2017年5月1日月曜日

人工知能と仮説

今の人工知能が得意なのは帰納法です。つまり数多くの過去の事例を覚えて、目の前の問題に合う最良の事例を探しだし、それを目下の問題に適用します。有名なビッグ・データとディープ・ラーニングの組み合わせは、帰納法に最適の手法です。ところが人間は帰納法だけではなく演繹法も使います。事例からある種の法則を見いだしたら、その法則から仮の事例を組み立てます。言い換えると人間は仮説を立ててこれを検証します。でも今の人工知能は仮説を立てる事ができないので、例えばゲームをする人工知能は仮説を立てるかわりに無作為にありとあらゆる手を試します。ゲームという閉じた世界なら手当たり次第に可能な手を試しても害はないでしょう。でも人間の世界でこの方法を行うのは膨大なコストがかかるのでまず無理です。仮説を立てられない人工知能は過去の知識を超える事ができず、新しい問題の解決には役立ちません。仮説を立てられる人間はこの点で(今のところ)人工知能より優れています。

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