3A920C2000000/

2023年9月25日月曜日

二重価格

外国人旅行者と日本在住者との間で価格を分けるという二重価格制度[^1]に賛成です。JRは手始めにJRパスを値上げします。JRパスはアメリカより日本の物価が高かった時の産物なので、円安の今その役目は終わったと言えます。でもいちいち切符を買う手間を省くという意味では便利なので、値上げは当然です。税金で支える博物館や美術館の入場料も二重価格が妥当です。外国人旅行者は正規料金で、日本在住者はマイナンバーカードを提示すると割引というのが良いでしょう。二重価格制度でオーバーツーリズムも緩和できます。二重価格は途上国のようで嫌いな人もいるでしょう。でも円の実力[^2]が53年前と同じという事は、日本が昔の購買力に戻ったという事ですから、少子高齢化の国にふさわしい制度です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK2146T0R20C23A9000000/

2023年9月24日日曜日

保険業界の暗部

ちょうど良い記事[^1]が出たので、これを補足します。アメリカには各州に「insurance commissioner」という州政府の組織があり、不正が起きやすい保険業界を監視しています。法律は消費者の利益を追求すべきという理念のもと、たとえば車の販売代理店が保険の販売代理店を兼業できない、といった規制があります。車の修理屋が保険会社とグルになって不正を働くと、損をするのは高い保険料を払う消費者です。日本には消費者保護のための規制という視点が少なく、独占禁止法を変える必要があります。ライドシェアとか薬の販売規制なども既存の業界保護に偏りすぎています。既得権益を保護していてはイノベーションは生まれません。アベノミクス失敗の理由も規制緩和が中途半端だったからです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB15CXW0V10C23A9000000/

2023年09月28日追記
保険会社が入札にあたって受注調整するのはカルテルと同じで、違法です。

2023年9月23日土曜日

タレントにも罪

児童虐待をもみ消したジャニーズ事務所に罪があるのは当然として、この事務所に所属するタレントに罪はあるかという問いかけがあります。筆者の意見は「ある」です。ジャニーズ事務所というブランドのおかげで活動しているからです。本人は知らなかったとしても、今や知っています。知っていて何もしないのは共犯です。だから罪があります。同じ事はジャニーズのファンにも言えます。今や知っている以上、ファンである事そのものが罪です。ましてや以前から「噂」で知っていたというタレントは、すべて共犯者です。だから犠牲者の上に君臨するジャニーズ事務所は、改名どころか解体が必要です。独占禁止法を強化して、アメリカのように「タレント養成」と「タレント斡旋」を分離しましょう。

2023年09月26日追記
新しい社長もあやしい。底なし沼のようです。

2023年10月14日追記
加害者と被害者の他に、共犯者がいます。ジャニーズのファンは共犯者です。

2023年9月21日木曜日

誤登録問題

マイナンバーが誤って他人の口座に紐付けられた問題[^1]は、原因究明が不十分です。報道によれば、前の人の口座登録が終わってからログアウトしないまま次の人の登録を始めると、誤登録が起きるとされています。もしこれが本当だとすると、これはまず第一に技術的問題です。登録が終わったら自動的にログアウトするとか、すでに使われた口座番号が再び別のマイナンバーに紐付けされそうになると警告するとか、誤操作を避ける方法は複数あります。そうした「誤操作避け」を仕様に入れてなかった役所が第二の問題です。そして第三はこのシステムを請け負った会社が、そうした仕様の抜けを知っていたのに何もせずそのまま納品したという問題です。人は間違える動物なので、人を相手にするシステムの「誤操作避け」は必須機能です。そのうえテストも明らかに不十分で、とてもプロの仕事とは思えません。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA19BEM0Z10C23A9000000/

2023年9月20日水曜日

お役所仕事

東京都「018サポート」給付申請[^1]は典型的なお役所仕事です。これこそ親と子供のマイナンバーカードだけで申請できるシステムにするべきです。「マイナンバーカードがなければオンラインで申請できない」で良いのです。それ以外は「申請書を書いて保険証や住民票のコピーを付けて郵送する」で構いません。中途半端に紙をオンラインで扱おうとするから煩雑になります。せっかく国がマイナンバーカードの普及を後押ししているのに、東京都がそれを活用しないのは意味不明です。

^1: https://www.tokyo-np.co.jp/article/278003

2023年9月19日火曜日

都市公園

東京の都市公園は家一軒分の小さいものから、浜離宮恩賜庭園のように大きなものまでたくさんあります。その中で住宅街にある小さい公園は維持されていないもの[^1]もあり、人口が減少する国での公園をどうするかという議論が始まっています。維持するにはお金がかかり、何もしなければゴミ捨て場になってしまいます。手入れして避難場所として残すのか、ソーラーパネルを置いて小規模発電所にするのか、それともフェンスで囲って原野にもどすのか、悩ましい問題です。一部を屋根式のソーラーパネルにして、売電で得るお金を公園の維持費に回すというアイデアもあります。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE171FB0X10C23A7000000/

2023年9月18日月曜日

JOCの実力不足

東京オリンピックの贈収賄事件[^1]が後を引いています。JOCのようなぬるい組織に切れ者は来ないから、広告代理店なしでJOCが上手にスポーツ・イベントを企画・運営できるとは思えません。そこでむしろ複数の広告代理店を競技ごとに使い回す事を提案します。電通というひとつの会社に全部を委託するのではなく、競技ごとに入札して広告代理店を決め、同じ会社が同じ競技を続けて請け負う事を禁じます。みなし公務員として法律違反となった会社は入札に参加できないので、他の会社にも企画・運営のノウハウを持たせるためです。公金が大量投入されたオリンピックで贈収賄事件が発生すると、税金を払った国民が損をします。JOCの実力不足を補うには、イベントの丸投げを禁止する必要があります。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE222840S3A720C2000000/

2023年9月17日日曜日

出産立ち会い

筆者はアメリカで妻の出産に二度立ち会いました。アメリカは医療保険がカバーする期間が短いので、当時は帝王切開で二晩、自然分娩で一晩しか病院にいられませんでした。夜の12時を過ぎれば次の日とカウントするので、多くの妊婦はなるべく夜の12時を過ぎてから入院するのが普通です。子供は夜中から朝にかけて生まれる事が多く、家で破水するまで待つ事もよくあります。破水してから入院してもたいていは間に合います。入院してから出産までは短くても数時間かかり、出産後は子供と母親を別の部屋にして休ませます。先日視たKDDIのコマーシャルでは、サラリーマンの男性が電話で通知を受けてから急いで電車で病院に駆けつけると、もう出産は終わっていて男性が妻から赤ちゃんを受け取ります。でも実際には出産にはもっと時間がかかり、特に最初の出産には陣痛が始まってから10時間以上かかる事もあります。このコマーシャルの男性は大事な出産に立ち会っていないし、病院に着くまで半日以上かかっているので、おそらく妻が実家に帰って出産したという設定なのでしょう。アメリカの男性は妻の出産に立ち会わないと離婚されます。女性の苦労がよく分かるので、日本の男性も妻の出産には立ち会うべきです。

2023年9月16日土曜日

雑な設計

「災害に強いということで新設をした市役所本庁舎がですね、電源機器が水没して停電となったことは想定外の出来事でございました」[^1]という発言を聞くと、あれれと思います。この本庁舎のすぐ脇には川が流れており、本庁舎の地下には地下駐車場と電源機器の部屋があります。つまり水害に強い設計にはなっていません。地下に電源機器を置くのは大間違いで、福島原発事故も津波が地下に入って電源を止めました。まずは一体誰がこんな雑な設計をしたのかを、ぜひ明らかにして下さい。失敗から学ぶには設計過程を見直す必要があります。

^1: https://news.ntv.co.jp/category/society/d2bca3b234ed4e79a11ba4a7fd4cd7c9

2023年11月07日追記
過去の降水量データのみに頼り、温暖化の影響を無視した事が原因です。以前は「百年に一度」の災害が今は日本のどこかで毎年起きており、考え方を根本から改める必要があります。

2023年9月15日金曜日

大阪万博

筆者は子供のころ1970年に開催された日本万国博覧会に行き、アメリカ館で月の石を見た記憶があります。その当時の日本にとって万博は明るい未来を見せてくれるテーマパークでした。日本ではその後も2005年に愛知県で万博があり、2025年には大阪で再度万博が予定されています。この大阪万博はどうも盛り上がりに欠けそうで、赤字[^1]になると予想します。地球温暖化が世界中で猛威を振るっている中で明るい未来というのも無理があり、経済的には2021年の東京オリンピックに続いて再度の失敗となりそうです。万国博覧会というコンテンツがオワコンになっていると思うのは筆者だけでしょうか。経済のグローバル化が失敗し地球温暖化も加速する中で、もし万博にやる価値があるとすれば、人手不足を解消するロボット化の加速とCO2排出を止める画期的な技術の提示です。どうせYouTubeで中を見ることができるので、わざわざお金と時間をかけてCO2も増やして見に行く価値は感じません。


2023年09月25日追記
「万博建設費、2300億円に 上振れ2回目、450億円増」最終赤字は避けられない?

2023年12月19日追記
費用は国民1人当たり1,300円ぐらいの負担と予想されます。同意した覚えはないけど。

2023年9月14日木曜日

白タクの出番

日本ではまだウーバーのような「白タク」(ライドシェア)が禁止されています。でも現実には人手不足でタクシーや路線バス[^1]が足りません。電車のない地域でバスが廃止されると地元住民には大打撃です。そろそろ法律を変えて民間の「白タク」を認めるべきでしょう。乗り合いできる「白タク」は地域交通の中心になりうるので、思考停止からの脱皮が必要です。地方のインバウンド観光客の足にもなります。ここはウーバーやリフトが一般化したアメリカを見習って下さい。タクシーに準じる料金でも構いません。

^1: https://mainichi.jp/articles/20230911/k00/00m/040/245000c

2023年09月21日追記
タクシー運転手の上限年齢を75歳から80歳に上げるより、制限付きの白タクの方が安全では?

2024年03月04日追記
日本は石橋を叩いて渡る国なので、この形での開始です。数年で全国に普及するでしょう。

2023年9月12日火曜日

五輪の負の遺産

東京オリンピック2020が大赤字に終わった事で、冬期オリンピック2030に立候補する予定の札幌[^1]が苦慮しています。札幌市長は正直にこのオリンピック招致はお金のためだと述べており、黒字になる見込みがないまま東京五輪の負の影響を受けています。おそらくオリンピックが黒字になる時代は終わったのでしょう。長野オリンピック[^2]の後、長野大会組織委員会は帳簿を焼却しており、不正疑惑も含めて真相は藪の中です。万博とかオリンピックなどのイベントで外部からの投資を募る自治体は後を絶ちません。しかし長野の結果は、集客効果が数年しか続かないと証明しています。イベント屋の広告代理店はお金欲しさから甘い見通しを立てるので、犠牲になるのはいつも市民です。東京五輪で儲けたのは誰なのか、東京都民は知っています。

^1: https://www.tokyo-np.co.jp/article/273371

2023年10月06日追記
札幌は2030年の立候補をあきらめるそうです。賢明な判断です。

2024年04月15日追記
東京都はお金持ちですから、この程度の想定外出費は問題になりません?

2023年9月11日月曜日

安すぎる入札問題

給食事業などを手がける「ホーユー」が事業停止し破産申請した事で、寮や学食の給食が止まっています。これは起こるべくして起こった問題です。利益がない金額で入札する業者に対して、予定金額を下回る入札を受けてしまう学校や事業所がいるという問題です。こうした自転車操業の会社は日本に多く、儲からない仕事をしています。それが日本の賃金を上げにくくしており、市場の縮小(少子化)にともなって倒産という形で顕在化しています。「ホーユーも含めて3社が入札に参加し、A社が1億7640万円、B社が5899万円という金額に対してホーユーは1800万円」という場合、1800万円は安すぎると思わないのでしょうか。入札にはコストから計算した最低価格があるはずなので、発注側にも問題があります。

^1: https://www.fnn.jp/articles/-/582046

2023年9月10日日曜日

余る電気

この記事[^1]によると「太陽光や風力でつくった電気を使わない出力制御が九州地方で深刻化している」そうです。せっかく再生可能エネルギーに投資しても、余った電力を貯蔵出来なければ無駄になります。その解決策は二つあり、同時に実行する事ができます。まず第一に昼間に使用電力のピークを持ってくる事です。夜間電力を安くするのではなく、昼間電力を安くします。今でも電気メーターは毎時間ごとの電力使用量を報告するので、インフラはそのままで料金プランだけ変えれば可能です。第二には余った電力を蓄電できる装置に投資する事です。充電電池を使う方法の他、水を電気分解して水素ガスをタンクに貯め、電気が必要な時間帯に燃料電池で発電するなど、方法は複数あります。政府は蓄電設備に投資して儲かる仕組みを作り、民間の投資をうながすべきでしょう。

^1: https://mainichi.jp/articles/20230730/k00/00m/020/016000c

2024年04月25日追記
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA189O50Y4A410C2000000/
国産のエネルギーを捨てる矛盾には腹が立ちます。もっと蓄電設備に投資しましょう。

2023年9月9日土曜日

薬の自動販売機

ありそうでないのが薬の自動販売機[^1]です。でもマイナンバーカードを使えばできそうな気がします。日本は薬の販売に強い規制があって、OTC薬でも簡単には買えません。薬剤師の説明が必要とかで、消費者目線にはなっていません。もちろん薬を乱用する人はいるので、バランスをどう取るかという問題がつきまといます。筆者はマイナンバーカードで乱用を防げると思うので、薬剤師のオンライン説明があってもいいから、OTC薬の自動販売機を実現して欲しいと思います。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD299SQ0Z20C23A8000000/

2023年9月8日金曜日

ジャニーズ問題

ジャニーズ事務所の性加害問題を筆者はこう捉えます。①(同性間の)未成年者への性犯罪を取り締まる法律の欠如、②タレント養成所とタレント斡旋所を分割する法律の欠如、③マスコミがジャニーズ事務所へ忖度して性加害問題の報道を控えた共犯者問題です。①は刑事罰の法律を追加すべきであり、②は独占禁止法の強化が必要で、③はジャニーズ事務所のタレントを応援している我々の問題です。日本は新聞社がテレビ局を系列に持つので、報道に関してライバル関係になく、NHKですらジャニーズ事務所へ忖度しています。それは国民がジャニーズ事務所の性加害問題を無視してきたからです。沈黙は共犯なので、「うわさ」を聞いていたけど黙っていたタレントにも責任があります。内部の人間が社長になってもオーナーは変わらず、何も変わらないでしょう。だから①と②を是正する立法が必要です。

同日追記
被害者のプライバシーが守られていないのに、社長のそれが守られる理由はありません。

2023年9月7日木曜日

50年住宅ローン

若者に50年住宅ローンを売る銀行が増えている[^1]そうです。毎月の支払いを減らせるという利点があり、ぎりぎりの予算で家を買う場合には意味があります。ただ50年となると20代で家を買う必要があり、それでも70代後半までローンの支払いが続きます。どうしてもかつての「二世代ローン」を思い出します。引用先ではアメリカで30年ローンが一般的であり、40年ローンもあると書いてあります。でもアメリカには15年ローンもあり、30年ローンの利用者も15年ぐらいで繰り上げ返済するのが普通です。アメリカの長期金利は日本の数倍なので、30年ローンを30年かけて返すと全部で元金の倍ぐらいを支払う事になります。50年ローンは日本の低金利(1%)が前提であり、それは日本のデフレが50年続く事を想定しています。親から生前贈与などの形で家の頭金をある程度もらえれば、50年ローンは不要でしょう。筆者はとても50年ローンを組む勇気はありません。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB307O80Q3A830C2000000/

2023年9月6日水曜日

インフラ合理化

人口が減る日本で避けられないのがインフラの合理化[^1]です。鉄道・道路・橋・トンネル・固定電話・地上放送などは利用者の減少により維持ができなくなるので、数を減らすか代替手段に切り替えるという決断が必要です。昭和の事業モデルでは立ちゆかないので、問題の先送りは許されません。赤字の路線を廃止するとか、バス輸送に切り替えるという話は日本中どこでもあります。道路やトンネルも利用者が少なければ維持できません。携帯電話がこれだけ普及した日本で、固定電話を全国くまなく維持するのも無意味でしょう。地方や山間部の地上放送は衛星放送で代替でき、インターネットを経由しての視聴も可能です。少ない人口で維持するインフラの数は今より絞り込む必要があり、景気刺激策としての公共投資も合理化は免れません。

ブダペスト覚書

1994年にウクライナは旧ソ連の核兵器を手放し、それと引き換えにアメリカ・イギリス・ロシアから安全保障を得るという「ブダペスト覚書」[^1]を結びました。この覚書にはウクライナが外国から侵攻された場合、この三国が協議するとしか書かれていません。軍事同盟ではなく、核兵器を手放す条件としてはあまりにも軽かった、というのが実情です。ロシアのウクライナ侵攻によりイギリス・アメリカは協議したものの、ロシアの核兵器を恐れて両国は積極的な介入ができません。つまり核抑止は効いており、ロシアの核の脅しにイギリス・アメリカは核で対抗できません。言い換えると、核兵器の価値はその抑止力にあるという事です。軍事力で国境を変えたい指導者がいる限り、核兵器は減りません。世界は新しい冷戦時代に入りました。

^1: https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/04/post-101316.php

2023年9月4日月曜日

ピンチをチャンスに

中国が日本の海産物の輸入禁止に動きました。日本はこのピンチをぜひチャンスに変えてほしいものです。国内の海産物の値段が下がり、国民が海産物をより多く食べるきっかけになるとか、回転寿司でも国内産をより使うとか、この機会にぜひ国内消費を増やす方策を採りましょう。もちろんナマコやアワビはそうそう毎日食べるものではありません。ホタテにも限度があります。でも「捨てる神あれば拾う神あり」というのが経済の鉄則です。そのうえ「日本近海から中国漁船を追い出すチャンス」[^1]という意見もあります。


2023年10月14日追記
「日本の食品輸出は規制の少ない中国や香港に集中した側面もある」という指摘は重要です。HACCPを取っていない工場で加工された食品は、他の国に輸出できなかったという事です。これは日本の食品加工業の怠慢です。

2023年9月3日日曜日

移民と二重国籍

ドイツがEU以外の国の二重国籍[^1]をついに認めるそうです。ドイツと言えばトルコからの移民労働者が多く、トルコはEUには入っていないので、トルコ出身の移民はドイツに帰化するにあたってトルコの国籍を放棄していました。それが今後は不要となります。またアフリカ諸国や中東出身の移民も二重国籍が選べるようになります。世界で二重国籍を認める国は増えており、150ヵ国[^2]と7割を越えています。二重国籍容認の目的は移民第一世代を増やす事です。戦前の日本人のアメリカ移民がそうであったように、移民第一世代はルーツである元の国籍にこだわります。生まれ育った国の国籍は心情的にそう簡単に手放す事ができません。第二世代から先はそのようなこだわりを持たないので、移民に来てもらいたい国ほど二重国籍を容認します。国籍を得る資格や条件は受け入れ国が任意に設定できるので、ほとんどの国で犯罪歴や納税履歴、言語能力や社会常識がテストされます。つまり申請しても誰でもその国の国籍が手に入るわけではありません。また二重国籍者は軍隊に入れなかったり、国家機密に近づけないといった制限があるのも普通です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR30B350Q3A830C2000000/

2023年9月2日土曜日

トリチウム濃度

トリチウムは宇宙放射線でも大気中に生じるので、雨水にはトリチウムが含まれています。その濃度はだいたい0.5Bq/L程度[^1]です。1960年代は大気圏内核実験でロシア・中国・アメリカが大量のトリチウムを大気中にばらまいたので、その頃の濃度は100Bq/Lを越えていました。当時の子供は「雨にあたると頭がハゲる」という都市伝説を信じており、傘を忘れた生徒は頭を隠して雨の学校からの帰宅を急ぎました。もちろんそれでハゲになった子供はいません。トリチウムの半減期は12.3年と短く、1980年代には核実験の影響もなくなりました。WTOの飲料水の基準は10,000Bq/Lと高く[^2]、これはトリチウムの出す放射線がベータ線で、人体に与える影響が小さいためです。福島原発では処理水に含まれるトリチウムの濃度を1500Bq/L未満に薄めて海に放出しています。10分程度の測定時間だとトリチウムの検出限界は10Bq/L程度なので、東電による毎日の海水測定[^3]で分かる最低濃度もそれくらいです。海流により海水中の濃度も変わるので、福島沖で測定してもたまに10Bq/L[^4}を越えるくらいで、大半はND不検出となります。海水中のトリチウムが心配な中国は、自国の領海内でトリチウムの濃度測定を行えば良いでしょう。中国の原発はもっと多くのトリチウムを海に放出しているので、日本近海より中国近海の方がトリチウム濃度は高いと予想します。

^1: https://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20230627-OYTNT50002/

2023年9月1日金曜日

Xの堕落

背に腹は替えられない、という事です。X(旧Twitter)が「政治的メッセージはお金で拡散されるべきではない」というジャック・ドーシーの方針を廃止し、政治広告を解禁するという報道[^1]がありました。Xにあった唯一の崇高な方針がなくなるので、今後のXが政治広告まみれになると予想します。人数を大幅に減らしたXには広告を審査する余裕はなく、2019年以前のような状況に戻るでしょう。赤字の会社なので、豊富な資金を持つ政治団体の広告は喉から手が出るほど欲しいはずです。問題なのは、そうした広告は大半が偽情報だという点です。もともと「Xは情報の真実性を決定すべきではない」という方針なので、虚偽広告が増えるのは間違いありません。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN3103K0R30C23A8000000/