2017年8月12日土曜日

日銀の時間稼ぎ

日銀が2%物価目標の達成時期をまた1年遅らせ、2019年度ごろと発表しました。オオカミ少年の物語を思い出すまでもなく、もう世間の関心は日銀の物価目標から離れています。基本的に日銀のやっている事は時間稼ぎです。お札を刷って銀行から国債を買う事で日本に出回る円の量を増やし、インフレ期待を煽りました。その一方で昨年からは国債の10年物の利率をゼロパーセントに誘導するという方法で、国債の利払いを抑制しています。国債発行残高は着実に増えているので、政府の赤字財政を日銀が間接的に支えている構図です。国債の利率がゼロだと銀行の預金利率もほぼゼロとなり、それにつられて物価も上がりません。つまり日銀はあえて矛盾した施策をやっているわけで、それは政府に時間を与えるためです。この間に消費税を上げて社会保障費を減らす事ができれば日本の成長期待が上向きます。ところが2年ごとに選挙がある日本では、落選が怖くて不人気な政策を実行できません。高齢化による人手不足を補うため賃金の上昇が続く一方、コストの増大に耐えられない企業はAIやロボットを使って雇う人の数を減らそうとします。こうして神風が吹くのを待っている間にも、日本の基礎体力は確実に落ちていきます。

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