2012年11月17日土曜日

農耕民族の壁

日本人が農耕民族だなと思うのは、危機に際しての対処の仕方を見た時です。自分も含め、まずやることは我慢です。例えば台風が来たら戸締まりをして家にこもります。いずれ台風は去ってしまうので、それまで首をすくめて忍の一字です。天気は農業を左右する要因なので、天気が悪ければ良くなるまで待つのが農耕民族である日本人の発想です。日本が欧米諸国に追いつこうとした昭和の時代、お手本は目の前にありました。日本は良くも悪くも物まね文化の国なので、お手本を分解してその部品をコピーし、生産技術を磨いてコストを下げました。車や家電の成功はこうしたお手本のおかげです。追いついてしまった現在、もう日本にお手本はありません。バブルで失った国富は輸入品の購買を通じて海外に流出しました。国債は日本人の預貯金で支えているので、円高はまだ逆に振れません。人口の高齢化(長寿命化)と少子化(産業のソフト化)はますます進行しています。こうした危機に日本人は我慢することで対処しました。問題先送りとも言います。その結果膨大な国の借金を子孫に押しつけて平然としているのが現代人です。今の60代以上はこの借金を踏み倒すつもりです。失われた20年は何もしない20年でした。ピンチをチャンスに変える発想は、農耕民族的考え方からは生まれません。年金を削って教育に回し、次の世代が負う借金を減らす時期に来ています。また問題を先送りすれば、事態はさらに悪化するだけです。収入の倍もある出費を削らなければ次の世代の日本は借金で潰れます。年金はゼロになり公共サービスはすべて有料になります。こうした問題は我慢するだけでは解決しません。50年後に日本の人口は今の半分になり、そのまた半分は60歳以上となります。これからの日本は、より少ない人数でより多くの外貨を稼がねばなりません。教育を国の最重要課題とし、すべての産業はいくら外貨を稼げるかで評価します。我慢という農耕民族的考え方では日本の問題は解決できません。

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