2018年12月24日月曜日

2018年の話題

2018年の筆者のブログで最も読まれた記事は6月の「偽ニュース」です。この記事で筆者は人の話を疑う事の大切さを説きました。タダで手に入るニュースには、出所がいい加減な偽ニュースが高い割合で混じっています。前にも書いたように、民主主義がうまく機能するには万人に正確な情報が必要です。若い人には、お金を払ってまで新聞を読まない人も多いでしょう。インターネットでタダで手に入るニュースは所詮無価値、どうでもいい情報です。目の前のニュースが偽かどうか確認するにはそれほど難しい事ではありません。それは裏が取れるかが目安となります。つまり複数の有料媒体がそれぞれの取材で同じニュースを報道するかどうかが最初のテストです。次のテストは自分のそれまでの知識と矛盾するかどうかです。もし自分の知識がなくて矛盾するかどうか分からない時は、この判断はできません。このふたつのテストをパスすれば、そのニュースはおおむね正しいと言えるでしょう。でも自分の目で見て耳で聞いて確認するのが一番の基本です。これを現場主義と呼ぶのはご存じですね。

2018年12月16日日曜日

なぜ国境があるのか

海が自然の国境となっている日本では、なぜ国境が存在するのかあまり考える人はいません。でもアメリカのように隣国と陸続きの国では、何もない土地に国境という名前の壁が立っています。そこでなぜ国境があるのかを考えてみましょう。なぜ国境があるのかの答えは、なぜ国があるのかの答えと同じです。人間が集まって住むとき、言語が同じだったり、宗教が同じだったりと何か共通点を求めて集まります。それはその方が安心だからです。言葉が通じないと相手の気持ちが分かりません。宗教が違うと相手の宗教を潰そうとします。言い換えると仲が良い人たちだけで国を作ります。国境を作るのは仲が悪いからで、とくに隣同士の国は仲が悪いのが当たり前です。インドとパキスタンのように宗教が違ったり、ギリシャとトルコのように過去に領土争いした国が不仲なのは普通です。仲が良ければひとつの国になります。国境は仲の悪い国同士を隔てる緩衝なので、日本と韓国の仲が悪いのも当然です。仲が悪いから国境があるのです。だから隣国と仲が悪くても悩む必要はありません。隣の国と仲が悪いのは当たり前と割り切って、その上でお互いに利益のある交流をすれば十分です。日本と中国、日本とロシアも同じ事です。「隣国同士は仲が悪い」は世界史の常識なのです。

2018年12月9日日曜日

これからの日本に起きる事

年末は来年やその先を考える良い時期です。2019年の日本は元号の切り替えや消費税の増税が待っています。昭和生まれの筆者にとって平成は馴染みがありません。馴染みがないまま平成が終わり、日本特有の元号が新しくなります。西暦と元号の変換はいつもややこしく、筆者にとっては頭痛の種です。でもその先を見た場合、消費税の増税はこれからの日本を表す転換点となるでしょう。つまり日本のバブル処理はこれで終わり、今後はいろいろな税金を増やさなくてはなりません。10%と二桁になる消費税を始め、ガソリン税や自動車税など減少している税金を増やす方法を政府は模索しています。働く人が減り所得税が減る中、社会保障費用だけがうなぎ登りでは次世代が背負う借金は雪だるま式に増えます。政府の収入を増やし、支出を減らす以外に日本を維持する方法はありません。前期高齢者がしっかり働いて税金を納めないと、これからの日本は立ちゆかないのです。

2018年12月1日土曜日

アマゾン・エフェクト

アメリカでオンライン・ショッピングと言えばアマゾンです。アマゾンがどんどん便利になるので、普通の小売店はどんどん潰れています。とくに本屋、おもちゃ屋、電気屋が減っています。生き残っているのは特色がある所で、珍しい中古本をアマゾンで売る本屋とか、電気屋なら返品が難しい大型テレビの店などです。共稼ぎで忙しい夫婦だと、時間の節約になるオンライン・ショッピングなしでは生きていけません。シアーズとか(アメリカの)トイザらスの倒産が示すのは、小売業において大事なのはもはや場所ではないという事です。旧態依然の店は消えていきます。むしろアマゾンを利用して売り上げを伸ばす中小企業に利があります。日本では楽天やヤフーが強いので、アマゾン・エフェクトはまだ感じられません。でもスタートアップ企業なら、既存の小売り網に載せるよりアマゾンで売った方が効率的でしょう。クラウド・ファンディングやユーチューブ、SNSでの宣伝も効果的です。テレビ局が持つ広告媒体としての地位も、いまやアマゾンとグーグルに脅かされています。ただし日本にもあるコストコは根強い人気があって、年末は普段より混んでいます。

2018年11月3日土曜日

仕事の意味

仕事には色々な意味があります。生活費を得る手段の他に、技術を学んだり人生を面白くするという側面もあります。でもお金を得る手段としての仕事には、対等に人からお金をもらうという意味が含まれています。ただお金をもらうなら生活保護でも乞食でも同じです。ところが仕事なら、そのお金に見合う仕事をした結果としてお金をもらうので、上下関係が生まれません。仕事の価値イコールお金です。一方的にいただくお金ではないので、労働者としてはプライドを損なうことなくお金をもらえます。雇い主と労働者の間に雇用関係はあっても、上下関係はありません。お互いがお互いを必要としているから手を結ぶだけです。労働者はお金と引き換えに人生を犠牲にする必要は全くなく、給料に見合う仕事をすれば十分です。プライドを損なうような仕事は、どれだけお金を積まれてもやる必要はありません。

2018年10月21日日曜日

無駄な努力

人生に無駄はないと人は言います。確かにどんな経験も、それなりに後で役立ちます。ただし無駄に近い経験もあります。それは一度経験すれば十分な、無駄な努力というものです。重箱の隅をつつくような議論とか、誰も読まない報告書作りとか、誰でもサラリーマンなら経験があるでしょう。もし貴方が仕事において「自分は無駄な努力をしている」と思うのであれば、上司に自分の仕事の意味について質問しましょう。もしその答えに納得出来なければ、それはその上司が貴方の邪魔をしているので、移動を願い出る時期です。もしそうした移動が不可能なら、他の会社に移るのも立派な選択肢です。無駄な努力を強いる会社は長続きしません。

2018年10月13日土曜日

電気も水も止まる

都会に住んでいる人は、電気や水がいつも手に入る事を当たり前のように思っています。だから台風や地震で電気や水が止まると、始めてそこで当たり前が当たり前ではないという事に気付きます。電気は誰かが発電所で電気を起こして、誰かが保守している電線を通って、家まで来ています。水も誰かが浄水場でキレイにして、電気を使ってポンプで圧力をかけて、誰かが保守している水道管を通って、家まで来ています。電車も同じく、誰かが保守している線路の上を、誰かが保守している電線を通った電気を使って、誰かが保守した電車が動いています。料金を払っているからサービスを受けるのは当たり前と思っていると、こうしたインフラが止まった時に驚きます。でもこうしたサービスは当然ながら止まることもあります。アメリカは工事や自然災害で電気がよく止まるので、停電しても誰も驚きません。またか、という感じ。日本はあまり停電しない国なので、停電に対する準備ができていません。インフラ・サービスの質を上げると、国が脆弱になるという例です。

2018年10月4日木曜日

善悪の基準

日本以外のほとんどの国で、宗教は善悪の基準となっています。宗教はもともと法律ができる前からありました。たとえば神からユダヤの民に与えられた「十戒」には、「盗んではいけない」とか「人を殺してはいけない」あるいは「嘘をついてはいけない」といった決まりが10個あります。これはそのままユダヤ教、キリスト教、イスラム教に受け継がれています。ところが日本にはこうした「法律以前の決まり」がありません。日本には善悪の基準として法律しかないのです。聖徳太子が作ったとされる「十七条憲法」は天皇が民を治める時のガイドラインであり、善悪の基準ではありません。こうした基準がないため、日本人は個人として善悪の判断をしないまま、上司や監督の言うことを実行してしまいます。宗教がなければ宗教戦争は避けられます。でも宗教がないと善悪の基準もないのです。このため法律に規定のない状況では、日本の道徳は役に立ちません。個人として善悪の判断ができないから、堂々と間違った事をしてしまいます。それは昔の特攻隊とか今の企業の不祥事を生んでいます。

2018年9月23日日曜日

芸術の存在理由

長いこと2カ国語の生活を続けていると、言葉の大切さがよく分かります。特に新しい表現を生み出すのは誰にでも出来る事ではないので、いっそう大事な行いです。世の中が変われば新しい表現が必要になります。何を表現するかと、どうそれを表現するかの両方において新しさが問われます。人類には常に新しい表現が必要で、芸術家以外の人は芸術家が創造した新しい表現を真似します。時代と共に新しい考えが生まれると、それに対応した新しい表現が必要となり、そこに芸術の存在理由があります。これは言葉に限らず、音楽でも絵画でも演劇でも同じです。芸術には「コロンブスの卵」のような性質があります。それまでにない新しい表現も、出来た物を見ると誰でも出来そうに思えます。でも2番手には価値がなく、始めてやるから価値があります。だからこそ芸術家は人類に必要であり、その著作権は利用者からの報酬として尊重しなければいけません。もし芸術家が芸術で食べていけなければ、新しい表現は生まれなくなってしまいます。そうなると今後は新しい考えを伝える手段がありません。人が人に新しい考えを伝えられなければ、そこで人類の進歩は止まります。

2018年9月9日日曜日

通年採用

日本の就活もおかしな制度です。世界標準は「通年採用」なのに、日本だけが3月大学卒業、4月就職という古い制度のままです。もはや終身雇用でもなければ年功序列でもなく、大学後の人生にレールはありません。海外に打って出ないと企業は成長できないのに、いつまで日本独自の時代遅れな制度を続けるのでしょうか。これも変われない日本の象徴のひとつです。日本の大学は海外との競争から9月入学を始めています。企業も通年採用に切り替えないと海外の優れた人材に来てもらえません。アメリカの場合、どの学期で卒業するかは学生が選べます。また6月に卒業したとして、それからすぐ企業に就職するとは限りません。通年採用が当たり前の国なので、お金が欲しい人はすぐ就職するし、学生時代にお金を貯めた人は別に急いで就職しません。海外にいる留学生にも不便な日本の就活は、さっさと通年採用に切り替えて欲しいですね。

2018年9月3日月曜日

日本はどこまで借金できるか

日本の国債残高[^1]は毎年増えています。では日本はどこまで国債残高を増やせるでしょうか。今や売り出される国債を買うのは主に日銀です。ところが日銀も過半数の国債を所有するのは避けています。日本の国民が持つ預貯金の総額は1000兆円あまりで、2018年度末の国債残高は883兆円、これに地方の長期債務を足すと1107兆円となります。つまり今年で国民の預貯金の総額と国の借金の総額がほぼ同じになります。この先さらに国債を発行しても、これを購入できるのは自分でお札を刷れる日銀か、あるいは外国の投資家だけになります。日銀が過半数の国債を所有すると国債の信用がゆらぎ、その利率の上昇を招きます。これに対して日銀は長期利率の上昇を抑えるためにさらに国債を買うので、悪循環となります。海外投資家は日本国債の利回りと円レートの両方を秤にかけて国債を買うので、日本の経常収支が黒字なら日本の国債を買う可能性があります。つまりこの先どれだけ日本が借金を続けられるかと言えば、日本の経常収支が黒字を続ける限りとなります。もし対外債務(海外投資家が買った国債)が対外資産を上回ってしまえば、円の暴落とハイパーインフレが起き、国家財政が破綻します。

2018年9月1日土曜日

高校還暦クラス会

高校卒業後始めて高校のクラス会に出ました。何でもこれで5回目だそうで、日本にいない事で3回ぐらい知らずに過ごしてしまいました。55人いた高校のクラスのうち既に4人が死亡しており、クラスのほぼ一割はいなくなっています。残りの九割の約半分が先日早稲田に集い、旧交を暖めました。もう一目で分かる年ではありません。白髪になったり太ったりと人それぞれです。でも生きているクラスメートの半分が参加できた事はすごいと思います。声を聞くと名前が浮かんできます。今60歳の我々はあと平均で30年生きると人口問題研究所の予想に出ています。その30年を健康で惚けずに生きる事が何よりも大事になりつつあります。最新の研究によれば、惚けないコツはよく眠る事です。

2018年8月25日土曜日

なぜ日本で少子化が進むのか

東京医科大の女子学生むけ入試減点事件が表すように、日本では女性の社会進出に多くの壁があります。働く女性に必要な保育施設も不足しています。こうして女性の収入を下げてしまうと、夫婦としての収入も減ってしまうので、子供の数が減ってしまいます。子供を持つ夫婦の収入と子供の数には明らかに正の相関があり、子育てにお金のかかる日本では収入が少ないと子供は増えません。そもそも女医が長時間働けないと言うなら、医者が長時間働かないと回らない現場の仕組みを変えなければいけません。医者は人の命を預かる仕事です。働き過ぎの医者にかかりたい患者はいません。頭の硬いオジサンが政治を牛耳っている限り、日本の少子化は進みます。

2018年8月18日土曜日

海上バスと英語

このあいだ隅田川の海上バスに乗りました。ここは浅草に近い土地柄、海外からの観光客もたくさん利用しています。ところが船上の英語のアナウンスがほんの少ししかありません。日本語だと川にかかる橋の名前をいちいち説明してくれるのに、英語だと番号だけです。英語のパンフレットに番号と説明があるのでしょう。生の英語は無理としても録音を流すだけで良いので、もっと英語の説明を増やしてほしいですね。日本語と同じ情報量の英語アナウンスが観光客には必要です。相手の身になって考えれば分かると思います。これは不親切を超えて不便という話です。英語の他に中国語と韓国語もあれば、なお良いでしょう。

2018年8月5日日曜日

人口と需要

経済学者がよく見落としがちな点が、ある国の人口増加率と需要の関係です。日本で言えば、高度経済成長の時期と人口が増えていた時期は一致しています。財務省統計局のグラフ[^1]によれば、人口増加率がピークに達したのは1973年頃で1・4%ほどありました。人口が増えるという事は需要が増えるという事ですから、何もしなくても売り上げが伸びます。よほどの事がない限り、誰が社長になってもその会社は売り上げを伸ばせた幸せな時代です。今のアメリカの人口増加率は0・7%位なので、日本の1982年頃に相当します。アメリカの需要は人口と共に増加しており、IT企業の躍進もあって景気は上向きです。ところが今の日本は人口増加率がマイナス0・2%となって、需要は毎年減っています。何もしなければ売り上げが減るので、雇われ社長には厳しい時代です。人口が減る中で需要を増やすのは難しいため、政府は海外から観光客を呼んだり、海外への農産物の輸出を増やそうとしています。しかし日銀がいくら国債を買ったり金利を操作しても、人口増加率は変わりません。

^1: http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2017np/

2018年7月29日日曜日

外国人を受け入れるという事

日本に労働者としての外国人を受け入れるという事は、外国の文化や考え方、宗教や習慣も受け入れるという事です。労働者はロボットではありません。これを読んでいる皆さんと同じ生身の人間です。共生するという事です。よそ者扱いでは上手くいきません。話し合いによりお互いに納得する妥協点を見いだす事が必要です。いずれ彼らは日本人と同じ権利と義務を要求するようになります。10年たって母国に帰らない人も出てきます。老後を日本で過ごす外国人も増えるし、不景気になったら仕事がない外国人に生活保護も必要となります。安い労働力抜きに成り立たない産業は、もはや日本で続ける事は無理なのです。

2018年7月22日日曜日

日本の夏は危険

これだけ日本の夏が暑くなると、これまでの常識は通じません。命の危険を感じるほどの暑さなので、慣習を変えて対処する必要があります。例えば学校は夏休みを長くして、その分他の休みを減らすとか、甲子園の高校野球は夏ではなく秋にやるとか、あるいはNHKの男性アナウンサーはスーツとネクタイの代わりに、クールビズでニュースを読むとか、出来ることはたくさんあります。合理的に考えて常識を変えないと、酷暑の夏はますます辛くなります。30度を超えたら水泳以外の体育の授業は止めにして、教室にエアコンのない学校は休みにする位の変化が必要です。変われない日本をそのままにしておいたら、熱中症の犠牲者が増えるだけです。

2018年7月14日土曜日

地球温暖化対策

この7月に西日本を襲った大雨は平成30年7月豪雨という名前だそうで、数十年に一度というこの大雨の原因は恐らく地球温暖化です。それにまだ7月なのに連日35度を超える猛暑日が日本で続くのも地球温暖化が原因です。トランプが何と言おうと、地球温暖化は確実に地球の天候を変えています。他の国の政策が日本の天候に影響するという事実を前に、我々はどうしたら良いでしょう。原発は地球温暖化の対策にはなりません。なぜなら原発は発電に使うエネルギーの倍のエネルギーを廃熱として海や空に捨てているからです。政府には太陽光発電を増やすように求め、個人としては避難指示が出る前に自己判断で避難する事を勧めます。太陽光発電は日陰を作る一方、温室効果ガスを出さずに国産のエネルギー源となるので、地球温暖化とエネルギー問題には一石二鳥です。

2018年7月7日土曜日

過労死をなくすには

過労死は恐らく日本だけの社会現象です。他の国でこの問題が起きない理由は簡単で、死ぬほど働かせたら従業員はさっさとそんな会社を辞めるからです。日本以外の国には、正社員・終身雇用・年功序列という制度がありません。この三点セットの代わりに、年収ベース(残業代なし)・いつでも退職可・実力主義で働くのがアメリカなどの先進国です。退職するのに会社の合意は要りません。これは会社と従業員の双方に利点があって、会社は逆にいつでも従業員を解雇できます。本人の合意は要りません。このため従業員を長時間働かせるブラック企業は存続できません。また就職に際して年齢・生年月日・性別による差別は法律で厳しく禁じられています。余剰人員を抱えておく必要がないので、利益のある会社は常に新しい人を探しています。レイオフがあっても手切れ金と雇用保険で数ヶ月は暮らせるので、不況業種でない限り次の仕事はその間に見つかります。さらに定年が無いので、会社に役立つ人は実力次第でいつまででも働けます。こうしたアメリカの働き方は労使双方に利点が多いと思いませんか。正社員・終身雇用・年功序列という制度はただの慣行です。年功序列は年齢による差別なので憲法違反ですらあります。法律を変えて、いつでも退職可能な社会にすれば過労死はなくなります。

2018年7月2日月曜日

静かな災厄

日本の人口問題は静かな災厄です。すでに1990年には予想されていた事なのに、時の政権が本気で対策を立てなかったため、いまや大きな問題になっています。要は労働人口の減少が激しいため、日本の税金や年金システムが維持できないという問題です。子供や孫の承諾なしに3世代ローンを組んだお父さんが、借金を返す当てもないのに浪費を続けているのが日本の現状なのです。日本の労働者の可処分所得はこれから毎年減って行きます。税金を増やさざるを得ない事情が日本の政府にあるからです。日本のサラリーマンにできる事は海外のファンドに投資する位しかありません。日本にはあまりリスクを取って投資するという人がいません。でも有望な投資先は海外にあります。もし貴方が日本のサラリーマンなら、海外のファンドに投資する事をお勧めします。

2018年6月29日金曜日

育ての親

カンヌで賞を取った「万引き家族」という日本映画を視ました。日本の映画はアメリカ映画に較べると「オチ」がないという傾向があって、この映画も物語にこれといった結末はなく、後は皆さんご自分で考えてという終わり方をしています。それはそれで良いとして、個人的に気になったのが「育ての親」と「生みの親」との対比です。アメリカは養子が一般化しているので、育ての親が生みの親より大切という社会常識があります。これに対して映画では血縁が強調されているので、日本では今でも生みの親が育ての親より大事なのでしょうか。まあこれは映画の中では曖昧なので、疑似家族となった貧乏人の人情話として視れば色々と考えさせられる良い作品です。子役の演技が光ってます。

2018年6月16日土曜日

読解力不足

先週「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」という本を読みました。いや〜衝撃的な話です。日本人の学力低下の噂は前から聞いていました。でもこれほどとは知りませんでした。著者の新井紀子氏が「小学校から英語やプログラミングを習う前に日本語の読解力を」という提言をするのも、もっともです。大学に入る学生の学力低下は、希望すれば誰でもどこかの大学に入れる以上避けられません。それより中学卒業までに基本的な読解力を付け損ねている今の教育って何なんでしょう。教育の目的そのものが的を外しているのでしょうか。漫画しか読まない若者や子供の将来と、その人たちが背負う国の未来が不安です。AIにできない仕事は読解力を必要とするか、あるいは手足を必要とする仕事です。以前筆者が書いたように、世の中にはコンピュータを使う仕事か、コンピュータに使われる仕事しかありません。

2018年6月5日火曜日

偽ニュース

インターネットが普及した結果、いわゆる偽ニュースが社会問題になりました。自分の意見を持たず、耳障りの良い話を無条件に信じてしまう人はたくさんいます。そこで偽ニュースに騙されないためには、人の話を疑うという教育が必要です。もし「〜と言われています」と話す人に出会ったら、「誰がそういったの?」と訊いてみましょう。出所が不明な話は偽ニュースである可能性が高いのです。そもそもテレビや新聞の広告は、その手の出所不明な話だらけです。たとえば「いまアメリカで話題の」という枕詞があれば、その後に偽ニュースが続くと思って間違いありません。裏が取れない話を鵜呑みにしていては危険です。

2018年5月28日月曜日

水道水が飲める国

筆者が訪れた国の中で言うと、ペルーと中国は水道水がバクテリアで汚染されているので飲めません。上水道の浄水システムが不十分なのです。同じく水洗トイレで紙を流せないのも両国の不便な点です。でも日本やアメリカのように水道水がキレイで飲めるとか、水洗トイレに紙を流して良いという国は実は世界の少数派です。水道水が飲める国は世界でほぼ25カ国しかないそうで、大部分はヨーロッパにあります。アジアでは日本とUAEだけ、オーストラリアとニュージーランドは大丈夫です。日本人にとって当たり前の「水道水が飲める」という常識は、実は日本と一部の国以外では通用しません。ドイツも水が安全とはいえ硬水でまずいので、ビールを水代わりに飲みます。イギリスの水も石灰の多い硬水なので、緑茶はうまく入れることができません。ただし紅茶ならイギリスの水でも大丈夫です。日本で緑茶が普及したのは、美味しい軟水が簡単に手に入るからです。

2018年5月19日土曜日

実質GDPがマイナス

日本の1月から3月までの実質GDPがマイナス[^1]となりました。野菜やガソリンの値上がりが国内消費を減らした事が主な原因だとされています。これ自体は消費税増税と同じく一時的な現象のようです。ところがこうした生活必需品の値上がりが消費を減らすと困る事があります。政府と日銀は毎年2%前後の物価上昇を狙っています。でも物価上昇の分だけ消費が減ると、結局売り上げは伸びません。つまり毎年2%の物価上昇が実現されると、人口減少を無視しても毎年2%の売り上げ減少が起きてしまいます。今の企業はコストが上がったので価格を上げているのであって、需要に供給が追いつかないから物価が上がるのではありません。こうしたコスト増のインフレでは庶民の生活は逆に苦しくなります。儲かっている企業が内部留保を賃金の増加に回し、なおかつ次の成長分野に投資する事が必要です。賃金の伸びを上回るインフレは生活苦につながる事を庶民は忘れてはいません。日本は海を利用した食料事業と、地産地消の自然エネルギー事業にもっと投資するべきでしょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30567790W8A510C1MM0000/

2018年5月5日土曜日

日本はお金を使いすぎ

日本の人口減少は止まりません。人口の減少はこれからペースを上げ、日本の人口が一億人を切るのは2050年ごろと予想されています。今からたったの32年後です。今60歳以下の人はほぼその頃まで生きて、この減少を目撃することになります。2050年には65歳以上が人口の4割になります。そこで人口減少よりも大きな問題は労働人口の減少です。働いて税金や年金を払う人の数が減るという事は、今の税制や年金制度を維持できないという事です。ではどうすれば良いでしょう。道はふたつです。移民を受け入れて労働人口を増やすか、あるいは財政支出と年金支出を減らすかです。今の日本人は移民に消極的なので、可能なのは財政支出と年金支出を減らす事です。いかに支出を減らしつつ、日本という国を維持するかという話です。これは誰も聞きたくない話なので、政治家はこの話はしません。官僚も問題先送りで、国民も「いかに上手に縮むか」という議論を避けてきました。でも市町村の合併や増税は続きます。消費税だって25%まで上げないと財政は単年度で黒字化できません。今の日本はお金を使いすぎなのです。

2018年4月29日日曜日

日銀の白旗

日銀がついに年間の物価上昇率2%という目標[^1]を取り下げました。日銀がインフレを起こすという、おかしな目標を立てて始めた異次元の大量緩和に限界が見えたという事です。世の中に出回る国債をほぼすべて日銀が買い取るという異常な状況は長くは続けられません。発行された国債の過半数を日銀が所有するという事態は、日銀としても避けたい[^2]のでしょう。日本のような人口が減る国でインフレを起こすのは無理ですし、そもそもインフレを起こして景気が良くなる事などありません。大量緩和には円安を作り出すという隠れた目的もあるので、今すぐには止められません。でも東京オリンピックの建設特需はもうすぐ終わり、他に日本で需要を生み出す機会は見当たらないので、以前のデフレの経済に戻ります。いかに上手に縮むかというのが、人口減少日本の本当の課題なのです。

^1: https://www.jiji.com/jc/article?k=2018042700909&g=eco
^2: https://www.asahi.com/articles/ASK9N351NK9NULFA006.html

2018年4月15日日曜日

変われない日本の象徴

日本の自家用車はオートマ車が過半数を占めています。それなのに右足でアクセル、左足でブレーキという両足運転を教習所が採用しないのはなぜでしょう。特にAT限定免許なら両足運転を教えない理由がありません。両足運転ならブレーキと間違えてアクセルを踏むという事故も防げます。筆者には、これが「変われない日本」の象徴に見えます。合理的な判断ができない理由は何でしょう。制度を変えると何か問題が起きたときに変えた人の責任になるからでしょうか。今の制度が生む問題は、その制度を変えない人の責任です。役所ではなく立法府である議員が動かねばなりません。何もしなければ、高齢化とともに「ブレーキと間違えてアクセルを踏む」という事故は増え続けます。

2018年4月2日月曜日

自動運転はまだ先の話

自動運転の車が事故を起こした時に誰が責任を取るかは、まだ法律上決まっていません。建前として今の自動運転はあくまでも運転支援であり、車には免許を持った人間が責任者として運転席に座っている必要があります。自動運転の試験中に死亡事故を起こしたウーバーは、おそらく会社と運転者の両方が責任を取ることになるでしょう。自動運転は人間の運転より安全でなくては意味がありません。IT業界は自動運転の実用化を急いでいます。でも人間の運転より安全な自動運転はまだまだ先の話です。

2018年3月25日日曜日

バスの代わりに白タク

日本で自家用車が普及し地方の人口が減るにつれて、儲からないバス路線をどうするかという議論が始まっています。結論は誰の目にも明白です。儲からないバス路線は廃止です。では代わりの足をどう確保したらいいでしょう。そこで必要なのがウーバーのような自家用車を使ったタクシーサービスです。旧態依然の古い法律をなかなか変えない日本は世界の流れに取り残されています。IT技術が個人の信用度を記録する世界では、自家用車を使ったタクシーがプロのタクシーに安全性で劣る理由がありません。それにだれでも「白タク」ができるわけではなく、ウーバーなどの会社は最初に車と運転者を検査してからメンバーに加えます。ウーバーとリフトという二つの会社がタクシーサービスを提供するアメリカで、タクシー会社のタクシーを使う人は減っています。東京、名古屋、大阪といった大都市以外は「白タク」を解禁するべきです。自己責任という発想がない日本では、なかなか新しい事ができません。でも税金で赤字路線を維持するのは税金の無駄遣いなので、法律を変えましょう。

2018年3月3日土曜日

男女同権に必要なもの

アメリカにいると、男女同権について日本との違いによく気付きます。アメリカも最初から男女同権だったわけではありません。建国当時のアメリカ人女性には参政権がなかったし、サン・フランシスコの有名なケーブル・カーだって外のステップに乗れるのは男性だけでした。女性が発言する事で権利を獲得し、さらに実績を積み上げてきた歴史があります。アメリカで女性が大統領になるもの時間の問題です。この国では大学に入ると親元を離れて大学の寮に入るのが普通です。これは大学の方で決まりとして新入生に寮生活を義務づけているので、ほとんどの大学生は18歳で親元を離れます。その後は大学周辺のアパートに住む学生が多く、自炊して学生を続ける人が多くなります。つまり大学入学とともに親が子供と物理的に分かれるので、母親が毎日の息子の食事を作るのも18歳までです。日本では母親が成人した息子の面倒を見てしまうので、結婚しても女性が家事をする姿に男性は疑問を持ちません。それに普段から自炊の経験がなければ、男性が食事を作ることはできません。日本で男女同権を進めるには、まず母親が成人した息子の面倒をみるのをやめたらどうでしょう。小さい頃から家事を手伝わせておけば、成人しても家事をする男になります。これは離婚率を下げるので、母子家庭を減らして少子化と貧困の両方を同時に解決できる可能性があります。

2018年2月24日土曜日

日本の財政赤字問題

日本の累積財政赤字額は、2017年に国と地方の合計では1100兆円まで膨らみました。日本の名目GDPは544兆円なので、赤字額はGDPのほぼ2倍に相当します。アメリカの財政赤字はアメリカのGDPにほぼ等しいので、日本の赤字額はGDP比でアメリカの倍になります。しかも日本の累積財政赤字額は毎年増えており、減る目処がまったく立ちません。経済学者は人口の影響を過小評価しがちで、日本のような経済規模の大きな国で急速に人口が減る事例も過去になかったために、的外れの議論ばかりしています。日本の財政を維持するには方法は二つしかありません。納税者を増やすか、老人を減らすかです。今のままでは増税をしても納税者が減るので、累積赤字額は減りません。納税者は増やせないし老人は減らせないのであれば、財政の維持をあきらめて支出を大幅に削減しなければいけません。もし財政赤字問題をこのまま解決できなければ、日本中が夕張のようになってしまいます。

2018年2月6日火曜日

2017年の実質賃金は0・2%の減少

今日の日経記事[^1]によれば、2017年の実質賃金は0・2%の減少となりました。エネルギー価格の上昇が物価高につながる「悪いインフレ」が日本で起きた反面、賃金があまり上がらなかったのが原因です。エネルギーを自給できない日本の弱点が露呈しています。法律を変えて手切れ金による解雇を許し、そのかわり定年などの年齢(生年月日)による差別を処罰する法律が必要です。終身雇用や年功序列を止めることで賃金を増やし、人口減少を上回る需要増加を実現するのが目的です。雇用を生み出す責任は国にあり、企業にはありません。戦時中に兵隊に取られた労働者には、戦後に元の仕事に戻れるという終身雇用制度が必要でした。でも平時の日本では終身雇用という判例は誰の役にも立っていません。企業には人材の固定化と人件費の高止まりをもたらし、労働者には非正規労働の増加と賃金の低下を押しつけています。儲からない仕事はすぐやめて、もうかる仕事に人を投入できる制度が必要です。変わり身の早い企業でなければ21世紀は生き残れません。国内需要だけで生きていける時代はもう終わったのです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26621980X00C18A2MM0000/

2018年1月27日土曜日

現金大国日本

2018年4月からイオンのお店で、デビット・カードを使うと銀行口座からレジで現金を下ろせる[^1]という報道がありました。1986年に筆者がアメリカで働き始めた時、アメリカの銀行口座からお金を下ろすにはATMに行くか、スーパーのレジで下ろすという手段がありました。その頃のアメリカで当たり前だったデビット・カードを使う方法がやっと日本でも始まったという事です。その後アメリカは現金離れが進み、今やスーパーでもクレジット・カードかデビット・カードを主に使います。小切手を使う場面も少なくなり、かわりにApple Payのようなスマホで払う人が出てきました。スーパーとしては現金を銀行に持って行く頻度が減るので、レジで現金を下ろせるのはスーパーとお客の両方に利点があります。日本はクレジット・カードがあまり普及していないので、現金を使う場面はまだたくさんあります。ATMの維持費や現金配送のコストは銀行にとってなるべく減らしたいコストなので、レジで現金を下ろす際には1回あたり上限を1万円までとして、手数料は無料にするのが良いでしょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24737860W7A211C1MM8000/

2018年1月13日土曜日

AI時代の人間

人工知能(AI)が人間を置き換える未来という予測があります。その未来では普通の人間には仕事がありません。AIを搭載したロボットが必要な仕事をすべてやってしまうので、週に40時間しか働けない人間はお払い箱なのです。そうしたロボットには税金をかけるので、仕事のない人間はベーシック・インカムという生活保護的なお金をロボットからもらいます。さてこれで飢える心配はないとして、やる事のない人間は暇で仕方ありません。働かなくても食べられるという楽園のような生活が実現したとして、暇な人間は何をしたらいいでしょうか。ゲームですか。芸術活動ですか。それとも人助け?人間の基本的な承認要求を満たすにはどうしたらいいでしょう。人から「ありがとう」と言われるには何が必要でしょう。頭を使わなくなった人間は猿に戻ります。AIを使う一部の人間だけが頭を使い、他の人間が朝から晩までゲーム漬けという未来は歓迎できません。

2018年1月7日日曜日

ペルーの様子

年末年始の休みを利用してペルーに家族旅行してきました。ペルーはスペイン語の国なので、英語はあまり通じません。首都リマの国内線のカウンターで、荷物を預ける時に英語が使えなかったのにはびっくりしました。挨拶とか数詞とかの初歩的なスペイン語を少し知っていると便利です。旅行には英語が話せる現地のガイドを雇いました。貧富の差が大きく人口も増え続ける、いわば発展途上の国がペルーです。「センデロ・ルミノソ」によるテロの危険がなくなった今、旅行で訪れる南米の国としてはペルーはお勧めです。トイレで紙を流せないので、日本からウォシュレットを富裕層に売り込むと良いでしょう。自動車はすべて輸入品です。リマの交通渋滞はひどく、公共交通機関が人口の増加に追いついていません。リマにはバスの専用道路と駅があって、地下鉄のかわりを勤めています。