2016年11月13日日曜日

毎月勤労統計調査

今年の2月から対前年同月比で日本の実質賃金がわずかに上昇しており、これ自体は良いニュースです。ところがその内容を詳しく見ると、二つの問題点が見えてきます。まず第一に実質賃金の経年変化です。日本政府が出す毎月勤労統計調査というエクセルをみると、2010年平均を100とする実質賃金指数は2016年8月において95・4となっています。2015年8月が94・7でしたから、8月は確かに0・7ポイント上昇しています。でも2010年に較べるとずっと下のままです。2011年だけ100を超えたものの、その次の年から実質賃金指数はずっと100を下回っています。また今年の2月からの対前年同月比での上昇分は、大部分が物価下落のおかげという事実です。例えば2016年9月の実質賃金は前年同月比で0・9%伸びました。これは消費者物価指数が0・6%下落した分を含むので、この一年で労働者の賃金は0・3%しか上がっておらず、主に物価が下がった分だけ実質賃金が上がったという事が分かります。人口が減る日本で経済成長するのがいかに難しいかは、こうした数字を見るとよく分かります。

2016年11月6日日曜日

残業月100時間とは

かつて日本のIT企業で働いたことのある筆者には分かります。残業が月に100時間というのは日本のこの業界では普通です。これがどのくらい惨めな生活かと言うと、ひと月が4週間として毎週25時間の残業なので、平日は毎日11時間働いて平日の残業が計15時間になり、それに週末10時間の出社が加わります。残りの一日も疲れているので、昼まで寝てから洗濯と掃除を済ませて、夕方に本でも読めれば良い方です。馬車馬のように働かされてお金をもらっても、自分に投資する時間的余裕がないので、もし体を壊して働けなくなれば人生の終わりです。こうした働き方をしているサラリーマンは、東京では珍しくありません。将来に希望も持てず、会社と自宅の往復だけで職業人生が終わってしまいます。この悪循環から抜け出すには、サラリーマンを辞めるしか手がありません。独身ならいざ知らず、結婚して子供もいればまず無理でしょう。過労死として労災が出る月80時間超の残業をなるべくしない、これがあなたの身を守ります。大人なら誰にでも自分に素直に生きる権利があります。せっかく大学まで出たのに社畜として一生を終えたいですか。