2016年12月10日土曜日

人工知能についての誤解その2

囲碁の世界で人工知能が人間に勝ったというニュースがありました。チェスの世界ではもっと前から人工知能が人間に勝っています。こうしたゲームは勝敗に関わる情報がプレーヤーに完全に見えているので、機械学習を駆使して、人間より経験豊富な人工知能プレーヤーを養成することができます。デジタル化されたすべての定石を覚え、さらに人工知能プレーヤー同士を高速度で対戦させれば、人間の数千倍の経験をもつ人工知能プレーヤーを作る事は今でも可能です。つまりこうしたゲームで人工知能に人間が勝つ見込みは今後ありません。でもそれはゲームという特殊な状況だけに限定されます。「勝敗に関わる情報がプレーヤーに完全に見えている」という状況は実社会の状況とは違います。例えば車の自動運転をする人工知能があるとします。この人工知能は安全で便利な運転に必要なすべての情報を持っているでしょうか。住宅地では子供が車の影から飛び出すかもしれません。高速道路では逆行する車があるかもしれません。不完全な情報のもとで決断を下す以上、常に最上の決断を下すことは人工知能にも不可能です。人工知能にできる事は、住宅地ではゆっくり走るとか、高速道路で逆行する車を見つけたらすぐ路肩に止まるぐらいです。実社会のすべての状況変化に適応できる人工知能はありません。

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