2017年6月25日日曜日

日本問題の解決策

前回は、増大する累積財政赤字、制度的に維持できない年金、止まらない少子化の三つが日本問題だと定義しました。今回はその解決策を考えます。政策的に可能かどうかはひとまず置いて、まず選挙制度を変えます。1歳以上18歳未満の子供にも選挙権を与え、その保護者に代理で投票してもらいます。財政赤字や税による年金補填問題は子供や孫のお金を横取りする行為なので、子供や孫にも意見表明をしてもらうためです。次に年間10兆円もの税金を国民年金に回す事をやめ、そのお金を子育てと教育に使います。国民年金の支払い額がこれで今の半分になるので、それで足りない人は生活保護で救います。増大する生活保護費用は、防衛費を削ることで捻出します。財政赤字を減らすには支出を減らし、収入を増やすしか手がありません。毎年5%ずつ国家予算を減らし、すべての支出項目を均等に5%ずつ減らします。これを10年続けて予算額をほぼ半減します。一方累積赤字を減らすため消費税を段階的に増やして25%まで上げます。保育費用と高校までの教育費を無料化するのと引き換えに、国民に消費税増税を受け入れてもらいます。所得と資産合計の少ない家庭の優秀な子供には、税金を財源とする給付型奨学金を出して大学費用を払います。さらに老人の定義を75歳以上とし、年金の支出開始年齢も75歳に引き上げます。人手不足の日本では60歳以上の人にも広く働いてもらう必要があります。人生の経験者で知恵も体力もあるシニアには、新しい仕事を生み出すという大事な仕事が待っています。未来に希望がもてる国にするには、こうした施策が必要です。この結果財政赤字がなくなり、年金を支払い不能から守り、少子化を解消できれば日本問題は解決です。

2017年6月17日土曜日

日本問題とは

世界で最も速く高齢化と少子化が進む日本の問題は、日本に特有の問題なので他国の事例はあまり参考にならず、日本人自身が頭を使って解決しなければなりません。この日本問題とは、増大する累積財政赤字、制度的に維持できない年金、止まらない少子化の三つからできています。この問題が日本の若者に及ぼす影響は大きく、未来に希望を持てない日本人を増やしています。税収が足りず、国債を買ってくれる人もなく、行政は予算不足で停止し、「昔は良かった」とつぶやく老人だけの国になります。日本問題は世代間の問題でもあります。1000兆円を超える公的債務を作りだしたのは今の老人です。国民年金を通じて年間10兆円もの税金を食べているのも今の老人です。年金は保険であり、その保険料を納めているのは今の若者です。年金保険は積み立て預金とは違い、現役の労働者が今の老人に仕送りするという割賦方式を採っています。このため老人の寿命が延びて労働人口が少子化により減ると、こうした仕送りはできなくなります。年間10兆円もの税金で年金を補填するのは世代間の搾取に当たり、財政赤字と合わせて子供や孫の世代が使うはずのお金を横取りしています。「今さえ良ければいい、自分さえ良ければいい」という近視眼的な政策の結果がこれです。そうした政策を支持してきた今の老人と、投票しなかった若者に大きな責任があります。

2017年6月11日日曜日

二つの働き方

世の中には、アメリカ式の「仕事に人をつける」ジョブ型と日本式の「人に仕事をつける」メンバーシップ型の二つの働き方があります。その両方を経験した筆者は、ジョブ型の方が労使双方に有利だと考えます。以下その説明です。アメリカ式の「仕事に人をつける」ジョブ型は、プロ野球の世界と似ています。投手として採用されれば、まず投手として働きます。働く人はみな専門職についており、仕事の内容は就職する前に明らかになっています。投手なのに捕手として働くという事はありません。これに対して日本式の「人に仕事をつける」メンバーシップ型では、就職というより就社という形を取ります。働く人は一般職として採用され、辞令ひとつで仕事や働く場所が本人の意思とは無関係に変わります。ジョブ型では経験者に価値があり、メンバーシップ型では新人に価値があります。ジョブ型では担当する仕事がなくなれば手切れ金付き解雇です。メンバーシップ型では担当する仕事がなくなれば配置転換か追い出し部屋です。社会の変化に対応するには「仕事に人をつける」ジョブ型が有利です。日本のメンバーシップ型では解雇が事実上不可能なので、会社は常に余剰人員をかかえています。このため新しい仕事に経験者が必要でも、外から簡単に人を雇えません。一方その余剰人員も専門性が不十分なので身動きできず、会社の人件費だけが高止まりしています。この人件費削減のため正社員を減らしたのが日本の現状です。人材に流動性がなく社会の変化に対応できないのがメンバーシップ型の欠点です。その一方ジョブ型では専門性が問われるので、働く人は自分の専門性を磨くため常に自分への投資が必要です。

2017年6月1日木曜日

ブラック・ホール・レインボー

映画「インターステラー」には見事なブラック・ホールの映像が出てきます。2014年に映画館でこの映画を観た筆者は、ブラック・ホールの映像をとても美しいと思いつつもある種の違和感を感じていました。それから3年たってようやくこの違和感の正体が分かりました。それはブラック・ホールの周りに「虹」が見えないという点です。ブラック・ホールの周りに物が集まってぶつかり、熱と光を発生するのは理解できます。その発生した光は強い重力に逆らって飛ぶので、エネルギーを失うはずです。つまり事象の地平線近くから発した光は赤方偏位するばずで、その結果生じるはずのブラック・ホールを取り囲む虹が映画には出てきません。可視光が事象の地平線の近くから外に向けて飛ぶと、赤外線や電波の領域まで波長が伸びます。ちょうど事象の地平線上で発生する光は、その波長が無限大になる(エネルギーがゼロになる)ので検知できなくなります。これがブラック・ホールがブラックと呼ばれる理由です。あそこまで科学的な考証を重ねて美しい映像を作ったのに、円い虹を省略したのは演出のせいでしょうか。