2011年10月6日木曜日

ひとつの時代の終わり

きのうシリコンバレーを象徴する人物が死去しました。アップルのスティーブ・ジョブス56歳。マサは数年前アップルのカフェテリアでボックスランチを買うスティーブを見かけたことがあります。黒い服で長身の彼は遠くからでも目立ち、周りの人は普通に彼と接していました。おそらく昼食を食べながらのミィーティングでもあるのでしょう。忙しい彼を呼び止めて話し込む人は皆無でした。ちなみにアップルのカフェテリアは彼の好みで「うどん」も置いていますが、菜食主義の人でも食べられるように出汁は昆布のみなので、その味は自分には物足りないものでした。十数年前マサがHPから転職を考えていたとき、アップルはマイクロソフトに負けてジリ貧でした。パソコンの市場割合は1割を切り、他の会社に買収されるのではないかと噂されていました。その後スティーブはアップルに戻り、彼の美意識に沿う新製品を毎年出す事になります。そのすべてが成功した訳ではないものの、会社の目標を単なるパソコン屋から音楽販売業、そして携帯電話屋に進化させたのは彼です。10年先の世界を見通しそこでの市場ナンバー1になるべく彼は動きました。十数年前はHPでもインターネット事業を始めたところで、音楽がCDではなくネットワークで買える時代になることはマサにも予想できました。でも一般消費者向けにプレーヤーや音楽を販売するという発想が当時のHPにはありませんでした。アップルが音楽販売で成功した鍵は、ネットワーク経由で簡単に好みの音楽を1曲から買えるシステムを作ったことです。iPodは誰でも真似できますが、iTunes Storeは簡単に真似できません。iPodの箱には「カリフォルニアで設計し、中国で製造された」と誇らしげに書いてあります。アップルの強みは生産技術ではありません。スティーブというカリスマ性のあるCEOがこの世を去った今、10年先を見通せる人物がいるかどうかが試されます。

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