この記事[^1]は日本の少子化効果を心配しています。昭和の経済成長が人口増大に依存していた事、平成のバブル崩壊後の日本で富裕層から低所得層へのトリクルダウンが起きなかった事を指摘した上で、日本の少子化が内需と納税者の減少を招くと予想し、中低所得層への援助を増やして経済を活性化するという提案をしています。でも筆者に言わせれば、その方法は手遅れです。内需と納税者の減少を補うことはもはや不可能で、その変化を多少緩やかにするぐらいが関の山です。もちろん中低所得層への援助は必要で、それ自体は否定しません。問題は日本が円安とインフレに直面している事で、少子化効果を無視してアベノミクスを進めた結果です。経済学者は既存の理論の背景にある、時間とともに人口が増えるという前提を忘れる事が多く、人口が減る国の経済がどうなるかは研究不足です。人口ボーナスが経済成長を生むとすれば、その逆の人口オーナスが経済老化を生むのは当然です。アメリカは人口が増加している国であり、日本とは前提条件が違います。ケインズ理論も人口減少の前には無力です。残るは生産性の大幅な向上で、それには人手に依存しない経済を発明する必要があります。理想的なのは日本国民が全員富裕層になる事で、サウジアラビアのように石油が取れれば可能です。つまり資源輸出国になるのがひとつの方法です。それに近い方法としては、エネルギーを自給するという案もあります。また大幅なロボット化で人手不足を克服するのも手です。少子化は人手不足という形で供給を制限するので、人手に依存しない経済抜きに経済成長はありません。
I talk about interesting differences between US and Japan in Japanese from Silicon Valley and Tokyo.
2025年12月12日金曜日
2025年12月11日木曜日
不正義
第二次世界大戦を日本兵として戦い、その後日本国籍を失って台湾国籍に戻った元軍人[^1]に日本人と同様の補償を与えないのは日本の不正義です。「日本のために戦争に行った台湾人が21万人いて、3万人もの方が亡くなった」という事実も日本人は知りません。同様の外国人は台湾人以外にもいるでしょう。こうした不正義を正すのは国会議員の仕事であり、日本人ファーストと矛盾しません。戦争中は日本人だったので、補償も日本人と同じにすべきです。
2025年12月10日水曜日
博士人材
日本の博士問題[^1]解決には二つの変化が必要です。それは企業側が博士を正しく評価する事と、博士側が研究職や教授職へのこだわりを捨てる事です。博士を正しく評価するとは、採用に当たって単に年齢が上がった新卒として評価するのではなく、専門職として研究内容を評価するという事です。言い換えると、メンバーシップ雇用では専門職は採用しにくいので、ジョブ型雇用に切り替えるという事です。博士側は研究職や教授職の少なさを自覚して、企業においては専門を変える位の柔軟性をもって、就職活動をするという事です。どうしても研究職や教授職に就きたいのであれば、海外の研究機関や大学も視野に入れるべきで、世間知らずのポスドクではダメです。なお記事[^1]は人文社会科学系の博士課程入学者が過去20年で40%減っていると指摘しています。でも高校生の数は平成17年から令和6年の20年間で19%[^2]も減っているので、進学率が上がったとしても全体で博士課程入学者の14%減少は当然です。そのうえ人文社会科学系はもともと需要が少ないので、40%の減少は市場原理が働いた結果だと思います。アメリカでも経済学博士の需要は減っており、社会に不要な博士を増やしても意味ありません。言い換えると、博士自身が己の需要を開拓しなければいけないという事です。
2025年12月8日月曜日
マイナ保険証
国民皆保険の日本で、マイナ保険証に反対する人が「紙の保険証に戻せ」と要求[^1]しています。紙の保険証には顔写真がなく、本人確認ができません。実際紙の保険証を複数の人間が使い回ししていた例もあります。そうした犯罪を防ぐには紙の保険証は無力です。本人確認ができないからこそ、目立ったトラブルが無かったという事です。マイナ保険証は厳格に本人確認をするので、カードの表面の文字が読めなかったり、うまく顔認証ができないというトラブルが発生します。どちらも暗証番号で本人確認をすれば回避できるトラブルです。また医療機関の7割が何らかのトラブルを経験したという事ですが、これは患者の7割がトラブルを経験したという事ではありません。筆者自身は何のトラブルも経験しておらず、医療情報の一元化にメリットを感じています。医療従事者なら専用のスマホアプリからマイナ保険証を読み取る事も可能で、訪問診療でカードリーダーは不要です。マイナンバーは住民票を持つ人すべてに交付されており、それを証明するマイナンバーカードも取得を法律で義務づける時期に来ています。マイナンバーカードは紛失しても犯罪に使われる可能性は低く、今のところそうした「なりすまし犯罪」は確認されていません。カードそのものには顔写真の他に住所、氏名、生年月日、性別、マイナンバーとシリアル番号が書いてあり、内部には同じ情報がICチップに格納されています。カードの読み出しには暗証番号が必要で、カードを拾った他人の「なりすまし」を防いでいます。つまりカードを紛失しても、保険証を紛失したのと同じ問題しか起きません。しかもスマホにはカードのコピーを持てるので、今後はカードを持ち歩かなくてもスマホが保険証代わりになります。もう「紙の保険証」に戻る必要はありません。
2025年12月7日日曜日
スマホ注文導入
安めの飲食店で、客が自分のスマホで注文するという仕組みに文句[^1]が出ています。LINEの友達登録が必要というのは確かにやり過ぎで、ただ注文したい初めての客には迷惑です。個人情報を店に渡したくない客にとって、そうした店には入れません。ただしQRコードを読み取って注文する店は、その注文方法の売り込み方を考えましょう。時給1,200円の店員を5分使えば100円かかるので、店員を呼んで注文すると平均100円のコストがかかります。そこで、スマホ注文したらテーブル毎に100円割り引くとしたらどうでしょう。メニューの価格改定とスマホ注文導入を同時に行って、店員注文もスマホ注文もできるけど、スマホ注文なら100円引きにします。こうすれば従来の客も不便な思いをせずに店員に注文でき、自分のデータを使ってスマホ注文する人は割引を受けられるという具合です。テーブル毎の割引が難しい場合、テーブルに4人座れるとして1人25円引きでも良いでしょう。スマホアプリがあるなら、その場で代金を直接割り引く代わりに、次回の利用時に使える電子クーポンを出すという方法もあります。利用者に新しい注文方法を求める場合、少額の割り引きでメリットを還元するのは賢い店主です。
2025年12月6日土曜日
自然免疫
ヒトの免疫には自然免疫[^1]と獲得免疫があります。体内に入った異物に対して最初に働くのは自然免疫で、その後に働く抗体などは獲得免疫です。自然免疫の中心はT細胞という白血球で、これは骨髄で作られたのち胸腺で分化し、遺伝子の再構成によってランダムに変化します。T細胞はひとつひとつがたったひとつの抗原に反応するようにできており、ランダムに変化した結果、まだ見ぬ未知の病原菌にも反応するT細胞ができます。ところが逆に、遺伝子の組み合わせによっては自分自身に反応するT細胞も出来てしまうので、そうした有害なT細胞は胸腺の中で自死します。ランダムなので、自然免疫はヒトにより何に反応するかという個人差が大きいという事になります。遺伝子が似ている家族間でも同じ自然免疫を持つ事はなく、これがワクチン接種の副反応という問題を生みます。ワクチンには色々な物質が含まれており、大多数のヒトの自然免疫には無害でも、ごく少数のヒトの自然免疫には反応してしまう事があります。ワクチンの治験では数万人の参加者でテストするので、百万人にひとり位の稀な反応は見落としがちです。もし自然免疫がワクチンの成分に強く反応してしまうと、命を落とす事もあります。ワクチンで獲得免疫を得て特定の病気を免れる利点と、体の自然免疫が予想外の反応をする欠点を天秤にかけて、ワクチン接種をするかどうかを決める必要があり、新しいワクチンに対して懐疑的になる人がいるのは理解できます。ほとんどの副反応は医者が治療できる一方で、ごく少数の「治療できないケース」がある事も確かです。公衆衛生では大多数の健康を優先するので、認可されたワクチン接種は社会生活に必要とされています。戦後の日本で感染症が激減したのは子供へのワクチン接種が普及したためで、結核やハシカは過去の病気になりました。B型肝炎や小児麻痺、天然痘の流行もありません。自然免疫は感染症による人類全滅を防いできた反面、ワクチンの重篤な副反応の原因でもあり、その仕組みの理解は大切です。
2025年12月5日金曜日
経済学とは
この寄稿[^1]は良い問題提起だと思います。経済学は曲がり角に来ており、経済学博士の就職先は減っています。経済学が科学ではないというのは筆者も同意見で、過去の出来事を説明するのは得意でも数年先ですら予測が当たりません。もちろん実験ができないとか、人間の行動が予測そのものに影響を受けるといった弱点があるのは承知しています。マクロ経済を記述する大まかな数式があって、それより細かいものは当たらないというのが現実です。そもそも経済は政治の動きに敏感で、物理のような自然科学ではありません。日本の経済学者には、人口が減る国の経済について新しい理論を作る機会があるので、2050年の日本の経済状況をうまく当てれば、ノーベル賞がもらえるでしょう。人口増を前提としてきたMMTのような理論は日本では破綻し、人口減を前提とする理論の構築が目下の課題です。
2025年12月4日木曜日
ドイツ対日本
この記事[^1]はドイツと日本のドル換算のGDPを比較しています。1995年と2025年を比較すると、まず第一に円レートが違います。1995年の円レートは年平均で1ドルが94円、2025年はそれがほぼ150円と60%も落ちています。この30年で円ベースのGDPは上がったものの、円レートの下落によりドル換算した日本のGDPは50%下落したように見えます。ところがドイツは通貨がユーロなので、ドルに対してあまり下落していません。ユーロが始まった1999年のユーロレートは1ドルが1.066ユーロ、2025年が1.122ユーロです。この26年で5%しか下落していません。またユーロは加盟国全体の経済力でレートが決まり、ギリシャに足を引っ張られて安くなっていました。ドイツ単独の経済力ならもっと高いレートのはずが、加盟国による引き下げ効果で結果的にドイツに有利に働き、ドル換算の値段を低く抑えたためドイツの輸出は大きく伸びました。日本が高い円レートでドル換算の値段が高くなり、輸出が減ったのとは好対照です。アベノミクスは赤字国債を増発して対ドルレートを円安に導いたものの、コロナ後のインフレを制御できず円安が進みすぎています。1ドル120円ぐらいが日本に適正なレートであり、行き過ぎた円安は日本人の生活を直撃しています。日本の経常収支は黒字であり、貿易赤字を上回る海外収入があります。問題はこの黒字が日本の賃金に還元されず、海外に再投資される事です。
2025年12月3日水曜日
IT投資の穴
日本の会社は総じてネットのセキュリティが甘いと思います。もともと日本社会が性善説型で、無人販売店もあるような国ですから、脇が甘いのは仕方ありません。でも会社のトップにセキュリティへの関心が無ければ、IT投資で真っ先に削られるのがセキュリティです。ITなしでは会社が回らないのに、そのセキュリティにお金をかけないとこうした問題[^1]が起きます。ネットは世界中が繋がっているので、毎日ネット経由の攻撃[^2]が起きています。受発注や生産管理、経理のシステムが止まると莫大な損失となる事は明白なのに、トップがセキュリティにお金をかけなければ、いつ攻撃されてもおかしくありません。昨日まで問題がないからと言って、明日も無事だという保証はどこにもありません。IT投資の半分は、従業員や取引先への教育と監視を含むセキュリティ費用に使う位の覚悟が必要です。管理者権限を守るのがパスワードだけというのは時代遅れであり、ゼロトラストという考え方が抜けています。
2025年12月2日火曜日
エッセンシャルワーカー
エッセンシャルワーカー[^1]とは、バスの運転手[^2]や介護士を指します。ゴミの収集員やマンションの管理人も入るでしょう。外来語なのでカタカナです。給料は低いけど、社会に必要な仕事という印象です。「基盤職員」とでも訳せば適切です。そのなり手が不足するのは給料が低いという理由が大きいそうで、経済原理が働いていません。バスの運賃は低く、介護費用は介護保険で抑えられているという具合です。需給に応じて給料を上げるべきで、自動化も必要です。人口減少に備えるには大幅な自動化、ロボット化が必須です。
同日追記
「余るホワイトカラー、地域のエッセンシャル職に転換を」だそうです。
2025年12月1日月曜日
国境離島
人口が減る日本では離島の人口も当然減ります。問題は国境離島[^1]で、これらの島々で人口がゼロになると国土として主張できません。そのため国は税金で国境離島の人口を一定程度に維持する必要があります。そうなると国境でない離島はどうするのかという疑問が起きます。そこは観光の観点から昼間人口を維持し、夜間人口はゼロでもやむなしとするべきでしょう。高齢者が離島に住むのは難しいので、移住もひとつの手です。その結果、無人島が増えるのは仕方ありません。インフラの維持にもお金がかかるので、すべての離島で夜間人口を維持するのは無理です。
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