2011年7月2日土曜日

放射線を正しく怖がる

高校の化学で放射線を勉強しましたが、その後すっかり忘れてました。素人のマサが理解したことは以下の通りです。放射線には3種類あり、アルファ、ベータ、ガンマという名前が付いています。アルファはヘリウム原子核、ベータは電子線、ガンマはX線のもっと波長の短い電磁波です。アルファ線は紙1枚でも止まり、ベータ線も空気中だと数十センチから1メートルぐらいしか飛びません。しかしガンマ線はX線同様透過力が強いので遠くまで飛びます。ガンマ線を遮るには鉛の板や厚いコンクリートの壁、もしくは大量の水を使います。そのため体の外部から来る放射線は主にガンマ線が危険です。放射線はいずれも遺伝子を傷つけるので、ガンの原因になります。放射性物質から遠ざかればアルファ線もベータ線も怖くありません。なお放射線防護服は放射性物質が体に付着しないための化繊の服で、ガンマ線を遮る力はありません。体外被曝はシーベルト値が高くてもその場を離れれば被曝量が減りますので、主に急性症状が出ない値を安全な範囲とします。これに対して内部被曝はもっと危険です。放射性物質を吸ったり食べたりすると内部被曝になります。放射性物質はホコリのように細かくなって原発から飛散したので、雨とともに地上に流れ落ちて地表にたまりました。これを直接吸い込んだり、農作物や魚介類を通じて食べたりすると内部被曝になります。するとエネルギー量の多いアルファ線やベータ線の放出源が細胞のすぐとなりにくるので、体から外に抜けるガンマ線より危険になります。幸いアルファ線を出す物質はウランやプルトニウムなど限られているので、福島原発の場合ベータ線とガンマ線を出すヨウ素131やセシウム137が危険視されました。物質により体内にとどまる時間や出す放射線の種類が違います。内部被曝と体外被曝を同じシーベルト値で計算するのは無理があり、内部被曝の危険度を見積もるのは容易ではありません。またガンマ線は体外に出て来るので体外からその量を測定できるのに対して、アルファ線やベータ線は体内で吸収されるので体外から内部被曝量を直接測定できません。そこで排泄物を測定して体内の放射性物質の種類と量を推定します。福島市でも放射線量が高く、年間5.2ミリシーベルト超の放射線管理区域に相当する場所に普通の人が暮らしています。放射線防護法によれば、そうした区域では飲食は禁止で用のない人はそこに長くいてはいけません。それは危険な内部被曝を避けるためです。ホコリを吸い込んだり、汚染された食物から取り込んだ放射性物質による内部被曝はガンの増加という形で将来現れます。そのガンでたとえ死ななくても、病気になり普通の生活ができなくなるのは困ります。若い人ほど放射線に敏感で残りの人生も長いので、ガンが大きくなる時間がありその分危険です。内部被曝に安全な限度はありませんが、たとえ有機栽培の野菜や果物でも微量の自然放射線を出すので、その値以下にするのは無意味です。一般人にとっては、急性症状が出る外部被曝よりこれから数十年かけて出てくる内部被曝のほうが怖いので、特に40歳以下の人はなるべく内部被曝を避けます。家の周りの放射線量を測定し、たまった放射性物質は水で下水に流すという対策があります。また子供にはできるだけ汚染されてない食物を与えます。食品のベクレル値の暫定基準という数値にはふたつの意味があり、どこまでが安全かどうか分からないのでとりあえず決めた暫定値という意味と、内部被曝は少なければ少ないほど良いのであくまでも目安として使えという意味があります。繰り返しますが、内部被曝ではどの放射性物質をどれだけ体に取り込んだかが将来の健康を左右します。

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