2015年6月27日土曜日

革新を阻むもの

シリコン・バレーの会社を訪問して、その会社の従業員のくだけた服装やら奇抜な事務所のデザインに感心して、「なるほど仕事でスーツをやめて事務所を変えれば革新が生まれるのか」と誤解する人がたくさんいます。確かにシリコン・バレーには技術系の会社が多く、そうした会社では優秀な若者に働いてもらうため奇抜な事務所のデザインを採用しています。服装だってもともと技術系だから顧客に会うことも少ないので、普段着で十分です。でも肝心な点は若者が革新を生むという事です。失敗しても失う物が何もないからこそ、革新ができます。シリコン・バレーのHP社に15年勤めていた筆者は、たくさんの革新的なアイデアが保守的な中間管理職によって葬り去られるのを見てきました。失敗したら失う物がたくさんある中年の大人にとって、若者が生み出す革新的なアイデアは厄介ものでしかありません。だから革新を生み出すには金持ちが若者に投資しなければなりません。これはハイリスク・ハイリターンの投資なので、お金に余裕がある金持ちにしかできません。日本にはそうしたお金持ちがいないので、若者が持つ革新的なアイデアを実現できません。シリコン・バレーに来たら、服装やら事務所のデザインといったすぐ目に付く部分だけでなく、日米の労働形態の違いや「本当のお金持ち」の桁違いに大きい家なども見て欲しいと思います。日本でマネできる部分とできない部分がある事に気がつかないと、本質を見誤ることになります。日本の革新を阻むもの、それは日本の会社にいる中間管理職です。

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