2012年6月29日金曜日

木を見て森を見ず

日本がアメリカの真似をして導入した成果主義は失敗したというのが定説です。日本では仕事に人を付ける方式ではないので、個人の仕事の範囲を明確に決められません。むしろチーム全体としてアウトプットを増やすのが日本の長所なので、個人の出来高だけで決まる成果主義とは矛盾します。それを知った上で導入した真の目的は、年功序列で膨れ上がった中高年の人件費削減に違いありません。話題の夏時間も同じ理由で失敗するでしょう。個人の仕事の範囲が決まっていないと、ここまでやれば今日はおしまいという線引きができません。すると能率が良くて速く仕事を片付ける人は、他の人の分の仕事までやるハメになります。アメリカは自己責任の国なので、会社に人生を預ける人はいません。ではアメリカはチームワークの無い国かというと、決してそうではありません。会社では360度評価でチームメンバーとしての成果が問われます。会議では本音で議論するので、一度納得すれば全員が同じ方向を向いて働きます。ここで納得できない人は、さっさと他の会社に移ります。アメリカは終身雇用ではないので、いつ首を切られるか分かりません。そのため各自が普段から自分の価値を高めるための努力をします。例えば働きながら学位を取るとか、会社外の人的ネットワークを作るために会合に出かけるなどです。部分的には真似できても、これらは全体として真似しないと効果がありません。成果主義、自己責任、非終身雇用は3点セットです。ここからひとつだけ取り出して日本に導入しても成功しません。日本は部分的にアメリカの真似をするのではなく、「木を見て森を見ず」という内向き思考を合理的かつ外向きな思考に変える事が大切です。言い換えると島国根性を捨てるという事です。自分の生きる世界を生まれた場所や国に限定することなく、状況に応じて場所を変えたり仕事を変えたりする勇気のある人や会社だけが生き残ります。本質的でない事にこだわるのは止めて、いつも本音で勝負しましょう。一度だけの人生を、他人の決めたルールに従って生きるのはオカシイと思いませんか。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。