2012年5月31日木曜日

終身雇用制度の欠点

日本が昭和の時代に急成長した原動力のひとつは終身雇用制度です。理不尽な労働条件でも首になるよりはましと、多くのサラリーマンが十分な手当もないまま長時間労働を行いました。マサも覚えていますが、残業時間には毎月の上限があり、それを超えた時間は申告しないという方法で残業手当を削っていました。人口が時間とともに増える社会では、放っておいても市場が拡大するので会社の売り上げも伸びます。終身雇用のため余剰人員を首にすることはできないので、「窓際族」という言葉が生まれました。会社に来ても仕事がない中高年を窓際の席に座らせてたことから生まれた言葉です。その当時はそれだけの余裕があったんでしょうね。日本では終身雇用と年功序列がセットになっていますので、首を切る事も給料を下げることもできません。そこで子会社を作って余剰人員を転籍させるのが普通でした。今は国内需要が減少するうえ、海外需要も円高でのびません。人口減少が反転しないかぎり、終身雇用も年功序列も維持できません。いまだに大卒の若者がひとつの会社にずっと勤めたいと希望しているそうです。それは日本で年を取ってからの転職が難しいことが理由でしょう。終身雇用制度は明文化された決まりではありません。古い判例が整理解雇を難しくしているので、首を切るかわりに陰湿な手で辞めさせるのが日本の会社です。もはやピラミッド型の人口構成ではなくなった日本が国際競争力を維持するには、終身雇用も年功序列も過去のものとして諦めねばなりません。終身雇用制度の欠点は、新しい会社が育ちにくいことです。大企業が決断の鈍さから競争力を落としているいま、新しい会社が育たないと日本はギリシャのような負債大国になるでしょう。

2012年5月24日木曜日

包装

日本から品物を送ってもらうと、その包装のすごさに毎回びっくりします。旅行のお土産でいただく焼き菓子などは、まず紙でぴっちり覆われていて、それをはがすと紙の箱に入っていて、それを開けるととまた個別に袋に入ったお菓子が出てきます。焼き菓子の場合だと日本は湿気が多いので個別包装は避けられませんが、紙の箱があるのになぜまた紙で包むのか不思議です。さらにそれをビニールの袋に入れて渡すお店もよくあります。日本はゴミの収集方法が原始的で、東京でも収集日の朝に道路に積み上げておくという方式です。紙のゴミも包み紙と箱のふたつでかさ張ります。日本式の包装は少なくともエコからは遠いところにありそうです。これとは好対照なのがアメリカの包装で、日本とは逆にほとんど無いに等しいぐらいです。個別包装も珍しいですし、箱に入った物をさらに紙で包むというのは贈り物の時のみの追加サービスとなっています。自分用に買う場合は紙かビニールの袋に入れておしまい、というのが普通です。日本の過剰包装は見栄もあってなかなか減りませんね。箱の外側を包む紙の包装だけでもやめてもらえると、日本のゴミの減量につながると思うのですが。

2012年5月12日土曜日

津波予想の功罪

昨年の東北地方太平洋沖地震では、気象庁による当初の津波予想が実際の津波の高さの3分の1程度だったため、多くの人が逃げ遅れて亡くなりました。マサの意見ではこれは人災です。業務上過失致死に値します。津波の高さは過小評価してよい数字ではありません。しかも地震後の停電で、海岸付近の住民には訂正された津波の高さが伝わりませんでした。いつもは大きめに出すのに今回なぜ小さくなったかといえば、計算が飽和して正確なマグニチュードを決められなかったためです。日本特有の気象庁マグニチュードという計算方法ではM9.0には決してなりません。気象庁マグニチュードでは3月11日に速報値でM7.9、暫定値でM8.4という数字を出しました。さらに沖合の海底水圧計からのデータで津波の高さは十分予想できたのに、日本近辺ではM9.0の地震は起きないという先入観から津波の高さを過小評価しました。福島の原発事故と同じで、予想はできたのに誰かが想定しなくてよいと決めたため、想定外の地震で津波の高さを過小評価するという致命的なミスを犯しています。科学は常識を疑うことから進歩します。我々が知っている日本の歴史は高々数百年です。それより前の日本でどんな地震が起きたかは誰も知りません。マサに言わせれば、他の国で起きた事は日本でも起きると想定するのが科学者の取るべき態度です。

2012年5月5日土曜日

プライバシー

プライバシーという言葉は英語そのまんま。ということは、日本にはない概念だったのでしょか。公と私の区別。公立学校がパブリックスクールで、私立学校がプライベートスクール。だからプライバシーを辞書で引くと私生活とか秘密とかが出ていて、日本語として落ち着きがありません。日本にはもともとプライバシーの概念はなかったのでしょうね。銭湯にいくとみんな自分の裸を曝して平気だし、東京だと通勤電車で赤の他人とぎゅうぎゅう詰めになるし、人の生き方に口をはさむ人も多いし。人に知らせる必要のない部分がプライバシーと言っていいかとマサは思います。日本人は相対的価値観で生きている人が多いので、自分と比べるために人の私生活を知りたがります。会社員の私生活って何でしょうね。退社後の生活、週末の生活、働いていない時の自分。そういえば日本の会社は個人情報が好きです。履歴書に写真を張り、生年月日と性別を書かせ、家族構成まで知りたがります。どこまでがプライバシーなんでしょう。それを知ってどうするのって聞きたくなります。本人の仕事上の能力以外の情報で書類選考をするということは、差別につながります。容姿による差別、年齢による差別、性別による差別、そして家族の職業や親の有無による差別は日本のどこにでもあります。プライバシーがそのままカタカナで使われているように、プライバシーはもともと日本には存在しなかった概念です。アメリカの履歴書には写真もなければ生年月日もありません。性別や家族構成を書く場所もありません。本人の仕事上の能力以外で求職者を不採用にすると訴訟を起こされて負けるからです。