2012年12月26日水曜日

専業主婦はお金持ち

ここシリコン・バレーは生活費の高い場所です。家も高いし物価も高い。他の場所なら一千万円ぐらいで買える中古の一軒家も、ここだと少なくともその5倍はします。そのため普通に暮らすには共稼ぎが欠かせません。旦那の稼ぎだけではいい場所に家を買えないでの、ほとんどの家庭は共稼ぎとなっています。言い換えると、専業主婦ができるのはお金持ちだけです。優雅な暮らしをしている家では、専業主婦の奥さんは朝からエアロビクスのジムに出かけて、一汗かいたら同じ専業主婦の奥さんとランチを楽しみます。その後買い物をするか映画を視るかボランティアにいそしむかは人それぞれです。アメリカの家事はもともと簡単な上、そうしたお金持ちはお手伝いさんを雇うので、専業主婦の奥さんは暇です。専業主婦ができるのはお金持ちの証なので、希望者は潜在的にたくさんいます。でもそうしたお金持ちになるのはごく一部の人たちです。ここで暮らす生活費と老後の蓄えのためには共稼ぎが必要です。そうした共稼ぎは家事の現金化につながり、国の経済活動としてはプラスの働きがあります。たとえ共稼ぎの収入の半分が子供の世話や掃除のサービスに消えるとしても、共稼ぎは家族の将来に役立ちます。子供が高校生になれば手が離れるので、その頃になると共稼ぎの家は楽な暮らしができます。仕事をするのが嫌でなけでば、アメリカでの共稼ぎには十分な利点があります。もし日本がこの方向に向かうのであれば、法律を整備して子育て中のカップルを差別しない国にする必要があります。例えば就職面接で女性に子供がいるかどうかを尋ねるのは禁止します。履歴書に家族構成を書かせるのも違法です。長時間労働をさせる会社には罰金も必要でしょう。また労働者にも時給ではなく年収で働く覚悟が求められます。つまり残業代は出ないという仕組みです。子育てと長時間労働は両立しません。もし幸運にも親の援助が得られれば、そうしたカップルは子育ての一部を親に頼むことが出来ます。共稼ぎの家の子供の世話は、定職を持たない老人にもできる数少ない仕事です。日本でも専業主婦がお金持ちの証となる日はそこまで来ています。

2012年12月20日木曜日

事実と気持ち

昨年の福島原発事故で現地入りした某大臣が、誰もいない町をゴーストタウンのようだと報道陣に語ったことがあります。でもこの発言は、被害者の気持ちを無視した表現だとすぐにマスコミに叩かれました。ちょっと待って下さい。日本では何を言うにも聞き手の気持ちが一番大事なのでしょうか。大臣は客観的にみてゴーストタウンのようだと言いました。それ自身は事実です。嘘をついた訳でもなく、不正確な事を言った訳でもありません。むしろ不気味さを表す的確な表現でした。現地入りした人ならだれもが思った事のはずです。例えて言えば、裸の王様を裸だと言ったのと同じです。それが王様の気分を害するとして、取り巻きが文句を言うのは筋違いです。もう不都合な事実から目を背けるのは止めませんか。まず事実を公表するのが報道です。聞き手の気持ちを考えるのは事実を明らかにした後の話です。気持ち重視ではすぐに感情論になって議論が前に進みません。報道する時は事実だけを記事にして下さい。気持ち云々は記者の意見であり、安易に記者の意見を記事に混ぜるのは週刊誌だけで十分です。大臣の発言に市民がどう思ったかを記事にしたければ、否定と肯定の両方の意見を市民へのインタビューの形で載せるのが正しい新聞記事です。一方的な意見だけでは広告と変わりません。記者の意見を述べたければ、ぜひ社説でお願いします。

2012年12月15日土曜日

TPPの黒船効果

Trans-Pacific Partnershipを省略するとTPPになるようです。関税を撤廃すると日本の農業は成り立たないという意見があります。それほど日本の農業は国際競争力がないのでしょうか。だとすると、国内でしか買い手が見つからない産業ということになります。ではいったい誰が日本の農産物を買っているのでしょう。日本の労働者ではありませんか。TPPをやめて日本の産業が他国に負けると、誰が日本の農産物を買ってくれるのでしょう。どこからそのお金がくるのでしょう。TPPに参加せず、現状維持を続けたいと思う老人が日本には多すぎます。TPPは黒船です。外圧です。外圧を利用しないと日本の構造改革はできません。だから日本はTPPに参加すべきです。他の国がどんどん変わるのに、日本だけが昔のやり方で勝てるほどグローバル経済は甘くありません。ゲームのルールが変わったら、戦い方も変える必要があります。日本はエネルギーと食料を外国から買うために外貨が必要です。農家を守るのではなく、農業を守るなら方法はいくらでもあります。例えば農業の工業化は日本農業のひとつの道です。この場合、農家は農業法人の従業員になることで国際競争力を手に入れます。農業も工業も日本には必要な産業です。鎖国ができない以上、農業を国際競争力のある産業に育てる必要があります。

2012年12月8日土曜日

選挙とインターネット

これは日本の人もオカシイと気づいているのではないでしょうか。このインターネット時代に選挙でインターネットが使えないのは先進国の中では日本だけです。アメリカは全部やり放題で、インターネットで選挙資金を広く浅く集めたオバマ大統領の例が有名です。日本の議員は怠慢ですね。いつまでこんな時代遅れの公職選挙法を続けるつもりでしょうか。ウェブページが文書かどうかは無意味な議論です。そもそも選挙に使える文書の数を限ることが時代遅れなのです。インターネットならコストはかからないので、配布する文書に制限を付ける理由がありません。今すぐに法律を改めて選挙でインターネットを使えるようにして下さい。インターネットに関しては、アメリカはもとより韓国にも劣るのが日本の現状です。

2012年12月1日土曜日

経済学は歴史学

経済学は過去に起きた事例をもとに後からそれを説明する学問です。それは歴史学に近く、経験則に基づいています。その意味で経済学は科学ではありません。仮説を実験で証明または否定できるものを科学と呼びます。比較対象がないので、一般に経済学の仮説は実験できません。例えば東京と大阪で違う経済政策を取るとか、人口を半分に分けて片方は増税、片方は減税などの実験は不可能です。しかも実験ができないため、何が原因で何が結果だかも分かりません。経済学者ではないマサは、人口減少が日本のデフレの最大の原因だと思います。ところが政治家の一部には、人工的にインフレを起こすことで景気が良くなると言う人がいます。これは本当でしょうか。人工的にインフレを起こすには日銀がお札を刷って国債を買い取ります。でも実際には日本はお金が余っています。そのお金で銀行は国債を買ってきました。国内に有望な投資先がないので、日銀が国の借金を肩代わりしています。正しいインフレは需要に供給が追いつかない場合です。国内の需要は人口の減少とともに減っているので、この局面では自然とデフレになります。デフレであれインフレであれ、大切なのは収入と物価のバランスです。収入が倍になっても物価が倍になるのでは暮らしは変わりません。言い換えると、人々の生産性が上がらないと景気は良くなりません。物価だけ上がって収入が下がる可能性もあります。インフレで楽になるのは過去の借金だけです。過去のインフレは結果であり日本の人口増大が原因だとすると、インフレを起こせば経済が右肩上がりになるという仮説には何の根拠もありません。先進国でこれほど急激に労働人口が減るのは日本が始めてなので、今までの経済学が役に立たないのです。日本のデフレ経済では教育に投資するのが一番だとマサは考えます。年間10兆円もの税金を年金に使うのは止めて、教育レベルの向上に回すべきです。日本の人口を増やすか一人当たりの稼ぎを増やせば自然とインフレになります。収入が増えれば出生率も上がります。