2015年12月16日水曜日

年金体系

実はアメリカの年金は日本ほど手厚くありません。例えば労働者全員が加入する社会保障(Social Security)という名前の年金の給付額は、ほぼ日本の国民年金の給付額と同じです。また一部の古い会社を除くと厚生年金に相当するものがないので、他に何もしなければ毎月数万円しかもらえません。そこでほとんどの労働者は個人年金、いわゆる401kプランを利用しています。これは収入の一部を天引きして自分の個人年金口座に移し、自分の指定するファンド(株や国債)で運用するものです。また自分で不動産や株などに投資して老後の資金を作るのも常識です。401kプランの利点は現役のうちに所得税の節税ができることで、老後に資金を引き出す時には利益に税金がかかるものの、その頃には年間の収入額そのものが低いので税率も低くなります。また転職しても自分の個人年金を持ち運べるので、今の会社に縛られることはありません。もしアメリカの老人にお金持ちのイメージがあるとすれば、それはこうした個人年金や不動産への投資の結果です。実際には貧しい老人もいて、たまに70歳を過ぎてもマクドナルドで働く人を見かけます。逆に言うと年齢を理由に人を不採用にはできないので、働ける人はずっと働けるのがアメリカです。日本の国民年金には税金から毎年約10兆円を補填しているので、日本も働ける人はずっと働けるようにしないと労働人口が減ってしまい、逆に老人費用だけが増える事になります。

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