2020年11月30日月曜日

アストラゼネカのミス

Covid-19を予防するワクチンとして、アストラゼネカが第3相の中間テスト結果を発表しました。このワクチンは2回の接種を必要とし、初回に半量を接種して次回に全量を接種した人のグループが90%の有効率、初回と次回のそれぞれで全量を接種した人のグループが64%の有効率となっています。実はこれはアストラゼネカのミスで、本来初回と次回のそれぞれで全量を接種する予定だったのに、一部のグループで初回に半量しか接種しなたったため、このような中間結果になりました。そこまで詳しく報道するマスコミ[^1]は少ないので、どうして少ないワクチンでより多くの有効率となったのか、首をかしげた研究者もいると思います。初回に半量しか接種しなかった人が、若い人のグループだったというのが種明かしです。途中でミスに気付いて初回から全量に切り替えたので、半量と全量のふたつのグループができてしまいました。さすがにこれではテストが不十分なので、FDAはアストラゼネカに追加のテストを命じました。だから90%と64%の間を取って70%の有効率というのは無理があります。企業として他社に負けたくないのは分かりますが、ミスはミスと認めた上で、たとえ他社より低い有効率でも誤解を招かないような発表をお願いします。アストラゼネカのワクチンは、先行するmRNAベースのワクチンの1割のコストで製造でき、その保管にも特別な設備がいらないなど経済的な利点があります。10人のうち1人に90%有効な25ドルのワクチンを打つか、10人全員に64%有効な2ドル50セントのワクチンを打つかという場合なら、アストラゼネカの勝ちです。


2021年3月25日追記
アストラゼネカのワクチンにアメリカでの再治験で76%の効果が確認されました。時期的に英国型変異ウイルスへの効果も含まれ、遅れはしたものの結果的に良いデータが取れたようです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。