2011年6月25日土曜日

福島原発で何があったのか

3月11日の地震と津波で壊れた福島第一原発の事故から3ヶ月以上たち、当時の情報が政府や東電から部分的に公表されるようになりました。日本で初めての炉心溶融事故ですから、現場にいる人たちは相当な困難があったろうと思います。誤報や誤操作もあったでしょうし、地震の直後に津波の危険性にまで注意が行かなかったのも不思議はありません。電気がなく、携帯もつながらない中で死者を出すことなしにあの程度の放射能汚染で食い止めたのは決死の作業を行った現場の人たちのおかげです。公表された資料から3月15日と16日に計3回の放射線量の山があったことが分かります。この二日間に大量の放射性物質が空に舞い上がり、風に乗って静岡まで汚染したのでしょう。16日には3号機の格納容器の破損が疑われ、作業員が全員退避するところまで行っていました。もう少しでチェルノブイリ級の事故になっていたのです。公表された事実からだけでも相当危険だったことが分かります。もっと詳しい情報は無料のアプリにまとめましたので、興味のある人は以下のリンクからインストールして下さい。
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自己責任の国

アメリカはもともと自由の国ですから、法律で禁止されてない事以外はすべてやってよい事になっています。その結果自分が不利益を被ったとしても、自己責任ということです。フリーロッククライミングとか、バンジージャンプとか、インラインスケートで通勤するとか危ないけど勝手にやってます。犯罪歴が無ければ普通に銃を購入できるし、家に護身用に置いている人も少なくありません。政府や警察に治安を守ってもらうにしても、自分の身を守るのは自分だという昔からの伝統があるようです。こうしたアメリカ流のやり方は、少なからず日本にも影響を与えています。日本の原発問題で今でも日本には大本営発表の伝統が生きていると知らされました。敗退を転進と言い換えたかつての大本営のように、直ちに健康には影響がないという言い方が多用されました。3月15日に2号機の圧力抑制プールが爆発した時、東電は圧力抑制プールで異音がすると言いました。この日に3月で最大の放射能汚染が起きています。炉心溶融も最初の週には東電から政府に報告が行っていたにも関わらず、国民に知らされたのは5月に入ってからです。自分の身は自分で守るという自己責任の国に日本もなったという事でしょう。マスコミも当てになりません。政府や東電の発表を右から左に流すだけで、自分の足で生情報を集めたり分析したマスコミはほとんどありません。政府や東電と対立することがそれほど怖いのかと情けないかぎりです。政府や東電の発表を流すだけなら、インターネットで十分です。都合の悪い事を隠すのが政府と東電の姿勢ですから、発表されてない事実を掘り出してくるのが購読料を取るマスコミの役割です。パニックとは誤った情報をもとに不合理な行動をすることですから、安全だといっておいて急に危険だから避難せよとなるとパニックを誘導します。最初から危険だから避難せよと言えばパニックになりません。危険だから避難するのは合理的な行動です。最悪の事態と最良の事態の両方を知れば不安は減ります。日本は、身の回りの放射線量は自分で測定して家族と自分の身を守る、アメリカを超えた自己責任の国になったようです。

2011年6月4日土曜日

日本の原発

ここ2ヶ月ほど原発の勉強をしました。その結果分かったことは、自分は大事な事を何も知らなかったということです。原子力発電所は電気が無いと危険な状態になるという事も知らなかったし、関東に電気を送るために福島県に10機もの原子炉がある事も知りませんでした。海沿いにある原子力発電所が津波に弱いことも以前から指摘されていたのに、それも知りませんでした。東京電力が事故を隠す傾向がある事も知らなかったし、日本政府に原子力を規制する立場の団体が無い事も知りませんでした。ちなみにアメリカにはNRC(原子力規制委員会)というものがあり、推進派と規制派はバランスが取れています。福島原発の事故はアメリカでも大きな話題になりました。フランス人は放射能漏れに慣れているらしく、大きな問題ではないという意見が目立ちます。それに対してロシア人は、チェルノブイリを思い出して子供は早く避難しろと言います。アメリカ人はスリーマイル島の事故から原発での炉心溶融はあり得る事だと知っているので、こうした事故が日本でも起きた事には驚いていません。むしろ地震後の津波被害のほうが衝撃がありました。日本は大地震や大津波があるので、原発には向かない国だとマサは思います。日本はこれから地震が多発する時期に入ります。関東大震災だけでなく、静岡県沖地震も起きるでしょう。福島原発の事故は日本全国どこでも起きると覚悟した方が良さそうです。事故には発生確率とその結果起きる被害総額があり、両者を掛け合わせた数値で起きた場合の事故の深刻さを見積もります。日本の原発で炉心溶融が起きる確率は小さかったでしょうが、その結果放射性物質がまき散らされて人が住めなくなり、電気が足りなくなって産業が萎縮するという被害全体を考えると、両者を掛け合わせた数値は決して小さくないとマサは思います。今回の東北地震は1000年に1度の大きさだそうですが、津波は100年に1度の大きさです。100年に1度の津波で壊れる原発では危なくて使えません。世の中には絶対に安全なものなんて無いし、人間が作ったものはいずれ壊れます。昔東京に住んでいて福島に危険な原発を押し付けた人間のひとりとして、福島の皆さんにマサは謝罪したいと思います。