2015年7月24日金曜日

新聞記事の違い

日本とアメリカの新聞記事には無視できない違いがあります。どちらも取材した内容を記事にするのは同じです。ところが日本だと誰かが発表したモノを右から左にそのまま報道します。そのモノに対する第三者の意見はあまり報道しません。たとえば政府が貿易赤字について数字を発表するとしましょう。日本の記事は政府の発表をそのまま載せます。ところがアメリカだとその発表について肯定的な意見と否定的な意見を直接利害関係のない専門家、たとえば大学教授とか民間のエコノミストに取材して、発表に追加して記事にします。かならず利害関係のない専門家ふたりから、肯定的な意見と否定的な意見を取材して追加するので、記事自体は中立という建前です。でもそうした意見のおかげで読者は発表の裏にあるものを知ることができます。政府の発表を右から左に流すだけならビデオで撮ってYouTubeに載せれば十分です。このインターネットの時代にわざわざお金を払って記事を読むのは、その記事に何らかの付加価値があるからです。もとの情報に肯定的意見と否定的意見を取材して加えると、情報を頂点とする三角形の記事ができます。肯定的意見と否定的意見を付加することで、発表というひとつの点情報に広さが加わります。これは記事の表面的な中立性を重視するか、それとも記事を通じて読者へ届ける判断材料を重視するかの違いです。もともと報道する記事を取捨選択する時点でどのみち中立性は失われるので、新聞記事に完全な中立性はありません。

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