I talk about interesting differences between US and Japan in Japanese from Silicon Valley and Tokyo.
2025年7月5日土曜日
戦略とシナリオ
戦略とは、戦わずして勝つ(戦を略す)という意味です。戦略を練る時には、必ずシナリオを複数考えます。色々な敵の出方を予想した上で、それらに戦わずに勝つ方法を見つける作業です。ところが日本は真珠湾攻撃を始めたとき、出口戦略がありませんでした。不意打ちでもいいから最初に大打撃を与えれば、アメリカは降参するというシナリオしかなく、現実と乖離した見込みの上で開戦した結果、どうやって戦争を終わらせるかも考えないまま無条件降伏となりました。アベノミクスも同様に、どうやってアベノミクスを終わらせるかを考えずに政府日銀が始めた戦略です。2年で2%の物価上昇率を目指すと言いながら、やった事は財政拡大と国債増加、それに1ドル100円から150円になる通貨切り下げであり、輸入物価上昇と長期金利上昇という副作用に対する解決策がないまま、シナリオになかった実質賃金の低下という現実に直面しています。デフレをインフレに変えれば、経済問題がすべて解決するかのように吹聴してきた政府日銀は、今さら「アベノミクスが失敗でした」とも言えません。経済成長という夢を売り続ける政府と、アベノミクスの後始末を付けようとする日銀は、もはや戦略というものを持たず、現実離れしたバラ色のシナリオにしがみついています。その上先送りしてきた人口問題や国債問題、さらに対米自動車輸出に大きく依存してきた日本の経済運営に黄色信号が灯っています。このままではダメだと分かっていても、ではどうしたら良いかという戦略がありません。
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