2015年6月30日火曜日

日本の実質賃金は25か月連続減

5月の政府統計が出ました。確定値で実質賃金は25か月連続減[^1]というのは予想通りです。4月の速報値では0・1%の増加だったのに確定値で0・1%の減少となった理由は、速報値が主に正社員の給与データを使っているのに対して、確定値には非正規社員の給与データを含むからです。つまり正社員と非正規との給与格差は一段と進み、全体としては実質賃金の減少となっています。ほとんどの会社で賃上げした後の数値なので、実質給与が減っている現状では物価が上がる可能性は一段と下がりました。日銀がさらに追加緩和をしてもこの構図は変わらないでしょう。日本は韓国や中国、台湾、ベトナム、マレーシア、インドなどとの経済競争に巻き込まれており、賃金の2極分化はますます進みます。他の国で出来る仕事は日本でやる必要はないので、日本はより高い賃金が得られる仕事をする人間を増やさなければなりません。つまりもっと頭を使う仕事を増やすというのが正しい方向です。非正規社員を増やしても国の平均値は下がる一方です。このままでは人口が減る日本に明るい未来はありません。老人の年金は減額して若者に税金を使い、国民の教育に投資するべき時です。

^1: http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PA04P20150630

2015年6月27日土曜日

革新を阻むもの

シリコン・バレーの会社を訪問して、その会社の従業員のくだけた服装やら奇抜な事務所のデザインに感心して、「なるほど仕事でスーツをやめて事務所を変えれば革新が生まれるのか」と誤解する人がたくさんいます。確かにシリコン・バレーには技術系の会社が多く、そうした会社では優秀な若者に働いてもらうため奇抜な事務所のデザインを採用しています。服装だってもともと技術系だから顧客に会うことも少ないので、普段着で十分です。でも肝心な点は若者が革新を生むという事です。失敗しても失う物が何もないからこそ、革新ができます。シリコン・バレーのHP社に15年勤めていた筆者は、たくさんの革新的なアイデアが保守的な中間管理職によって葬り去られるのを見てきました。失敗したら失う物がたくさんある中年の大人にとって、若者が生み出す革新的なアイデアは厄介ものでしかありません。だから革新を生み出すには金持ちが若者に投資しなければなりません。これはハイリスク・ハイリターンの投資なので、お金に余裕がある金持ちにしかできません。日本にはそうしたお金持ちがいないので、若者が持つ革新的なアイデアを実現できません。シリコン・バレーに来たら、服装やら事務所のデザインといったすぐ目に付く部分だけでなく、日米の労働形態の違いや「本当のお金持ち」の桁違いに大きい家なども見て欲しいと思います。日本でマネできる部分とできない部分がある事に気がつかないと、本質を見誤ることになります。日本の革新を阻むもの、それは日本の会社にいる中間管理職です。

2015年6月18日木曜日

首都圏も人口減少

2015年をピークに首都圏でも人口が減る[^1]そうです。首都圏というと山梨県を含む関東の1都7県を指すので、東京都の人口が増えて他の県の人口が減れば当然そうなります。日本全体の流れとしては今後いっそう人口減少に進むので、それにつれて消費市場も減少します。そこで海外からの観光客を増やして国内で爆買いしてもらえば、市場の減少を補ってもらうことは可能です。でも観光客が訪れる場所には偏りがあり、日本全国まんべんなく旅行してもらえるわけではありません。それに観光には市場の減少を上回って消費を拡大する力はありません。市場の減少はデフレをもたらすので、首都圏でもインフレがデフレに変わる可能性があります。日銀の量的緩和が日本政府の最後の悪あがきだったと歴史に記される日も遠くはありません。日本に本当に必要なのは人口を増やす政策です。この当たり前の結論から目を背け続ける限り日本は衰退します。それに移民では解決策になりません。老人に税金を使うのではなく、若者に税金を使わないと人口は増えません。年間10兆円もの税金を年金に流用するのは言語道断です。

^1: http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB15HL2_W5A610C1MM0000/

2015年6月4日木曜日

コミュニティ・カレッジ

日本の短大に相当するのがアメリカのコミュニティ・カレッジです。でも日本と違うのは、コミュニティ・カレッジが学費の安い公立学校だという事と、職業訓練に重心を置いているという事です。歯科衛生士になるコースやエステティシャンになるコースなどもあります。普通に教養科目を2年間取ったトップの学生が、そのまま州立大学の3年生に入れる制度もあります。コミュニティ・カレッジと一般の大学との間には明らかに棲み分けがあり、相互補完的な関係になっています。高校を出て遠くの職業専門学校に行くかわりに、近くのコミュニティ・カレッジに進む人も少なくありません。それに大きな都市だと複数のコミュニティ・カレッジがあります。失職した大人がコミュニティ・カレッジで別の仕事を学ぶのもよくあるケースです。こうした税金の使い方ならダメな企業に出す補助金よりもお金が生きます。