2010年12月1日水曜日

世代間の搾取

日本の国家財政がギネス級の赤字を抱えているという話は以前に書きました。これは子供や孫の世代からお金を借りて返すつもりがないとう事で、いわば世代間の搾取です。日本の国債の買い手は大部分が日本の機関投資家ですので、財政赤字がこのまま増えると政府は次のふたつのどちらかを選ぶ事になります。つまり、増税と歳出カットで赤字を減らすか、あるいは国債を踏み倒すかです。前者は各種税金の増加と行政サービスの減少をもたらし、後者は国民の預金を封鎖して返さないという道をたどります。いずれにせよ割を食うのはこれからの世代で、その人たちは選挙権すらないのに負担だけは増えるという運命にあります。日本という国が収入の倍の支出を続けられるはずがありませんので、年金や介護および健康保険といった社会保障を国の収入に合ったレベルにまで下げるのが肝心でしょう。そのほか公務員数の削除や消費税の大幅アップも避けられません。今は政府も官僚も財政赤字は自分の責任ではないと鼻をつまんでいるので、財政赤字が減る理由が見当たりません。マサはこれが民主主義の欠陥だと思っています。だれも負担が増えることを望まないので、世代間の搾取だけが残ります。選挙権がない子供や孫の世代からお金を借りて返さないのは麻薬と同じで、国債という麻薬は日本だけでなくアメリカや他の国も蝕んでいます。ただ日本だけが突出して財政赤字が大きく、なおかつ日本自身がお金の貸し手になっているという点で他の国と違います。法律を変えてまで手を出した赤字国債という麻薬は、着実にこれからの日本を蝕んでいくでしょう。国としても壮年期から老年期に入った日本の再生は、一度生まれ変わらないと無理なのかもしれません。あるいは生まれ変わる事に匹敵する大きな変革を経験する必要があるのかもしれません。民主主義では国民の多数意見が国の将来を決めるので、国民に増税を納得させられる政治家が登場するまで日本の財政赤字は増え続けるでしょう。ここでは既存の経済学は通用しません。日本の経済学者は、人口の減少という未知の領域に入った日本のために独自の経済学を生み出す必要があります。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。