2012年12月20日木曜日

事実と気持ち

昨年の福島原発事故で現地入りした某大臣が、誰もいない町をゴーストタウンのようだと報道陣に語ったことがあります。でもこの発言は、被害者の気持ちを無視した表現だとすぐにマスコミに叩かれました。ちょっと待って下さい。日本では何を言うにも聞き手の気持ちが一番大事なのでしょうか。大臣は客観的にみてゴーストタウンのようだと言いました。それ自身は事実です。嘘をついた訳でもなく、不正確な事を言った訳でもありません。むしろ不気味さを表す的確な表現でした。現地入りした人ならだれもが思った事のはずです。例えて言えば、裸の王様を裸だと言ったのと同じです。それが王様の気分を害するとして、取り巻きが文句を言うのは筋違いです。もう不都合な事実から目を背けるのは止めませんか。まず事実を公表するのが報道です。聞き手の気持ちを考えるのは事実を明らかにした後の話です。気持ち重視ではすぐに感情論になって議論が前に進みません。報道する時は事実だけを記事にして下さい。気持ち云々は記者の意見であり、安易に記者の意見を記事に混ぜるのは週刊誌だけで十分です。大臣の発言に市民がどう思ったかを記事にしたければ、否定と肯定の両方の意見を市民へのインタビューの形で載せるのが正しい新聞記事です。一方的な意見だけでは広告と変わりません。記者の意見を述べたければ、ぜひ社説でお願いします。

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