2017年5月27日土曜日

限界集落とゴーストタウン

日本の限界集落のその次にある物がアメリカのゴースト・タウンです。アメリカの西部にあるゴースト・タウンは、金や銀を産出する鉱山の周りにできた町が鉱山の閉山にともなって廃れてしまい、最後には住民が他に引っ越してできる廃墟です。人がある場所に住むには理由があり、その理由がなくなるとゴースト・タウンができます。日本には居住の自由があるので、人は自分の住みたい所に住みます。その結果人が住みたがらない場所はゴースト・タウンとなります。人口が減る日本では今後ゴースト・タウンの発生を避けられません。でもゴースト・タウンは未来の観光資源にもなるので、限界集落は悪い事ばかりではありません。若者にとって魅力ある場所でなければ、限界集落は必ずゴースト・タウン化します。それは町のライフ・サイクルの一部であり、ごく自然な現象です。

2017年5月20日土曜日

税金の考え方

教育国債とか子供国債などの議論から分かるのは、そもそも税金はなぜ払うのかという根本が不明だという問題です。教育を投資とみなして国債で払えば、その分を税金から払わなくなるので政治家は喜びます。投資なら利益が入るはずで、それは教育の結果増えるであろう企業や個人の収入となるはずです。教育に1億円費やして、その結果いくら税金が増えるかは分かりません。それは税金の増加には他の要因もあるからです。ではそもそもなぜ公立教育があるかと言えば、まさにこの投資効果が計測できないからです。税金は投資でなかったり、あるいは投資効果が計れないものに使います。前者は警察や自衛隊、議会、そして行政の人件費に相当します。警察や自衛隊は利益を生みません。行政の人件費は利益どころか損失です。でも国民生活に必要な出費として税金で払います。後者の投資効果が計れないものは教育、地震対策、医療、生活保護などです。かけたお金に対していくら儲かったのか分からないけど、絶対にプラスになると思うから税金で払います。国債という債券でお金を集めるなら、リターンを得る手段とその金額を確定する必要があり、このため教育は国債には向きません。儲かる話なら民間にやらせるべきで、わざわざ新しい国債を作って国の借金を増やすのは愚かな行為です。赤字国債もリターンを得る手段とその金額が不明なので、政治家が苦し紛れに生み出した「禁じ手」にすぎません。日本の行政サービスは段階的に減らさざるを得ないのです。

2017年5月13日土曜日

シリコン・バレー・コミック・コン

サンノゼで第2回シリコン・バレー・コミック・コンを観てきました。これはまさにお祭りですね。観客もコスプレしている人の方が多いし、SF好きとかコミック好きという共通点があるので、見知らぬ人どうしでも仲良くやってます。むかしテレビや映画に出ていた俳優が写真撮影とかサインに応じているのが特徴で、スタートレックでデータ役をやってたBrent Spinerとか、ウーラ役のNichelle Nicholsなどを見かけました。場所柄NASAとSETIのブースもあり、火星に関するパネル・ディスカッションにはNASAの人に加えてAndy Weirも登場しました。彼はマット・デイモン主演で映画にもなったThe Martianという小説の作者です。秋葉原のラジオ会館にあるようなフィギュアを売っている店や、映画のワン・シーンを手書きで描いた絵などを売っています。これは著作権料をちゃんと払っているのかな。一日券で$50と安くはないものの、筆者はその独特な雰囲気を堪能してきました。

2017年5月1日月曜日

人工知能と仮説

今の人工知能が得意なのは帰納法です。つまり数多くの過去の事例を覚えて、目の前の問題に合う最良の事例を探しだし、それを目下の問題に適用します。有名なビッグ・データとディープ・ラーニングの組み合わせは、帰納法に最適の手法です。ところが人間は帰納法だけではなく演繹法も使います。事例からある種の法則を見いだしたら、その法則から仮の事例を組み立てます。言い換えると人間は仮説を立ててこれを検証します。でも今の人工知能は仮説を立てる事ができないので、例えばゲームをする人工知能は仮説を立てるかわりに無作為にありとあらゆる手を試します。ゲームという閉じた世界なら手当たり次第に可能な手を試しても害はないでしょう。でも人間の世界でこの方法を行うのは膨大なコストがかかるのでまず無理です。仮説を立てられない人工知能は過去の知識を超える事ができず、新しい問題の解決には役立ちません。仮説を立てられる人間はこの点で(今のところ)人工知能より優れています。